現代法哲学講義〔第2版〕

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アクチュアルなテーマを通して法哲学を学ぶ。利害が錯綜対立する実践的な14テーマを設定、検討する好評書が待望の改訂!

著者 井上 達夫
ジャンル 法律  > 法哲学
法律  > 司法/裁判制度/弁護士論
法律  > ジェンダー法
法律  > 法と経済
法律  > 行政法
法律  > 民法
法律  > 医事法
法律  > 刑事法
法律  > 国際法/国際関係/国際私法
出版年月日 2018/04/30
ISBN 9784797225693
判型・ページ数 A5変・408ページ
定価 3,740円(税込)
在庫 在庫あり

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実践的で人気の書が、待望の改訂。法哲学は法曹に不可欠なdiscipline

【本書の特徴】

・具体的な紛争や社会問題の設定
・古典的主題と先端的主題の統合
・実定法学的問題と法哲学的思考との接合
・現代法哲学の多様な諸潮流の協働

 
アクチュアルなテーマを通して法哲学を学ぶ教科書の第2版。「法哲学は法曹にとって不可欠なdiscipline」との共通了解の下,実定法学上の問題を含む具体的な紛争や社会問題を設定し,法哲学の視点から考察を行う。遵法責務問題,地球環境問題と人権,グローバル化と世界正義,移民問題,臓器移植・臓器売買など,利害が錯綜対立する難問を計14テーマ設定し,信頼の執筆陣が検討を行う。
 




『現代法哲学講義〔第2版〕』

 井上達夫(東京大学大学院法学政治学研究科教授)編


【執筆者一覧】

高橋文彦(たかはし・ふみひこ):明治学院大学法学部教授
桜井 徹(さくらい・てつ):神戸大学大学院国際文化学研究科教授
横濱竜也(よこはま・たつや):静岡大学学術院人文社会科学領域法学系列教授
郭 舜(かく・しゅん):早稲田大学法学学術院准教授
井上達夫(いのうえ・たつお):東京大学大学院法学政治学研究科教授
山田八千子(やまだ・やちこ):中央大学大学院法務研究科教授・弁護士(東京弁護士会)
浅野有紀(あさの・ゆき):同志社大学大学院司法研究科教授
鳥澤 円(とりさわ・まどか):関東学院大学法学部准教授
藤岡大助(ふじおか・だいすけ):亜細亜大学法学部准教授
石山文彦(いしやま・ふみひこ):中央大学法学部教授
池田弘乃(いけだ・ひろの):山形大学人文社会科学部准教授
那須耕介(なす・こうすけ):京都大学大学院人間・環境学研究科准教授
関 良徳(せき・よしのり):信州大学学術研究院教授
奥田純一郎(おくだ・じゅんいちろう):上智大学法学部教授

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【目 次】


まえがき──なぜ法哲学を学ぶのか〔井上達夫〕


◆第Ⅰ部◆ 法思考と秩序の原理

◆テーマ1 法の支配と法的思考──「法の論理」は裁判官の法的思考をどこまで拘束しうるか〔高橋文彦〕

はじめに(3)
1  問題の所在:「法の支配」と「法的思考」(4)
2  リアリズム法学による説明可能性(7)
⑴ フランクの説明図式(7)
⑵ 長良川水害訴訟におけるS × P = D(8)
3  リアリズム法学の問題点(11)
⑴ 発見の文脈と正当化の文脈(11)
⑵ 外的視点と内的視点(12)
4  法的三段論法における小前提の再検討(14)
⑴ 事実F の不確定性(14)
⑵ 安八訴訟および墨俣訴訟における事実認定(15)
⑶ 「正しい準則の支配」としての「法の支配」(17)
⑷ 証明責任における分配的正義(18)
5  法的三段論法における大前提の再検討(19)
⑴ 法的ルールR の不確定性(19)
⑵ 法的思考の非単調性と対話性(21)
結 語(24)

◆テーマ2 人格概念の法思想史的淵源とその変容〔桜井 徹〕

はじめに(29)
⑴ 八幡製鉄政治献金事件(30)
⑵ 人間と人格(31)
1  法人本質論(33)
⑴ 法人擬制説(33)
⑵ 法人否認説(34)
⑶ 法人実在説(35)
⑷ 法人本質論の意味(36)
2  人格とは誰のことか?──ホッブズの二つの人格概念(37)
⑴ 人格・本人・代理人(37)
⑵ 人為的人格としての国家(40)
3  人格はどこにいるのか?──ケルゼンにおける人格と規範(42)
⑴ 二元論の解体と人格(42)
⑵ アニミズム的思考と人格(43)
4  何が人格を担うのか?──ロックの人格論(45)
⑴ ロックにおける「人格の同一性」(45)
⑵ ロックの人格論の歴史的意義(47)
5  規約主義から「契約の連鎖」へ(48)
⑴ 民法学説における規約主義的法人論(48)
⑵ 「契約の連鎖」としての団体(50)
結 語(51)

