法発展における法ドグマーティクの意義 ─ 日独シンポジウム
総合叢書 8
ドグマーティク概念が理論と実務の交錯点であるとの伝統的な視点に立ち、学問的方法や比較法的方法、判例分析を行うことを通じて、新たに接近を試みる。日独の第一線の研究者が終結、現代的で最先端の議論を一冊に凝縮した待望の書。
松本博之(龍谷大学法学部教授)
野田昌吾(大阪市立大学大学院法学研究科教授)
守矢健一(大阪市立大学大学院法学研究科教授) 編
はしがき
◆第Ⅰ部◆ 基礎研究とドグマーティク
日本における解釈構成探求の一例:磯村哲の法理論の形成過程[守矢健一]…………………………………………… 3
Ⅰ はじめに:解釈構成(Dogmatik)という概念の問題(3)
Ⅱ 出発点:不当利得論(7)
Ⅲ 基礎理論的な迂回:社会法・自然法・歴史法学・自由法運動(12)
Ⅳ 再び法解釈構成上の研究の強化へ:錯誤論(16)
1 本質的性質という概念の規定(20)
2 表示と事実との不一致(21)
Ⅴ 結語:類型論的思考,法解釈構成,カズイスティクと法比較(22)
ドイツから見た基礎研究とドグマーティク[トーマス・ヴュルテンベルガー〔杉本好央 訳〕]………………………………………… 27
Ⅰ 法の内的観点から見た,基礎研究とドグマーティクとの関係(28)
1 基礎研究と法ドグマーティクとの限界付け(29)
Ⅱ 法の外的領域(38)
1 法ドグマーティクと社会変化に関する理論(38)
2 法および法ドグマーティクによる自然科学的―技術的基礎研究の制限(40)
3 自然科学 ――技術分野の応用研究と法学研究(41)
Ⅲ 結 語(44)
◆第Ⅱ部◆ 法解釈学と民法における判例法
日本の民法解釈論における末弘法学の意義[杉本好央]…………………………………………………………………49
Ⅰ 序 論(49)
Ⅱ 末弘法学の論敵(50)
Ⅲ 末弘法学の一般的性格(52)
Ⅳ 末弘法学における判例の理解(55)
Ⅴ 末弘法学における判例研究(58)
Ⅵ 結 語(62)
失敗した法律の修正 ――538年5月1日Justinianus新勅法について[ヴォルフガング・カイザー〔守矢健一 訳〕]……………… 65
Ⅰ 導 入(65)
Ⅱ ユ帝新勅法538年5月1日の背景(70)
1 538年5月1日新勅法のきっかけ(70)
2 ユ帝時代の公布(71)
Ⅲ 相続人指定および義務分の拡大に関するユ帝諸法律(77)
1 531年3月1日の相続人指定法律(77)
2 義務分に係る536年3月1日法律(79)
3 皇帝による,個別事例に係る修正(81)
Ⅳ 538年5月1日新勅法による確定(83)
1 今後の原則と定め(83)
2 過去の法的状態の明瞭化(85)
3 勅法の施行(90)
4 補説:二つの法律のその後の効力(91)
Ⅴ 新勅法の不正確について(92)
Ⅵ ユ帝時代の法学講義における新勅法の理解(94)
◆第Ⅲ部◆ 法ドグマティークと,国家行政活動に係る新たな法的諸問題
行政制裁と法ドグマーティク[中原茂樹]……………………………………………………………………………………101
Ⅰ はじめに(101)
Ⅱ 日本における行政制裁の例(102)
1 過料(102)
2 制裁手段としての課徴金(103)
3 制裁手段としての公表(103)
Ⅲ 法ドグマーティクが行政制裁に与える影響(104)
1 二重処罰の禁止(104)
2 比例原則(105)
3 裁判手続によらない制裁?(106)
Ⅳ おわりに(106)
国家任務の民営化における法ドグマーティクの役割[フリードリヒ・ショッホ〔中原茂樹 訳〕]…………………………………… 107
Ⅰ テーマ設定における問題の地平(107)
