グローバル化と社会国家原則─日独シンポジウム
総合叢書 17
フライブルク大学法学部と大阪市立大学大学院法学研究科との学問交流の記録。グローバルな競争と国家、経済的主体、そして個人の役割とは何か。国際化する現実社会と法理論を総合的に検討。憲法、民法、刑法、労働法、国際法、訴訟法など、幅広く最先端の議論を展開。
『グローバル化と社会国家原則(総合叢書17)』
髙田昌宏・野田昌吾・守矢健一 編
【目 次】
はしがき
◆第Ⅰ部◆ 国家の役割の変化と公法学
国家の役割の変化に直面した公法学(トーマス・ヴュルテンベルガー〔松戸 浩 訳〕)
Ⅰ 公法学の課題
Ⅱ 公法学と国家の役割の絶えざる変化に就いて
1 歴史的観点
2 公法学と国家の役割の諸変化に於ける相互関連性に就いて
Ⅲ 国家の役割の諸変化の公法学による処理
1 国家の役割の変化に関する諸基準の把握
2 先行追随主義の問題
3 (憲法――)裁判実証主義の問題
4 国家の役割に於ける政治的にもたらされたパラダイム変換に接しての公法学の役割
5 公法学が隣接諸科学に対し開かれていること
6 ヨーロッパ公法,或いはグローバル化された公法に対し国内公法学が開かれていること
Ⅳ 結び 国家の役割に於ける永続的な変化に直面した公法学の能力に就いて
国家の役割の変化と公法学(松戸 浩)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国家の役割の再定位―保障国家
Ⅲ 国家に専属する作用に関する議論
◆第Ⅱ部◆ 国際法による枠条件が社会国家構造の展開へ及ぼす影響
社会国家はいまどこにいるのか(野田昌吾)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会国家とは何だったか
1 古典的近代とその危機
2 「再建された古典的近代」としての社会国家
3 社会国家は誰と向き合ったのか
Ⅲ 社会の変容と社会国家の危機
Ⅳ 「新しい福祉政治」の「新しさ」
Ⅴ 何をなすべきか―いくつかの手がかり
国際法による枠条件が社会国家の構造に及ぼす影響(シリャ・フェネキィ〔守矢健一 訳〕)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国際法と社会国家原則
1 ドイツにおける社会国家原則の憲法上の基礎づけ
2 社会権の国際法的基礎づけと社会権の効力
Ⅲ グローバル化,多国籍企業,社会的人権
1 企業による人権侵害を防ぐための国家の義務
2 人権尊重に向けた企業の責任
Ⅳ 結 語
◆第Ⅲ部◆ 介入国家時代の私法
イデオロギーの時代の市民法―来栖三郎の市民法研究の史的分析(1)(守矢健一)
Ⅰ 課題設定
Ⅱ 分 析
1 来栖の略歴と本稿の対象
2 時代精神への賛否を超えて
3 支配的理論に対する理論的抵抗
4 財産法と親族法との市民法上の関係
Ⅲ 要 約
規制と競争(ウーヴェ・ブラウロク〔守矢健一 訳〕)
Ⅰ 導 入
Ⅱ 市場経済の秩序原理としての競争
Ⅲ 規制の諸目的
1 競争の確保
2 競争の創出のための規制
3 保障国家における,公共の任務の実現のための規制
Ⅳ 個々の規制領域
1 ネット経済
2 金融市場
Ⅴ 展 望
◆第Ⅳ部◆ 会社法と労働者保護
日本における会社法と労働者保護―財産権保障と社会国家原則との調和を目指して(高橋英治)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 労働者利益を会社法・会社法学はどのように取り扱ってきたのか
1 伝統的商法学の思考方法の確立―商法=抽象的経済人の法
2 企業自体の思想の日本の会社法学に対する影響
3 会社立法と従業員―会社立法の発展過程と現状
