目次
『刑事法学の未来 ― 長井圓先生古稀記念』
高橋則夫・只木 誠・田中利幸・寺崎嘉博 編集
【目 次】
◆Ⅰ 刑 法
1 「同時傷害の特例(刑法207条)」の規範論的構造〔高橋則夫〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 最高裁平成28年決定の事案と決定要旨
Ⅲ 同時傷害の特例を定めた207条の法意
Ⅳ 傷害致死罪に対する207条の適用の可否
Ⅴ 制裁(媒介)規範としての207条
Ⅵ 207条の適用に関するその他の問題
Ⅶ おわりに
2 先行行為に基づく作為義務〔鈴木彰雄〕
Ⅰ 作為義務の根拠
Ⅱ 先行行為の意義
Ⅲ 適法な先行行為から生ずる作為義務
Ⅳ 私見のまとめ
3 いわゆる量的過剰防衛について〔松原芳博〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「量的過剰」の2つの定義
Ⅲ 広義の量的過剰―相当な反撃行為の過剰防衛への編入
Ⅳ 狭義の量的過剰―侵害終了後の追撃行為の過剰防衛への編入
4 精神鑑定を採用しえない合理的事情〔林美月子〕
Ⅰ 精神鑑定の尊重
Ⅱ 鑑定の内容・結論の前提と総合判断への復帰
Ⅲ 合理的事情についての詳細な判示
Ⅳ 妄想性障害
Ⅴ 妄想性障害と判例
Ⅳ 結 語
5 責任能力の意義と責任非難の構造について〔箭野章五郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 判例の定義の観点からの責任能力
Ⅲ 故意犯における責任非難
Ⅳ むすびに代えて
6 オーストリア刑法における免責的緊急避難―免責の本質とその具体化―〔深町晋也〕
Ⅰ 初めに
Ⅱ オーストリア刑法典の基礎にある免責の基本的理解
Ⅲ 免責的緊急避難(オーストリア刑法10条)の要件解釈
Ⅳ 終わりに
7 再論:「認識ある過失」と「認識なき過失」の区別〔甲斐克則〕
Ⅰ 序
Ⅱ 提起された批判とそれに対する解答
Ⅲ イギリスのアデキーミ・オヅジーリンの過失犯論とその検討
Ⅳ 結 語
8 いわゆる「一連の行為」への/からのアプローチ〔松澤 伸〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「一連の行為」の基準にまつわる議論の整理・分析
Ⅲ 「一連の行為」論の限界と展望
Ⅳ まとめ―「一連の行為」への/からのアプローチ
9 実行の着手論の最近の動向〔原口伸夫〕
Ⅰ 近時の学説の動向
Ⅱ 未遂犯における主観面の考慮
Ⅲ 近時の判例の動向―クロロホルム事件最高裁決定およびそれ以降の判決
Ⅳ 実行の着手の判断基準―3要素の相互関係等
Ⅴ 個々の類型における実行の着手時期に関する近時の動向
Ⅵ 未遂犯論の未来
10 行為責任論を基礎にした前科の位置づけ―近時の英米法圏の学説を素材に―〔樋口亮介〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 初犯者に対する割引を基礎に置くアプローチ
Ⅲ 前科による加重を認めるアプローチ
Ⅳ 分 析
Ⅴ おわりに
11 英米におけるハイブリッドな刑罰論の諸相〔髙橋直哉〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ルール功利主義―J. Rawlsの見解―
Ⅲ 消極的応報主義―H. L. A. Hartの見解―
Ⅳ 非難と打算的な補充―A. von Hirschの見解―
Ⅴ 目的論的コミュニケーション―R. A. Duffの見解―
Ⅵ 結 語
12 医療行為に関する,とりわけ高齢患者の承諾能力〔只木 誠〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ わが国における議論
Ⅲ ドイツにおける議論
Ⅳ おわりに
13 治療中止における手続履践の刑法的意義〔山本紘之〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツの法制度
Ⅲ 手続による正統化
Ⅳ ドイツの制度の位置づけ
Ⅴ わが国への示唆
Ⅵ おわりに
14 危険運転致死傷罪は結果的加重犯の一種ではない〔古川伸彦〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 判例における傷害致死罪の捉え方
Ⅲ 危険運転致死傷罪の解釈論的課題
15 アルコール・薬物影響危険運転致死傷罪の実行行為・故意・責任能力〔杉本一敏〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ アルコール影響危険運転致死傷罪の理論構成
