目次
触法精神障害者と処遇困難者
1
第1章
基本的問題
1
触法精神障害者の処遇
平野竜一
3
2
「精神障害」と刑事責任能力:再考・再論
町野朔
12
3
触法精神障害者に関する臨床精神医学的研究
中谷陽二
28
4
被害者の遺族は精神障害をもつ加害者にどのような感情を抱いているか—犯罪被害者相談の経験から—
小西聖子
33
第2章
触法精神障害者の処遇をめぐる諸問題
—特に措置入院をめぐって—
1
栃木県の精神科緊急医療システムの整備が措置入院患者の特徴に及ぼす影響
中村研之
堀彰
辻恵介
40
2
措置診察における二人の指定医間の項目評価一致率
堀彰
中村研之
島田達洋
平沢俊行
48
3
自傷他害防止監督義務の廃止と保護者の損害賠償責任
辻伸行
62
4
最高裁判決を通して「措置入院」を考える
犬尾貞文
80
5
触法精神障害者の処遇とわが国における司法精神医学の課題
五十嵐禎人
90
6
「措置入院」—精神医療と刑事司法に関するメモ—
町野朔
113
7
触法精神障害者と措置入院制度の問題点
長尾卓夫
120
第3章
施設での処遇
1
精神科保護病棟の長期在棟者についての臨床的研究
—いわゆる「処遇困難例」との関連で—
中谷陽二
128
2
医療刑務所における精神科医療の現状と問題点
黒田治
154
3
北九州医療刑務所・岡崎医療刑務所
町野朔
水留正流
171
第4章
心神喪失者等医療観察法をめぐって
1
精神医療と重大な犯罪行為を行った精神障害者
山本輝之
190
2
医療の視点からみた触法精神障害者問題
中谷陽二
203
3
保安処分問題の回顧と展望
町野朔
214
4
心神喪失者等医療観察法案と触法精神障害者の治療を受ける権利
町野朔
229
第2部
諸外国における触法精神障害者の処遇決定システム
244
第1章
韓国
1
韓国における触法精神障害者の医療システム
趙晟容
247
2
韓国における司法精神医療
五十嵐禎人
319
第2章
ドイツ
1
ドイツの保安処分制度とその運用
辰井聡子
344
2
シュトラウビング司法精神科病院
辰井聡子
353
3
ハール司法精神科病棟
東雪見
356
第3章
フィンランド・スウェーデン
1
フィンランドの精神病院収容手続
趙晟容
361
2
司法精神医療の実態—ニウバンニエミ精神科病院・ラピンラーデン精神科病院・ヘルシンキ中央刑務所—
趙晟容
373
3
スウェーデンの刑法と精神障害者の処遇
辰井聡子
384
第4章
フランス
1
フランスの刑事裁判と精神医療
近藤和哉
394
2
フランスにおける触法精神障害者処遇システムの現状と問題点
田口寿子
418
第5章
オランダ
1
オランダにおける触法精神障害者対策の現状と課題
平野美紀
433
2
オランダの触法精神障害者処遇システム
辰井聡子
451
3
ピーター・バーン・センター
柑本美和
461
4
オルデンコッテ・クリニック
広幡小百合
467
第6章
イギリス
1
イギリスにおける司法精神医療
柑本美和
475
2
ブロードモア病院
中村恵
525
3
グレンドン治療刑務所
柑本美和
531
第7章
カナダ
1
ケベック州の司法精神医療
中谷陽二
小泉義紀
538
2
カナダ連邦,ブリティッシュ・コロンビア,ケベックの触法精神障害者処遇法
中谷陽二
山本輝之
東雪見
554
第8章
ニューヨーク
1
ニューヨークの触法精神障害者処遇
近藤和哉
578
2
ニューヨーク州の司法精神医療
辰井聡子
594
3
セントラル・ニューヨーク精神医療センター
辰井聡子
604
4
カービー司法精神医療センター・サウスビーチ医療センター
柑本美和
609
5
クリードモア精神医療センター
東雪見
620
第9章
カリフォルニア
1
カリフォルニアの触法精神障害者処遇制度
柑本美和
625
2
各施設における処遇
小西聖子
柑本美和
654
第10章
イタリア
1
日本の精神科臨床から見たイタリアの精神医療
松原三郎
668
2
イタリア精神医療の背景と思想
中谷陽二
681
3
イタリアの保安処分制度と精神医療
—地域化と一般精神医療化の流れ—
柑本美和
693
4
G. B. Grassi病院内「診断と治療のための精神科部門」Servizio Psichiatrico di Diagnosi e Cura (SPDC)
広幡小百合
715
5
トリエステの地域精神医療—精神保健センター(Centre di Salute Mentale; CSM)の視察を中心に—
林志光
723
6
モンテルポ・フィオレンティーノ司法精神病院
寺本靖
水留正流
733
7
レビッビア刑務所(新混合区画)
寺本靖
水留正流
744
追補
1
平野竜一先生と日本の精神医療
町野朔
751
2
医療観察法施行の意義
町野朔
761
3
医療観察法における地域処遇と精神保健観察
今福章二
769
4
緊急措置入院の臨床的意義
—栃木県における措置診察の調査に基づいて—
堀彰
中村研之
島田達洋
木村修
平沢俊行
780
内容説明
2005年6月に本書の初版を発刊して以来、読者に恵まれ、この度増補版を出すこととなった。このことは、触法精神障害者の処遇問題、とりわけ、2005年7月から施行された「心神喪失者医療観察法」の運用における、さまざまな問題に対する関心の高さの現われであるように思われる。この度の増補版刊行にあたって、初版発行後現在までに、研究会メンバーが執筆した論稿を「追補」として収録した。