ブリッジブック少年法入門
少年司法システムの基本を学ぼう
著者 |
丸山 雅夫
著 |
---|---|
ジャンル |
法律
> 刑事法 |
シリーズ |
法律・政治
> ブリッジブックシリーズ |
出版年月日 | 2013/03/26 |
ISBN | 9784797223446 |
判型・ページ数 | 四六・304ページ |
定価 | 2,860円(税込) |
在庫 | 在庫あり |
少年司法システムの全体像を、シンプルな叙述で図表を用いながら分かりやすく概説しており、家裁調査官や社会福祉士など子どもに関する仕事の資格試験にも最適。また、ひろく非行少年問題に興味をもつ人が、近年の少年犯罪の凶悪化・厳罰化議論をより深く知り適切な批判の素材を得られるよう、少年法特有の考え方を丁寧に案内している。
『ブリッジブック少年法入門』
丸山雅夫(南山大学法科大学院教授) 著
【目 次】
はしがき
序章 少年司法システムの特殊性
Ⅰ 成人刑事司法と少年司法
1 固有の少年観にもとづく少年司法システム
(1)犯罪に対する成人と少年の区別的対応 (2)少年観の変化
2 国家による介入の正当化原理と少年司法システム
(1)国民の自由に対する国家の介入 (2)成人犯罪者に対する法的介入 (3)非行少年に対する法的介入
Ⅱ 少年司法における2つの潮流と少年法制
1 コモン・ロー法系と大陸法系
(1)コモン・ローと大陸法 (2)2つの法系と少年法制
2 少年司法における具体化
(1)さまざまな形態 (2)日本の現行少年法
第1章 日本の非行現象
Ⅰ 日本における少年非行の現状
1 検証の意義と方法
(1)少年非行の検証の意義と限界 (2)統計的検証のための基礎資料
2 少年非行の現状と特徴
(1)少年非行の経年的傾向 (2)成人犯罪(者)との比較 (3)犯罪類型における特徴 (4)一般的特徴
Ⅱ 社会における厳罰化への動きとその背景
1 少年非行に対する社会の見方
(1)非行の「凶悪化」幻想? (2)情報伝達手段の変化と影響
2 モラル・パニックと厳罰化要求
(1)社会のモラル・パニック (2)いわゆる厳罰化論
Ⅲ 犯罪少年の実名報道への傾斜
1 同一性推知情報の開示禁止
(1)旧法74条から現行61条へ (2)61条の趣旨
2 犯罪少年をめぐる状況の変化
(1)61条と新聞報道 (2)61条と雑誌報道
3 裁判所の対応と今後の方向性
(1)裁判所の対応の変化 (2)実名報道の今後
第2章 少年法制の独立と少年司法システム
Ⅰ 欧米の近代化と少年法制
1 「小さな大人」による犯罪の扱い
(1)「小さな大人」という少年観 (2)コモン・ロー法系における対応 (3)大陸法系における対応
2 固有の少年司法システムの分化への動き
(1)「子どもの救済」運動 (2)刑事司法における犯罪少年への配慮 (3)新派の刑法理論 (4)福祉モデル少年法制
(5)旧派と新派の関係
Ⅱ 日本の近代化と少年法制
1 少年処遇の前史
(1)旧刑法の制定まで (2)旧刑法と民間感化事業
2 感化法とその内容
(1)旧刑法下の感化法とその限界 (2)現行刑法の制定と第1次感化法改正
Ⅲ 旧少年法から現行少年法へ
1 旧少年法(大正少年法)とその内容
(1)旧少年法の成立 (2)旧少年法の構造 (3)少年の刑事事件(原則) (4)少年の保護事件(例外)
2 現行少年法とその概要
(1)現行少年法の成立 (2)現行少年法の特色
第3章 少年法の基本構造
Ⅰ 少年法の法的性格と関連法令
