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自治体の出訴権と住基ネット─杉並区訴訟をふまえて

総合叢書 4

自治体の出訴権と住基ネット─杉並区訴訟をふまえて

自治体の出訴権をめぐる人権憲法問題

著者 兼子 仁
阿部 泰隆
ジャンル 法律  > 国際法/国際関係/国際私法
シリーズ 法律・政治  > 総合叢書
出版年月日 2009/06/30
ISBN 9784797254549
判型・ページ数 A5変・304ページ
定価 本体6,800円+税
在庫 在庫あり
 

目次

刊行にあたって 兼子 仁・阿部泰隆

★1 政策法務からみた住基ネット杉並区訴訟の意義 〔兼子 仁〕  3

はじめに――杉並区訴訟の位置づけ  3

1.住基ネット訴訟としての杉並区訴訟の役割  6

1-1 住基ネット差止訴訟の憲法裁判としての意義 6

1-1-1 住基ネット差止訴訟の憲法裁判性 6
(1) 差止請求の直接根拠としての憲法13条・ 自己情報コントロール権 6
(2) 制度違憲ではない“適用違憲”の主張  6
1-1-2 本人確認情報のデータマッチングによる人権侵害の制度的 危険性の段階的主張  7
(1) 自己情報コントロール権の制度的保障とIT・“監視国家”との 対立問題 7
(2) 利用事務法定主義で個人情報保護になりうるのか  8
1-1-3 最高裁第一小法廷平20・3・6判決の特徴と位置づけ 9
(1) 憲法13条のプライバシー人権に「自己情報コントロール権」を含めず、憲法学の通説から乖離している 9
(2) 「本人確認情報」自体の非秘匿性と利用事務法定主義を 制度形式的に優先視して、訴訟上の諸主張に対応していない 10

1-2 住基ネット杉並区訴訟の特色と役割  10

1-2-1 “希望区民情報の受信請求”と“選択的接続”合憲適法の 主張 10
(1) 杉並区による住基ネット法制矛盾の追及 10
(2) いわゆる横浜方式の適用請求と国側の違法見解について 11
1-2-2 住基ネット法制の憲法適合解釈と自治行政裁量権の問題  11
(1) 住基法の体系的解釈としての憲法13条原理への適合解釈 11
(2) 住基ネットの法定「自治事務」性と地方自治権の憲法保障に基づく自治行政裁量権 12
1-2-3 最高裁第三小法廷の上告等棄却決定の特徴と位置づけ 13
(1) 上告等棄却決定の実質的解釈が必要  13
(2) 住基ネット憲法裁判の凝縮と自治体出訴権問題を区別する必要 13

2.自治体出訴裁判である杉並区訴訟の意義 14

2-1 宝塚市事件最高裁判例をのりこえる必要性  14

2-1-1 財産権と行政権との峻別論の問題性 14
(1) 宝塚市事件最高判の判旨を杉並区訴訟に直接適用する問題 14
(2) 宝塚市最高判を杉並区訴訟に適用することの内在的問題 15
2-1-2 「法律上の争訟」および自治体の行政関係出訴適格の限定解釈の問題性  16
(1) 司法権にかかる「法律上の争訟」の個人権利保障紛争への 限定問題 16
(2) 自治体の国などに対する出訴を「機関訴訟」に限定するという問題  16

2-2 自治体の自治出訴権に関する公法学説の今後的役割  17

2-2-1 憲法上の「司法権」および「法律上の争訟」の本質論 17
(1) 憲法上の「司法権」と行政権の裁判的統制・司法的保障 17
(2) 「法律上の争訟」と「機関訴訟」論の見直し 18
2-2-2 地方自治権の憲法保障と司法的保障  20
(1) 地方自治権の“憲法伝来説”に基づく司法的保障 20
(2) 自治体の自治権益の種別に応じた司法救済の必要 20

むすびにかえて―“研究座談会記録”というものについて 21

★2 杉並区訴訟の経過および主要争点 〔住基ネット杉並区訴訟弁護団:吉川基道・藤田康幸
・市川和明〕  23

1.提訴に至るまでの経緯 23
2.第一審での主張・立証と審理経過 24
3.控訴審での主張・立証と判決 28
4.上告審での主張と審理経過 35

★3 自治権侵害に対する自治体の出訴適格 43

3-1 〈研究座談会(その1)〉逐語記録 〔阿部泰隆・内野正幸・渋谷秀樹・曽和俊文・高木光・常岡孝好
・棟居快行〕 43
1.司法権の概念と法律上の争訟性解釈について 46
2.東京高裁判決の議論について 66
3.機関訴訟について 69
4.地方自治権と自治体の出訴資格について 73
5.宝塚市条例事件判決の評価について 82
6.宝塚市条例事件判決の射程範囲について 86
7.藤田宙靖説について 93