◆テーマ3 法と道徳──遵法責務問題を手掛かりにして〔横濱竜也〕

はじめに──壁の射手訴訟と遵法責務問題(55)
1  遵法責務否定論(62)
⑴ いかなる悪法も法であるが遵法責務は存在しない──クレイマーの法実証主義(62)
⑵ 法は道徳的に正しいからこそ服従されるべきである──ハードの自然法論(66)
⑶ 遵法責務とは何か──ソクラテスは何故悪法に服従したのか(71)
2  悪法に対する責任としての遵法責務(73)
⑴ 「原理の共同体」の理想を追求する遵法責務──ドゥオーキンの純一性論(73)
⑵ 悪法に対する責任としての遵法責務の正当化根拠(76)
結語──遵法責務とは何であるのか(78)

◆テーマ4 国際法秩序の再編──地球環境問題と人権を中心として〔郭 舜〕

はじめに(84)
1  環境と人権:二つの価値(86)
⑴ 二つの価値(86)
⑵ 実定法上の位置付け(88)
⑶ 複雑な関係性(89)
2  環境問題はどこまで人権問題か(91)
⑴ 不明確さ(91)
⑵ 人間中心主義(93)
⑶ 世代間倫理(97)
3  環境・人権・地球的統治(103)
結 語(107)

◆テーマ5 正義は国境を越えうるか──世界正義の法哲学的基礎〔井上達夫〕

はじめに──グローバル化の危険性と世界正義(110)
⑴ 世界経済危機と世界正義(111)
⑵ 世界法の理論から世界正義の理論へ(113)
1  世界正義の欺瞞的操作⑴──世界匡正正義と世界分配正義の〈間〉の二重基準(115)
⑴ 世界匡正正義と世界分配正義(115)
⑵ 侵略の浪費と救済の吝嗇(116)
2  世界正義の欺瞞的操作⑵──世界分配正義と世界匡正正義の〈内部〉の二重基準(118)
⑴ 世界分配正義の使い分け(118)
⑵ 世界匡正正義の使い分け(119)
3  「正義の欺瞞」を正す正義(120)
⑴ 世界正義の欺瞞的操作が生む懐疑(120)
⑵ 正義の争いを規律する正義(121)
4  ロールズの分配的正義グローバル化否定論(123)
⑴ 政治的リベラリズムと「諸人民の法」(123)
⑵ 世界分配正義と第八原則との距離(126)
5  「諸人民の法」の理論的破綻と思想的頽落(128)
⑴ 実質的正当化論拠の脆弱性(128)
⑵ 不正黙認を交換する取引(132)
結語──世界分配正義の指針(133)



◆第Ⅱ部◆ 市場・規制・分配的正義

◆テーマ6 市場社会と法──法は市場の公正な競争のために必要か〔山田八千子〕

はじめに(143)
1  市場秩序の特徴(147)
⑴ 市場秩序は設計できるか(147)
⑵ 市場に固有の倫理はあるのか(150)
2  市場経済と国家(153)
⑴ 国家は市場経済に必要か(153)
⑵ 国家はデフォルト・ルールに関心を有するべきか(156)
⑶ 市場社会の当事者たちは誰か(157)
3  市場社会と司法(161)
⑴ 司法による市場の紛争解決の意義は何か(161)
⑵ 単一型秩序は市場社会にふさわしいか(163)
結 語(166)

◆テーマ7 社会保障法制度の再構築──不法行為法との比較の観点から〔浅野有紀〕

はじめに(169)
1  二つのケースから考察される社会保障法制度と不法行為法の関係──三つの視点(170)
⑴ ケース7 ‐ A ①の争点から──不法行為法と社会保障法制度の理念的相違(170)
⑵ ケース7 ‐ A ②の争点から──生命・身体侵害における不法行為法と社会保障の接近の可能性(172)
⑶ ケース7 ‐ B の争点から──不法行為法と社会保障法制度の同一性(173)
⑷ 三つの視点と以下の論述の流れ(175)
2  匡正的正義と分配的正義(176)
⑴ 不法行為法と社会保障法制度の区別の必要性(176)
⑵ 不法行為法と社会保障法制度の区別に対する批判(178)
3  総合的社会保障法制度(179)
⑴ 過失責任と無過失責任の混在(179)
⑵ 不法行為法と社会保障法制度の統一化(180)
⑶ 統一化に対する批判(182)
4  財産権と人格権(183)
⑴ 財産権から人格権へ(183)
⑵ 人格権の観点からのこれまでの議論の評価(185)
⑶ 人格権からの制度再構築(186)
5  ロールズの正義論と社会保障法の再構築(188)
結 語(191)

