【伝統と革新、学術世界の未来を一冊一冊に】
  • ホーム
  • お知らせ
  • 書籍検索
  • 書店様へ
  • 会社情報
 
ホーム > 住民訴訟の理論と実務 ─ 改革の提案

住民訴訟の理論と実務 ─ 改革の提案

住民訴訟の理論と実務 ─ 改革の提案

住民訴訟の根幹的な課題とあり方を問う。判例解説、条文案も付した充実版。

著者 阿部 泰隆
ジャンル 法律  > 行政法
出版年月日 2015/12/30
ISBN 9784797236354
判型・ページ数 A5変・584ページ
定価 本体6,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

 『住民訴訟の理論と実務 ― 改革の提案』

  阿部泰隆(弁護士・神戸大学名誉教授) 著

【目  次】

はしがき

緊急提言 過失責任主義を堅持せよ

◆ 第1章 住民訴訟制度の抜本的改革の提案 ◆

第1節 住民訴訟,住民監査請求の改革の基本的な考え方
 1 はじめに
 2 監査請求前置と監査委員の任命のあり方
  (1) 監査を丁寧にする必要性
  (2) 監査機能不全とその原因
  (3) 監査委員改革案
  (4) 監査請求と住民訴訟の同一性
 3 監査請求の特定性の緩和
  (1) 判  例
  (2) 園部逸夫反対意見
  (3) 多少緩和した判例
 4 財務会計行為
  (1) 住民訴訟の対象
  (2) 最判平成10年6月30日
  (3) 財務会計行為密接行為
  (4) 予算調整行為
 5 監査請求期間
  (1) 「相当な期間」に関する判例の厳格さ
  (2) 判例批判
  (3) 改正案
  (4) 監査請求できることとしなければならないことは別
  (5) 一事不再理との関係
  (6) 不作為の場合(真正不作為と不真正不作為)
 6 仮の保全措置
 7 出訴期間
  (1) 出訴期間の延長
  (2) 原告死亡などの対応
 8 部下・議員の責任
  (1) 組織ミスへの対応
  (2) 専決権者のミスの責任
  (3) 議員の責任
 9 首長の責任は過失責任主義を維持
  (1) 重過失責任は行きすぎ
  (2) 国家賠償との均衡論は不適切
  (3) 首長の責任限定方法
 10 地方公社,三セクも対象に
 11 被告の無用な抗争をやめるインセンティブ
 12 立証責任
 13 訴訟類型
 14 文書提出命令の相手方の不備
 15 専決権者と請求の相手方の変更
 16 弁護士の報酬
  (1) 訴え取下げの場合の「勝訴」の意義
  (2) 原告側勝訴弁護士報酬の算定の仕方
  (3) 弁護士報酬請求手続
  (4) 被告代理人の報酬
 17 住民敗訴の場合の訴訟費用の負担
  (1) 敗訴住民への訴訟費用請求の驚愕
  (2) 公正な訴訟費用負担制度を
 18 国民訴訟(公金検査請求訴訟)法
 19 議会による権利放棄有効の判例の誤り
 20 総務省検討会における改正案
  (1) 総務省サイドの検討案
  (2) 前提の誤り
  (3) 損害賠償請求という形式や損害賠償額のあり方
  (4) 議会による損害賠償請求権の放棄について
  (5) 内部統制の整備・運用について
  (6) 考えられる方策について
   案① 違法事由の性格等に即した注意義務違反の明確化
   案② 軽過失免責
   案③ 違法確認訴訟を通じた是正措置の義務付けの追加
   案④ 損害賠償限度額の設定
   案⑤ 損害賠償債務等を確定的に免除する手続の設定(監査委員の免除決定)
   案⑥ 損害賠償債務等を免除する手続要件の設定(監査委員からの意見聴取)
 [補遺]首長保険

