目次
序 論
第1節 本書の問題関心
Ⅰ 日本における問題状況の把握
Ⅱ 本書の課題
第2節 検討の対象
Ⅰ ストレス性疾患の概念と特徴
Ⅱ 検討対象の限定
第3節 比較法的検討
Ⅰ 労災救済制度の類型
Ⅱ 比較対象国の選定
◇第1編 アメリカ法◇
第1章 アメリカにおけるストレス性疾患に対する労災補償の概要
第1節 アメリカにおける労災補償制度の概要
Ⅰ 州法を中心とする労災補償制度
Ⅱ 労災補償制度の私的な性格
Ⅲ 強制保険の仕組みの概要
第2節 ストレス性疾患に対する労災補償の概要
Ⅰ 労災補償制度の補償対象
Ⅱ 身体的な外傷を伴わないストレス性疾患に対する補償の展開
Ⅲ ストレス性疾患に対する労災補償を禁止・制限する態様
第3節 検討対象とする州法の選定
第2章 ニューヨーク州におけるストレス性疾患に対する救済の現状と分析
第1節 ニューヨーク州における労災補償制度の概説
Ⅰ 強制保険の仕組み
Ⅱ 補償の内容
Ⅲ 給付の水準
Ⅳ 労災補償の手続
第2節 労働災害補償の基本的な仕組み
Ⅰ 補償の対象―事故性の傷病と職業病
Ⅱ 事故性の傷病の業務上外の認定
Ⅲ 職業病の業務上外の認定
Ⅳ 列挙されていない疾病の業務上外認定
Ⅴ 小 括
第3節 ストレス性疾患に対する補償の展開
Ⅰ ストレス性疾患の分類
Ⅱ ストレス性疾患に対する補償の展開
Ⅲ 小 括
第4節 損害賠償請求の可能性
Ⅰ 単一救済主義と排他的なルールの例外規定
Ⅱ 単一救済主義と精神障害に対する労災補償申請の制限との関係
第3章 カリフォルニア州におけるストレス性疾患に対する救済の現状と分析
第1節 カリフォルニア州における労災補償制度の概説
Ⅰ 強制保険の仕組み
Ⅱ 補償の内容
Ⅲ 給付の水準
Ⅳ 労災補償の手続
第2節 労働災害補償の基本的な仕組み
Ⅰ 補償の対象―雇用から生じたあらゆる損傷(injury)または疾病
Ⅱ 損傷・疾病の業務上外の認定
Ⅲ 業務起因性の認定枠組み―脳心疾患を素材に
第3節 ストレス性疾患に対する労災補償とその制限
Ⅰ 「フィジカル-メンタル」タイプ(physical-mental)
Ⅱ 「メンタル-フィジカル」タイプ(mental-physical)― 心臓疾患の労災認定を素材に
Ⅲ 「メンタル-メンタル」タイプ(mental-mental)―身体的な損傷が伴わない精神障害
第4節 損害賠償の可能性
Ⅰ 単一救済主義と排他的なルールの例外規定
Ⅱ 単一救済主義と精神障害に対する労災補償申請の制限との関係
第4章 本編のまとめ
第1節 ニューヨーク州とカリフォルニア州の労災補償制度の特徴
Ⅰ ニューヨーク州の労災補償制度の特徴
Ⅱ カリフォルニア州の労災補償制度の特徴
第2節 2つの州におけるストレス性疾患に対する労災補償の特徴
Ⅰ ニューヨーク州におけるストレス性疾患に対する労災補償の特徴
Ⅱ カリフォルニアにおけるストレス性疾患に対する労災補償の特徴
Ⅲ 小 括
第3節 日本との相違
Ⅰ 強制保険の仕組み
Ⅱ 補償の対象
Ⅲ ストレス性疾患に関する労災認定基準の有無
Ⅳ 補償範囲が拡大または縮小する可能性
Ⅴ 損害賠償請求の可否
◇第2編 台 湾 法◇
第1章 台湾における労災補償制度と労災民事損害賠償責任の概要
第1節 職業災害補償制度の概要
Ⅰ 職業災害補償制度の沿革
Ⅱ 労基法上の使用者の補償責任
Ⅲ 労工保険制度の仕組み
第2節 職業災害補償制度の基本的な仕組み
Ⅰ 補償の対象:職業傷害と職業病
Ⅱ 職業災害保険給付における業務上外の認定枠組み
Ⅲ 労基法上における業務上外の判断枠組み
Ⅳ 小 括
第3節 台湾における労災民事訴訟の概要
Ⅰ 不法行為構成
Ⅱ 債務不履行構成
Ⅲ 小 括
第2章 台湾におけるストレス性疾患の労災認定
第1節 業務に起因する急性脳心疾患の労災認定
Ⅰ 労災保険給付における労災認定