1 民営化措置の自然発生性(107)
2 政治の領域としての民営化(108)
3 枠秩序としての法(110)
Ⅱ 民営化措置の普遍性(111)
1 民営化の概念(111)
2 民営化措置のための任務分野(112)
3 国家および行政レベル(113)
Ⅲ 法ドグマーティクの機能および意味(115)
1 概念理解の明確化(115)
2 法ドグマーティクの機能(117)
3 法ドグマーティクの利用(118)
Ⅳ 民営化の法ドグマーティシュな浸透(119)
1 法ドグマーティクの諸次元(120)
2 判例による法ドグマーティクの利用(124)
3 補論:行政学的アプローチと法ドグマーティクとの対立(127)
Ⅴ 結論:法ドグマーティクの能力(129)
◆第Ⅳ部◆ 法政策と法解釈学
裁判所の政治学と日本の裁判[野田昌吾]……………………………………………………………………………… 133
Ⅰ はじめに(133)
Ⅱ 裁判統制の政治学(134)
1 政治学における司法研究(134)
2 裁判所の内部統制と司法の独立をめぐる議論(136)
3 政治-司法関係の変遷と裁判統制(140)
Ⅲ 裁判統制と裁判所ドグマーティク(145)
1 裁判統制のシステム(145)
2 「裁判所ドグマーティク」(149)
Ⅳ 変わる政治,変わる司法 ――グローバル化とポピュリズム時代の政治と司法(152)
1 日本政治の流動化と司法(152)
2 グローバル化と司法改革の進展(153)
Ⅴ 曲がり角にある日本の司法(158)
1 司法改革への適応による「成功」(158)
2 両刃の剣としての新司法制度と新しい組織戦略(160)
公法における法ドグマーティクと法政策[ライナー・ヴァール〔野田昌吾 訳〕]……………………………………………………163
Ⅰ 問題の所在(163)
1 ドイツの法律家にとっての自明なものとしての法ドグマーティク(163)
2 法政策に関する常識的理解(164)
Ⅱ 法ドグマーティクの特性と機能(165)
1 法ドグマーティクの機能(165)
2 ドグマーティクの作業の例(167)
3 法ドグマーティクというドイツ的観念の特性(169)
4 新しい定義(171)
5 ドグマーティクにおける法政策の要素(172)
6 ドグマーティクの相対化された理解(173)
Ⅲ (法ドグマーティクと法政策の関係の)特別な状況としての,憲法と単純法規との関係(174)
Ⅳ ドイツの法ドグマーティクと他の法秩序におけるその代替肢(175)
◆第Ⅴ部◆ 刑事法の法発展への法解釈学の影響
刑法における判例と立法の役割 ――ヨーロッパ法教義学の日本化の一例[浅田和茂]……………………………… 183
Ⅰ はじめに(183)
Ⅱ 旧刑法と判例(184)
Ⅲ 現行刑法と戦前の判例(185)
Ⅳ 戦後初期の動きと判例(187)
Ⅴ その後の判例の動き(189)
Ⅵ 刑事立法の「活性化」と刑法改正(190)
Ⅶ おわりに(193)
刑法の展開にとっての法教義学の意義について[ヴォルフガング・フリッシュ〔浅田和茂 訳〕]……………………………………195
Ⅰ 既存のものの「熟考」としての法教義学?(195)
Ⅱ 批判的かつ法発展を促進する教義学の条件,正しきものの前実定的内容(197)
Ⅲ 前実定的な正しい法の展開 ――法教義学の課題?(198)
1 刑法における適切な法適用の不可欠な要件としての前実定的な理論およびモデル(199)
2 法教義学と実践的哲学(203)
3 法律を充足する理論と法律を超越する理論との実質的同一性
――法教義学の動的構成要素としての実践的哲学(203)