第2節 住民監査請求・住民訴訟法の条文案
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 総  則
  第1条 目 的/第2条 地方公共団体関係者の責務
 Ⅲ 住民監査請求
  第3条 監査請求/第4条 監査請求期間/第5条 仮の保全措置/第6条 監査の決定
 Ⅳ 住民訴訟
  第7条 住民訴訟の提起,出訴期間,原告の継続的確保/第8条 住民訴訟の請求の趣旨/
  第9条 仮の救済/第10条 訴訟参加/第11条 説明責任・立証責任及び地方公共団体の参加/
  第12条 文書提出命令/第13条 監査委員に対する調査要求/第14条 裁判所の審理方法/ 
  第15条 判決への不服従/第16条 裁判所の管轄/第17条 弁護士報酬/
  第18条 勝訴した住民への費用の償還,報奨金/第19条 訴訟費用の負担第20条 委任状の特例
  第21条 準 用
 Ⅴ 地方自治法96条の改正案
  一 地方自治法96条の明確化/二 96条1項案/三 96条2項案/四 96条3項案/五 地方自治法96条3項の追加

◆ 第2章 住民訴訟平成14年改正の誤り ◆

第1節 住民訴訟改正へのささやかな疑問
Ⅰ はじめに
 1 改正案の趣旨
 2 不透明な立法過程
 3 私見の基本姿勢
Ⅱ 現行4号代位請求訴訟類型の再構成
 1 法案の内容
  (1) しくみの骨子
  (2) 実体法に変更なし
  (3) 第2次訴訟は粛々と執行するはず
  (4) 時効対策
  (5) 訴訟告知で反論を封ず
 2 疑 問 点
  (1) 住民訴訟の構造を歪める
  (2) 住民訴訟は脅威か
  (3) 被告がまじめに訴訟を追行しない可能性―政権交代は地獄!
  (4) 第2次訴訟で手抜きは?
  (5) 執行段階の手抜きは?
  (6) 被告の弁護士費用公費負担なら原告にも報奨金を
  (7) 印 紙 代
 3 その他の論点
  (1) 被告適格の混乱
  (2) 不当利得返還請求の限定排除
Ⅲ 仮処分の禁止
Ⅳ 差止めの制限
Ⅴ 結  び

第2節 住民訴訟平成14年改正4 号請求被告変更の誤謬
Ⅰ 本節の趣旨
Ⅱ 現職首長等を被告とする訴訟構造の不合理
 1 第1次訴訟運用の実情
  (1) 説明責任の不履行
  (2) 必要な施策の萎縮?
  (3) 文書提出命令の不備
  (4) 立証責任
  (5) 弁護士費用
  (6) 訴訟類型削除の不適切さ
 2 第2次訴訟の不備
  (1) 第2次訴訟は簡単に済む?
  (2) 執行段階の手抜きの予想
  (3) 第2次訴訟の印紙代,弁護士費用の不合理
 3 解決の方向
  (1) 解釈論としての対応
  (2) 立 法 論
Ⅲ 第三者企業・元首長等に対する参加的効力の不合理
 1 第三者企業や元首長は考慮外で検討不足の立法
 2 被告現首長は,第三者企業や元首長のためには真面目に訴訟を追行しないこと
  (1) 被告現首長のインセンティブの欠如
  (2) 筆者の無視された批判
 3 文書提出命令は,かえって機能不全に
 4 企業はこの制度に騙されること
 5 参加的効力を第三者企業に及ぼすべき敗訴当事者間の責任分担の実態がなく,4号請求のシステムは,
  民事訴訟法の基本システムから考えられないこと
  (1) 住民訴訟4号請求に参加的効力を適用する基盤がないこと
  (2) 民事訴訟の書物から
  (3) 弁護士報酬の問題
  (4) 安本典夫の優れた指摘
  (5) 伊藤眞の指摘
 6 実体関係重視説による訴訟告知の効力制限
 7 被告知者として補助参加できるだけで,実質的な被告として防御せよというのは,憲法上の裁判を受ける権利の保障に反すること
  (1) 被告の地位を補助参加人と手足をもぎ取られた被告に二分することは裁判を受ける権利を侵害すること
  (2) 参加人と被参加人の実質的対立を考慮せよ
 8 立法的解決
 9 解釈論その1 参加的効力,水戸地判平成21年10月28日
  (1) 判  旨
  (2) 筆者の疑問
 10 解釈論その2 損益相殺
 11 解釈論その3 東京高判平成22年7月15日
Ⅳ 結  び