Ⅲ 薬物影響危険運転致死傷罪の理論構成
Ⅳ 準危険運転致死傷罪(3条1項類型)
Ⅴ 責任能力について
16 自手犯論序説―自動車運転の自手犯性を中心として―〔内田 浩〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおける最近の議論状況
Ⅲ おわりに
17 無免許運転罪と「無免許運転による加重」の意義―悪質道路交通事犯への法的対応のあり方に関する一考察―〔星周一郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 道路交通法よる交通規制の意義と無免許運転罪
Ⅲ 無免許による無謀運転への世論の反応
Ⅳ 自動車運転死傷行為処罰法の無免許運転加重の意義
Ⅴ むすびに代えて―事前的規制と事後的処罰の有機的連携の必要性
18 感情の刑法的保護について―死者に関する罪における保護法益―〔内海朋子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおける死者に関する罪
Ⅲ 日本における死者に関する罪
Ⅳ 私 見
19 窃盗罪における権利者排除意思について〔穴沢大輔〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおけるEnteignung(所有のはく奪)について
Ⅲ わが国の(裁)判例で問題とされた事案について
Ⅳ おわりに
20 強盗罪の根拠と解釈―「反抗抑圧」をめぐる4つの問題―〔近藤和哉〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「反抗抑圧」をめぐる4つの問題
Ⅲ おわりに
21 刑法240条の成立範囲について―原因行為性を中心に―〔成瀬幸典〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 原因行為性に関する学説
Ⅲ 考 察
Ⅳ おわりに
22 詐欺罪における錯誤者と交付・処分者との同一性再考―非錯誤者の介在事例の考察も含めて―〔冨川雅満〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「交付指示=交付行為」モデルの問題性
Ⅲ 他の考えられうる理論モデルの当否
Ⅳ 非錯誤者の介在事例の処理について
Ⅴ むすびに代えて
23 ドイツ刑法の詐欺罪における全体財産説の混迷―善意取得と財産危殆化をめぐって―〔渡辺靖明〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツ刑法の詐欺罪における「損害と等置される財産危殆化」
Ⅲ ドイツ法における「善意取得」と「詐欺罪」との関係
Ⅳ 「善意取得による詐欺罪の全体財産損害」をめぐる判例とその若干の考察
Ⅴ むすびに
24 電子計算機使用詐欺罪の適用領域について〔伊藤 渉〕
Ⅰ 問題領域
Ⅱ 本罪の立法理由
Ⅲ 本罪の成立要件
Ⅳ 預金残高の不正入力
Ⅴ 売上の不正精算
Ⅵ クレジットカードによるオンライン取引の悪用
Ⅶ 料金支払の免脱
Ⅷ 自動改札機を利用した不正乗車
Ⅸ 総 括
25 利殖勧誘詐欺と消費者の保護〔木村光江〕
Ⅰ 経済犯罪と刑事的規制の変化
Ⅱ 利殖勧誘詐欺事犯の特色
Ⅲ 事前規制としての出資法,金商法
Ⅳ 詐欺罪と事前規制
Ⅴ まとめにかえて
26 組織的詐欺について―消費者保護との関連で―〔長井長信〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 本法の目的と加重処罰の根拠
Ⅲ 保護法益
Ⅳ 成立要件
Ⅴ 共 犯
Ⅵ 罪数論・他罪との関係
Ⅶ おわりに
27 循環事犯と廃棄物事犯との関係―使用済家電製品の不適正処理の事例を素材として―〔阿部 鋼〕
Ⅰ 使用済家電製品の不適正処理事例の分析
Ⅱ 循環事犯―家電リサイクル法の罰則違反
Ⅲ 廃棄物事犯―廃棄物処理法の罰則違反
Ⅳ 結びにかえて―未来世代のための「循環型社会」構築に向けて
28 土壌汚染対策法3条1項の調査報告義務と原因者負担原則〔北村喜宣〕
Ⅰ 土壌汚染対策法の特徴
Ⅱ 特定施設廃止事案における土壌汚染状況調査
Ⅲ 環境法の基本的考え方としての原因者負担原則
Ⅳ 土壌汚染状況調査をめぐる法的責任
Ⅴ 掘削作業者と土地所有者
Ⅵ 行政庁が従うべき判断枠組み
Ⅶ 原因者負担原則を踏まえた解釈
◆Ⅱ 刑事司法
29 日本の刑事司法は「中世」に位置づけられるべきか〔藤本幸二〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 問題の所在―日本の刑事司法のどこが「中世」であるとされたのか?
