【伝統と革新、学術世界の未来を一冊一冊に】
ホーム > 現代法哲学講義

現代法哲学講義

現代法哲学講義

現代の論争テーマの法哲学による考察

著者 井上 達夫 編著
ジャンル 法律 > 法哲学
出版年月日 2009/04/20
ISBN 9784797225679
判型・ページ数 A5変・404ページ
定価 本体3,200円+税
在庫 在庫あり
 

目次

まえがき………………………………………………………………………………井上達夫……

 ――なぜ法哲学を学ぶのか

★第Ⅰ部★ 法思考と秩序の原理

テーマ1 法の支配と法的思考……………………………………………………高橋文彦……

      ――「法の論理」は裁判官の法的思考をどこまで拘束しうるか

 はじめに

 1 問題の所在:「法の支配」と「法的思考」

 2 リアリズム法学による説明可能性

  (1) フランクの説明図式

  (2) 長良川水害訴訟におけるS×P=D

 3 リアリズム法学の問題点

  (1) 心理的発見の文脈と論理的正当化の文脈

  (2) 外的視点と内的視点

 4 法的三段論法における小前提の再検討

  (1) 事実Fの不確定性

  (2) 安八訴訟および墨俣訴訟における事実認定

  (3) 「正しい準則の支配」としての「法の支配」

  (4) 証明責任における分配的正義

 5 法的三段論法における大前提の再検討

  (1) 法的ルールRの不確定性

  (2) 法的思考の非単調性と対話性

 結 語

テーマ2 人格概念の法思想史的淵源とその変容…………………………………桜井徹……

 はじめに

  (1) 八幡製鉄政治献金事件

  (2) 人間と人格

 1 法人本質論

  (1) 法人擬制説

  (2) 法人否認説

  (3) 法人実在説

  (4) 法人本質論の意味

 2 人格とは誰のことか?

    ――ホッブズの2つの人格概念

  (1) 人格・本人・代理人

  (2) 人為的人格としての国家

 3 人格はどこにいるのか?

    ――ケルゼンにおける人格と規範

  (1) 二元論の解体と人格

  (2) アニミズム的思考と人格

 4 何が人格を担うのか?

    ――ロックの人格論

  (1) ロックにおける「人格の同一性」

  (2) ロックの人格論の歴史的意義

 5 規約主義から「契約の連鎖」へ

  (1) 民法学説における規約主義的法人論

  (2) 「契約の連鎖」としての団体

 結 語

テーマ3 法と道徳…………………………………………………………………横濱竜也……

      ――遵法責務問題を手掛かりにして

 はじめに

  ――壁の射手訴訟と遵法責務問題

 1 遵法責務否定論

  (1) いかなる悪法も法であるが遵法責務は存在しない

       ――クレイマーの法実証主義

  (2) 法は道徳的に正しいからこそ服従されるべきである

       ――ハードの自然法論

  (3) 遵法責務とは何か

       ――ソクラテスは何故悪法に服従したのか

 2 悪法に対する責任としての遵法責務

  (1) 「原理の共同体」の理想を追求する遵法責務

       ――ドゥオーキンの純一性論

  (2) 悪法に対する責任としての遵法責務の正当化根拠

 結 語

  ――遵法責務問題とは何であるのか

テーマ4 国際法秩序の再編…………………………………………………………郭 舜……

      ――地球環境問題と人権を中心として

 はじめに

 1 環境と人権:二つの価値

  (1) 二つの価値

  (2) 実定法上の位置付け

  (3) 複雑な関係性

 2 環境問題はどこまで人権問題か

  (1) 不明確さ

  (2) 人間中心主義

  (3) 世代間倫理

 3 環境・人権・地球的統治

 結 語

テーマ5 正義は国境を越えうるか………………………………………………井上達夫……

      ――世界正義の法哲学的基礎

 はじめに

  ――グローバル化の危険性と世界正義

  (1) 世界経済危機と世界正義

  (2) 世界法の理論から世界正義の理論へ

 1 世界正義の欺瞞的操作(1)