◆ 第3章 住民訴訟の実践 ◆

第1節 自治体の組織的腐敗と厚遇裁判によるその是正
Ⅰ 公務員厚遇は公金による組織的買収
 1 公務員天国
  (1) 官員様は羨ましい
  (2) 給与条例主義
 2 給与条例主義に違反する職員厚遇の横行とその政治的背景
  (1) 闇の厚遇
  (2) 実態は公金横領による買収にほぼ近い
 3 経営管理の原則を無視した地方公営企業における労使のなれ合い
 4 民主主義の機能不全と司法への期待
Ⅱ 職員個人への直接支給
 1 茨木市臨時職員期末手当一時金支払い訴訟
 2 神戸市旅行券裁判
  (1) はじめに
  (2) 地公法42条の元気回復事業とは
  (3) 給与と福利厚生の間
  (4) 旅行券支給が給与扱いになる理由
  (5) 行政実例など
  (6) 市長の過失
  (7) 高裁判決
  (8) 最 高 裁
Ⅲ OB議員への市営交通の優待乗車証交付違法訴訟
 1 事件の概要
 2 一審判決とコメント
  (1) 長の予算裁量権,給与条例主義との関連
  (2) 優待乗車証
  (3) 過  失
  (4) 損  害
 3 高裁判決とコメント
  (1) 争点1 本件優待乗車証は財産的価値がないか
  (2) 争点2 本件優待乗車証支給が社会通念上礼遇の範囲内にとどまり,市長の裁量権の範囲内にあるものとして,適法であるか
  (3) 争点3 神戸市長の故意・過失の有無について
Ⅳ 各地の互助会訴訟
 1 京都府八幡市・元気回復レクレーション事業助成金互助会トンネル事件
 2 吹田市互助会トンネル退会給付金事件
 3 旧美原町互助会トンネル退会給付金事件
 4 神戸市共助組合厚遇訴訟
  (1) 事案と争点
  (2) 一括定額補助金の違法
  (3) 福祉と給与の間
 5 高砂市互助会退職生業資金訴訟
  (1) 事案の概要
  (2) 一審判決
  (3) 高裁判決
 6 兵庫県互助会厚遇助成訴訟
  (1) 事  案
  (2) 互助会への支出・互助会の支出の違法性
  (3) 県知事の過失
Ⅴ 今後の課題
 1 このほかの事例
 2 行政の正常化効果
 3 なお残る違法厚遇行政
 4 首長などへのお願い
 5 裁判所へのお願い

第2節 鳴門市における住民訴訟
 Ⅰ 6カ月勤務しない臨時従事員に共済会を通じて支出したトンネル退職金,給与条例主義を無視
 Ⅱ 競艇事業を行っている鳴門市が漁協に公有水面使用協力費を支出したことを違法・過失ありとする損害賠償等請求訴訟認容

