目次
・はしがき
◆第一部 公権論における基本権の位置づけ ― 行政行為における憲法と法律の交錯
◇第一章 我国行政法理論における自由権の位置づけ
第一節 通説・判例=「法律上保護された利益説」とその問題点
第一款 「法律上保護された利益説」と「法的保護に値する利益説」の対立と行政行為における基本権保護の観点
第二款 「権利」と「法律上保護された利益」との関係
第三款 行政行為の名宛人の原告適格の根拠づけ
第二節「主観訴訟」としての取消訴訟の意義と原告適格論
第三節 検討すべき課題
◇第二章 自由権の《権利性》論争と「自由権」理論の形成
第一節 序説
第二節 《権利性》否定論の検討
第三節 《権利性》の肯定論の検討
第四節 《権利性》論争の整理
第五節 我国における「自由権」理論の形成
◇第三章 保護規範説の憲法的存立条件
第一節 伝統的保護規範説
第一款 伝統的保護規範説における自由権の位置づけ
第二款 伝統的保護規範説に対する批判と一般的自由権の拡張論
第二節 処分の根拠規範に基づく公権の基礎づけ
第一款 序
第二款 ヘンケの公権論
第三款 検討
第三節 保護規範説の再構成と基本権保護
第一款 序
第二款 基本権の保護規範の枠内における効果
第三款 基本権の保護規範の枠外における効果
第四款 保護規範説の再構成
第五款 保護規範説存立の憲法的条件
第四節 若干の検討
おわりに
◇補論-行政権の濫用による処分に対する取消訴訟について
第一節 問題の所在
第二節 最高裁判例=「法律上保護された利益説」の論理構造
第三節 「行政権濫用」による処分と原告適格
第四節 具体的実体判断の必要性について
第五節 おわりに
◆第二部 純粋法学における「権利」概念 ― 一般的法理論(Allgemeine Rechtslehre)の可能性と限界
序
◇第一章 序説-「規範創設への参与資格」としての「権利」概念
◇第二章 伝統的「権利」論に対する批判
第一節 「法的義務の反射」としての「権利」概念と「技術的意味の私法上の権利」概念
第二節 伝統的「権利」論との関係(一)-「利益」説
第三節 伝統的「権利」論との関係(ニ)-「意思」説
第四節 まとめ
◇第三章「権利」論の具体的展開
第一節 「技術的意味の私法上の権利」
第二節 「政治的権利」
◇第四章 若干の検討と残された問題
第一節 これまでの議論の要約
第二節 若干の考察(一)-「権利」論と「裁判」
第三節 若干の検討(ニ)-「法的義務の反射」としての「権利」概念について
◆第三部 行政法における「義務」の概念
一 問題の所在
二 行政法一般における「義務」の概念
三 事実行為に対する受忍「義務」
四 周辺住民の受忍「義務」
五 議論の方向
・事項・人名索引(巻末)
内容説明
社会構造の複雑化、行政課題の多様化に伴う問題点を考察。処分取消訴訟の対象(処分性)および原告適格をめぐる解釈問題を中心に行政訴訟と権理論を論ずる。行政法上の問題点を、憲法の基本権との関係をいかに考えるか、また、具体的な当事者間における権利義務関係を憲法規範なども視野に入れ、精緻に構成する必要性を提起。さらに、「権利」「自由」といった法関係の基本概念の法理学的な分析も試みる行政法学の方向性を示す。多様化・複雑化する行政法学研究に必備の名著、待望の第2刷新装版。