政党政治を考える ー 「議会の制度化」と質疑応答

政党政治を考える ー 「議会の制度化」と質疑応答

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国会の質疑応答の在り方が抱える問題を明らかにし、現在および今後の政党政治を考える新たな視点を提示する。

著者 白井 誠
ジャンル 法律  > 憲法
政治・経済  > 政治学
シリーズ 法律・政治  > 信山社ブックス
出版年月日 2019/02/20
ISBN 9784797286458
判型・ページ数 A5変・180ページ
定価 1,980円(税込)
在庫 在庫あり

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信頼の著者による、政党政治を再考する貴重な書 ― 入門から発展まで
 
平成期の選挙制度改革・統治構造改革によって、国会に基盤を置く政党の状況は変転し、「政」と「官」の関係性は大きく変わった。現実には、議院内閣制の運用を規定している不可視な「質疑応答」によって、歪みを深め、大きな壁となっている。この討議のプロセスを再訪し、闇に閉ざされてきたブラックボックスを開くことにより、いま真摯に政党政治を再考する。
  
『政党政治を考える ― 「議会の制度化」と質疑応答』

  白井 誠(元衆議院事務局議事部長) 著


【目 次】


◇はじめに

 質疑応答をめぐる事象と国会改革/憲法63条が持つ歴史性と無意識/「議会の制度化」分析によって明らかにしたこと/本書のねらい

◆序 章

 第1節 質疑応答をめぐる無意識
 第2節 「質疑応答の構造」とは何か
  (1) 先例による読会制度変革のターゲットとツール
   ⅰ 明治議院規則:「討論」の節と「委員」の審査―ターゲット
   ⅱ 大体の質疑応答―ツール
  (2) 隠れた鍵が作り出した「質疑応答の構造」
   ⅰ 見えるものと見えざるものによる三位一体の構造
   ⅱ 三位一体の構造が結ぶ現像
  (3) 政党政治の法構造―隠れた鍵がつなぐ,実定制度と不可視な「質疑応答の構造」の共棲

◆第1章 先例による帝国議会の制度化(前史)

 第1節 帝国憲法体制と超然主義
  (1) 超然主義と会派の結成
  (2) 超然主義の審議システムと民党の対抗的な入り込み
  (3) 読会制度―「 本会議中心主義」のブラック・ボックス
 第2節 明治議院規則の議決
  (1) 衆議院―民党が第一読会に打ち込んだクサビ(「大体の質疑応答」の規定)
   ⅰ 「大体の質疑応答」―読会制度の周縁的規定
   ⅱ 規定の成り立ちの特異性
  (2) 貴族院の場合
   ⅰ 先例を根拠とした「大体の質疑応答」
   ⅱ 先例による衆議院との同質化の流れ
 第3節 明治議院規則を読む
  (1) 衆議院先例彙纂・委員会先例彙纂の改訂から:1
   ⅰ 明治35年版・衆議院先例彙纂草案と委員会先例彙纂草案
   ⅱ 明治35年版・衆議院先例彙纂草案に至るまでの過程
  (2) 広義の討論として規定された本会議の審議
   ⅰ 質疑応答に関する曖昧な規定―「自他を問わない質疑応答の連鎖」の許容
   ⅱ 広義の討論として規定されたことの意味
  (3) 議席,演壇,大臣席の機能とその変化
  (4) 委員の「討議」―「自他を問わない質疑応答の連鎖」の自由
  (5) 明治議院規則の本質とその行方
   ⅰ 自立的・自足的な「討議」のプロセス―委員の「討議」と本会議審議の有機的連関
   ⅱ 委員会の傍聴禁止と「討議」の関係
   ⅲ 全院委員会の傍聴許可とその背景
   ⅳ 規定の不存在の転回的な読み替え
 
◆第2章 先例による帝国議会の制度化(一)