◆ 第4章 住民訴訟における住民側弁護士の「勝訴」報酬 ◆

第1節 住民訴訟における住民側弁護士の「勝訴」報酬の考え方―判例の総合的検討―

引用判例一覧
 ① 名古屋高判平成14年10月17日(26の控訴審)
 ② 広島高裁岡山支判平成16年9月30日
 ③ 岡山地判平成16年3月10日
 ④ 広島高裁松江支判平成17年10月28日
 ⑤ 名古屋高判平成15年7月31日
 ⑥ 大阪高判平成19年9月28日
 ⑦ 京都地判平成13年4月25日
 ⑧ 大阪高判平成13年10月30日
 ⑨ 名古屋地判平成18年4月12日
 ⑩ 名古屋高判平成18年9月14日
 ⑪ 大阪地判平成16年4月22日
 ⑫ 松江地判平成17年3月31日
 ⑬ 名古屋地判平成19年9月27日
 ⑭ 名古屋高判平成20年6月12日
 ⑮ 福島地判平成14年7月3日
 ⑯ 京都地判平成19年11月29日
 ⑰ 京都地判平成19年3月28日
 ⑱ 福島地判平成12年9月12日(⑲の原審)
 ⑲ 仙台高判平成13年6月8日(⑱の控訴審)
 ⑳ 大阪地判平成15年11月28日
 21 東京高判平成5年3月30日
 22 神戸地判平成10年10月1日
 23 東京高判平成12年4月27日(24の控訴審)
 24 東京地判平成11年11月26日(23の原審)
 25 東京地判平成16年3月22日
 26 名古屋地判平成14年3月13日(①の原審)
 27 大阪地判平成6年6月28日
 28 大津地判平成8年11月25日
 29 大阪地判平成11年9月14日
Ⅰ はじめに
Ⅱ 4号請求訴訟の原告側弁護士報酬の基準は認容額か,算定不能か
 1 提訴手数料=印紙代に関する判例
 2 算定不能説の判例の分析【①~⑩】
 3 訴額説(+認容額説)の判例の指摘【⑪~⑮】
 4 中間説(総合勘案説)の判例の紹介【⑯ ⑰】
 5 諸説の検討=中間結論
Ⅲ その他の主要論点
 1 被告代理人の弁護士報酬【⑱~⑳】
  (1) 考 え 方
  (2) 算定可能説
  (3) 算定不能説
  (4) 両説の検討
 2 株主代表訴訟の場合との比較【21~25】
  (1) 根  拠
  (2) 提訴手数料=算定不能説
  (3) 原告側勝訴弁護士の報酬は訴額ないし認容額説 
  (4) さらに,まとめ
 3 被告控訴・上告の場合の印紙代と被告の弁護士報酬
 4 地方公共団体は損しない
 5 弁護士費用敗訴者負担制度との関係
Ⅳ 具体的な算定
 1 着手金は?
 2 「相当な額」の具体的な算定方法【26~29】
  (1) 住民訴訟の判例
  (2) 株主代表訴訟の判例
  (3) 私  見
Ⅴ 報酬契約において金額を正確に決める必要はあるか
Ⅵ 結  論

第2節 住民訴訟における住民側弁護士の「勝訴」報酬の考え方(再論)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 最高裁平成21年4月23日判決(33)
 1 判  旨
 2 コメント
 3 宮川判事の意見
 4 涌井判事の意見
 5 判時匿名解説
Ⅲ 大阪高裁平成21年4月22日判決(32)
 1 判  旨
 2 コメント
 3 30%減額事由がないこと
 4 さらなる大幅減額事由はもちろんないこと
 5 減額の副作用
Ⅳ 種々の考慮要素の検討
 1 「その報酬の範囲内で相当と認められる額」と日弁連旧報酬規程との関係は?
 2 勝訴に必要でない訴訟活動を除外するのは不適切,逆に被告の不当抗争を考慮せよ
 3 敗訴に終わった部分の除外はなお不適切
 4 弁護士会のアンケート調査の誤解
 5 弁護士も公共のため,高額報酬は不適当? 被告代理人の報酬との均衡
 6 不法行為訴訟における弁護士報酬も考慮して
 7 第2 次訴訟の行政側弁護士報酬も考慮せよ
 8 返還すべき国庫補助金は弁護士報酬の算定根拠から除外すべきではないこと
 9 敗訴したとき,原告弁護士は着手金さえ得られないことも考慮すべきであること
 10 原告弁護士の長年の投資と労苦に報いるべき
 11 市民の納得
 12 弁護士報酬の統一?
 13 認容額か執行額か,再考
 14 地方公共団体自身が訴える場合との均衡
 15 ま と め
 [追記1] 外郭団体訴訟判決等
 [追記2] 神戸市の判決無視の対応
 [追記3] この追記の執筆は最判平成24年以前のもの