Ⅲ 考 察
Ⅳ おわりに
30 行政警察活動と捜査―その統合的理解の試み―〔金子 章〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 適正手続の保障
Ⅲ 職務質問における停止行為の適法性
Ⅳ 職務質問に伴う所持品検査の適法性
Ⅴ おわりに
31 職務質問に伴う停止・留め置きの限界〔中野目善則〕
Ⅰ 初めに―問題の所在
Ⅱ 職務質問における停止に関する二つの最高裁判例の意義と射程
Ⅲ 「任意」処分からするアプローチとその問題点
Ⅳ 警察官職務執行法の目的・趣旨と憲法33条との関連を考察するアプローチ
Ⅴ 平成6年会津坂下の事例再論
Ⅵ 終わりに
32 犯行再現と実況見分調書〔寺崎嘉博〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 最高裁の理解と実務の取扱い
Ⅲ 呈示後の犯行再現写真の取扱い
Ⅳ まとめ
33 訴因変更の時機的限界について〔白取祐司〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 時機に遅れた類型と訴因変更
Ⅲ 公判前整理手続と訴因変更
Ⅳ 訴因変更の許容性に関する一試論
◆Ⅲ 刑事政策
34 少年犯罪と死刑〔丸山雅夫〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 少年法51条1項の制定過程
Ⅲ 少年法51条の意義と年長少年
Ⅳ 年長少年の死刑をめぐる実務動向
Ⅴ むすびに代えて
35 ドイツの保安処分の最近の動向―精神病院収容,保安監置,行状監督に関する法改正〔山中友理〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 精神病院収容に関する法改正
Ⅲ 保安監置制度
Ⅳ 行状監督制度の改正
Ⅴ むすびにかえて―最善の再犯防止対策とは
36 刑事司法と精神科医療―矯正から更生保護へのcontinuity of careアメリカの取り組みを参考に〔柑本美和〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ アメリカにおける仮釈放後・満期釈放後の精神科医療
Ⅲ 我が国への示唆
Ⅳ おわりに
37 公益通報者不利益取扱い処罰に関する比較法的検討〔佐伯仁志〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ わが国における刑罰規定
Ⅲ アメリカ合衆国における刑罰規定
Ⅳ その他の国における刑罰規定
Ⅴ おわりに
― ― ―
長井圓先生略歴・主要業績(巻末)
高橋則夫・只木 誠・田中利幸・寺崎嘉博 編集
【目 次】
◆Ⅰ 刑 法
1 「同時傷害の特例(刑法207条)」の規範論的構造〔高橋則夫〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 最高裁平成28年決定の事案と決定要旨
Ⅲ 同時傷害の特例を定めた207条の法意
Ⅳ 傷害致死罪に対する207条の適用の可否
Ⅴ 制裁(媒介)規範としての207条
Ⅵ 207条の適用に関するその他の問題
Ⅶ おわりに
2 先行行為に基づく作為義務〔鈴木彰雄〕
Ⅰ 作為義務の根拠
Ⅱ 先行行為の意義
Ⅲ 適法な先行行為から生ずる作為義務
Ⅳ 私見のまとめ
3 いわゆる量的過剰防衛について〔松原芳博〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「量的過剰」の2つの定義
Ⅲ 広義の量的過剰―相当な反撃行為の過剰防衛への編入
Ⅳ 狭義の量的過剰―侵害終了後の追撃行為の過剰防衛への編入
4 精神鑑定を採用しえない合理的事情〔林美月子〕
Ⅰ 精神鑑定の尊重
Ⅱ 鑑定の内容・結論の前提と総合判断への復帰
Ⅲ 合理的事情についての詳細な判示
Ⅳ 妄想性障害
Ⅴ 妄想性障害と判例
Ⅳ 結 語
5 責任能力の意義と責任非難の構造について〔箭野章五郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 判例の定義の観点からの責任能力
Ⅲ 故意犯における責任非難
Ⅳ むすびに代えて
6 オーストリア刑法における免責的緊急避難―免責の本質とその具体化―〔深町晋也〕
Ⅰ 初めに
Ⅱ オーストリア刑法典の基礎にある免責の基本的理解
Ⅲ 免責的緊急避難(オーストリア刑法10条)の要件解釈
Ⅳ 終わりに
7 再論:「認識ある過失」と「認識なき過失」の区別〔甲斐克則〕
Ⅰ 序
Ⅱ 提起された批判とそれに対する解答
Ⅲ イギリスのアデキーミ・オヅジーリンの過失犯論とその検討
Ⅳ 結 語
8 いわゆる「一連の行為」への/からのアプローチ〔松澤 伸〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「一連の行為」の基準にまつわる議論の整理・分析