1 少年法の法的性格
(1)刑事法としての少年法典 (2)少年法の性格と社会のイメージ
2 少年事件に関わる法令等
(1)少年法制に関わる法令 (2)通達等による補完 (3)国際的な動向
Ⅱ 少年法の目的と理念
1 少年の健全育成と成長発達権
(1)少年法1条が明示する目的 (2)社会復帰モデルと成長発達権
2 非行に対する少年の責任
(1)少年法の性格と少年の責任 (2)少年法における責任
3 少年の人権の保障
(1)少年法における人権の扱い (2)人権保障の具体化
4 少年事件の被害者に対する配慮
(1)犯罪被害者の配慮に向けた動き (2)少年法における犯罪被害者への配慮
Ⅲ 少年法の特徴
1 専門機関の設置
(1)家庭裁判所の創設 (2)家庭裁判所裁判官 (3)家庭裁判所調査官 (4)少年鑑別所
2 全件送致主義と家庭裁判所先議主義
(1)少年審判の特性 (2)全件送致主義と家庭裁判所先議主義
3 保護処分優先主義と不処分優先主義
(1)保護処分優先主義 (2)不処分優先主義
4 ケースワーク機能と社会防衛機能
(1)家庭裁判所のケースワーク機能 (2)社会防衛機能
5 少年審判の構造と職権主義
(1)刑事裁判と少年審判 (2)職権主義的運用
6 個別処遇の原則
(1)要保護性の個別性と個別処遇 (2)個別処遇の具体化
第4章 少年法の対象
Ⅰ 少年法が扱う「少年」
1 「少年」の意義と少年の年齢
(1)少年の意義 (2)少年法の適用年齢の上限 (3)少年法の適用年齢の下限
2 年齢の基準時と認定方法
(1)年齢判断の基準時 (2)年齢の認定方法と判断資料
3 成人に対する特別な扱い
(1)特別な対応の必要性 (2)成人後の特別な扱い
Ⅱ 少年法が扱う「非行」
1 「審判に付すべき少年」の意義
(1)非行少年の意義 (2)特例的な扱い
2 犯罪少年
(1)犯罪少年の意義 (2)犯罪の意義 (3)責任要件の要否
3 触法少年
(1)触法少年の意義 (2)触法少年の扱い
4 虞犯少年
(1)虞犯少年の意義と扱い (2)虞犯事由 (3)虞犯性
Ⅲ 少年法が扱う事件
1 少年法が直接の対象とする事件
(1)少年保護事件 (2)準少年保護事件
2 少年の刑事事件
(1)少年保護事件と少年刑事事件 (2)少年刑事事件の扱い
第5章 非行少年の発見と家庭裁判所の受理
Ⅰ 発見活動の意義と発見主体
1 発見活動の意義
(1)少年保護事件手続の起点 (2)発見活動と保護原理
2 発見活動の主体と客体
(1)発見活動の主体 (2)発見活動の客体
Ⅱ 発見活動の実際
1 捜査機関による犯罪少年の発見
(1)捜査の基本方針 (2)被疑少年の捜査と逮捕後の扱い (3)少年の勾留 (4)勾留に代わる観護措置
(5)少年の取調べ (6)捜査後の対応(送致)
2 捜査機関による触法少年・虞犯少年の発見
(1)触法少年に対する従前の対応とその限界 (2)警察官による触法調査制度 (3)少年に対する配慮
(4)調査後の対応 (5)虞犯少年の発見活動
3 捜査機関以外の者による発見活動
(1)児童福祉機関による発見活動 (2)保護観察所による発見活動 (3)家庭裁判所調査官による発見活動
(4)一般人による発見活動
Ⅲ 家庭裁判所による事件受理
1 不告不理の原則
(1)不告不理の原則と受理の意義 (2)不告不理の原則の適用範囲
2 家庭裁判所の受理
(1)家庭裁判所に少年事件が持ち込まれる経路 (2)家庭裁判所の土地管轄 (3)家庭裁判所による受理とその効果