第3節 住民側弁護士報酬の相当額,減額に関する最近の判例
 1 はじめに
 2 株主代表訴訟
 3 神戸地方裁判所平成25年4月17日判決
  (1) はじめに
  (2) 別件住民訴訟1について
  (3) 別件住民訴訟2について
 4 東京地方裁判所平成25年7月16日判決
5 大阪地方裁判所平成25年12月16日判決
6 神戸地方裁判所尼崎支部平成24年12月6日判決
 7 鳥取地方裁判所米子支部平成24年3月26日判決
 8 最高裁判所第一小法廷平成23年9月8日判決
 9 水戸地方裁判所平成21年7月29日判決

第4節 被告の弁済による訴えの取下げは「勝訴」に当たらないのか
Ⅰ 事実の概要
 1 事  実
 2 一審判決
 3 高裁判決
Ⅱ 最高裁判旨 破棄自判(原判決破棄,控訴棄却,要するに,X全面敗訴)
Ⅲ 評釈 とうてい賛成できない
 1 はじめに
 2 争いのないケース
 3 争いとなっているのは請求の認諾,弁済による訴えの取下げ
  (1) 請求の認諾,弁済による訴えの取下げを「勝訴」とする説
  (2) 勝訴にならないとの説
 4 最判の分析と批判
  (1) 判決の論理分析
  (2) 「勝訴」とは,原告が満足する場合である
  (3) 実質的考察の必要性
 5 東京高裁平成15年3月26日判決批判
  (1) 違法是正説と経済的利益説
  (2) 明確な基準の必要性?
 6 自治体が職員を訴える場合との均衡
 7 射程範囲と運用
 8 立 法 論
 9 ま と め
 [追記1] 最高裁判決には答弁書も掲載せよ
 [追記2] 野田崇論文
 [追記3] 玉巻弘光論文
 [追記4] 山本隆司説

第5節 住民訴訟における被告代理人の弁護士報酬の問題点
Ⅰ はじめに
Ⅱ 神戸市の被告代理人に対する報酬支払い基準
Ⅲ 神戸市における被告代理人への弁護士報酬支払いの具体例
 1 共助組合事件における被告代理人の報酬
 2 神戸地裁平成23年9月16日判決における被告代理人の報酬
 3 外郭団体訴訟における被告代理人の報酬
 4 福祉外郭団体訴訟の被告代理人の報酬
Ⅳ ま と め


◆ 第5章 地方議会による地方公共団体の賠償請求権等の放棄 ◆

 はじめに

第1節 地方議会による賠償請求権の放棄の効力
Ⅰ はじめに:地方議会による放棄を有効とする判例の流れ
 1 放棄無効の判例
 2 放棄有効の判例
 3 本稿の主張
Ⅱ これまでの対立点:放棄を無効と主張するこれまでの反論は成功していないこと
 1 住民訴訟の趣旨に反するか,放棄は議会の権限か
  (1) 住民訴訟の趣旨に反するとの判決
  (2) 放棄は議会の権限であるとの判決
  (3) 私見の整理
 2 非訟事件手続法76条2 項の類推は可能か
Ⅲ 私見,放棄無効,議会・首長の誠実処理・善管注意義務
 1 要  点
 2 議会の放棄権限の意味:執行機関と議決機関の二元制の理解
 3 代理人の善管注意義務,首長の誠実処理義務
 4 利益相反の排除違反
 5 住民訴訟はエンドレス
Ⅳ 附言:参考になる諸制度
 1 実定法も,債権放棄を議会や執行機関の自由に任せていない
  (1) 国の免除法
  (2) 地方自治法施行令
 2 補助金も放棄自由ではない,高額購入も廉価売却も違法である
 3 会社法の考え方
 4 刑事法でも,背任罪である
 5 では,善管注意義務に反せずに,放棄できる場合はどんな場合か
 [追記1] 久喜市事件高裁判決
 [追記2] 職員の賠償責任の免除制度
 [追記3] 斎藤誠論文,関連判例

