環境リスクと予防原則 Ⅰ リスク評価【アメリカ環境法入門1】
現代環境法の基礎概念「環境リスク」について、アメリカ環境法がどのように対応してきたのか、法制度、行政実務、学説の動向から明らかにする。「リスク」概念を早くから法制度に取り入れた「リスク評価制度」の先進国アメリカに注目し、公正な環境リスク、リスク法の全体像、関連文献の基本的立場、法令・判例等、学習に必要な基礎的知識を提供。環境政策へのリスク論からの警鐘でもある。
畠山武道(北海道大学名誉教授) 著
【目 次】
はしがき
〈略語集〉
◆第1章 リスク社会の到来
1 リスク概念の成立
(1)リスクという考えの登場
(2)リスクという言葉の歴史
(3)統計学・経済学の発達とリスク
(4)社会学とリスク
(5)ドイツ環境法とリスク
2 リスクの定義
(1)さまざまな「リスク」の定義
(2)リスク概念の一般化
(3)リスク概念の有用性と有限性
◆第2章 化学物質とリスク
1 化学物質のリスク評価
2 化学物質があふれている
3 有害物質に対する不安の増大
4 環境リスクの特徴
5 環境規制の転換(安全の保護からリスクの規制へ)
◆第3章 有害物質規制の発達
1 有害物質規制に係わる行政機関
(1)保健福祉省・食品医薬品局(Department of Health and Human Services, Food and Drug Administration: FDA)
(2)環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)
(3)労働省・労働安全衛生局(Department of Labor,Occupational Safety and Health Administration: OSHA)
(4)消費者製品安全委員会(Consumer Product SafetyCommission: CPSC)
2 健康ベース立法とゼロリスク基準
(1)健康ベース立法の意義
(2)食品・医薬品規制の沿革
(3)デラニー条項とゼロリスク基準
(4)デラニー条項をめぐる裁判
(5)食品品質保護法とデラニー条項の廃止
3 「十分な余裕のある安全領域」基準
(1)「十分な余裕のある安全領域」の意義
(2)塩化ビニル規制をめぐるEPA の迷走
(3)控訴裁判所は二段階審査を要求
(4)「十分な余裕のある安全領域」基準の改正
4 技術ベース立法
(1)技術ベース立法の意義
(2)さまざまな技術ベース基準
5 実効性基準
(1)実効性基準の意義
(2)実効性基準を定めた法律
(3)コットンダスト事件
(4)連邦最高裁判所判決
◆第4章 リスク・ベースの規制
1 不合理なリスク基準
(1)連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)ほか
(2)有害物質規制法(TSCA)と不合理なリスク
(3)TSCA の改正問題
(4)その他の法律と不合理なリスク
2 裁判所によるリスク・ベース規制の支持 ―ベンゼン事件連邦最高裁判所判決まで
(1)リザーブ・マイニング会社事件
(2)エチル会社事件
3 ベンゼン事件
(1)事件の経過
(2)連邦最高裁判所判決
(3)ベンゼン判決の影響
(4)控訴裁判所によるベンゼン判決の追認
4 連邦議会はリスク評価に懐疑的
5 本章のまとめ―リスク・ベース規制の問題点
◆第5章 リスク評価制度の確立
1 リスク評価の試行
(1)リスク評価に向けたFDA とOSHA の動き
(2)EPA の取組み
(3)EPA を取り巻く状況
(4)ラッケルスハウス長官がもらした本音
2 合衆国研究評議会「連邦政府におけるリスク評価」(1983年)
(1)報告書の意義・位置づけ
(2)リスク評価とリスク管理の分離
(3)科学的判断と政策的判断は分離できるか
(4)リスク評価は柔軟であるべきである
(5)デフォルト・オプション
3 リスク評価の定着と進展
(1)EPA「リスク評価フレームワーク」(1984年)
(2)EPA「発がんリスク評価指針(ガイドライン)」(1986年)
(3)EPA の比較リスク分析(1987年,1990年)
(4)EPA「生態リスク評価フレームワーク」(1992年,1998年)
(5)大統領命令12866(1993年)
(6)合衆国研究評議会「リスク評価における科学と判定」(1994年)
(7)合衆国研究評議会「リスクの理解」(1996年)
(8)合衆国研究評議会「科学と意思決定・リスク評価の推進」(2009年)
◆第6章 リスク評価の実践と課題
1 リスク評価の意義と枠組み
(1)リスク評価の意義,種類
(2)リスク評価・リスク管理の基本枠組み
2 リスク評価の実施と論点
(1)有害性の特定(ハザード,発がん性の同定)
(2)用量反応評価
(3)暴露評価
(4)リスクの判定
3 リスク評価の問題点
(1)正確な判断に必要な情報が不足している
(2)定量的リスク評価は不確実性に満ちあふれている
(3)デフォルトは保守的すぎるか
(4)リスク評価は科学か
◆第7章 リスク評価をめぐる議論
1 リスク評価をめぐる意見の対立
(1)環境主義者とリスク評価の批判
(2)効率的規制論者とリスク評価の擁護
(3)プラグマティストとリスク評価の慎重な利用
2 リスク評価の総合評価
3 リスク評価と環境正義
4 リスク評価とデモクラシー
5 リスク認知をめぐる素人と専門家
6 ブライアー著『悪循環を打破する』
7 リスク評価の費用,効果,有用性
8 リスク評価は費用便益分析に道を開く
9 リスク評価と倫理問題
◆終章 ま と め
1 2 つの「リスク」概念
2 発がんリスクは確率で示される
3 確率による表記が示すもの
4 結 語
〈事項索引〉
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