第6章 少年保護事件手続Ⅰ――観護と調査
Ⅰ 観護措置
1 観護措置の意義と種類
(1)観護措置の意義 (2)観護措置の種類
2 観護措置の要件
(1)観護措置の一般的要件 (2)観護措置の必要性(実質的要件)
3 観護措置の手続
(1)観護措置がとられる事件 (2)観護措置決定手続 (3)観護措置をとる時期をめぐる問題 (4)観護措置の執行
(5)観護措置に伴う仮収容 (6)観護措置中の接見と余罪捜査
4 観護措置の期間
(1)期間の原則 (2)特別更新
5 観護措置に対する不服(異議)申立て
(1)不服申立ての意義と方法 (2)異議の申立て (3)異議申立ての審理 (4)特別抗告
6 観護措置の終了等
(1)観護措置の変更と終了 (2)終了の効果
Ⅱ 調査の意義と種類
1 法的調査と社会調査
(1)調査の意義 (2)裁判官による法的調査 (3)調査官による社会調査
2 事件の分配(インテイク)
(1)インテイクの意義と手続 (2)通常調査事件の扱い
Ⅲ 家庭裁判所調査官の社会調査
1 社会調査の内容
(1)人格調査と科学主義 (2)調査の専門性と独立性 (3)調査手続と調査の方法 (4)調査の嘱託,援助・協力依頼
(5)被害者の申出による意見聴取
2 呼出しと同行
(1)意 義 (2)呼出し (3)同行状 (4)同行状の執行
3 少年鑑別所の資質鑑別
(1)資質鑑別の意義 (2)資質鑑別の運用 (3)社会調査との関係
4 調査結果の報告と記録の作成・保管
(1)調査報告の方式等 (2)少年調査記録と少年保護事件記録 (3)記録・証拠物の閲覧謄写
5 社会調査と適正手続
(1)社会調査の要件 (2)適正手続のあり方
Ⅳ 調査を経た事件の扱い
1 審判不開始決定
(1)調査後の3つの方向性 (2)審判不開始の意義 (3)審判に付することができない場合(手続的審判不開始)
(4)審判に付すのが相当でない場合(実体的審判不開始) (5)決定の方式と効果
2 他の法システムへの移送
(1)児童福祉機関への送致 (2)検察官送致
3 審判開始決定
(1)審判開始の意義と要件 (2)決定の方式と効果
第7章 少年保護事件手続Ⅱ――少年審判
Ⅰ 審判の意義と特徴
1 審判の意義と特徴
(1)審判の意義 (2)審判の主な関係者
2 審判の諸原則
(1)非公開の原則 (2)直接審理の原則 (3)併合審判と個別審理 (4)非方式性と保護的・教育的配慮の要請
3 審判開始決定の効果
(1)審判の準備 (2)記録・証拠物の閲覧と謄写
Ⅱ 審判の方式
1 審判廷の構成と審判の進行
(1)審判の場所と出席者 (2)審判の進行
2 非行事実の審理(事実認定)
(1)事実認定の意義 (2)証拠調べの態様 (3)証拠法則 (4)証拠の取調方法と心証の程度 (5)非行事実の認定替え
3 要保護性に関する審理
(1)要保護性の審理 (2)余罪の扱い (3)被害者の申出による意見の聴取
4 審判調書
(1)審判調書の性質 (2)審判調書の記載事項
5 軽微事件・交通関係事件の扱い
(1)軽微事件の扱い (2)交通関係事件の扱い
Ⅲ 特殊な審判形態
1 裁定合議事件
(1)裁定合議制の導入 (2)合議体での審理
2 検察官関与決定事件
(1)検察官関与の意義と趣旨 (2)検察官関与の要件 (3)検察官関与の手続 (4)検察官の権限
3 被害者等傍聴申出事件
(1)被害者傍聴制度導入の背景と趣旨 (2)被害者傍聴の内容 (3)配慮規定(2項~5項) (4)被害者等に対する説明