Ⅲ 労働者利益に会社法はどのように向き合っていくべきか
1 「企業の利益」の概念
2 企業買収法と労働者利益
3 企業再編と労働者利益
4 企業結合法と労働者利益
5 会社の解散と労働者利益
Ⅳ おわりに
外国会社のための企業共同決定?(ハンノ・メルクト〔高橋英治 訳〕)
Ⅰ はじめに
1 現在の政治的議論
2 ドイツ共同決定の拡張と回避の問題に関する数字
Ⅱ 個別の疑問について
1 ドイツの企業共同決定を,ドイツ法の強制法規によって,他のEU加盟国の法によって設立されているが,
その事業所在地及び経済的な重点が国内のみに存在するEUの会社に拡張することが法的に可能なのだろうか
2 ドイツに支店のあるEUの会社についてはどうなるのか
3 EU域内の外国に所在する無限責任社員を有する合資会社についてはどうなるのか
4 問題1から3の場合はどうなるのか。会社がアメリカ法によって設立された場合(問題1),もしくは,
アメリカ法によって設立された会社の支店がドイツに存在した場合(問題2),もしくは,
無限責任社員がアメリカの会社であった場合(問題3)
5 中央的な企業的決定のために,共同決定が必要な業務の法的な最小限目録を導入することは憲法上許されるのか
6 共同決定法の限界を従業員1000人,三分の一参加法の限界を従業員250人に引き下げることが憲法上許されるか,
もし許されるとしても意義があるのか
7 1976年共同決定法による,ある程度の同権的共同決定を,監査役会に中立的人物を置き,同時に主席監査役の
二重議決権を廃止することによって,「真の」同権的共同決定に置き換えることが憲法上許されるのか
Ⅲ 結 論
◆第Ⅴ部◆ 債権譲渡人によるリファイナンスと債務者の保護
動産と債権の包括的な担保化による資金調達と,その法的課題(藤井徳展)
Ⅰ 序 論
1 金融,担保の手法に関する変化,資金調達方法に関する多様化と,動産,債権の包括的な担保化による資金調達
2 動産,債権の包括的な担保化による資金調達の具体化
3 本稿の目的
Ⅱ 継続的な事業から生じる継続的な収益に着目した資金調達
1 交換価値から収益価値へという動き
2 終わらせる担保から生かす担保へという動き
Ⅲ 動産,債権の包括的な担保化による資金調達の具体化
1 動産,債権の包括的な担保化の法律関係
2 政策的な取組み
3 解釈論,立法論の課題 ― 発展と安定
債権譲渡によるリファイナンスと債務者の保護(ロルフ・シュテュルナー〔藤井徳展 訳〕)
Ⅰ 序 論
Ⅱ 債権譲渡の経済的意義
Ⅲ 大量取引としての流動化にむけた発展の,経済社会全体からみた評価
1 裏づけのある古典的な証券(Klassische gedeckte Wertpapier)
2 真正売買モデル(True Sale-Modelle)
3 ストラクチャード・カバード・ボンド(Structured Covered Bonds)
4 倒産前段階における再生のための措置
5 履行期到来時における清算のための債権譲渡
Ⅳ 受信者の視点からみた評価
Ⅴ 国際化の評価
Ⅵ ドイツの債権譲渡法制に対する帰結
1 貸金債権の譲渡性の原則
2 国際的な法発展の基礎となる事情
3 情報提供義務
4 被担保債権を伴わない不動産担保権の善意取得に関する新規定
5 土地債務における強行規定としての告知期間
6 銀行における担保パッケージ
7 KWG22a条以下に基づく簡易の債権譲渡
8 不動産担保権で担保される債権と所在地法(lex rei sitae)
9 譲渡禁止特約のある貸金返還債権の申告について銀行は監査法上の義務を負うか?
Ⅶ 結 語
◆第Ⅵ部◆ 《自由主義的》な古典的民事訴訟か,それとも《社会的》民事訴訟か?