Ⅳ 実践的哲学および法的教義学の刑法の発展に対する意義について ――一つの回顧(204)
1 総論の例:プーフェンドルフ,フォイエルバッハ,フォン・リスト(205)
2 刑事訴訟の例(210)
Ⅴ 刑法の発展に対する刑法教義学の消えゆく意義について(212)
1 所見および例証(212)
2 ありうべき諸理由(214)
◆第Ⅵ部◆ 民事訴訟法解釈学における実体法と手続法
民事訴訟法ドグマーティクにおける実体法と訴訟法[松本博之]………………………………………………………… 219
Ⅰ 民事訴訟法の継受と民事訴訟法学の始まり(219)
1 明治期における民事訴訟法の継受と民事訴訟法学の始まり(219)
2 本稿の課題(220)
Ⅱ 訴訟目的論(221)
1 明治23年民事訴訟法の下での訴訟目的論(211)
2 大正15年改正民事訴訟法の下での訴訟目的論(222)
3 第二次世界大戦終了後の民事訴訟法学における民事訴訟目的論(225)
4 憲法(法治国家原理)および国際人権規約との関係(230)
Ⅲ 民事訴訟法学におけるドグマーティクからの離反(233)
1 解釈の柔軟化への指向の根強さ(233)
2 判例の発展に対する学説の協働(237)
3 評 価(239)
Ⅳ 最終的コメント ――プラグマティクな訴訟法解釈の勝利か?(240)
ドイツ民事訴訟のドグマーティクにおける実体法と手続法[アレクサンダー・ブルンス〔松本博之 訳〕]………………………… 243
Ⅰ 課題の設定(243)
Ⅱ 実体法と手続法の分離のイデーの歴史(244)
Ⅲ 憲法上の司法保障の意味(245)
Ⅳ 民事訴訟上の権利実行にとっての訴訟法的な性質決定と準則形成の優位(246)
Ⅴ 訴訟法ドグマーティクの,選択された領域における実体法と訴訟法(247)
1 訴訟物理論(247)
2 既判力理論(249)
3 訴訟法律関係(251)
Ⅵ 民事訴訟法の発展に対するドグマーティクの意義(257)
Ⅶ 要 約(258)
◆第Ⅶ部◆ 会社法における平等原則
日本法における株主平等原則の発展と課題[高橋英治]…………………………………………………………………263
Ⅰ はじめに(263)
Ⅱ 商法典の編纂と株主平等原則(264)
Ⅲ ドイツ法の学説継受(267)
Ⅳ 判例法の発展(269)
1 戦前の大審院判例 ――株式の消却と併合(269)
2 戦後の株主平等原則のリーディングケース ――株主と会社との取引における平均的正義の実現(271)
3 株主平等と総会運営(272)
4 ブルドックソース事件(273)
Ⅴ 今後の課題 ――ドイツ法から何を学ぶべきか(274)
1 司法上の課題(274)
2 立法上の課題(278)
3 企業結合法制の補完原理としての平等原則(278)
会社法における平等取扱原則と誠実義務[ウベ・ブラウロック〔高橋英治 訳〕]…………………………………………………281
Ⅰ 平等取扱原則(281)
1 基 礎(281)
2 名宛人(284)
3 形式的―実質的不平等取扱(287)
4 平等原則違反の効果(288)
Ⅱ 会社上の誠実義務(290)
Ⅲ システム全体における平等取扱原則と誠実義務(293)
◆第Ⅷ部◆ 労働・社会法における法解釈学の意義
労働法規の公法的効力と私法的効力[根本到]………………………………………………………………………… 299
Ⅰ 問題の所在(299)
Ⅱ 私法的効力をめぐる議論状況(303)
1 高年法(303)
2 派遣法(307)
3 その他の法律をめぐる議論状況(309)
Ⅲ 私法的効力否定論の法政策的背景(311)
1 「労働市場法」論におけるソフトロー・アプローチと憲法27条論(311)
2 「採用の自由」論(312)
