目次
手嶋昭子(京都女子大学法学部准教授) 著
<著者紹介>
1983年3月京都大学法学部卒業
1988年3月京都大学法学研究科博士課程単位取得退学
2011年より現職
【目 次】~~~~~~~~~~~~~~
はしがき
序論 親密圏における暴力と法
親密圏とは
親密圏における暴力
暴力発生のメカニズム
裁判における「経験則」
暴力下の「合理的」人間
自律/自立を支援するということ
◇第1部 法的対応の現状◇
◆第1章 性暴力
第1節 日本における強姦罪規定の問題点
問題の所在
強姦罪の問題点―抵抗の要件
財産権侵害との比較
性的自由とは
第2節 レイプ法は何を守ろうとしてきたのか―米国における強姦罪成立要件とジェンダー・バイアス
問題の所在
シンプル・レイプ排除の理由
なぜ身体的暴力にこだわるのか
性的自律の権利
強姦罪の保護法益
◆第2章 ドメスティック・バイオレンス
第1節 家族法とDV―離婚原因における配偶者暴力の評価
問題の所在
民法における離婚原因の変遷
暴力を理由とする離婚裁判とDV防止法
離婚裁判における暴力の評価
DVの実態からみた離婚裁判の問題点
今後の課題
第2節 カナダにおけるDV法制
カナダ社会とDV
DVへの法的対応
DVコート
民間団体による支援―シスターリング(Sistering)
日本のDV法制への示唆
◇第2部 被害者支援制度◇
◆第3章 カナダにおける性暴力被害者支援
はじめに
第1節 ブリティッシュ・コロンビア州立女性病院における「性暴力被害対応サービス(SAS)」
第2節 思想的背景
フェミニズムの継承と多様性の尊重
社会構築主義
第3節 支援の原則
当事者の声を聴く
エンパワメント
被支援者をどう観るか
支援者の権威性
第4節 既存の制度との確執
刑事システムとの齟齬
体制内化(institutionalization)の問題
おわりに
◆第4章 DV被害者支援の取り組み
第1節 DV被害者支援における自治体間格差
問題の所在
DV被害者支援における格差の実態
格差の背後にあるもの
取り組みの進展と残された課題
第2節 保護命令申立時におけるDV被害者支援について
問題の所在
保護命令制度の利用状況
保護命令をめぐる問題点
保護命令申立に伴う困難
保護命令申立時の被害者支援のありかた
支援者調達の制度化
◇第3部 被害者の権利擁護を目指して◇
◆第5章 ジェンダー公平な司法へ―アメリカにおけるNGOと裁判所の協働
はじめに
第1節 米国の法曹
養成及び選任制度概観
法曹の中の女性
第2節 米国における法曹継続教育
CLE
司法教育
第3節 裁判における男女平等促進のための全米司法教育プログラム(NJEP)
設立の経緯
活動内容
第4節 裁判所におけるジェンダー・バイアスに関するタスク・フォース
発足の経緯
活動内容
成 果
今後の課題
おわりに
◆第6章 DV被害者の権利主体性―「支援を受ける権利」試論
はじめに
第1節 DV被害者の法的地位
支援制度における被害者の権利主体性
「支援を受ける権利」の意義
権利承認のプロセス
第2節 犯罪被害としてのDV
日本における犯罪被害者支援法制の整備
「犯罪被害者の権利」をめぐる議論
米国における「被害者の権利運動」とDV
第3節 人権侵害としてのDV
人権とDV
DVによって侵害される人権
「支援を受ける権利」の法的根拠
おわりに
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初出一覧(巻末)/事項索引(巻末)/判例索引(巻末)
内容説明
身近な者からの愛情、信頼が裏切られる時、法はいかにあるべきか。
かつて例外的事象として周縁に位置付けられてきた、「信頼を期待しうる関係性を持つ人々」からの性暴力やDVは、社会に蔓延する深刻な問題となっている。離婚裁判等の法廷・司法上の問題点や法曹教育、また、被害者支援制度の実践と課題を検討し、最後に被害者の「支援を受ける権利」の構想を試みる。法社会学や家族法学、ジェンダー法学など幅広く有用の書。