◆テーマ8 景観紛争における公共性──法と経済学の射程〔鳥澤 円〕

はじめに(194)
1  景観の公共性(195)
⑴ 不動産の公共性と財産権(195)
⑵ 公共財の理論(197)
⑶ 都市景観の特性(199)
⑷ 景観を保全・戧出する方法(200)
2  景観は誰のものか(202)
⑴ 空間使途決定権を分配するルールの類型(202)
⑵ 原告の請求を認容すべきという主張とその論拠(204)
⑶ 原告の請求を認容すべきでないという主張とその論拠(208)
⑷ 景観の公有化(213)
結 語(216)

◆テーマ9 租税の正義──金融所得分離課税の法哲学的検討〔藤岡大助〕

はじめに(219)
1  租税法学(222)
⑴ 租税法の基本原則(222)
⑵ 金融所得分離課税の理論的位置づけ(225)
⑶ 金融所得軽課の実際的論拠(227)
⑷ 金融所得軽課論の規範的論拠(229)
2  法哲学(231)
⑴ 租税法に対する法哲学のスタンス(231)
⑵ 資源の平等理論(233)
⑶ 「資源の平等」と資産性所得軽課論(237)
3  現行日本法に対する規範的含意(239)
結 語(240)


◆第Ⅲ部◆ 人権論の新地平

◆テーマ10 移民政策を規律する理念は存在するか──国益,文化の継承,そしてグローバルな正義〔石山文彦〕

はじめに(247)
⑴ 移民規制と正義(248)
⑵ 経済格差とグローバルな正義(249)
⑶ 本章の概要(250)
1  予備的考察──利害関係の諸相(251)
2  国益追求論/文化的ナショナリズムとその難点(253)
⑴ 国益追求論と移民規制(253)
⑵ 文化的ナショナリズムと移民規制(255)
⑶ 居住者追放の問題(256)
⑷ 自国民の追放(257)
3  割当責任国家論とその含意(260)
⑴ 普遍主義的前提(260)
⑵ 割当責任国家論(261)
⑶ 国益追求/ナショナルな文化の継承への制約(262)
⑷ 割当責任国家論と移民規制(265)
結 語(267)

◆テーマ11 家族の法からホームの権利へ──ジェンダー・親密圏・ケア〔池田弘乃〕

はじめに(271)
1  家族とジェンダー(275)
⑴ 「家族」とは何か(275)
⑵ ジェンダーとセックス(276)
⑶ 性別役割分業(280)
2  家から家族へ(281)
⑴ 近代家族──家長個人主義(281)
⑵ 家族における法と感情(282)
⑶ 性的家族か養育家族か(283)
3  ホームの価値(286)
⑴ 家族からホームへ(286)
⑵ ホームへの権利(288)
⑶ 新たな親密性へ(289)
結 語(293)

◆テーマ12 教育をめぐる自由と平等──日本戦後教育史からの問い〔那須耕介〕
 
はじめに──旭川学テ訴訟と教育バウチャー検討委員会(297)
⑴ ケース12 ‐ A:旭川学テ訴訟とその後(297)
⑵ ケース12 ‐ B:教育バウチャー検討委員会における議論(299)
⑶ 本章の視点(300)
1  ふたつの論争が残したもの(301)
⑴ 国民教育権論の達成・限界・遺産(301)
⑵ 教育バウチャー制度論争の争点と盲点(305)
2  公教育をめぐるいくつかの難問(308)
⑴ 「教育」とはどういう活動なのか(308)
⑵ 教育における(機会の)平等とは何か(312)
⑶ 教育を受ける者の自由と選択,そして「不当な介入」(314)
結 語(317)

◆テーマ13 犯罪と刑罰──受刑者の処遇と犯罪被害者の権利〔関 良徳〕

はじめに(321)
1  問題の所在(322)
⑴ 受刑者の処遇(322)
⑵ 犯罪被害者の権利(323)
2  規律訓練・監視・不服申立(325)
⑴ 規律訓練権力としての行刑権力(325)
⑵ 監視の不可能性(327)
⑶ 不服申立制度の充実,あるいは,受刑者の声を聴くということ(329)
3  他者・参加・正義(331)
⑴ 犯罪被害者という「他者」(332)
⑵ 被害者参加制度の問題(333)
⑶ 他者の正義,あるいは,犯罪被害者が語るということ(336)
結 語 刑事司法の未来──市民参加の果てに(339)

◆テーマ14 生命倫理と法──臓器売買問題を中心として〔奥田純一郎〕

はじめに(343)
1  何が問題か?(344)
2  移植「医療」の性格(349)
3  そもそも,「医療」と「法」の関係は?──移植をめぐる登場人物からの考察(354)
結 語(363)


判例索引
人名索引
事項索引

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