Ⅲ 「一連の行為」論の限界と展望
Ⅳ まとめ―「一連の行為」への/からのアプローチ
9 実行の着手論の最近の動向〔原口伸夫〕
Ⅰ 近時の学説の動向
Ⅱ 未遂犯における主観面の考慮
Ⅲ 近時の判例の動向―クロロホルム事件最高裁決定およびそれ以降の判決
Ⅳ 実行の着手の判断基準―3要素の相互関係等
Ⅴ 個々の類型における実行の着手時期に関する近時の動向
Ⅵ 未遂犯論の未来
10 行為責任論を基礎にした前科の位置づけ―近時の英米法圏の学説を素材に―〔樋口亮介〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 初犯者に対する割引を基礎に置くアプローチ
Ⅲ 前科による加重を認めるアプローチ
Ⅳ 分 析
Ⅴ おわりに
11 英米におけるハイブリッドな刑罰論の諸相〔髙橋直哉〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ルール功利主義―J. Rawlsの見解―
Ⅲ 消極的応報主義―H. L. A. Hartの見解―
Ⅳ 非難と打算的な補充―A. von Hirschの見解―
Ⅴ 目的論的コミュニケーション―R. A. Duffの見解―
Ⅵ 結 語
12 医療行為に関する,とりわけ高齢患者の承諾能力〔只木 誠〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ わが国における議論
Ⅲ ドイツにおける議論
Ⅳ おわりに
13 治療中止における手続履践の刑法的意義〔山本紘之〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツの法制度
Ⅲ 手続による正統化
Ⅳ ドイツの制度の位置づけ
Ⅴ わが国への示唆
Ⅵ おわりに
14 危険運転致死傷罪は結果的加重犯の一種ではない〔古川伸彦〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 判例における傷害致死罪の捉え方
Ⅲ 危険運転致死傷罪の解釈論的課題
15 アルコール・薬物影響危険運転致死傷罪の実行行為・故意・責任能力〔杉本一敏〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ アルコール影響危険運転致死傷罪の理論構成
Ⅲ 薬物影響危険運転致死傷罪の理論構成
Ⅳ 準危険運転致死傷罪(3条1項類型)
Ⅴ 責任能力について
16 自手犯論序説―自動車運転の自手犯性を中心として―〔内田 浩〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおける最近の議論状況
Ⅲ おわりに
17 無免許運転罪と「無免許運転による加重」の意義―悪質道路交通事犯への法的対応のあり方に関する一考察―〔星周一郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 道路交通法よる交通規制の意義と無免許運転罪
Ⅲ 無免許による無謀運転への世論の反応
Ⅳ 自動車運転死傷行為処罰法の無免許運転加重の意義
Ⅴ むすびに代えて―事前的規制と事後的処罰の有機的連携の必要性
18 感情の刑法的保護について―死者に関する罪における保護法益―〔内海朋子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおける死者に関する罪
Ⅲ 日本における死者に関する罪
Ⅳ 私 見
19 窃盗罪における権利者排除意思について〔穴沢大輔〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおけるEnteignung(所有のはく奪)について
Ⅲ わが国の(裁)判例で問題とされた事案について
Ⅳ おわりに
20 強盗罪の根拠と解釈―「反抗抑圧」をめぐる4つの問題―〔近藤和哉〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「反抗抑圧」をめぐる4つの問題
Ⅲ おわりに
21 刑法240条の成立範囲について―原因行為性を中心に―〔成瀬幸典〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 原因行為性に関する学説
Ⅲ 考 察
Ⅳ おわりに
22 詐欺罪における錯誤者と交付・処分者との同一性再考―非錯誤者の介在事例の考察も含めて―〔冨川雅満〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「交付指示=交付行為」モデルの問題性
Ⅲ 他の考えられうる理論モデルの当否
Ⅳ 非錯誤者の介在事例の処理について
Ⅴ むすびに代えて