第2節 地方議会による地方公共団体の賠償請求権の放棄は首長のウルトラCか
Ⅰ はじめに
 1 問題の要点
 2 外郭団体訴訟の概要
Ⅱ 執行機関と議決機関の権限分配という判断権者の権限問題と権限行使の実体法上の要件
 1 執行権限と議会の監視権限
 2 権利放棄に係る議会の議決は監視機能
 3 東京高裁の誤解
 4 大阪高裁のまっとうな判断
Ⅲ 権限行使の実体法上の要件
 1 96条の意味
 2 権利放棄権限行使の実体法上の要件
 3 権利放棄の判断権者と実体法上の要件のまとめ
Ⅳ 神戸市長と神戸市議会は放棄するために必要な誠実な審査をしていないこと
 1 はじめに
 2 明白な誤り
 3 市長の権利放棄提案理由と市長の主張の誤り
 4 神戸市議会における審査の杜撰さ
  (1) はじめに
  (2) 本会議第一日目
  (3) 総務財政委員会の審議について
  (4) 阿部泰隆の「陳情」
  (5) 原告代表者の「陳情」
  (6) 総務財政委員会の審議
  (7) 本会議第2回
Ⅴ 権限の濫用,債務者が自己に対する債権者の権利を放棄する違法
Ⅵ 条例で権利放棄することは執行機関と議決機関の混同で,無効であること
Ⅶ そ の 他
 1 神戸市長は脱法行為の常習犯
 2 背任罪のおそれ
 3 巨額の課税・滞納処分のおそれ
 4 議員に対する住民訴訟
 5 訴訟費用
 6 解 決 策
Ⅷ ま と め
[附言] 本件公金支出における市長の過失
 1 重過失は必要か
 2 市長の重過失
  (1) 元々の公金支出の重過失
  (2) 権利放棄案件提出の重過失・故意
 [追記] 地方制度調査会

第3節 地方議会による地方公共団体の権利放棄議決再論―学説の検討と立法提案
Ⅰ はじめに
Ⅱ 津田和之論文
 1 善管注意義務説の誤解
 2 議会単独での権利放棄
 3 判例の分析視点
 4 学説の整理の仕方
 5 公益上の必要性
 6 裁量濫用論に立った場合の議会による債権放棄の限界
  (1) 財務関係職員の賠償責任との均衡
  (2) 重過失責任
  (3) 長の過失が軽過失にとどまる場合
  (4) 組織としての決定の責任
  (5) 議会の判断手続・考慮事項
  (6) 監査委員の同意
  (7) 債権放棄の範囲
  (8) 財務会計上の違法行為が長の故意又は重大な過失による場合
  (9) 債権放棄の時期―判決確定後の放棄は許されるか
  (10) これまでの判例の検証
Ⅲ 碓井光明説
1 当初の説
2 後の見解
Ⅳ 大橋真由美説
Ⅴ 蝉川千代説
1 基本的視点の誤解
2 訴訟係属中の債権放棄
3 認容判決確定後の債権放棄
Ⅵ 斎藤誠説
Ⅶ 安本典夫説
Ⅷ 白藤博行説
Ⅸ 最後に:公平な権利放棄を

