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日本民法典改正案Ⅰ 第一編 総則

総合叢書 18

日本民法典改正案Ⅰ 第一編 総則

民法研究者有志による「国民の、国民による、国民のための民法改正」を目指す、民法改正作業における重要文献。

著者 民法改正研究会
加藤 雅信 代表
シリーズ 法律・政治  > 総合叢書
出版年月日 2016/06/20
ISBN 9784797254686
判型・ページ数 A5変・752ページ
定価 本体11,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

 『日本民法典改正案 第一編 総則 ―立法提案・改正理由―』

  民法改正研究会(代表 加藤雅信) 

【目  次】

<序 文>

◇第1部 日本民法典改正条文案一覧 総則編◇

第一編 総則
 第一章 通則
 第二章 権利の主体
 第三章 権利の客体
 第四章 権利の変動
 第五章 権利の実現
 付表 定義用語一覧

付論【総則編以外】
「第三編 債権:第三章 事務管理等:第二節 法定財産管理」の新設および
「法令の通則に関する法律」の制定の提案

◇第2部 日本民法典改正条文案対照表 総則編◇

第一編 総則
 第一章 通則
 第二章 権利の主体
 第三章 権利の客体
 第四章 権利の変動
 第五章 権利の実現

付論【総則編以外】
「第三編 債権:第三章 事務管理等:第二節 法定財産管理」の新設
「法令の通則に関する法律」の制定の提案

◇第3部 日本民法典改正案作成の基本方針◇

 第1章 民法改正の基本精神
 第2章 日本民法典改正案の基本枠組
 第3章 日本民法典改正案公表にいたるまでの経緯

◇第4部 日本民法典改正条文案 改正理由 【総則編】◇

第1編 総則
 序章 総則編の構成
 第1章 通則
 第2章 権利の主体
 第3章 権利の客体
 第4章 権利の変動
 第5章 権利の実現
 第6章 「付表 定義用語一覧」の新設

付論 日本民法典改正条文案 改正理由 【総則編以外】
 第1章 序論:民法総則編の改正にともなう法改正
        ―債権編の改正、および「法令の通則に関する法律」の制定
 第2章 債権編「第三章 事務管理等:第二節 法定財産管理」の新設
 第3章 「法令の通則に関する法律」の制定の提案

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内容説明

「本書は、民法典のあるべき姿を追求し、わが国が、次世代のための新たな『日本民法典』を準備できるよう、長い歳月をかけて作成してきた日本民法典改正案である。本書は、改正案のうちの第一編の総則を取り扱う」(「はしがき」より)。民法研究者有志による「国民の、国民による、国民のための民法改正」を目指す、民法改正作業における重要文献。

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序  文

 本書は、民法典のあるべき姿を追求し、わが国が、次世代のための新たな『日本民法典』を準備できるよう、長い歳月をかけて作成してきた日本民法典改正案(以下、「本民法改正案」という)の条文とその解説を、一書のかたちで示すものである。本書は、改正案のうちの第一編の総則を取り扱う。

 本民法改正案策定の基本方針は、「国民の、国民による、国民のための民法改正」を実現することである。この「国民の、国民による、国民のための民法改正」の内容を具体的に説明しておこう。

 まず、「国民の民法改正」とは何か。民法典は、国民の共有財産でなければならない。内容的に、それが適用される国民が理解しやすいもので、また、手続としても、国民各層の意見が反映されて作成される必要がある。現在の民法典は、3つの段階をへて制定された。まず、第1段階として、明治初期にフランス民法の翻訳路線が採用され、第2段階として、お雇い外国人であったフランス人法学者のボワソナードによって旧民法典が策定され、そして、それが公布された後の「法典論争」をへて、第3段階として3人の日本人の民法起草者を中心とする法典編纂によって策定されたのである。そして、この民法典は、1世紀以上にわたってわれわれ国民に適用されてきており、すでに日本社会に深く根付いている。このような観点から、本民法改正案を起草するにあたっては、現行民法との連続性、またこれまでの判例等によって形成された規範内容との連続性を維持しながら、かつ、それを現代的なわかりやすいものに書き換えていくという姿勢を堅持することにつとめた。すなわち、伝統との連続性を維持しながら、かつ、現代化をはかり、現在の、そして将来の国民の生活と日本社会に調和する法典とする。これが本書の基調をなす民法改正への姿勢なのである。