わが国における「社会的民事訴訟」理論の意義(髙田昌宏)
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおける「社会的民事訴訟」理論について
1 1877年のライヒ民事訴訟法典の制定
2 オーストリアにおける「社会的訴訟観」の形成
3 20世紀のドイツ民事訴訟法の展開
4 ヴァッサーマンによる「社会的民事訴訟」理論の提唱
5 ヴァッサーマンの「社会的民事訴訟」理論に対する反応
Ⅲ わが国の民事訴訟法の歴史的展開―弁論主義との関連で
1 わが国の民事訴訟法の沿革
2 弁論主義をめぐる状況
Ⅳ 「社会的民事訴訟」理論とわが国の民事訴訟法
1 わが国の民事訴訟理論へのドイツ「社会的民事訴訟」理論の影響
2 わが国の民事訴訟における「社会的民事訴訟」理論の意義
Ⅴ おわりに
21世紀における社会的民事訴訟,訴訟の諸原則および訴訟基本権(ディーター・ライポルド〔松本博之 訳〕)
Ⅰ テーマについて
Ⅱ 19世紀末の原則志向的当事者訴訟
1 当事者運営(der Prteibetrieb)
2 口頭主義(der Grundsatz der Mündlichkeit)
3 弁論主義と処分権主義(die Verhandlungsmaxime und die Dispositionsmaxime)
4 当事者宣誓(der Parteieid)
Ⅲ 理想的観念としての社会的民事訴訟
1 正面攻撃:Anton Menger(アントン・メンガー)
2 Franz Klein(フランツ・クライン);福祉制度としての訴訟
3 前世紀の70年代の社会的民事訴訟(der soziale Zivillprozess)
Ⅳ 現在の,原則のない裁判官中心的民事訴訟(der maximenfreie richterzentrierte Zivilprozess)への道
1 当事者運営の廃止と裁判官による口頭弁論の準備
2 当事者尋問による当事者宣誓の代置と当事者聴聞(Parteianhörung)
3 裁判所による実体的訴訟指揮(die materielle Prozessleitung)の強化
4 職権証拠調べの拡張(die erweiterte Beweiserhebung von Amts wegen)
5 当事者義務の強化
6 最上級の訴訟目標としての和解(die gütliche Einigung)
7 結 論
V 当事者の防壁としての訴訟基本権(die Prozessgrundrechte als Schutzwehr der Parteien)
1 聴聞異議(Anhörungsrüge)の導入
2 決定による控訴却下の改革
3 手続期間が長すぎる場合の権利保護
Ⅵ 要 約
市場社会における社会的民事訴訟の発現形式としてのグループ訴訟?(アレクサンダー・ブルンス〔髙田昌宏 訳〕)
Ⅰ 課題の設定
Ⅱ 集団的権利保護の概念および意義
Ⅲ 経済的権力と社会的拘束の関係の理念史
1 アメリカ合衆国の経済・社会モデル
2 ドイツの経済・社会モデル
3 ヨーロッパの経済・社会モデル
Ⅳ グループ訴訟と社会的民事訴訟
1 アメリカ合衆国の民事訴訟
2 ヨーロッパにおける競合する解決モデル
Ⅴ 市場社会における制御手段としてのグループ訴訟
◆第Ⅶ部◆ グローバルな影響下に立つ労働市場と労働法規制
社会法的規制と労働市場の弾力化(根本 到)
Ⅰ 序 論
Ⅱ 1990年代以降の展開
1 労働法の規制緩和の動向
2 民営(有料)職業紹介の規制緩和
3 労働者派遣の規制緩和
4 有期契約に関する規制の緩和
5 労働法規制の強化
6 規制緩和の帰結
Ⅲ 社会法的規制の再構築
1 規制緩和による貧困の増大
2 規制の再構築
3 労働法と社会保障法の協働
自由化された世界取引における労働者保護―多層的規制の問題として(ゼバスティアーン・クレバー〔守矢健一 訳〕)
Ⅰ 問題設定
Ⅱ 労働法規制の次元における適応:国際法における労働者保護
1 国際法による労働者保護の理論モデル
2 具体的実現に際しての限界
Ⅲ 多様な規制次元の噛み合せ:自由化された世界貿易への参画の前提としての労働者保護最低限度規律
1 理論モデル
2 実際の実施に際しての限界
Ⅳ 労働法が国家法であることと国家領域を超える交易を巡る超国家的法規制
1 階層関係システム(Hierarchiesystem)としての多層的システム
2 労働法からみた齟齬の特定:EU域内市場の経験に即して
3 国境を超える交易に係る超国家的法規範に制限を加えることによる階層的システムの調和:域内市場法からの教訓
Ⅴ 結 語
◆第Ⅷ部◆ 刑罰観の《社会的》・《国境横断的》変容?