3-2 〈研究座談会(その1)〉

出席者の見解要約 99

見解要約 〔内野正幸〕… 99

見解要約 〔渋谷秀樹〕… 100
1 司法の定義 100
(1) 清宮四郎の定義(100)
(2) 宮沢俊義の定義(100)
(3) 部信喜の定義(100)  
(4) 佐藤幸治の定義(101)
(5) 高橋和之の定義(101)
2 司法の定義に伴う問題点 102
(1) 司法の定義を要する理由(何のための定義か)(103)
(2) 定義の明確性(103)
3 司法の定義への展望 104
(1) 歴史性への回帰(104)
(2) 司法が果たすべき役割からの定義(104)
4 判決の採る司法の定義 105
(1) 問題意識(105)  
(2) 最高裁の定義(105)
(3) 警察予備隊違憲訴訟(105)
(4) 裁判を受ける権利との関係(105)
5 法律上の争訟の分析  106
(1) 宝塚パチンコ条例事件・最判平成14・7・9民集56巻6号 1134頁における定義(106) 
(2) この判決の問題点(107)
(a) 対立性の問題(107) (b) 「財産権の主体」と「公権力の主体」との区別(107)
6 結びにかえて 108

見解要約 〔曽和俊文〕… 109
1 事件性要件について 109
2 本件訴訟が「法律上の争訟」性を満たすという法的論理 109
3 結  論  110

見解要約 〔高木 光〕… 111
1 司法権の概念と法律上の争訟性解釈について 111
2 地方自治権と自治体の出訴資格について 111
3 機関訴訟と行政主体間訴訟との関係について 111
4 宝塚市条例事件判決の評価とその射程範囲について  111
5 杉並区住基ネット訴訟と法律上の争訟性について 111
6 その他関連する論点について  111

見解要約 〔常岡孝好〕… 112
1 司法権の概念と法律上の争訟性解釈について  112
2 地方自治権と自治体の出訴資格について 112
3 機関訴訟と行政主体間訴訟の関係について 113
4 宝塚市条例事件判決の評価とその射程範囲について 113
5 杉並区住基ネット訴訟と法律上の争訟性について 113

見解要約 〔棟居快行〕 
1 司法権の概念と法律上の争訟 114
2 地方自治権と自治体の出訴資格について 114
3 機関訴訟と行政主体間訴訟の関係について 114
4 宝塚市条例事件判決の射程  114
5 杉並区住基ネット訴訟と法律上の争訟性について 115

3-3 地方公共団体の出訴資格 ―〈研究座談会〉記録へのコメント― 〔塩野 宏〕… 117

はしがき  117
1.比較法的・歴史的研究の重要性 117
2.司法権の概念と法律上の争訟性解釈について 119
3.地方自治権と自治体の出訴資格について 120
4.機関訴訟と行政主体間訴訟の関係について 131
5.宝塚条例事件判決の評価とその射程範囲について 132

3-4 司法権・法律上の争訟概念再考 ―国と地方公共団体間、地方公共団体間の訴訟は、財産権をめぐる訴訟に限られるのか― 〔阿部泰隆〕… 137

1.司法権、法律上の争訟に関する従前の定義 137
1-1 通説・判例、具体的な事件=個人の具体的な権利義務だけ?  137
1-2 国と地方公共団体の間の訴訟は具体的な権利義務に関わらない? 138
1-3 では、いわゆる客観訴訟は司法権の範囲外なのになぜ 認められるのか 139
2.民事法的な意味での主観訴訟性は不要 141
2-1 民事法的発想による論理的間違い  141
2-2 行政事件を審理する裁判所における法律上の争訟の観念 141
3.国と地方公共団体の間の訴訟は法律上の争訟 142
3-1 行政主体間の争いは法律上の争訟 142
3-2 機関訴訟の理解 142
3-3 住基ネット訴訟は機関訴訟ではない  143
3-4 国家関与に関する訴訟の性格 143
3-5 住基ネット訴訟における国家賠償訴訟との齟齬  144
4.では、客観訴訟をどう理解する?  144
4-1 客観訴訟も事件性、争訟性があること 144
4-2 法律で客観訴訟を限定するのは下克上的解釈 144
5.司法権の範囲と裁判を受ける権利、法治国家 145
5-1 個人では裁判を受ける権利 145
5-2 地方公共団体間の訴訟も法治国家における主観訴訟 146