Ⅳ 私法的効力否定論の問題点(312)
1 労働法における公法と私法の関係 ――「労働市場法」論の問題点(312)
2 私法的効力の有無に関する判断基準(315)
3 法的効果の内容(317)
Ⅴ おわりに(320)
労働法における学問と実務への法解釈学の影響[セバスチャン・クレッバー〔根本到 訳〕]…………………………………… 321
Ⅰ テーマの限定(321)
Ⅱ 労働法学における労働法の独自性をめぐる取組み(322)
1 伝統的労働法学(322)
2 ヴァイマル時代の労働法教科書(326)
3 学問的テーマとしての労働法の独自性(329)
Ⅲ 一般民法による解決が適切でない場合の労働法独自の観点の諸例(330)
1 編入理論と事実的労働関係(330)
2 事業所慣行(331)
3 労働者の損害賠償責任の制限(332)
4 争議行為と労働関係(333)
Ⅳ 民法的解決法が欠如する場合の労働法の独自性(334)
1 集団的労働契約による労働関係の内容形成(334)
2 争議行為の適法性(335)
Ⅴ 結語―法解釈学と労働法(336)
社会保障法における解釈論の意義[ウルズラ・ケーブル〔木下秀雄 訳〕]……………………………………………………… 339
Ⅰ 議論の出発点 ――社会保障法概念(Sozialrechtsbegriff)と社会保障法の特徴(339)
Ⅱ 社会政策とその法律への円滑な転換の重要性(342)
Ⅲ 規範秩序の不明確さと不完全性を除去するという意味での解釈
――法律解釈と不確定法概念の具体化という中心分野(344)
Ⅳ 社会保障法の「外的体系」と「内的体系」に取り組む仕事としての解釈論
――法典化計画――諸原理の析出(352)
Ⅴ 社会保障法発展の促進力であるとともに阻害要因でもありうる上位法の解釈論(356)
1 憲法の影響(356)
2 ヨーロッパ法の影響(362)
Ⅵ 解釈論的作業における役割分担(364)
Ⅶ 結 論(366)
野田昌吾(大阪市立大学大学院法学研究科教授)
守矢健一(大阪市立大学大学院法学研究科教授) 編
はしがき
◆第Ⅰ部◆ 基礎研究とドグマーティク
日本における解釈構成探求の一例:磯村哲の法理論の形成過程[守矢健一]…………………………………………… 3
Ⅰ はじめに:解釈構成(Dogmatik)という概念の問題(3)
Ⅱ 出発点:不当利得論(7)
Ⅲ 基礎理論的な迂回:社会法・自然法・歴史法学・自由法運動(12)
Ⅳ 再び法解釈構成上の研究の強化へ:錯誤論(16)
1 本質的性質という概念の規定(20)
2 表示と事実との不一致(21)
Ⅴ 結語:類型論的思考,法解釈構成,カズイスティクと法比較(22)
ドイツから見た基礎研究とドグマーティク[トーマス・ヴュルテンベルガー〔杉本好央 訳〕]………………………………………… 27
Ⅰ 法の内的観点から見た,基礎研究とドグマーティクとの関係(28)
1 基礎研究と法ドグマーティクとの限界付け(29)
Ⅱ 法の外的領域(38)
1 法ドグマーティクと社会変化に関する理論(38)
2 法および法ドグマーティクによる自然科学的―技術的基礎研究の制限(40)
3 自然科学 ――技術分野の応用研究と法学研究(41)
Ⅲ 結 語(44)
◆第Ⅱ部◆ 法解釈学と民法における判例法
日本の民法解釈論における末弘法学の意義[杉本好央]…………………………………………………………………49
Ⅰ 序 論(49)
Ⅱ 末弘法学の論敵(50)
Ⅲ 末弘法学の一般的性格(52)
Ⅳ 末弘法学における判例の理解(55)
Ⅴ 末弘法学における判例研究(58)
Ⅵ 結 語(62)