Ⅱ 労基法における労災認定―労基法による使用者の補償責任を求める民事訴訟を中心に
第2節 業務に起因する精神障害の労災認定
Ⅰ 労保条例における支給制限と行政解釈
Ⅱ 労災保険給付における労災認定
Ⅲ 労基法における労災認定―労基法による使用者の補償責任を求める民事訴訟を中心に
第3章 台湾におけるストレス性疾患の使用者による民事損害賠償責任
第1節 債務不履行構成
Ⅰ 事実的因果関係の認定
Ⅱ 安全配慮義務の内容と使用者がとるべき措置
第2節 不法行為構成
Ⅰ 事実的因果関係の認定
Ⅱ 帰責事由の判断
第3節 過失相殺・素因減額の検討
Ⅰ 過失相殺
Ⅱ 素因減額の可否
第4章 本編のまとめ
第1節 台湾の労災救済制度の特徴
Ⅰ 労災補償制度の特徴―労災補償・職業災害保険
Ⅱ 労災民訴の特徴―使用者への損害賠償請求
第2節 台湾におけるストレス性疾患に対する労災補償の特徴
Ⅰ 脳心疾患に対する労災認定
Ⅱ 精神障害に対する労災認定
第3節 台湾におけるストレス性疾患に関する労災民訴の特徴および労災認定との関係
Ⅰ ストレス性疾患に関する労災民訴の特徴
Ⅱ 労災認定と労災民訴の関係
第4節 日本との相違
Ⅰ 労災補償責任の中心
Ⅱ 使用者責任のあり方
Ⅲ 取消訴訟の役割
◇第3編 日 本 法◇
第1章 日本における労災補償制度と労災民事損害賠償責任の概要
第1節 労災補償制度の概要
Ⅰ 労災補償制度の沿革
Ⅱ 労基法上の労災補償制度
Ⅲ 労災保険制度の仕組み
第2節 労災補償制度の基本的な仕組み
Ⅰ 補償の対象:事故性の傷病と非事故性の疾病
Ⅱ 事故性の傷病の業務上の認定枠組み
Ⅲ 非事故性の疾病の業務上の認定枠組み
Ⅳ 小 括
第3節 日本における労災民事訴訟の概要
Ⅰ 使用者の民事損害賠償責任の追及の法的構成
Ⅱ 安全配慮義務の性質と立法化
Ⅲ 安全配慮義務の内容の類型化
Ⅳ 安全配慮義務違反の認定
第4節 労災補償・労災保険給付と損害賠償の調整
第2章 日本におけるストレス性疾患の労災認定
第1節 業務に起因する急性脳心疾患の業務上外認定
Ⅰ 事故が介在する急性脳心疾患の労災認定―事故性の傷病として
Ⅱ 事故が介在しない急性脳心疾患に対する補償の展開―非事故性の疾病として
Ⅲ 裁判例の推移および論点
Ⅳ 小 括
第2節 業務に起因する精神障害の業務上外認定
Ⅰ 支給制限
Ⅱ 精神障害に対する補償の展開
Ⅲ 裁判例の推移および論点
Ⅳ 小 括
第3節 本章のまとめ
第3章 日本におけるストレス性疾患に関する使用者の民事損害賠償責任
第1節 安全配慮義務違反の認定
Ⅰ 事実的因果関係の認定
Ⅱ ストレス性疾患に関する裁判例における安全配慮義務違反認定の動向
Ⅲ 小 括
第2節 帰責事由の判断
Ⅰ 安全配慮義務と予見可能性
Ⅱ 予見可能性の可否
Ⅲ 小 括
第3節 過失相殺・素因減額の検討
Ⅰ 過失相殺・素因減額の可否
Ⅱ 判例の検討
Ⅲ 小 括
第4章 本編のまとめ
第1節 労災の定義とストレス性疾患の特色
第2節 行政解釈(認定基準)の位置づけと機能
第3節 併存主義という制度枠組み
第4節 労災認定と労災民訴の関係
◇第4編 総 括◇
第1章 日米台の比較法的考察
第1節 労働災害の定義とストレス性疾患の補償可能性の関係
第2節 行政解釈の位置づけと機能
Ⅰ 行政側による労災認定基準の有無とその必要性
Ⅱ 労災補償制度の健全性確保と行政解釈の機能
第3節 単一救済主義・併存主義という制度枠組み
Ⅰ 労災補償の範囲との関係
Ⅱ 労災補償請求と民事損害賠償の立法政策について
第2章 今後の課題
事項索引
内容説明
日本、アメリカ、台湾の労災救済制度を①労働災害の定義における業務上のストレス性疾患の位置づけ、②行政による労災認定基準の意義と機能、③労災補償による単一救済制度か民事賠償との併存的救済制度か、④併存的救済制度の場合の労災補償と労災民訴との相互作用という視点から綿密に分析。