    ――世界匡正正義と世界分配正義の〈間〉の二重基準

  (1) 世界匡正正義と世界分配正義

  (2) 侵略の浪費と救済の吝嗇

 2 世界正義の欺瞞的操作(2)

    ――世界分配正義と世界匡正正義の〈内部〉の二重基準

  (1) 世界分配正義の使い分け

  (2) 世界匡正正義の使い分け

 3 「正義の欺瞞」を正す正義

  (1) 世界正義の欺瞞的操作が生む懐疑

  (2) 正義の争いを規律する正義

 4 ロールズの分配的正義グローバル化否定論

  (1) 政治的リベラリズムと「諸人民の法」

  (2) 世界分配正義と第八原則との距離

 5 「諸人民の法」の理論的破綻と思想的頽落

  (1) 実質的正当化論拠の脆弱性

  (2) 不正黙認を交換する取引

 結 語

  ――世界分配正義の指針

★第Ⅱ部★ 市場・規制・分配的正義

テーマ6 市場社会と法…………………………………………………………山田八千子……

      ――法は市場の公正な競争のために必要か

 はじめに

 1 市場秩序の特徴

  (1) 市場秩序は設計できるか

  (2) 市場に固有の倫理はあるのか

 2 市場経済と国家

  (1) 国家は市場経済に必要か

  (2) 国家はデフォルト・ルールに関心を有するべきか

  (3) 市場社会の当事者たちは誰か

 3 市場社会と司法

  (1) 司法による市場の紛争解決の意義は何か

  (2) 単一型秩序は市場社会にふさわしいか

 結 語

テーマ7 社会保障法制度の再構築………………………………………………浅野有紀……

      ――不法行為法との比較の観点から

 はじめに

 1 二つのケースから考察される社会保障法制度と不法行為法の関係

    ――三つの視点

  (1) ケース7‐A①の争点から

       ――不法行為法と社会保障法制度の理念的相違

  (2) ケース7‐A ②の争点から

       ――生命・身体侵害における不法行為法と社会保障の接近の可能性
   (3) ケース7‐Bの争点から

       ――不法行為法と社会保障法制度の同一性

  (4) 三つの視点と以下の論述の流れ

 2 匡正的正義と分配的正義

  (1) 不法行為法と社会保障法制度の区別の必要性

  (2) 不法行為法と社会保障法制度の区別に対する批判

 3 総合的社会保障法制度

  (1) 過失責任と無過失責任の混在

  (2) 不法行為法と社会保障法制度の統一化

  (3) 統一化に対する批判

 4 財産権と人格権

  (1) 財産権から人格権へ

  (2) 人格権の観点からのこれまでの議論の評価

  (3) 人格権からの制度再構築

 5 ロールズの正義論と社会保障法の再構築

 結 語

テーマ8 景観紛争における公共性…………………………………………………鳥澤円……

      ――法と経済学の射程

 はじめに

 1 景観の公共性

  (1) 不動産の公共性と財産権

  (2) 公共財の理論

  (3) 都市景観の特性

  (4) 景観を保全・創出する方法

 2 景観は誰のものか

  (1) 空間への権原を分配するルールの類型

  (2) 原告の請求を認容すべきという主張とその論拠

  (3) 原告の請求を認容すべきでないという主張とその論拠

  (4) 景観の公有化

 結 語

テーマ9 租税の正義………………………………………………………………藤岡大助……

      ――金融所得分離課税の法哲学的検討

 はじめに

 1 租税法学

  (1) 租税法の基本原則

  (2) 金融所得分離課税の理論的位置づけ

  (3) 金融所得軽課の実際的論拠

  (4) 金融所得軽課論の規範的論拠

 2 法哲学

  (1) 租税法に対する法哲学のスタンス

  (2) 資源の平等理論

  (3) 「資源の平等」と資本性所得軽課論

 3 現行日本法に対する規範的含意

 結 語

★第Ⅲ部★ 人権論の新地平

テーマ10 移民政策を規律する理念は存在するか……………………………石山文彦……

       ――国益,文化の継承そしてグローバルな正義