失敗した法律の修正 ――538年5月1日Justinianus新勅法について[ヴォルフガング・カイザー〔守矢健一 訳〕]……………… 65
Ⅰ 導 入(65)
Ⅱ ユ帝新勅法538年5月1日の背景(70)
1 538年5月1日新勅法のきっかけ(70)
2 ユ帝時代の公布(71)
Ⅲ 相続人指定および義務分の拡大に関するユ帝諸法律(77)
1 531年3月1日の相続人指定法律(77)
2 義務分に係る536年3月1日法律(79)
3 皇帝による,個別事例に係る修正(81)
Ⅳ 538年5月1日新勅法による確定(83)
1 今後の原則と定め(83)
2 過去の法的状態の明瞭化(85)
3 勅法の施行(90)
4 補説:二つの法律のその後の効力(91)
Ⅴ 新勅法の不正確について(92)
Ⅵ ユ帝時代の法学講義における新勅法の理解(94)
◆第Ⅲ部◆ 法ドグマティークと,国家行政活動に係る新たな法的諸問題
行政制裁と法ドグマーティク[中原茂樹]……………………………………………………………………………………101
Ⅰ はじめに(101)
Ⅱ 日本における行政制裁の例(102)
1 過料(102)
2 制裁手段としての課徴金(103)
3 制裁手段としての公表(103)
Ⅲ 法ドグマーティクが行政制裁に与える影響(104)
1 二重処罰の禁止(104)
2 比例原則(105)
3 裁判手続によらない制裁?(106)
Ⅳ おわりに(106)
国家任務の民営化における法ドグマーティクの役割[フリードリヒ・ショッホ〔中原茂樹 訳〕]…………………………………… 107
Ⅰ テーマ設定における問題の地平(107)
1 民営化措置の自然発生性(107)
2 政治の領域としての民営化(108)
3 枠秩序としての法(110)
Ⅱ 民営化措置の普遍性(111)
1 民営化の概念(111)
2 民営化措置のための任務分野(112)
3 国家および行政レベル(113)
Ⅲ 法ドグマーティクの機能および意味(115)
1 概念理解の明確化(115)
2 法ドグマーティクの機能(117)
3 法ドグマーティクの利用(118)
Ⅳ 民営化の法ドグマーティシュな浸透(119)
1 法ドグマーティクの諸次元(120)
2 判例による法ドグマーティクの利用(124)
3 補論:行政学的アプローチと法ドグマーティクとの対立(127)
Ⅴ 結論:法ドグマーティクの能力(129)
◆第Ⅳ部◆ 法政策と法解釈学
裁判所の政治学と日本の裁判[野田昌吾]……………………………………………………………………………… 133
Ⅰ はじめに(133)
Ⅱ 裁判統制の政治学(134)
1 政治学における司法研究(134)
2 裁判所の内部統制と司法の独立をめぐる議論(136)
3 政治-司法関係の変遷と裁判統制(140)
Ⅲ 裁判統制と裁判所ドグマーティク(145)
1 裁判統制のシステム(145)
2 「裁判所ドグマーティク」(149)
Ⅳ 変わる政治,変わる司法 ――グローバル化とポピュリズム時代の政治と司法(152)
1 日本政治の流動化と司法(152)
2 グローバル化と司法改革の進展(153)
Ⅴ 曲がり角にある日本の司法(158)
1 司法改革への適応による「成功」(158)
2 両刃の剣としての新司法制度と新しい組織戦略(160)
公法における法ドグマーティクと法政策[ライナー・ヴァール〔野田昌吾 訳〕]……………………………………………………163
Ⅰ 問題の所在(163)
1 ドイツの法律家にとっての自明なものとしての法ドグマーティク(163)
2 法政策に関する常識的理解(164)
Ⅱ 法ドグマーティクの特性と機能(165)
1 法ドグマーティクの機能(165)