第4節 地方議会による地方公共団体の権利放棄議決に関するその後の判例等
Ⅰ はじめに
Ⅱ 大阪高裁平成21年11月27日判決
1 権利放棄は議会の可決だけで効力を生ずるか
  (1) 判  旨
  (2) コメント:権利放棄には首長の意思表示を要すること
2 改正条例の権利の放棄の定めは実体法上有効でないこと
  (1) 判  旨
  (2) コメント:権利放棄議決の実体的有効性?
Ⅲ 神戸地裁平成21年11月11日判決
1 条例による権利放棄
  (1) 判  旨
  (2) コメント
2 権利放棄の実体的適法性
  (1) 判  旨
  (2) コメント
Ⅳ 東京高裁平成21年12月24日判決
1 事案の内容
2 判  旨
3 コメント
Ⅴ 裁判官協議会の見解
Ⅵ 木村琢磨公法学会報告
 1 学会でのやり取り
 2 木村論文
 [追記1] 斎藤誠説
 [追記2] 高田倫子説
 [追記3] 木村琢磨説
第5節 地方議会による地方公共団体の権利放棄議決に関するその後の判例補遺
Ⅰ はじめに
Ⅱ 大阪高裁平成22年8月27日判決
 1 権利放棄条例の可決と神戸市の正当化根拠
 2 条例の形式による権利放棄
 3 議会の議決事項は,執行機関の専断を排除する趣旨?
 4 議会の議決では放棄できない特別の定めの存在
 5 公益的法人派遣法6条2 項を適用できるのか
 6 神戸市議会の杜撰な審議
Ⅲ 神戸地裁平成22年10月28日判決
Ⅳ 公金支出の違法過失と権利放棄議決の関係
Ⅴ 他の事件への影響

第6節 権利放棄議決有効最高裁判決の検証と敗訴弁護士の弁明
Ⅰ はじめに
1 本稿の動機
2 本件の要点,筆者の答弁書の冒頭の記述
Ⅱ 最高裁判決の検討
1 外郭団体への補助金支給の無効を肯定
2 市長の過失の有無,法令コンプライアンス
  (1) 答弁書における筆者の主張
  (2) 過失を否定した最高裁判示
  (3) 筆者の反論
3 権利放棄議決の裁量?
  (1) 筆者の答弁書
  (2) 判  決
  (3) 反  論
4 権利放棄議決の裁量濫用に関する具体的な判断
  (1) 答 弁 書
  (2) 判  決
  (3) 反  論
  (4) 判旨の2
  (5) 反  論
5 条例による放棄の正当性?
  (1) 答 弁 書
  (2) 判  決
  (3) 反  論
6 住民訴訟の形骸化
  (1) 答 弁 書
  (2) 判  決
  (3) 反  論
7 そ の 他
  (1) 答弁書のまとめ
  (2) 訴訟費用
  (3) 「最後にお願い」
8 裁判官千葉勝美の補足意見批判
  (1) 複雑多様な会計法規?の中での住民訴訟における個人責任の重さ?
  (2) 職務遂行の萎縮?
  (3) 議会の権利放棄議決の限度
9 その他の判決の分析
  (1) 大東市事件
  (2) さくら市事件
  (3) 檜原村事件
Ⅲ 学説の検討
 1 塩野宏説
 2 兼子仁説
 3 飯島淳子説,石崎誠也説
 4 木村琢磨説
 5 廣田達人説
 6 石津廣司説
 7 曽和俊文説
 8 橋本博之説
 9 そ の 他
 [追記] 権利放棄議決と原告代理人の弁護士報酬相当額

◆ 第6章 判例解説 ◆

Ⅰ 退職金支払い違法住民訴訟事件(川崎市)
Ⅱ 職員に対する費用弁償支出住民訴訟事件(市川市)
Ⅲ 昼窓手当違法支出住民訴訟事件(熊本市)
Ⅳ 住民訴訟における被告の変更と新たな被告に対する時効完成事件(京都市)
Ⅴ 山林高額買取り住民訴訟事件―ぽんぽん山訴訟(京都市)
Ⅵ 不法行為と監査請求期間
Ⅶ 監査請求期間徒過の正当な理由(仙台市)


 判例索引
 事項索引



このページのトップへ

内容説明

住民訴訟の理論的な課題と弁護士実務から見えてきた問題点を凝視し、住民訴訟の「意義」と「不備」を明解に論究する。具体的判例の中から、抜本的な改革を提案する。条文案や判例解説も掲載の充実版。

このページのトップへ

関連書籍

このページのトップへ