日本の行刑改革と社会復帰理念(金澤真理)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 日本における行刑の動向と分析
Ⅲ 行刑改革の推移
Ⅳ 行刑と社会復帰,再社会化理念
V むすびにかえて
国際的法規範によって吟味を受ける保安監置(ヴォルフガング・フリッシュ〔金澤真理 訳〕)
Ⅰ 批判の背景:効率的な犯罪対策の一環としての保安監置の強化
Ⅱ 裁判所における吟味の対象としての保安監置およびその強化
1 2004年2月5日連邦憲法裁判所判決:法改正の憲法適合性
2 欧州人権裁判所判決:保安監置の事後的延長及び事後的命令の条約違反性
3 2011年5月4日連邦憲法裁判所判決:保安監置の正当化可能性を厳しく限定した場合における二元的制度の確認
Ⅲ いくつかの判決,就中2011年5月4日連邦憲法裁判所判決の評価
1 二元的制度の確認について:この制度の利点
2 執行を正当化の問題へ関連づけることの適切性と,いわゆる懸隔(分離)要請(Abstandsgebot)
3 遡及効の問題における司法判断の収斂,および遡及効の禁止の適切な基礎づけと限定
Ⅳ 相反する判断のいくつかの背景―審査基準の性質の相違
執筆者・翻訳者紹介(巻末)
髙田昌宏・野田昌吾・守矢健一 編
【目 次】
はしがき
◆第Ⅰ部◆ 国家の役割の変化と公法学
国家の役割の変化に直面した公法学(トーマス・ヴュルテンベルガー〔松戸 浩 訳〕)
Ⅰ 公法学の課題
Ⅱ 公法学と国家の役割の絶えざる変化に就いて
1 歴史的観点
2 公法学と国家の役割の諸変化に於ける相互関連性に就いて
Ⅲ 国家の役割の諸変化の公法学による処理
1 国家の役割の変化に関する諸基準の把握
2 先行追随主義の問題
3 (憲法――)裁判実証主義の問題
4 国家の役割に於ける政治的にもたらされたパラダイム変換に接しての公法学の役割
5 公法学が隣接諸科学に対し開かれていること
6 ヨーロッパ公法,或いはグローバル化された公法に対し国内公法学が開かれていること
Ⅳ 結び 国家の役割に於ける永続的な変化に直面した公法学の能力に就いて
国家の役割の変化と公法学(松戸 浩)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国家の役割の再定位―保障国家
Ⅲ 国家に専属する作用に関する議論
◆第Ⅱ部◆ 国際法による枠条件が社会国家構造の展開へ及ぼす影響
社会国家はいまどこにいるのか(野田昌吾)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 社会国家とは何だったか
1 古典的近代とその危機
2 「再建された古典的近代」としての社会国家
3 社会国家は誰と向き合ったのか
Ⅲ 社会の変容と社会国家の危機
Ⅳ 「新しい福祉政治」の「新しさ」
Ⅴ 何をなすべきか―いくつかの手がかり
国際法による枠条件が社会国家の構造に及ぼす影響(シリャ・フェネキィ〔守矢健一 訳〕)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国際法と社会国家原則
1 ドイツにおける社会国家原則の憲法上の基礎づけ
2 社会権の国際法的基礎づけと社会権の効力
Ⅲ グローバル化,多国籍企業,社会的人権
1 企業による人権侵害を防ぐための国家の義務
2 人権尊重に向けた企業の責任
Ⅳ 結 語
◆第Ⅲ部◆ 介入国家時代の私法
イデオロギーの時代の市民法―来栖三郎の市民法研究の史的分析(1)(守矢健一)
