難民問題と国際法制度の動態

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難民・移民の国際的保護に関する重層的な国際法構造について論じる。主権国家併存の国際社会の地球規模課題をいかに遂行するのか。

著者 川村 真理
ジャンル 法律  > 国際法/国際関係/国際私法
出版年月日 2019/09/30
ISBN 9784797268355
判型・ページ数 A5変・288ページ
定価 6,930円(税込)
在庫 在庫あり

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地球規模課題の解決をいかに導き出すのか ー 難民・移民の国際的保護と重層的な国際法構造
   
難民・移民の国際的保護に関する重層的な国際法構造について論じた待望の書。難民と移民の移動は,地球規模の課題となっているが、国際法の下で,尊厳の確保のため,より一層の国際協力が求められている。その一方で、各国家は主権の下で,出入国管理等の政策を決定する。主権国家併存の国際社会にあって地球規模課題の解決をいかに導き出すのか。
  
『難民問題と国際法制度の動態』

  川村真理(杏林大学総合政策学部教授) 著

【目  次】

はしがき(v)

◆序 章 難民問題と国際法制度の重層性◇
 Ⅰ 問題の所在
 Ⅱ 国際法制度の重層性

◇第1部 非拘束的文書による保護活動の統合・調整◇

◆第1章 国連人道問題調整事務所の機能と組織化―統合・調整機能とその正当性―
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 権限と組織構造
  1. 歴史的展開
  2. 権 限
  3. 組織構造
 Ⅲ 機 能
  1. 情報管理
  2. 資金調達
  3. フォーラム機能
  4. 規範生成
  5. 規範遵守の確保
  6. オペレーション統合・調整
  (1) クラスター
  (2) 緊急援助調整活動
  (3) 課 題
 Ⅳ 統合・調整の正当性とアカウンタビリティー
  1. アカウンタビリティーの概念
  2. 事務局のアカウンタビリティーシステム
  (1) アカウンタビリティー構造
  (2) 加盟国との規約:戦略枠組みおよび予算
  (3) 成果および業績
  (4) 内部システムと管理
  (5) 監査機能
  (6) 倫理基準と統合
  (7) OCHAの機能と位置づけ
  3. 多様な主体間関係の規律
  (1) 国際機関間関係の規律
  (2) 国との関係の規律
  (3) NGOとの関係の規律
  (4) 私人との関係の規律
 Ⅴ おわりに

◆第2章 国連難民高等弁務官事務所の国際的保護機能の変容
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ UNHCRの権限
  1. UNHCR規程
  2. 難民保護に関する条約との関係
  3. 総会決議により付与される権限
  4. 国連システムにおけるUNHCRの位置づけ
  5. 執行委員会の役割
  6. 小 括
 Ⅲ 難民法の発展とUNHCRの役割
  1. 庇護権
  2. ノン・ルフールマン原則
  (1) 慣習法としてのノン・ルフールマン原則
  (2) 追放又は送還
  (3) 対象者
  3. 小 括
 Ⅳ 人権法の発展とUNHCRの役割
  1. 難民法と人権法の補完性
  2. 人権条約実施制度とUNHCRの役割
 Ⅴ おわりに

◆第3章 災害サイクルに関連する国際法規範の新展開
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 世界の災害の現状
 Ⅲ 災害対応に関する国際法規範の特徴
  1. 防 災
  2. 災害時の緊急対応
  3. 復 興
 Ⅳ 2015年の新たな取組み―防災・開発・気候変動を中心に―
  1. 仙台防災枠組2015―2030
  2. 持続可能な開発目標(SDGs)
  3. パリ協定
  4. 小 括
 Ⅴ おわりに

◇第2部 人権法の解釈適用による保護範囲の拡張◇

◆第4章 拷問等禁止条約第3条における送還禁止基準
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 拷問等禁止条約第3条と難民条約
  1. 保護機能の相異
  2. 追放及び送還禁止の範囲の相異
  3. 拷問等禁止条約の解釈にUNHCRが与える影響
  4. UNHCRによる人権基準の考慮
 Ⅲ 個人通報事例における第3条の解釈
  1. 公務員又はその他の公的資格で行動する者による侵害
  2. 送還禁止対象国
  3. 安全確保
  4. 予見可能性
  5. 危険の現存性
  6. 個人に対する危険
  7. 蓋然性
 Ⅳ おわりに