 次に、「国民のための民法改正」とは何か。民法にかぎらず、法は、国民に適用される。法の内容が、適用される国民にわからないようなものであってはならない。「わかりやすい民法典」、これが達成されているか否かは、現在の民法典さらには、現在、国会上程中の「民法の一部を改正する法律案」(以下、本書においては「債権法改正法案」という)と、本民法改正案を読み比べていただければおわかりいただけるのではないかと考えている。

 さらに、「国民による民法改正」とは何か。この改正案の起草にあたっては、これまでの日本の法律のほとんどが官僚による作成であり、省益あって国益なしとも評されがちな姿勢ゆえに、その内容がときによっては国民のためのものではないことも少なくなかったという経験にかんがみ、ひろく一般の声に耳を傾けた国民目線の民法改正をめざしている。

 本民法改正案の起草にあたって、中心的な役割を果たしたのは「民法改正研究会」である。この民法改正研究会は、総則編改正作業開始の段階では20名を超える学者からなる研究グループであり、現在ではそれが30名を超える会員数となっているが、本民法改正案は、そのメンバーばかりでなく、かなり幅広い国民各層の意見を反映する手続をへたうえで作成された。その間の経緯を次に簡単に記しておこう。

 民法改正研究会が正式に発足したのは、平成17(2005)年10月のことであった。それは、その数年前から、岡孝が民法改正のあるべき姿を民法研究者が提示する必要を説いていたことに加藤が応え、他の研究者たちがそれに呼応した結果であった。

 民法改正研究会は、民法改正条文案を準備しつつ、その内容を、平成20(2008)年以降、各国の民法改正担当者らを招聘した国際シンポジウム、日本私法学会シンポジウム、各種研究会で披露し、そこでの意見、批判をとりいれて修正を繰り返した。このようにして作成された改正条文案を、市民法を中心とする弁護士グループと企業法務を中心とする弁護士グループ(「市民法研究会」、「企業法務研究会」)のメンバーに逐条的に検討していただくとともに、そこで検討した案について、後述するような各界からのご意見をうかがい、それらをとりいれた改正案を「民法改正国民シンポジウム」において公表した。今回、それを基礎に、民法改正研究会が逐条的に第4回目の全面検討を施し、必要な改訂を加えたものが、本書で公にされる「本民法改正案」である。この間の手続の詳細については、本書第3部第3章に譲ることとする。

 

 今回の理由書付きの『日本民法典改正案』の公刊にいたるまでに、われわれはいくつかの先行試案を公表しているが、それを時系列的に示せば、以下のようである。

 

第1次案:平成20(2008)年日本私法学会提出案

    『日本民法改正試案』(有斐閣、日本私法学会会場限定配布品)

    (民法改正研究会編『民法改正と世界の民法典』〔信山社、平成21年〕403頁以下所収)。

第2次案:平成21(2009)年法曹提示案

    『日本民法典財産法改正試案』

    判例タイムズ1281号(平成21年新年号)39頁以下。

    (前掲・民法改正研究会編『民法改正と世界の民法典』545頁以下所収)。

第3次案:平成21(2009)年国民・法曹・学界有志案

    『民法改正 国民・法曹・学界有志案』(法律時報増刊平成21年)。

    なお、この案それ自体は、平成21(2009)年10月25日に開催された「民法改正 国民シンポジウム」において公表された。

 

 以上の経緯からすれば、今回公表する「本民法改正案」は、第4次案にあたるが、物権編と債権編を含めた財産法全体の最終改正案の提示のための今後の検討も含めれば、全体では10数年の検討期間をへた成果であるといえるであろう。上記の第3次案までに国民の多様な層からのご意見を伺っているが、それから最終案となる第4次案までの間に、6年以上の歳月をかけて、すべての条文にあたって細部にわたる検討を繰り返している。この長期間にわたる改正案の変遷の経緯については、「第4部 改正理由」の各条文ないし各法制度ごとの【議論の経緯】に詳しい。

 ここで、現在、国会で継続審議となっている債権法改正法案と本民法改正案との関係について一言しておこう。

 両方の案の検討が開始された当初の段階について述べると、前述したように、本民法改正案を起草した本民法改正研究会が発足したのは平成17(2005)年秋であった。これに対し、債権法改正法案の非公式ながら実質的な検討は、その翌年の平成18(2006)年秋に発足した民法(債権法)改正検討委員会(以下、「債権法改正検討委員会」という)によって開始された。

 中間段階をみると、前述したように本民法改正案は第4次案であるが、その前の第3次案となる『民法改正 国民・法曹・学界有志案』は平成21(2009)年10月下旬の民法改正国民シンポジウムにおいて公表された。債権法改正法案の公式の検討を行う法制審議会・民法(債権関係)部会(以下、「民法部会」という)を立ち上げるための法務大臣の諮問が発せられたのは、その3日後のことであった。