Ⅰ 課題設定
Ⅱ 分 析
1 来栖の略歴と本稿の対象
2 時代精神への賛否を超えて
3 支配的理論に対する理論的抵抗
4 財産法と親族法との市民法上の関係
Ⅲ 要 約
規制と競争(ウーヴェ・ブラウロク〔守矢健一 訳〕)
Ⅰ 導 入
Ⅱ 市場経済の秩序原理としての競争
Ⅲ 規制の諸目的
1 競争の確保
2 競争の創出のための規制
3 保障国家における,公共の任務の実現のための規制
Ⅳ 個々の規制領域
1 ネット経済
2 金融市場
Ⅴ 展 望
◆第Ⅳ部◆ 会社法と労働者保護
日本における会社法と労働者保護―財産権保障と社会国家原則との調和を目指して(高橋英治)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 労働者利益を会社法・会社法学はどのように取り扱ってきたのか
1 伝統的商法学の思考方法の確立―商法=抽象的経済人の法
2 企業自体の思想の日本の会社法学に対する影響
3 会社立法と従業員―会社立法の発展過程と現状
Ⅲ 労働者利益に会社法はどのように向き合っていくべきか
1 「企業の利益」の概念
2 企業買収法と労働者利益
3 企業再編と労働者利益
4 企業結合法と労働者利益
5 会社の解散と労働者利益
Ⅳ おわりに
外国会社のための企業共同決定?(ハンノ・メルクト〔高橋英治 訳〕)
Ⅰ はじめに
1 現在の政治的議論
2 ドイツ共同決定の拡張と回避の問題に関する数字
Ⅱ 個別の疑問について
1 ドイツの企業共同決定を,ドイツ法の強制法規によって,他のEU加盟国の法によって設立されているが,
その事業所在地及び経済的な重点が国内のみに存在するEUの会社に拡張することが法的に可能なのだろうか
2 ドイツに支店のあるEUの会社についてはどうなるのか
3 EU域内の外国に所在する無限責任社員を有する合資会社についてはどうなるのか
4 問題1から3の場合はどうなるのか。会社がアメリカ法によって設立された場合(問題1),もしくは,
アメリカ法によって設立された会社の支店がドイツに存在した場合(問題2),もしくは,
無限責任社員がアメリカの会社であった場合(問題3)
5 中央的な企業的決定のために,共同決定が必要な業務の法的な最小限目録を導入することは憲法上許されるのか
6 共同決定法の限界を従業員1000人,三分の一参加法の限界を従業員250人に引き下げることが憲法上許されるか,
もし許されるとしても意義があるのか
7 1976年共同決定法による,ある程度の同権的共同決定を,監査役会に中立的人物を置き,同時に主席監査役の
二重議決権を廃止することによって,「真の」同権的共同決定に置き換えることが憲法上許されるのか
Ⅲ 結 論
◆第Ⅴ部◆ 債権譲渡人によるリファイナンスと債務者の保護
動産と債権の包括的な担保化による資金調達と,その法的課題(藤井徳展)
Ⅰ 序 論
1 金融,担保の手法に関する変化,資金調達方法に関する多様化と,動産,債権の包括的な担保化による資金調達
2 動産,債権の包括的な担保化による資金調達の具体化
3 本稿の目的
Ⅱ 継続的な事業から生じる継続的な収益に着目した資金調達
1 交換価値から収益価値へという動き
2 終わらせる担保から生かす担保へという動き
Ⅲ 動産,債権の包括的な担保化による資金調達の具体化
1 動産,債権の包括的な担保化の法律関係
2 政策的な取組み
3 解釈論,立法論の課題 ― 発展と安定
債権譲渡によるリファイナンスと債務者の保護(ロルフ・シュテュルナー〔藤井徳展 訳〕)