◆第5章 アメリカの「対テロ戦争」と拷問禁止規範
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 拷問禁止の法的性格
 Ⅲ 「対テロ戦争」と拷問禁止委員会アメリカ報告審査
  1. 戦闘時の条約適用
  2. 管轄権の範囲
  3. 不正規移送
  4. 外交的保証
  5. 被拘禁者の申立権
 Ⅳ おわりに

◆第6章 外国における人権侵害とノン・ルフールマン原則―難民法・人権法の適用範囲と実効性―
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ ノン・ルフールマン原則と外国における人権侵害からの保護
  1. 難民条約第33条の適用範囲と保護機能
  2. 拷問等禁止条約第3条の適用範囲と拷問防止機能
  3. 自由権規約第6条・第7条の適用範囲と人権侵害防止機能
 Ⅲ ノン・ルフールマン原則の実効性と課題
  1. 難民法・人権法の相互作用と解釈適用の変容
  2. 履行確保の課題―実効性との関連で―
  (1) 解釈適用に関する国家間の実行のギャップ
  (2) 間接的ルフールマンの禁止および安全な第三国
  (3) 大量流入
  (4) 域外適用
 Ⅳ おわりに

〈判例紹介〉退去強制における送還先の違法―退去強制令書発付処分取消請求控訴事件―
 (大阪高裁平成27年11月27日判決)
  1. 事実の概要
  2. 判 旨
  3. 解 説
  (1) 退去強制とノン・ルフールマン原則
  (2) 入管法53条2項の「送還することができないとき」の解釈とB規約
  (3) 蓋然性の評価

◆第7章 出入国管理における家族統合と子どもの最善の利益―庇護申請に関連する事案を中心に―
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 難民条約における家族統合と子ども
 Ⅲ 自由権規約第17条の解釈基準
 Ⅳ 子どもの権利条約第3条の解釈基準
 Ⅴ 欧州人権条約第8条の解釈基準
 Ⅵ おわりに

〈判例紹介〉付き添いのない未成年者の収容・退去強制と家族再結合―マィエカ対ベルギー事件―
 (ヨーロッパ人権裁判所2006年10月12日判決)
  1. 事 実
  2. 判決要旨
  3. 解 説
  (1) 第3条の非人道的取扱いおよび苛酷さの基準
  (2) 第8条下の正当な目的との比例性判断と子どもの権利条約

◇第3部 欧州および日本における近年の動向◇

◆第8章 難民・移民の大規模移動とEU法制の課題
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ EUの出入国管理政策の変遷
 Ⅲ 高い人権基準と安全な第三国―EU域内外のギャップ―
 Ⅳ シェンゲン・ダブリン体制と連帯・負担分担の揺らぎ―EU域内のギャップ―
 Ⅴ おわりに―統合と分断のはざまで―

◆第9章 日本の難民認定制度における保護対象と判断要素
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 難民認定制度の運用の見直し
 Ⅲ 保護対象および認定の判断要素
  1. 難民該当性判断および人道配慮による在留許可の判断プロセス
  2. 保護対象および認定判断要素
  (1) 難民認定
  (2) 難民不認定
  (3) 人道配慮による在留許可
 Ⅳ おわりに

◆終 章 国連が志向する難民・移民の国際法制度
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ ニューヨーク宣言およびグローバルコンパクト
  1. ニューヨーク宣言
  2. 難民グローバルコンパクト
  3. 移住グローバルコンパクト
 Ⅲ 国連が志向する難民・移民の国際法制度
  1. 難民・移民に関するグローバルガバナンス
  2. 包括的アプローチ
  3. 課 題
 Ⅳ おわりに


・初出・原題一覧
・事項索引
・判例索引

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