目次
◇ Ⅱ ◇
29 医療に対して法はどう向き合うか?〔奥田純一郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 現況 ―問題の所在
Ⅲ 歴史的経緯と背景 ―「権利」意識・プロフェッショナリズム・医療経済
Ⅳ 「医事法の基本原理」としてのインフォームド・コンセント再考
Ⅴ 結びに代えて
30 研究倫理審査と憲法 ―学問の自由の観点から〔中山茂樹〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 研究倫理審査の制度
Ⅲ 学問の自由の内容規制としての研究倫理審査
Ⅳ 研究倫理審査制度の憲法上の許容性
Ⅴ おわりに
31 医療事故調査制度の在り方について〔川出敏裕〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 医療事故調査を巡る議論の経緯
Ⅲ 事故調査手続と刑事手続の関係
32 医療情報の保護と利用の刑事法的問題点
―精神鑑定医秘密漏示事件最高裁決定を契機として〔甲斐克則〕
Ⅰ 序
Ⅱ 精神鑑定医秘密漏示事件の概要と最高裁決定の論理
Ⅲ 刑法134条1項の医師の守秘義務の射程範囲
Ⅳ 医師の守秘義務解除の要件と医療情報の第三者への提供
Ⅴ 結 語 ―残された今後の課題
33 再論・「患者の自己決定権と法」〔米村滋人〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 同書の概要と問題の所在
Ⅲ 説明義務と自己決定権
Ⅳ 医的侵襲行為の正当化要件と自己決定権
Ⅴ 結 び
34 宗教上の理由による輸血拒否と医師の刑事責任〔萩原由美恵〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 我が国の民事判例の概観
Ⅲ 信教の自由の保障の限界
Ⅳ 強行輸血をした医師の刑事責任
Ⅴ おわりに
35 再論・終末期医療と刑法〔井田 良〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 積極的安楽死論の現状
Ⅲ 人の終期(死亡時期)をめぐる問題状況
Ⅳ 治療中止の刑法的評価
Ⅴ 結 語
36 韓国における終末期医療に関する判例と立法の動き〔趙 晟容〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 研究の方法
Ⅲ 判例と立法の動き
Ⅳ 勧告案の考察
Ⅴ まとめに
37 世界基準の脳死基礎理論〔長井 圓〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 死の実体と概念・判定手続
Ⅲ アメリカの生物学的脳死論(米評議会白書2008)
Ⅳ ドイツの規範的脳死論(二元的脳死説)
Ⅴ 2つの脳死概念の検討
Ⅵ 2つの脳死判定方法
38 ドイツ移植法(TPG)の現状〔臼木 豊〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 法施行後現在までの法改正
Ⅲ 連邦医師会による指針の制定・改正
Ⅳ 生体臓器提供(生体移植)
Ⅴ その他の動向
Ⅵ おわりに
39 精神障害者の家族の監督者責任〔水野紀子〕
Ⅰ 日本における民法の継受
Ⅱ 不法行為法における家族の責任
Ⅲ おわりに
40 非自発的入院における家族の役割 ―イギリス精神保健法からの示唆〔五十嵐禎人〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ イギリスの精神保健法の歴史
Ⅲ 精神障害の定義
Ⅳ 非自発的入院に関与する専門職
Ⅴ 非自発的入院に関与する家族等
Ⅵ 精神保健法の入院形態
Ⅶ 考 察
41 精神病質犯罪者の処遇〔岩井宜子〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 精神病質犯罪者の処遇システム
Ⅲ わが国における対応の可能性
42 精神障害を有する受刑者の再犯の現状と課題〔平野美紀〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 刑事司法における精神障害者についての問題
Ⅲ MB精神障害受刑者の実態調査
Ⅳ 精神障害受刑者と社会復帰
Ⅴ 今後の課題 ―矯正施設の精神科医療と医療の継続