 検討の最終段階について述べると、本書の草稿が民法改正研究会の全体会議で最終承認されたのは平成26(2014)年7月であった。この最終承認から本書の校正が終了するまでの間に、法務省からは債権法改正要綱仮案、要綱案が公表され、平成27(2015)年3月31日には債権法改正法案が国会に上程され、その後、継続審議となり、現在、国会での実質審議待ちの状況となっている。

 以上のように、本民法改正案は、債権法改正の検討とは関係なく、独立して検討されてきたものである。しかしながら、債権法改正が国会審議の対象となっている現在の状況を考えると、債権法改正法案と本民法改正案との内容的な対比にも読者は関心をもつのではないかと思われる。また、この対比は、債権法改正法案と本民法改正案をそれぞれ評価するうえでも重要であろう。

 しかしながら、現在のような債権法改正法案の内容が確定したのは、民法改正研究会の最終案が承認された後の、本書校正中のことであった。そこで、本民法改正案と債権法改正法案の条文自体の対比は、別の本に譲ることとした(加藤雅信『迫りつつある債権法改正 第1版』〔信山社、平成27年〕307頁以下では、総則編・物権編・債権編を通じて、双方の改正案と現行民法の条文案の対照表が掲載されている)。それを超える、両案の規範内容の比較を行うために必要となる債権法改正法案に対する民法改正研究会の公式見解は、定まっていない(なお、個別の意見としては、研究会のメンバーの一部は、要綱仮案・要綱案・改正法案に対するそれぞれの見解を公表しているので、適宜以下の論稿を参照されたい。磯村保「解除と危険負担」別冊NBL147号、同「錯誤取消し」法律時報1079号、大塚直「不法行為との関係中間利息の控除を中心として」法律時報1079号、加藤・前掲『迫りつつある債権法改正』、河上正二「約款による取引」法律時報1079号、同「『定型約款』規定の問題点」法学セミナー726号、松岡久和「経済教室 民法改正 商取引に変化も」日本経済新聞2015年2月20日朝刊、山野目章夫「新連載 民法改正のビューポイント」NBL1038号~1053号、横山美夏「契約の解除」法律時報1079号、渡辺達徳「債務不履行」法律時報1079号等)。

 以上のように、債権法改正法案に対する民法改正研究会の公式見解は定まっていないものの、現段階での読者の便宜と、また、両案の比較の社会的な意義とを考えると、両案の比較をまったくしないのも無責任なのではないかと思われる。ただ、債権法改正の国会の実質審議が迫っていることを考えると、時間的制約もあり、民法改正研究会で本格的な検討を行うだけの余裕もない。そこで、事務局の文責において、「債権法改正法案の総合的検討」という論文を別途公表して(『債権法改正史・私論 上巻』(加藤雅信著作集9巻)(信山社、平成28年公刊予定)第2章)、本民法改正案との客観的な比較を行うことにした。

 

 以下で、本理由書の構成を述べておくこととしよう。

 本書は、『第一編 総則』、『第二編 物権』、『第三編 債権』とからなる3部作の第一巻として公刊される。この『第一編 総則』の公刊にできるだけ接着した時期に、『第三編 債権』を、また、『第二編 物権』は担保物権法を含めたかたちで、近い将来に公刊する予定である(これらの三部作のうち、物権編と債権編は、基本的に、「第1部 日本民法典改正条文案一覧」、「第2部 日本民法典改正条文案対照表」、「第3部 改正理由」という構成となっているが、第一編総則を対象とする本書は、第2部の次に、「第3部 民法典改正の基本方針」をおき、民法財産編全体の改正方針を記すこととする。なお、物権編と債権編の現段階の改正条文案については、ⅷ頁参照)。

 本書公刊にさいしては、実に数多くの方々にご意見を伺っている。その数があまりに多く、すべての方々を紹介することはできないが、2008(平成20)年の「民法改正国際シンポジウム日本・ヨーロッパ・アジアの改正動向比較研究」でご意見を伺った多くのヨーロッパ、アジア各国の立法担当者・関係者の方、「第72回日本私法学会シンポジウム」でご意見を伺った日本私法学会会員の方、翌年の法曹提示案についてご意見を伺った、故星野英一先生をはじめとする「民法改正フォーラム」にご出席の関東の先生方、奥田昌道先生をはじめとする「民法改正フォーラム」にご出席の関西の先生方、「民法改正フォーラム 全国、民法研究者の集い」(発起人:椿寿夫先生、伊藤進先生、円谷峻先生)にご出席いただいた多くの全国の民法を専門とする先生方、「民法改正学際シンポジウム:民法と他法との対話学際的民法改正のために」にパネリストとしてご参加いただいた商法の江頭憲治郎先生と洲崎博史先生、民事訴訟法の笠井正俊先生と山本和彦先生、行政法の小早川光郎先生と、そのシンポジウムで種々のご教示をいただいた先生方には、深甚なる感謝の意を表したい。