Ⅰ 序 論
Ⅱ 債権譲渡の経済的意義
Ⅲ 大量取引としての流動化にむけた発展の,経済社会全体からみた評価
1 裏づけのある古典的な証券(Klassische gedeckte Wertpapier)
2 真正売買モデル(True Sale-Modelle)
3 ストラクチャード・カバード・ボンド(Structured Covered Bonds)
4 倒産前段階における再生のための措置
5 履行期到来時における清算のための債権譲渡
Ⅳ 受信者の視点からみた評価
Ⅴ 国際化の評価
Ⅵ ドイツの債権譲渡法制に対する帰結
1 貸金債権の譲渡性の原則
2 国際的な法発展の基礎となる事情
3 情報提供義務
4 被担保債権を伴わない不動産担保権の善意取得に関する新規定
5 土地債務における強行規定としての告知期間
6 銀行における担保パッケージ
7 KWG22a条以下に基づく簡易の債権譲渡
8 不動産担保権で担保される債権と所在地法(lex rei sitae)
9 譲渡禁止特約のある貸金返還債権の申告について銀行は監査法上の義務を負うか?
Ⅶ 結 語
◆第Ⅵ部◆ 《自由主義的》な古典的民事訴訟か,それとも《社会的》民事訴訟か?
わが国における「社会的民事訴訟」理論の意義(髙田昌宏)
Ⅰ はじめに
Ⅱ ドイツにおける「社会的民事訴訟」理論について
1 1877年のライヒ民事訴訟法典の制定
2 オーストリアにおける「社会的訴訟観」の形成
3 20世紀のドイツ民事訴訟法の展開
4 ヴァッサーマンによる「社会的民事訴訟」理論の提唱
5 ヴァッサーマンの「社会的民事訴訟」理論に対する反応
Ⅲ わが国の民事訴訟法の歴史的展開―弁論主義との関連で
1 わが国の民事訴訟法の沿革
2 弁論主義をめぐる状況
Ⅳ 「社会的民事訴訟」理論とわが国の民事訴訟法
1 わが国の民事訴訟理論へのドイツ「社会的民事訴訟」理論の影響
2 わが国の民事訴訟における「社会的民事訴訟」理論の意義
Ⅴ おわりに
21世紀における社会的民事訴訟,訴訟の諸原則および訴訟基本権(ディーター・ライポルド〔松本博之 訳〕)
Ⅰ テーマについて
Ⅱ 19世紀末の原則志向的当事者訴訟
1 当事者運営(der Prteibetrieb)
2 口頭主義(der Grundsatz der Mündlichkeit)
3 弁論主義と処分権主義(die Verhandlungsmaxime und die Dispositionsmaxime)
4 当事者宣誓(der Parteieid)
Ⅲ 理想的観念としての社会的民事訴訟
1 正面攻撃:Anton Menger(アントン・メンガー)
2 Franz Klein(フランツ・クライン);福祉制度としての訴訟
3 前世紀の70年代の社会的民事訴訟(der soziale Zivillprozess)
Ⅳ 現在の,原則のない裁判官中心的民事訴訟(der maximenfreie richterzentrierte Zivilprozess)への道
1 当事者運営の廃止と裁判官による口頭弁論の準備
2 当事者尋問による当事者宣誓の代置と当事者聴聞(Parteianhörung)
3 裁判所による実体的訴訟指揮(die materielle Prozessleitung)の強化
4 職権証拠調べの拡張(die erweiterte Beweiserhebung von Amts wegen)
5 当事者義務の強化
6 最上級の訴訟目標としての和解(die gütliche Einigung)
7 結 論