Ⅳ 試験観察
1 試験観察
(1)試験観察の意義と機能 (2)対象事件と決定手続等 (3)試験観察の方法 (4)付随的措置
2 身柄付補導委託
(1)補導委託制度の意義と法的性質 (2)補導委託の運用
Ⅴ 審判を経た少年保護事件の扱い
1 概要と他の法システムへの移送
(1)保護事件の審判後の行方 (2)他の法システムへの移送
2 不処分決定
(1)不処分決定の意義と要件 (2)決定の方式と効果
3 保護処分決定
(1)保護処分の意義と要件 (2)決定の告知等 (3)保護処分の決定書
4 没取と費用徴収
(1)没 取 (2)費用徴収
5 一事不再理の効力
(1)46条の趣旨と従前の実務 (2)27条の2との関係 (3)一事不再理効の範囲と効果
Ⅵ 事後手続
1 抗告と再抗告
(1)抗 告 (2)抗告受理の申立て (3)抗告審の裁判と決定の効力 (4)再抗告
2 抗告以外の事後手続
(1)保護処分の取消し(27条) (2)少年保護事件の補償 (3)少年保護事件の再審
第8章 処遇(保護処分)過程
Ⅰ 保護処分の選択と付随措置
1 処遇選択における考慮事情
(1)処遇選択の意義 (2)非行事実と要保護性の関係 (3)外国人少年の扱い
2 保護処分に付随する措置
(1)環境調整命令 (2)報告・意見の提出,動向観察,処遇勧告
Ⅱ 保護観察処分
1 保護観察の意義と内容
(1)保護観察の意義と種類,担当機関 (2)保護観察の方法と期間等 (3)遵守事項違反に対する措置
2 保護観察の類型
(1)一般保護観察と交通保護観察 (2)一般短期保護観察と交通短期保護観察
Ⅲ 児童自立支援施設・児童養護施設送致
1 意義と担当機関
(1)保護処分としての意義 (2)処遇担当機関
2 児童自立支援施設における処遇
(1)児童自立支援施設とその処遇 (2)保護処分としての限界
Ⅳ 少年院送致
1 少年院送致処分の意義等
(1)少年院送致の意義と担当機関 (2)少年院の種類と収容対象・期間 (3)少年院送致決定の執行
2 少年院における処遇の運用
(1)少年院処遇の多様化 (2)長期処遇と短期処遇 (3)連戻し (4)保護者に対する措置
3 少年院処遇をめぐる個別問題
(1)虞犯少年の少年院送致 (2)少年院収容受刑者 (3)14歳未満少年の収容と教育
Ⅴ 準少年保護事件
1 保護処分の取消し
(1)27条の2の趣旨の拡張 (2)取消しの要件 (3)取消手続と決定
2 収容継続申請事件
(1)収容継続の意義と対象 (2)収容継続の要件 (3)申請手続と審理手続 (4)終局決定
3 戻し収容申請事件
(1)戻し収容の意義と対象,要件 (2)申請手続と審理手続 (3)終局決定
4 施設送致申請事件
(1)施設送致の意義と手続 (2)決定等
第9章 少年の刑事事件
Ⅰ 少年の刑事事件の意義と要件
1 少年に対する刑事処分
(1)少年に対する刑事処分の意義 (2)2000年の少年法改正
2 検察官送致(逆送)
(1)刑事処分相当検送(20条1項) (2)原則逆送(20条2項) (3)決定手続と効果
Ⅱ 少年の刑事事件手続
1 起訴前と公訴提起の段階
(1)観護措置(みなし勾留)の扱い (2)起訴強制とその例外 (3)検察官による再送致
2 裁判段階
(1)少年刑事裁判の特殊性 (2)少年刑事事件の裁判員裁判 (3)家庭裁判所への再移送
Ⅲ 少年の刑事処分とその執行
1 少年の刑事処分に関する特則
(1)死刑と無期刑の緩和 (2)不定期刑の活用 (3)換刑処分の禁止 (4)人の資格に関する法令の適用