43 精神医学からみた監禁殺人〔中谷陽二〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 概 要
Ⅲ 被告人Bのプロフィールと事件経過
Ⅳ 精神医学的考察
Ⅴ おわりに
44 日本の精神医療と医療観察法 ―町野論文を読む〔浅田和茂〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 精神医療における自由と強制
Ⅲ 保安処分と精神医療
Ⅳ 医療観察法の法的性格
Ⅴ 医療観察法の見直し
Ⅵ 保護者制度の廃止
Ⅶ おわりに
45 医療観察法制定後の評価について〔川本哲郎〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 医療観察法に対する我が国の評価
Ⅲ イギリスにおける精神保健法改正後の運用評価
Ⅳ 国による「医療観察法施行状況についての検討結果」
Ⅴ おわりに
46 医療観察法における対象行為と主観的要件について〔山本輝之〕
Ⅰ はじめに問題の所在
Ⅱ 医療観察法の制定経緯と法的性格
Ⅲ 判 例
Ⅳ 責任能力と故意の関係
Ⅴ 構成要件的故意と責任故意との区別による解決について
Ⅵ 仮定的判断方法による解決について
Ⅶ 検 討
◇ Ⅲ ◇
47 少年刑事事件の課題と展望〔廣瀬健二〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 我が国の少年法制の特徴
Ⅲ 少年事件の動向
Ⅳ 少年刑事事件の手続の特則
Ⅴ 刑事公判における特則
Ⅵ 刑事処分の特則
Ⅶ 法 改 正
Ⅷ むすびに代えて
48 少年刑法における責任概念〔吉中信人〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ フランス刑法における責任概念
Ⅲ フランス少年刑法における責任概念
Ⅳ 比較考察わが国少年司法の構造と責任概念
Ⅴ おわりに
49 被害者氏名の秘匿と罪となるべき事実の特定〔酒巻 匡〕
Ⅰ はじめに問題の整理
Ⅱ 被害者氏名の秘匿と訴因明示の要請との関係
Ⅲ 被害者氏名の秘匿と判決書における罪となるべき事実の記載との関係
Ⅳ おわりに
50 訴訟の主体としての被告人の訴訟能力〔飯野海彦〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 訴訟能力の本質と判断基準の関係
Ⅲ 判断基準
Ⅳ おわりに ―今後の課題
51 刑事手続における犯罪被害者情報の保護についての一考察〔峰ひろみ〕
Ⅰ はじめに問題の所在
Ⅱ 犯罪被害者に関する情報保護の重要性
Ⅲ 現行制度概観
Ⅳ 刑事手続における犯罪被害者情報の保護
Ⅴ おわりに
52 刑事司法における修復的司法の定着に向けて ―日独の比較考察〔山中友理〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 修復的司法の概念
Ⅲ 日本における修復的司法
Ⅳ ドイツにおける修復的司法
Ⅴ 加害者と被害者の和解(1号)
Ⅵ 加害者と被害者の和解の新しい道
Ⅶ おわりに
53 初期の裁判員裁判における量刑傾向についての実証的研究
―殺人罪事件に対する有期懲役刑の刑期の基準および死刑の適用基準についての検討〔渡邊一弘〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 殺人罪事件に対する有期懲役刑の刑期の基準
Ⅲ 初期の裁判員裁判における死刑の適用基準
Ⅳ 裁判員裁判における死刑の適用基準研究の課題
Ⅴ 結びにかえて
54 刑事控訴審における審理と判断〔岩瀬 徹〕
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 裁判員裁判実施後の控訴審の運用の変化と判例
Ⅲ 審理の在り方「事実の取調べ」を中心に
Ⅳ 審査・判断の在り方「事実誤認」の問題を中心に
Ⅴ 残された問題
Ⅵ おわりに
町野朔先生略歴・主要業績(巻末)
内容説明
刑事法、刑事政策、医事法、生命倫理、家族法など、幅広い領域から第一人者が集い、現代社会に日々生起する新たなテーマを、多角的な視野から精緻に検討。長く日本の刑事法学・医事法学を牽引し続ける町野朔上智大学名誉教授の古稀をお祝いすべく、理論と実務の両面から、高質の論文が並ぶ、待望の書。