V 当事者の防壁としての訴訟基本権(die Prozessgrundrechte als Schutzwehr der Parteien)
1 聴聞異議(Anhörungsrüge)の導入
2 決定による控訴却下の改革
3 手続期間が長すぎる場合の権利保護
Ⅵ 要 約
市場社会における社会的民事訴訟の発現形式としてのグループ訴訟?(アレクサンダー・ブルンス〔髙田昌宏 訳〕)
Ⅰ 課題の設定
Ⅱ 集団的権利保護の概念および意義
Ⅲ 経済的権力と社会的拘束の関係の理念史
1 アメリカ合衆国の経済・社会モデル
2 ドイツの経済・社会モデル
3 ヨーロッパの経済・社会モデル
Ⅳ グループ訴訟と社会的民事訴訟
1 アメリカ合衆国の民事訴訟
2 ヨーロッパにおける競合する解決モデル
Ⅴ 市場社会における制御手段としてのグループ訴訟
◆第Ⅶ部◆ グローバルな影響下に立つ労働市場と労働法規制
社会法的規制と労働市場の弾力化(根本 到)
Ⅰ 序 論
Ⅱ 1990年代以降の展開
1 労働法の規制緩和の動向
2 民営(有料)職業紹介の規制緩和
3 労働者派遣の規制緩和
4 有期契約に関する規制の緩和
5 労働法規制の強化
6 規制緩和の帰結
Ⅲ 社会法的規制の再構築
1 規制緩和による貧困の増大
2 規制の再構築
3 労働法と社会保障法の協働
自由化された世界取引における労働者保護―多層的規制の問題として(ゼバスティアーン・クレバー〔守矢健一 訳〕)
Ⅰ 問題設定
Ⅱ 労働法規制の次元における適応:国際法における労働者保護
1 国際法による労働者保護の理論モデル
2 具体的実現に際しての限界
Ⅲ 多様な規制次元の噛み合せ:自由化された世界貿易への参画の前提としての労働者保護最低限度規律
1 理論モデル
2 実際の実施に際しての限界
Ⅳ 労働法が国家法であることと国家領域を超える交易を巡る超国家的法規制
1 階層関係システム(Hierarchiesystem)としての多層的システム
2 労働法からみた齟齬の特定:EU域内市場の経験に即して
3 国境を超える交易に係る超国家的法規範に制限を加えることによる階層的システムの調和:域内市場法からの教訓
Ⅴ 結 語
◆第Ⅷ部◆ 刑罰観の《社会的》・《国境横断的》変容?
日本の行刑改革と社会復帰理念(金澤真理)
Ⅰ はじめに
Ⅱ 日本における行刑の動向と分析
Ⅲ 行刑改革の推移
Ⅳ 行刑と社会復帰,再社会化理念
V むすびにかえて
国際的法規範によって吟味を受ける保安監置(ヴォルフガング・フリッシュ〔金澤真理 訳〕)
Ⅰ 批判の背景:効率的な犯罪対策の一環としての保安監置の強化
Ⅱ 裁判所における吟味の対象としての保安監置およびその強化
1 2004年2月5日連邦憲法裁判所判決:法改正の憲法適合性
2 欧州人権裁判所判決:保安監置の事後的延長及び事後的命令の条約違反性
3 2011年5月4日連邦憲法裁判所判決:保安監置の正当化可能性を厳しく限定した場合における二元的制度の確認
Ⅲ いくつかの判決,就中2011年5月4日連邦憲法裁判所判決の評価
1 二元的制度の確認について:この制度の利点
2 執行を正当化の問題へ関連づけることの適切性と,いわゆる懸隔(分離)要請(Abstandsgebot)
3 遡及効の問題における司法判断の収斂,および遡及効の禁止の適切な基礎づけと限定
Ⅳ 相反する判断のいくつかの背景―審査基準の性質の相違
執筆者・翻訳者紹介(巻末)
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