2 刑事処分の執行に関する特則
(1)刑の優先執行主義 (2)自由刑の執行 (3)仮釈放
終 章 少年法の動向
Ⅰ 少年法の改正と国際的動向
1 少年法の改正
(1)実現しなかった根本的改正の試み (2)2000年改正とその後の動向
2 少年法の国際的動向
(1)少年司法に関する国際的動向 (2)子どもの権利条約 (3)3つの国連規則
Ⅱ 少年法の将来と課題
1 少年法の将来
(1)少年法の現状とその評価 (2)刑事裁判システムとの共通性 (3)侵害原理と保護原理の関係
2 少年法の課題
(1)重大事犯への対応 (2)ダイヴァージョンの方向性
事項索引
重要語句コメント一覧 (下記の語句は本文中で*を付し,解説)
序 章 日本の刑罰/責任主義
第1章 刑法犯と一般刑法犯/神戸連続児童殺傷事件/小松川女子高生殺害事件/新聞協会の方針/堺少女等殺傷事件
第2章 罪刑法定主義/少年処遇施設の設置/プロべーション制度/保安処分制度/私立感化院/成人刑事事件の管轄
第3章 流山中央高校事件/未特例判事補の単独関与/疑わしきは被告人の利益に/起訴裁量主義/14歳未満の少年の扱い/
要保護性と非行事実との関係/保護処分の種類の制限
第4章 少年刑事事件の控訴の場合/決定と決定書
第5章 児童相談所/勾留に代わる1号観護の取消し/押収(物)/司法警察員/一般人以外の発見機関による一般通告/
再起事件/身柄事件と在宅事件/受理審査/家庭裁判所への占有の移転
第6章 観護措置中の少年の法的地位/その他の保護者通知等/外国籍少年の場合/試験観察決定等と観護措置/
審判条件/被害者調査/科学調査室と医務室/調査命令/家裁内部での事件の移送/一事不再理/強制的措置の許可
第7章 保護者の権利と義務/付添人の権限/被害者等の申出による記録の閲覧・謄写/罰金見込検送の活用/国選付添人/
弁護士付添人からの意見聴取/調査過程における試験観察の可否/補導委託の法的性質に関する解釈論/第三者没取/
争いのない事案/刑事処分を求める抗告の可否
第8章 政治犯・確信犯/一般遵守事項/長崎事件,佐世保事件/広島少年院事件
第9章 年超検送/調査官観護の扱い/弁護人の扱い/「処断すべきとき」の意義/永山事件最高裁判決/光市母子殺害事件最高裁判決
終 章 修復的司法
丸山雅夫(南山大学法科大学院教授) 著
【目 次】
はしがき
序章 少年司法システムの特殊性
Ⅰ 成人刑事司法と少年司法
1 固有の少年観にもとづく少年司法システム
(1)犯罪に対する成人と少年の区別的対応 (2)少年観の変化
2 国家による介入の正当化原理と少年司法システム
(1)国民の自由に対する国家の介入 (2)成人犯罪者に対する法的介入 (3)非行少年に対する法的介入
Ⅱ 少年司法における2つの潮流と少年法制
1 コモン・ロー法系と大陸法系
(1)コモン・ローと大陸法 (2)2つの法系と少年法制
2 少年司法における具体化
(1)さまざまな形態 (2)日本の現行少年法
第1章 日本の非行現象
Ⅰ 日本における少年非行の現状
1 検証の意義と方法
(1)少年非行の検証の意義と限界 (2)統計的検証のための基礎資料
2 少年非行の現状と特徴
(1)少年非行の経年的傾向 (2)成人犯罪(者)との比較 (3)犯罪類型における特徴 (4)一般的特徴
Ⅱ 社会における厳罰化への動きとその背景
1 少年非行に対する社会の見方
(1)非行の「凶悪化」幻想? (2)情報伝達手段の変化と影響
