目次
企業の社会的責任(CSR)・社会的責任投資(SRI)と労働法
――労働法政策におけるハードローとソフトローの視点から
…荒木尚志…1
1 コーポレート・ガバナンスの変化とCSR・SRI (1)
2 企業の社会的責任(CSR)・社会的責任投資(SRI)をめぐる
議論 (4)
3 諸外国におけるSRI (11)
4 CSR・SRIと労働法 (26)
法制度と実態の関係に関する二つのテーゼ
――労働法制の改革をめぐり学者は何をすべきか …大内伸哉…33
1 問題の所在 (33)
2 法制度と実態との関係 (37)
3 日本の労働法制の検討 (40)
4 労働法制の改革は,どのように進められるべきか (50)
5 おわりに――「第2テーゼ」による私見 (54)
年休取得不利益取扱い法理の再検討
――沼津交通事件最高裁判決の射程距離 …大橋 將…57
1 はじめに (57)
2 年次有給休暇取得に対する不利益取扱いに関する判例の
動向 (59)
3 実際の年休抑制効果を判断基準とすることについて (70)
4 不利益取扱いの判断基準と年休取得抑制効果 (76)
脳心疾患の業(公)務上外認定
――裁判例の傾向の意味するもの …小畑史子…79
1 はじめに (79)
2 裁判例の分析と考察 (80)
3 おわりに (87)
労働関係の規律内容の予見化と柔軟化
――イタリアの認証制度をめぐる議論を素材として …小西康之…97
はじめに (97)
認証制度の法制化に至る背景 (99)
2003年委任立法276号に基づく認証制度 (107)
検 証 (120)
おわりに (126)
会社解散と雇用関係――事業廃止解散と事業譲渡解散 …菅野和夫…129
1 はじめに (129)
2 事業廃止解散と雇用関係 (132)
3 事業譲渡解散と雇用の承継 (145)
4 おわりに (167)
懲戒権における「企業」と「契約」
――懲戒法理における「契約」のあいまいな位置 …野田 進…169
1 はじめに (169)
2 フランス懲戒法理における労働契約 (171)
3 日本における懲戒法理の中の「契約」 (186)
戦時経済下の工場法について(覚書) …渡辺 章…195
1 はじめに (195)
2 工場法の原型(概要) (197)
3 戦時経済と雇用契約の法的性質 (205)
4 戦争経済下の工場法 (221)
第2部 社会保障法編
基礎年金制度に関する一考察 …岩村正彦…239
1 はじめに (239)
2 基礎年金制度の実相 (244)
3 第1号被保険者の概念と実状 (252)
4 総括と今後の検討課題 (259)
「事実上の現物給付」論序説 …小島晴洋…265
1 はじめに (265)
2 立法の沿革 (266)
3 「事実上の現物給付」の法理論 (279)
4 結びに代えて (290)
イタリアの医療保障・保健制度
――職種・業種別制度から普遍主義的制度への転換 …中益陽子…295
1 イタリアの社会保障制度と労働 (295)
2 職種・業種別制度の成立と発展 (298)
3 普遍主義の契機――医療保障制度と年金制度の分岐 (316)
4 SSN――新生保健制度 (345)
年金担保貸付の法律関係と適法性 …堀 勝洋…353
1 はじめに (353)
2 公的な年金担保貸付 (356)
3 貸金業者等が行う年金担保貸付 (363)
4 金融機関が行う年金担保貸付 (373)
5 おわりに (386)
第3部 友愛編
ベトナムのストリート・チルドレンをめぐる諸問題 …香川孝三…389
1 はじめに (389)
2 ストリート・チルドレンの定義 (391)
3 ストリート・チルドレンの実態 (392)
4 ストリート・チルドレンの救済対策 (401)
5 ま と め (408)
差別の法的構造 …小西國友…409
1 はじめに (409)
2 差別者と被差別者 (410)
3 差別事由と差別的行為 (420)
4 合理的理由の存在とその機能 (432)
5 おわりに (441)
診療記録開示請求権に関する覚書 …中嶋士元也…443
1 問題の経緯 (443)
2 問題の考察 (450)
3 開示問題の行方 (464)
アメリカ独立革命と奴隷制 …浜田冨士郎…467
1 はじめに (467)
2 アメリカ独立革命期前夜の奴隷制 (468)
3 アメリカ独立革命の概要 (472)
4 アメリカ独立革命と奴隷制 (477)
5 おわりに (506)
山口浩一郎先生 経歴・業績 …509
内容説明
かねてより、「近代社会の出発は自由・平等・友愛といわれるが、法律部門においては友愛の研究はほとんどみられない。友愛の本格的研究も必要だ」と主張し研究を重ねてきた山口浩一郎先生に、第一線の研究者が献呈した古稀記念論文集。『友愛と法』というタイトルのもと、それぞれの論文を労働法編・社会保障法編・友愛編に分類し、多様な視点から労働法・社会保障法の理論を展開する、最高水準の研究論集。研究者・実務家に必携必読の書である。