 はじめに

  (1) 移民規制と正義

  (2) 経済格差とグローバルな正義

  (3) 本章の概要

 1 予備的考察

    ――利害関係の諸相

 2 国益追求論/文化的ナショナリズムとその難点

  (1) 国益追求論と移民規制

  (2) 文化的ナショナリズムと移民規制

  (3) 居住者追放の問題

  (4) 自国民の追放

 3 割当責任論とその含意

  (1) 普遍主義的前提

  (2) 割当責任論

  (3) 国益追求/ナショナルな文化の維持継承への制約

  (4) 割当責任論と移民規制

 結 語

テーマ11 家族の法からホームの権利へ………………………………………池田弘乃……

       ――ジェンダー・親密圏・ケア

 はじめに

 1 家族とジェンダー

  (1) 「家族」とは何か

  (2) ジェンダーとセックス

  (3) 性別役割分業

 2 家から家族へ

  (1) 近代家族

――家長個人主義

  (2) 家族における法と感情

  (3) 性的家族か養育家族か

 3 ホームの価値

  (1) 家族からホームへ

  (2) ホームへの権利

  (3) 新たな親密性へ

 結 語

テーマ12 教育をめぐる自由と平等……………………………………………那須耕介……

       ――日本戦後教育史からの問い

 はじめに

  ――旭川学テ訴訟と教育バウチャー検討委員会

  (1) ケース12-A:旭川学テ訴訟とその後

  (2) ケース12-B:教育バウチャー検討委員会における議論

  (3) 本章の視点

 1 ふたつの論争が残したもの

  (1) 国民教育権論の達成・限界・遺産

  (2) 教育バウチャー制度論争の争点と盲点

 2 公教育をめぐるいくつかの難問

  (1) 「教育」とはどういう活動なのか

  (2) 教育における(機会の)平等とは何か

  (3) 教育を受ける者の自由と選択,そして「不当な介入」

 結 語

テーマ13 犯罪と刑罰………………………………………………………………関良徳……

       ――受刑者の処遇と犯罪被害者の権利

 はじめに

 1 問題の所在

  (1) 受刑者の処遇

  (2) 犯罪被害者の権利

 2 規律訓練・監視・不服申立

  (1) 規律訓練権力としての行刑権力

  (2) 監視の不可能性

  (3) 不服申立制度の充実,あるいは,受刑者の声を聴くということ

 3 他者・参加・正義

  (1) 犯罪被害者という「他者」

  (2) 被害者参加制度の問題

  (3) 他者の正義,あるいは,犯罪被害者が語るということ

 結語 刑事司法の未来

  ――市民参加の果てに

テーマ14 生命倫理と法………………………………………………………奥田純一郎……

       ――臓器売買問題を中心として

 はじめに

 1 何が問題か?

 2 移植「医療」の性格

 3 そもそも,「医療」と「法」の関係は?

    ――移植をめぐる登場人物からの考察

 結 語


判例索引(巻末)

人名索引(巻末)

事項索引(巻末)

このページのトップへ

内容説明

法哲学は、法曹にとって不可欠なdisciplineとの共通了解の下、実定法学的問題を含む具体的な紛争や社会問題を設定し、考察を行う。地球環境問題と人権、市場と国家、景観紛争、移民問題、ジェンダーと家族、臓器移植・臓器売買など、利害が錯綜し到底容易に解決を見出せないテーマ計14をおさめ、ありうる考え方について丁寧に思考の道筋を示す。現代法哲学の多様な諸潮流を一望するのにも有益な一冊。

このページのトップへ

関連書籍

生命科学と法の近未来

生命科学と法の近未来

現在の課題と「近未来」への方向性

著者:米村 滋人
 
法と哲学 第2号

法と哲学 第2号

法と哲学のシナジーによる〈面白き学知〉

 
 
法と哲学 創刊第1号
 
ある比較法学者の歩いた道 ― 五十嵐清先生に聞く
 
 
ブリッジブック法哲学(第2版)

ブリッジブック法哲学(第2版)

「法の哲学」に好個の入門書第2版

著者:長谷川 晃 編著
角田 猛之 編著
 
 

このページのトップへ