★4 住基ネット法制における人権憲法問題に関する検討 149

4-1 〈研究座談会(その2)〉要点記録 〔兼子仁(司会・作成責任者)・内野正幸・中島徹・棟居快行・野村武司・平松毅〕  149

Ⅰ.本〈研究座談会〉の主旨 149
Ⅱ.本〈研究座談会〉における人権憲法問題の検討結果(要旨) 151
1 憲法13条は自己情報コントロール権を保障していないのか  151
1-1 はじめに ――“新しい人権”としての自己情報コントロール権 151
1-2 最高裁判所による憲法13条・プライバシー人権解釈の 判例状況と問題点 151
1-3 憲法学説における「自己情報コントロール権」の保障解釈 の通説的状況について 153
2 「自己情報コントロール権」という人権の特質について  153
2-1 「自己情報コントロール権」という情報プライバシー権は、私生活プライバシー(本来の「私生活上の自由」)と人権 としていかに異なるか 153
2-2 個人情報の中核(固有)情報と外延(周縁)情報との区別 は、人権保障上いかなる意味合いであると解すべきか ――「本人確認情報」の要保護性にかかわらせて 155
2-3 憲法13条が自己情報コントロール権を保障する効力の如何 ――法律の憲法適合解釈の指針としての効力について  156
3 住基ネット利用事務の法定主義・議会制民主主義は、 憲法上、本人同意に代わる自己情報コントロール権の保障 たりうるか 157
3-1 個人情報保護法制における本人同意原則に照らすとき、 利用事務法定主義の議会政治的多数決・間接民主制はいかに判断されるべきか 157
3-2 住基ネット利用事務を政策的に増加させる法令の立案ない し運用をコントロールする第三者機関の必要性について 158
4 住基ネットの現行法制におけるデータマッチング(名寄せ など多面情報結合)の制度的危険性は、憲法13条による 自己情報コントロール権・情報プライバシー保護にかか わっていかに判断されるべきか 159
5 住基ネットへの住民接続を決することにつき、憲法92条 「地方自治の本旨」に基づく地方自治体の自治権はいかにかかわると解されるか 161

4-2〈研究座談会(その2)〉逐語記録 163

1 憲法13条は自己情報コントロール権を保障していない のか 163
1-1 はじめに ――“新しい人権”としての自己情報コントロール権 163
1-2 最高裁判所による憲法13条・プライバシー人権解釈の 判例状況と問題点  163
1-3 憲法学説における「自己情報コントロール権」の保障解 釈の通説的状況について 168
2 「自己情報コントロール権」という人権の特質について  170
2-1 「自己情報コントロール権」という情報プライバシー権は、私生活プライバシー(本来の「私生活上の自由」)と人権としていかに異なるか  170
2-2 個人情報の中核(固有)情報と外延(周縁)情報との 区別は、人権保障上いかなる意味合いであると解すべきか ――「本人確認情報」の要保護性にかかわらせて 173
2-3 憲法13条が自己情報コントロール権を保障する効力の如何 ――法律の憲法適合解釈の指針としての効力について 178
3 住基ネット利用事務の法定主義・議会制民主主義は、 憲法上、本人同意に代わる自己情報コントロール権の保障たりうるか 181
3-1 個人情報保護法制における本人同意原則に照らすとき、利用事務法定主義の議会政治的多数決・間接民主制はいかに判断されるべきか  181
3-2 住基ネット利用事務を政策的に増加させる法令の立案ない し運用をコントロールする第三者機関の必要性について 182
4 住基ネットの現行法制におけるデータマッチング(名寄せ など多面情報結合)の制度的危険性は、憲法13条による自己情報コントロール権・情報プライバシー保護にかかわっていかに判断されるべきか  184
5 住基ネットへの住民接続を決することにつき、憲法92条 「地方自治の本旨」に基づく地方自治体の自治権はいかにかかわると解されるか 189