2 モラル・パニックと厳罰化要求
(1)社会のモラル・パニック (2)いわゆる厳罰化論
Ⅲ 犯罪少年の実名報道への傾斜
1 同一性推知情報の開示禁止
(1)旧法74条から現行61条へ (2)61条の趣旨
2 犯罪少年をめぐる状況の変化
(1)61条と新聞報道 (2)61条と雑誌報道
3 裁判所の対応と今後の方向性
(1)裁判所の対応の変化 (2)実名報道の今後
第2章 少年法制の独立と少年司法システム
Ⅰ 欧米の近代化と少年法制
1 「小さな大人」による犯罪の扱い
(1)「小さな大人」という少年観 (2)コモン・ロー法系における対応 (3)大陸法系における対応
2 固有の少年司法システムの分化への動き
(1)「子どもの救済」運動 (2)刑事司法における犯罪少年への配慮 (3)新派の刑法理論 (4)福祉モデル少年法制
(5)旧派と新派の関係
Ⅱ 日本の近代化と少年法制
1 少年処遇の前史
(1)旧刑法の制定まで (2)旧刑法と民間感化事業
2 感化法とその内容
(1)旧刑法下の感化法とその限界 (2)現行刑法の制定と第1次感化法改正
Ⅲ 旧少年法から現行少年法へ
1 旧少年法(大正少年法)とその内容
(1)旧少年法の成立 (2)旧少年法の構造 (3)少年の刑事事件(原則) (4)少年の保護事件(例外)
2 現行少年法とその概要
(1)現行少年法の成立 (2)現行少年法の特色
第3章 少年法の基本構造
Ⅰ 少年法の法的性格と関連法令
1 少年法の法的性格
(1)刑事法としての少年法典 (2)少年法の性格と社会のイメージ
2 少年事件に関わる法令等
(1)少年法制に関わる法令 (2)通達等による補完 (3)国際的な動向
Ⅱ 少年法の目的と理念
1 少年の健全育成と成長発達権
(1)少年法1条が明示する目的 (2)社会復帰モデルと成長発達権
2 非行に対する少年の責任
(1)少年法の性格と少年の責任 (2)少年法における責任
3 少年の人権の保障
(1)少年法における人権の扱い (2)人権保障の具体化
4 少年事件の被害者に対する配慮
(1)犯罪被害者の配慮に向けた動き (2)少年法における犯罪被害者への配慮
Ⅲ 少年法の特徴
1 専門機関の設置
(1)家庭裁判所の創設 (2)家庭裁判所裁判官 (3)家庭裁判所調査官 (4)少年鑑別所
2 全件送致主義と家庭裁判所先議主義
(1)少年審判の特性 (2)全件送致主義と家庭裁判所先議主義
3 保護処分優先主義と不処分優先主義
(1)保護処分優先主義 (2)不処分優先主義
4 ケースワーク機能と社会防衛機能
(1)家庭裁判所のケースワーク機能 (2)社会防衛機能
5 少年審判の構造と職権主義
(1)刑事裁判と少年審判 (2)職権主義的運用
6 個別処遇の原則
(1)要保護性の個別性と個別処遇 (2)個別処遇の具体化
第4章 少年法の対象
Ⅰ 少年法が扱う「少年」
1 「少年」の意義と少年の年齢
(1)少年の意義 (2)少年法の適用年齢の上限 (3)少年法の適用年齢の下限
2 年齢の基準時と認定方法
(1)年齢判断の基準時 (2)年齢の認定方法と判断資料
3 成人に対する特別な扱い
(1)特別な対応の必要性 (2)成人後の特別な扱い
Ⅱ 少年法が扱う「非行」
1 「審判に付すべき少年」の意義
(1)非行少年の意義 (2)特例的な扱い
2 犯罪少年
(1)犯罪少年の意義 (2)犯罪の意義 (3)責任要件の要否
3 触法少年
(1)触法少年の意義 (2)触法少年の扱い
4 虞犯少年