2 ドグマーティクの作業の例(167)
3 法ドグマーティクというドイツ的観念の特性(169)
4 新しい定義(171)
5 ドグマーティクにおける法政策の要素(172)
6 ドグマーティクの相対化された理解(173)
Ⅲ (法ドグマーティクと法政策の関係の)特別な状況としての,憲法と単純法規との関係(174)
Ⅳ ドイツの法ドグマーティクと他の法秩序におけるその代替肢(175)
◆第Ⅴ部◆ 刑事法の法発展への法解釈学の影響
刑法における判例と立法の役割 ――ヨーロッパ法教義学の日本化の一例[浅田和茂]……………………………… 183
Ⅰ はじめに(183)
Ⅱ 旧刑法と判例(184)
Ⅲ 現行刑法と戦前の判例(185)
Ⅳ 戦後初期の動きと判例(187)
Ⅴ その後の判例の動き(189)
Ⅵ 刑事立法の「活性化」と刑法改正(190)
Ⅶ おわりに(193)
刑法の展開にとっての法教義学の意義について[ヴォルフガング・フリッシュ〔浅田和茂 訳〕]……………………………………195
Ⅰ 既存のものの「熟考」としての法教義学?(195)
Ⅱ 批判的かつ法発展を促進する教義学の条件,正しきものの前実定的内容(197)
Ⅲ 前実定的な正しい法の展開 ――法教義学の課題?(198)
1 刑法における適切な法適用の不可欠な要件としての前実定的な理論およびモデル(199)
2 法教義学と実践的哲学(203)
3 法律を充足する理論と法律を超越する理論との実質的同一性
――法教義学の動的構成要素としての実践的哲学(203)
Ⅳ 実践的哲学および法的教義学の刑法の発展に対する意義について ――一つの回顧(204)
1 総論の例:プーフェンドルフ,フォイエルバッハ,フォン・リスト(205)
2 刑事訴訟の例(210)
Ⅴ 刑法の発展に対する刑法教義学の消えゆく意義について(212)
1 所見および例証(212)
2 ありうべき諸理由(214)
◆第Ⅵ部◆ 民事訴訟法解釈学における実体法と手続法
民事訴訟法ドグマーティクにおける実体法と訴訟法[松本博之]………………………………………………………… 219
Ⅰ 民事訴訟法の継受と民事訴訟法学の始まり(219)
1 明治期における民事訴訟法の継受と民事訴訟法学の始まり(219)
2 本稿の課題(220)
Ⅱ 訴訟目的論(221)
1 明治23年民事訴訟法の下での訴訟目的論(211)
2 大正15年改正民事訴訟法の下での訴訟目的論(222)
3 第二次世界大戦終了後の民事訴訟法学における民事訴訟目的論(225)
4 憲法(法治国家原理)および国際人権規約との関係(230)
Ⅲ 民事訴訟法学におけるドグマーティクからの離反(233)
1 解釈の柔軟化への指向の根強さ(233)
2 判例の発展に対する学説の協働(237)
3 評 価(239)
Ⅳ 最終的コメント ――プラグマティクな訴訟法解釈の勝利か?(240)
ドイツ民事訴訟のドグマーティクにおける実体法と手続法[アレクサンダー・ブルンス〔松本博之 訳〕]………………………… 243
Ⅰ 課題の設定(243)
Ⅱ 実体法と手続法の分離のイデーの歴史(244)
Ⅲ 憲法上の司法保障の意味(245)
Ⅳ 民事訴訟上の権利実行にとっての訴訟法的な性質決定と準則形成の優位(246)
Ⅴ 訴訟法ドグマーティクの,選択された領域における実体法と訴訟法(247)
1 訴訟物理論(247)
2 既判力理論(249)
3 訴訟法律関係(251)
Ⅵ 民事訴訟法の発展に対するドグマーティクの意義(257)
Ⅶ 要 約(258)
◆第Ⅶ部◆ 会社法における平等原則
日本法における株主平等原則の発展と課題[高橋英治]…………………………………………………………………263