 第1節 官民調和体制の審議システムの創造―先例による変革のフェーズ1
  (1) 二つの化学反応とその融合
   ⅰ 明治議院規則の審議システムと現実の化学反応
   ⅱ 「大体の質疑応答」の規定と現実の化学反応
   ⅲ 政党会派と政府の関係性の構築と「大体の質疑応答」
  (2) 「大体の質疑応答」による委員会と本会議の同質化―「討議」のプロセスの解体
   ⅰ「 委員」の審査から「委員会」の審査へのパラダイム・シフト
   ⅱ 同質化した委員会と本会議の連動)
   ⅲ 「大体の質疑応答」の全部化の帰結―逐条審議の消失
  (3) 「官民調和体制」の審議システム―委員会と本会議の同質化による過半数意思の貫徹
 第2節 政党会派による運営の制度化(1)―先例による変革のフェーズ1の過程で
  (1) 政党会派を基礎的構成単位とする運営―過半数意思の貫徹
   ⅰ 特別委員の比例配分
   ⅱ 両院協議会協議委員の選出
   ⅲ 常任委員の比例配分
  (2) 各派協議会の始まりと協議の恒常化
  (3) 衆議院先例彙纂・委員会先例彙纂の改訂から:2
   ⅰ 逐条審議放棄の規範化(本会議)―通則の消去と違例による置き換え
   ⅱ 逐条審議放棄の規範化(委員会)―「本会議に関する法規に準拠」という転回的な規範化基準

◆第3章 先例による帝国議会の制度化(二)

 第1節 質疑応答の構造―変革のフェーズ2
  (1) 国務大臣の演説に対する質疑の制度化
  (2) 政党会派による運営の制度化(2)
   ⅰ 政党会派による通告の始まり―27回議会の画期
   ⅱ 政党会派による「大体の質疑応答」の管理・統制と,政党会派による自律的運営の法的連関
  (3) 政党会派(と政府)による「大体の質疑応答」の分断・囲込み
   ⅰ 本 会 議
   ⅱ 委 員 会
  (4) 先例による変革のフェーズ1・2 をとおして
   ⅰ 政党会派による審議システムの確立―国会の審議システムの原型
   ⅱ 「討議」のプロセスの解体過程と外部への同期的派生
 第2節 政党政治の法構造―「 官民調和体制」の永続システムの完成
  (1) 衆議院先例彙纂・委員会先例彙纂の改訂から:3
   ⅰ 政党会派による審議システムの規範集として
   ⅱ 構造連続の証として
  (2) 大正衆議院規則の議決
   ⅰ 先例の体系と議院法・議院規則の倒立関係―その意味と意図と意義
   ⅱ 大正衆貴両議院規則は何をどのように規定したか
  (3) 小  括
 第3節 「政党政治の法構造」作動の時代(1)
  (1) 政党内閣制の時代
  (2) 政党内閣制瓦解の後
  (3) 被占領時代―国会法案起草の段階

◆第4章 帝国議会から国会への隙間のない転換と継承

 第1節 憲法補則・国会法附則・暫定衆議院規則
  (1) 帝国議会と国会の結節点
  (2) 憲法体制転換の在り方をめぐって―「議院法伝統」の形成
  (3) 仮想現実による隙間のない転換
 第2節 帝国議会の規範の転換と継承
  (1) 普遍的な議院規則の継承
  (2) 普遍的な先例等の継承
  (3) 普遍的な議院の運営準則の枠組みの継承―実定制度規範と先例による規範の枠組み
  (4) 「質疑応答の構造」の継承と「政党政治の法構造」の再起動
 第3節 議院内閣制の運用をめぐる無意識
  (1) 旧憲法54条から憲法63条へ
  (2) 憲法41条との関係

◆第5章 国会制度と「質疑応答の構造」―「政党政治の法構造」作動の時代(2)

 第1節 被占領時代
 第2節 独立回復後
 第3節 55年体制
  (1) 総  論
  (2) 国対政治―議長の権限と政党会派による運営の法的連関の変容
   ⅰ 各派交渉会から議院運営委員会,そして同理事会へ
   ⅱ 国会運営上の駆け引きのベースとして
   ⅲ 55年体制の後―筆頭理事間の協議
 第4節 政治改革と統治構造改革

◆終 章 改めて討議を考える

 第1節 協働の基盤の欠落
  (1) 委員会制度運用の現実
  (2) 国政調査の「一般化」の中で
 第2節 「政党政治の法構造」のアンビヴァレンス
  (1) 平成期憲法改革と「質疑応答の構造」の不均衡
  (2) フォーマル/インフォーマルな憲法秩序相互の関係性
 第3節 取り残された憲法改革
  (1) 委任と責任の連鎖
  (2) 代表議会の作用と実相―討議の排除が組み込まれた,議院内閣制と権力分立の関係
  (3) 協働の基盤を求めて―委任と責任の連鎖の明確化のために
  (4) ポスト平成の時代に

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・付録1 旧衆議院規則・貴族院規則の対比(関連部分)
・付録2 旧衆貴各議院規則・衆議院規則・参議院規則の対比(関連部分)
・付録3 質疑応答に関する主な先例項目(現行)

参考文献
事項索引

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