(1)虞犯少年の意義と扱い (2)虞犯事由 (3)虞犯性
Ⅲ 少年法が扱う事件
1 少年法が直接の対象とする事件
(1)少年保護事件 (2)準少年保護事件
2 少年の刑事事件
(1)少年保護事件と少年刑事事件 (2)少年刑事事件の扱い
第5章 非行少年の発見と家庭裁判所の受理
Ⅰ 発見活動の意義と発見主体
1 発見活動の意義
(1)少年保護事件手続の起点 (2)発見活動と保護原理
2 発見活動の主体と客体
(1)発見活動の主体 (2)発見活動の客体
Ⅱ 発見活動の実際
1 捜査機関による犯罪少年の発見
(1)捜査の基本方針 (2)被疑少年の捜査と逮捕後の扱い (3)少年の勾留 (4)勾留に代わる観護措置
(5)少年の取調べ (6)捜査後の対応(送致)
2 捜査機関による触法少年・虞犯少年の発見
(1)触法少年に対する従前の対応とその限界 (2)警察官による触法調査制度 (3)少年に対する配慮
(4)調査後の対応 (5)虞犯少年の発見活動
3 捜査機関以外の者による発見活動
(1)児童福祉機関による発見活動 (2)保護観察所による発見活動 (3)家庭裁判所調査官による発見活動
(4)一般人による発見活動
Ⅲ 家庭裁判所による事件受理
1 不告不理の原則
(1)不告不理の原則と受理の意義 (2)不告不理の原則の適用範囲
2 家庭裁判所の受理
(1)家庭裁判所に少年事件が持ち込まれる経路 (2)家庭裁判所の土地管轄 (3)家庭裁判所による受理とその効果
第6章 少年保護事件手続Ⅰ――観護と調査
Ⅰ 観護措置
1 観護措置の意義と種類
(1)観護措置の意義 (2)観護措置の種類
2 観護措置の要件
(1)観護措置の一般的要件 (2)観護措置の必要性(実質的要件)
3 観護措置の手続
(1)観護措置がとられる事件 (2)観護措置決定手続 (3)観護措置をとる時期をめぐる問題 (4)観護措置の執行
(5)観護措置に伴う仮収容 (6)観護措置中の接見と余罪捜査
4 観護措置の期間
(1)期間の原則 (2)特別更新
5 観護措置に対する不服(異議)申立て
(1)不服申立ての意義と方法 (2)異議の申立て (3)異議申立ての審理 (4)特別抗告
6 観護措置の終了等
(1)観護措置の変更と終了 (2)終了の効果
Ⅱ 調査の意義と種類
1 法的調査と社会調査
(1)調査の意義 (2)裁判官による法的調査 (3)調査官による社会調査
2 事件の分配(インテイク)
(1)インテイクの意義と手続 (2)通常調査事件の扱い
Ⅲ 家庭裁判所調査官の社会調査
1 社会調査の内容
(1)人格調査と科学主義 (2)調査の専門性と独立性 (3)調査手続と調査の方法 (4)調査の嘱託,援助・協力依頼
(5)被害者の申出による意見聴取
2 呼出しと同行
(1)意 義 (2)呼出し (3)同行状 (4)同行状の執行
3 少年鑑別所の資質鑑別
(1)資質鑑別の意義 (2)資質鑑別の運用 (3)社会調査との関係
4 調査結果の報告と記録の作成・保管
(1)調査報告の方式等 (2)少年調査記録と少年保護事件記録 (3)記録・証拠物の閲覧謄写
5 社会調査と適正手続
(1)社会調査の要件 (2)適正手続のあり方
Ⅳ 調査を経た事件の扱い
1 審判不開始決定
(1)調査後の3つの方向性 (2)審判不開始の意義 (3)審判に付することができない場合(手続的審判不開始)
(4)審判に付すのが相当でない場合(実体的審判不開始) (5)決定の方式と効果
2 他の法システムへの移送