 また、研究者以外にあっても、前述した「市民法研究会」、「企業法務研究会」で継続的にご意見を伺ったほか、いくつもの弁護士会、日本司法書士会連合会、経済界、企業法務、労働界、消費者団体、また若干の裁判官らから貴重なご意見を伺っている。これらの活動の具体的内容は、本書216頁以下に譲るが、このような機会に、ご高見を賜った多くの方々に、心から御礼申し上げる次第である。

 さらに、さきの国際シンポジウムに加えて、近隣諸国の民法改正担当者との意見交換を行っている。具体的には、2009(平成21)年に、韓国法務部(法務省)後援のもとで、民法改正研究会と韓国民事法学会が共催した「民法改正日韓共同シンポジウム」を開催したほか、中国の法学者や全人代常務委員会法制工作民法室の立法担当者との何度かの意見交換、台湾の中華民国民法改正の中心人物であった王澤鑑先生らとの意見交換も行っている。これらの機会に、貴重なご意見を賜った諸外国の先生方にも、深い感謝の意を捧げたい。

 最後になってしまったが、まずは、条文案立案から改正理由まで本書の公刊のために多くの貴重なご提案・ご意見をいただいた総則編分科会の責任者の磯村保、さらに立法技術的観点から条文案のすべてを入念に精査してくださり、改正条文案の完成度を高めていただいた川﨑政司、本書全体にわたり多くの提案をいただくとともに、私とともに原案および理由書(案)の作成にあたっていただいた中野邦保のいずれかの存在がなければ、本書がこのようなかたちで世にでることはなかったであろう。本書は、民法改正研究会、市民法研究会、企業法務研究会の多くのメンバーの熱心な討論の成果であり、このような長年にわたる討論に参加していただいた多くの研究会メンバー、とりわけ、本研究会立ち上げのために力をつくしてくださった事務局長の岡孝、遠距離をいとわずご参加し続けていただいた五十川直行、研究会事務局の中心的な役割を担ってくださった宮下修一、各研究会の組織運営のために力をお借りした北澤正明、杉山真一、橋本陽介、大槻健介、平林美紀、伊藤栄寿、谷江陽介、大原寛史、大塚哲也、さらには、本書の最終稿に徹底的な推敲を加えて下さった平林美紀、丁寧に校正をしていただいた谷江陽介には、この場を借りて、厚く御礼申し上げる次第である。

 本書177頁以下に紹介するように、現在、中国では民法編纂が最終局面に入っており、民法総則編の制定が進行中である。そのようななか、台湾の民法の第一人者で大陸中国にも大きな影響力をおもちの王澤鑑教授が本書の出版を耳になさり、中国での法制定に多少なりとも資するべく、中国と台湾とでの本書の翻訳出版を取りはからってくださり、本年秋に公刊されることになっている。王澤鑑教授と翻訳にあたっていただいている朱曄教授、張挺講師に、心から感謝の意を表したい。また、研究会のメンバーではないが、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の木本真理子弁護士には、本書の初校原稿をご一読のうえ、多くの貴重なご指摘をいただいた。同氏の御助力に対しても、また最終段階で校正にあたっていただいた今村ちえみさんにも、心から御礼申し上げたい。

 なお、本研究については、その前提となる比較法的研究のための2008(平成20)年3月の国際シンポジウムから本書出版内容の研究をも含め、科学研究費補助金のほか、学習院国際交流基金、学術振興野村基金、社会科学国際交流江草基金、村田学術振興財団より研究助成を受けた(五十音順)。本書の公刊は、これらの諸団体からの助成に負うところが大きい。

 本書の出版にかんしては、出版事情が悪いなか、信山社に本書の公刊をご快諾いただき、多大なご助力をえた。以上の本書の公刊にさいしてご意見やご助力をいただいた方々に対し、記して、深甚なる謝意を表したい。

  2016(平成28)年2月1日    民法改正研究会代表 加 藤 雅 信 

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