Ⅰ はじめに(263)
Ⅱ 商法典の編纂と株主平等原則(264)
Ⅲ ドイツ法の学説継受(267)
Ⅳ 判例法の発展(269)
1 戦前の大審院判例 ――株式の消却と併合(269)
2 戦後の株主平等原則のリーディングケース ――株主と会社との取引における平均的正義の実現(271)
3 株主平等と総会運営(272)
4 ブルドックソース事件(273)
Ⅴ 今後の課題 ――ドイツ法から何を学ぶべきか(274)
1 司法上の課題(274)
2 立法上の課題(278)
3 企業結合法制の補完原理としての平等原則(278)
会社法における平等取扱原則と誠実義務[ウベ・ブラウロック〔高橋英治 訳〕]…………………………………………………281
Ⅰ 平等取扱原則(281)
1 基 礎(281)
2 名宛人(284)
3 形式的―実質的不平等取扱(287)
4 平等原則違反の効果(288)
Ⅱ 会社上の誠実義務(290)
Ⅲ システム全体における平等取扱原則と誠実義務(293)
◆第Ⅷ部◆ 労働・社会法における法解釈学の意義
労働法規の公法的効力と私法的効力[根本到]………………………………………………………………………… 299
Ⅰ 問題の所在(299)
Ⅱ 私法的効力をめぐる議論状況(303)
1 高年法(303)
2 派遣法(307)
3 その他の法律をめぐる議論状況(309)
Ⅲ 私法的効力否定論の法政策的背景(311)
1 「労働市場法」論におけるソフトロー・アプローチと憲法27条論(311)
2 「採用の自由」論(312)
Ⅳ 私法的効力否定論の問題点(312)
1 労働法における公法と私法の関係 ――「労働市場法」論の問題点(312)
2 私法的効力の有無に関する判断基準(315)
3 法的効果の内容(317)
Ⅴ おわりに(320)
労働法における学問と実務への法解釈学の影響[セバスチャン・クレッバー〔根本到 訳〕]…………………………………… 321
Ⅰ テーマの限定(321)
Ⅱ 労働法学における労働法の独自性をめぐる取組み(322)
1 伝統的労働法学(322)
2 ヴァイマル時代の労働法教科書(326)
3 学問的テーマとしての労働法の独自性(329)
Ⅲ 一般民法による解決が適切でない場合の労働法独自の観点の諸例(330)
1 編入理論と事実的労働関係(330)
2 事業所慣行(331)
3 労働者の損害賠償責任の制限(332)
4 争議行為と労働関係(333)
Ⅳ 民法的解決法が欠如する場合の労働法の独自性(334)
1 集団的労働契約による労働関係の内容形成(334)
2 争議行為の適法性(335)
Ⅴ 結語―法解釈学と労働法(336)
社会保障法における解釈論の意義[ウルズラ・ケーブル〔木下秀雄 訳〕]……………………………………………………… 339
Ⅰ 議論の出発点 ――社会保障法概念(Sozialrechtsbegriff)と社会保障法の特徴(339)
Ⅱ 社会政策とその法律への円滑な転換の重要性(342)
Ⅲ 規範秩序の不明確さと不完全性を除去するという意味での解釈
――法律解釈と不確定法概念の具体化という中心分野(344)
Ⅳ 社会保障法の「外的体系」と「内的体系」に取り組む仕事としての解釈論
――法典化計画――諸原理の析出(352)
Ⅴ 社会保障法発展の促進力であるとともに阻害要因でもありうる上位法の解釈論(356)
1 憲法の影響(356)
2 ヨーロッパ法の影響(362)
Ⅵ 解釈論的作業における役割分担(364)
Ⅶ 結 論(366)
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