★5 資料編〔控訴審鑑定意見書〕 193

5-1 行政主体間の法的紛争は法律上の争訟にならないのか  〔阿部泰隆〕… 193

Ⅰ.要  旨 193
Ⅱ.本  文 193
第1 杉並住基ネット訴訟東京地裁判決の判決文 194
第2 先例となった最高裁判決の論理的誤謬  196
1 「法律上の争訟」の定義には賛成 196
2 平成14年最判の不適切性:なぜ財産権の主体としての訴訟 に限るのか 197
3 平成14年最判の射程範囲を不当に拡張すべきではない  199
4 「法律上の争訟」の体系的な把握 201
5 その他の最高裁判決の批判的分析 204
(1) 最判平成13年7月13日――那覇防衛情報公開請求事件  204
(2) 最判平成5年9月9日――池子弾薬庫訴訟、逗子準用河 川工事中止命令事件 205
第3 主要文献の分析  206
1 『裁判所法逐条解説上』 206
(1) その要点  206
(2) この書物は本件東京地裁判決の根拠にならないこと 208
2 兼子一=竹下守夫『裁判法[第4版]』(有斐閣、平成11年)  209
第4 本件東京地裁判決の批判的分析  212
1 本件紛争は法律関係に該当 212
2 都と区の紛争は独立の法主体間の紛争 212
3 国家賠償との関係 217
4 裁判を受ける権利との関係 218
5 住基法の裁量問題、文理解釈  218

5-2 住基ネットへの選択的送信に関し自治体に保障される法益の解釈について 〔兼子 仁〕… 221

Ⅰ.鑑定意見の結論 221
Ⅱ.鑑定意見の内容 221
第1 行政権限行使にかかる行政主体間訴訟の「法律上の争訟」 該当性について 221
1 行政機関間訴訟と行政主体間訴訟を大別する必要 ――「法律上の争訟」および「機関訴訟」の範囲を正しく見定めるために 222
2 行政主体法人による行政権限にかかる公法上の権利義務 の主張――公権力的権限の行使との区別 224
3 公法上の法律関係を確認する「当事者訴訟」(行訴法 改正4条後段)の本件における活用  225
第2 住民基本台帳法30条の5第1・2項の特質およびその体 系的解釈の必要性 226
1 住基法30条の5第1・2項の法的特質について 226
2 住基法30条の5第1・2項に関する体系的解釈の必要性 226
3 住基法30条の5第1・2項と36条の2第1項との体系 的解釈について  228
4 住基法30条の5第1・2項を個人情報保護法制と体系 的に解釈すべきこと 229
第3 いわゆる横浜方式の適法性に関して  233

5-3 憲法上のプライバシー権に係わる論点について  〔中島 徹〕… 235

はじめに 235
1.住基ネットをめぐる争点の所在 237
(1) コンピュータ・ネットワークの安全性と技術の評価  237
(2) 住基ネットへの侵入の可否と安全性の証明  238
(3) 技術の専門的判断と「相応の安全」性論 239
(4) 情報の保護をめぐる法的責任の所在 240
2.プライバシー権の多義性と権利性の関係 242
(1) 法的権利の一義的明確性について  242
(2) 私法上の人格権論の沿革と含意  243
(3) 一般的人格権と私法上の人格権――差止請求と一義的明確性  246
(4) 小  括  247
(5) 公的活動領域におけるプライバシー権 247
3.個人情報の法的保護  250
(1) 保護されるべき権利・利益の性質と保護の態様  250
(2) 情報の収集・利用におけるインフォームド・コンセント 251
(3) 本人確認情報保護の相対性と同意要件 253
(4) 小  括  254
4.プライバシー権と個人情報の保護、自己情報コントロール権 の関係 254
(1) プライバシー権を自己情報コントロール権と再定義すること の意味  254
(2) 自己情報コントロール権は制定法以前には存在しえないか 256
(3) 具体的文脈における自己情報コントロール権の権利内容^ 258
(4) 小  括 262
5.OECD8原則ならびにEU指令と住基法  263
(1) OECD8原則と住基法の関係をめぐる原審および堀部意見書の見解  263
(2) 原審および堀部意見書の問題点 265
(3) OECD8原則と行政機関個人情報保護法  267
6.憲法上のプライバシー権と住基ネット  269
(1) 私的領域に関する憲法上のプライバシー権 269
(2) 公的領域に関する憲法上のプライバシー権 271
(3) 憲法上のプライバシー権と公共の福祉  273

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内容説明

住基ネットをめぐる具体事例から、①憲法13条に基く「自己情報コントロール権」を侵害するか否かの人権憲法問題と②行政主体間における自治体の出訴権という公法問題を検討。公法・情報法の重要争点を、最先端かつ根源的な視野から議論する、法学会および実務界の要請に応える第一級の裁判記録。憲法・行政法・情報法などの重要問題を含み、幅広い読者に推奨の書。

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