23 ドイツ刑法の詐欺罪における全体財産説の混迷―善意取得と財産危殆化をめぐって―〔渡辺靖明〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツ刑法の詐欺罪における「損害と等置される財産危殆化」
Ⅲ ドイツ法における「善意取得」と「詐欺罪」との関係
Ⅳ 「善意取得による詐欺罪の全体財産損害」をめぐる判例とその若干の考察
Ⅴ むすびに
24 電子計算機使用詐欺罪の適用領域について〔伊藤 渉〕
Ⅰ 問題領域
Ⅱ 本罪の立法理由
Ⅲ 本罪の成立要件
Ⅳ 預金残高の不正入力
Ⅴ 売上の不正精算
Ⅵ クレジットカードによるオンライン取引の悪用
Ⅶ 料金支払の免脱
Ⅷ 自動改札機を利用した不正乗車
Ⅸ 総 括
25 利殖勧誘詐欺と消費者の保護〔木村光江〕
Ⅰ 経済犯罪と刑事的規制の変化
Ⅱ 利殖勧誘詐欺事犯の特色
Ⅲ 事前規制としての出資法,金商法
Ⅳ 詐欺罪と事前規制
Ⅴ まとめにかえて
26 組織的詐欺について―消費者保護との関連で―〔長井長信〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 本法の目的と加重処罰の根拠
Ⅲ 保護法益
Ⅳ 成立要件
Ⅴ 共 犯
Ⅵ 罪数論・他罪との関係
Ⅶ おわりに
27 循環事犯と廃棄物事犯との関係―使用済家電製品の不適正処理の事例を素材として―〔阿部 鋼〕
Ⅰ 使用済家電製品の不適正処理事例の分析
Ⅱ 循環事犯―家電リサイクル法の罰則違反
Ⅲ 廃棄物事犯―廃棄物処理法の罰則違反
Ⅳ 結びにかえて―未来世代のための「循環型社会」構築に向けて
28 土壌汚染対策法3条1項の調査報告義務と原因者負担原則〔北村喜宣〕
Ⅰ 土壌汚染対策法の特徴
Ⅱ 特定施設廃止事案における土壌汚染状況調査
Ⅲ 環境法の基本的考え方としての原因者負担原則
Ⅳ 土壌汚染状況調査をめぐる法的責任
Ⅴ 掘削作業者と土地所有者
Ⅵ 行政庁が従うべき判断枠組み
Ⅶ 原因者負担原則を踏まえた解釈
◆Ⅱ 刑事司法
29 日本の刑事司法は「中世」に位置づけられるべきか〔藤本幸二〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 問題の所在―日本の刑事司法のどこが「中世」であるとされたのか?
Ⅲ 考 察
Ⅳ おわりに
30 行政警察活動と捜査―その統合的理解の試み―〔金子 章〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 適正手続の保障
Ⅲ 職務質問における停止行為の適法性
Ⅳ 職務質問に伴う所持品検査の適法性
Ⅴ おわりに
31 職務質問に伴う停止・留め置きの限界〔中野目善則〕
Ⅰ 初めに―問題の所在
Ⅱ 職務質問における停止に関する二つの最高裁判例の意義と射程
Ⅲ 「任意」処分からするアプローチとその問題点
Ⅳ 警察官職務執行法の目的・趣旨と憲法33条との関連を考察するアプローチ
Ⅴ 平成6年会津坂下の事例再論
Ⅵ 終わりに
32 犯行再現と実況見分調書〔寺崎嘉博〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 最高裁の理解と実務の取扱い
Ⅲ 呈示後の犯行再現写真の取扱い
Ⅳ まとめ
33 訴因変更の時機的限界について〔白取祐司〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 時機に遅れた類型と訴因変更
Ⅲ 公判前整理手続と訴因変更
Ⅳ 訴因変更の許容性に関する一試論
◆Ⅲ 刑事政策
34 少年犯罪と死刑〔丸山雅夫〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 少年法51条1項の制定過程
Ⅲ 少年法51条の意義と年長少年
Ⅳ 年長少年の死刑をめぐる実務動向
Ⅴ むすびに代えて
35 ドイツの保安処分の最近の動向―精神病院収容,保安監置,行状監督に関する法改正〔山中友理〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 精神病院収容に関する法改正
Ⅲ 保安監置制度
Ⅳ 行状監督制度の改正
Ⅴ むすびにかえて―最善の再犯防止対策とは
36 刑事司法と精神科医療―矯正から更生保護へのcontinuity of careアメリカの取り組みを参考に〔柑本美和〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ アメリカにおける仮釈放後・満期釈放後の精神科医療
Ⅲ 我が国への示唆
Ⅳ おわりに
37 公益通報者不利益取扱い処罰に関する比較法的検討〔佐伯仁志〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ わが国における刑罰規定
Ⅲ アメリカ合衆国における刑罰規定
Ⅳ その他の国における刑罰規定
Ⅴ おわりに
― ― ―
長井圓先生略歴・主要業績(巻末)