(1)児童福祉機関への送致 (2)検察官送致
3 審判開始決定
(1)審判開始の意義と要件 (2)決定の方式と効果
第7章 少年保護事件手続Ⅱ――少年審判
Ⅰ 審判の意義と特徴
1 審判の意義と特徴
(1)審判の意義 (2)審判の主な関係者
2 審判の諸原則
(1)非公開の原則 (2)直接審理の原則 (3)併合審判と個別審理 (4)非方式性と保護的・教育的配慮の要請
3 審判開始決定の効果
(1)審判の準備 (2)記録・証拠物の閲覧と謄写
Ⅱ 審判の方式
1 審判廷の構成と審判の進行
(1)審判の場所と出席者 (2)審判の進行
2 非行事実の審理(事実認定)
(1)事実認定の意義 (2)証拠調べの態様 (3)証拠法則 (4)証拠の取調方法と心証の程度 (5)非行事実の認定替え
3 要保護性に関する審理
(1)要保護性の審理 (2)余罪の扱い (3)被害者の申出による意見の聴取
4 審判調書
(1)審判調書の性質 (2)審判調書の記載事項
5 軽微事件・交通関係事件の扱い
(1)軽微事件の扱い (2)交通関係事件の扱い
Ⅲ 特殊な審判形態
1 裁定合議事件
(1)裁定合議制の導入 (2)合議体での審理
2 検察官関与決定事件
(1)検察官関与の意義と趣旨 (2)検察官関与の要件 (3)検察官関与の手続 (4)検察官の権限
3 被害者等傍聴申出事件
(1)被害者傍聴制度導入の背景と趣旨 (2)被害者傍聴の内容 (3)配慮規定(2項~5項) (4)被害者等に対する説明
Ⅳ 試験観察
1 試験観察
(1)試験観察の意義と機能 (2)対象事件と決定手続等 (3)試験観察の方法 (4)付随的措置
2 身柄付補導委託
(1)補導委託制度の意義と法的性質 (2)補導委託の運用
Ⅴ 審判を経た少年保護事件の扱い
1 概要と他の法システムへの移送
(1)保護事件の審判後の行方 (2)他の法システムへの移送
2 不処分決定
(1)不処分決定の意義と要件 (2)決定の方式と効果
3 保護処分決定
(1)保護処分の意義と要件 (2)決定の告知等 (3)保護処分の決定書
4 没取と費用徴収
(1)没 取 (2)費用徴収
5 一事不再理の効力
(1)46条の趣旨と従前の実務 (2)27条の2との関係 (3)一事不再理効の範囲と効果
Ⅵ 事後手続
1 抗告と再抗告
(1)抗 告 (2)抗告受理の申立て (3)抗告審の裁判と決定の効力 (4)再抗告
2 抗告以外の事後手続
(1)保護処分の取消し(27条) (2)少年保護事件の補償 (3)少年保護事件の再審
第8章 処遇(保護処分)過程
Ⅰ 保護処分の選択と付随措置
1 処遇選択における考慮事情
(1)処遇選択の意義 (2)非行事実と要保護性の関係 (3)外国人少年の扱い
2 保護処分に付随する措置
(1)環境調整命令 (2)報告・意見の提出,動向観察,処遇勧告
Ⅱ 保護観察処分
1 保護観察の意義と内容
(1)保護観察の意義と種類,担当機関 (2)保護観察の方法と期間等 (3)遵守事項違反に対する措置
2 保護観察の類型
(1)一般保護観察と交通保護観察 (2)一般短期保護観察と交通短期保護観察
Ⅲ 児童自立支援施設・児童養護施設送致
1 意義と担当機関
(1)保護処分としての意義 (2)処遇担当機関
2 児童自立支援施設における処遇
(1)児童自立支援施設とその処遇 (2)保護処分としての限界
Ⅳ 少年院送致
1 少年院送致処分の意義等
(1)少年院送致の意義と担当機関 (2)少年院の種類と収容対象・期間 (3)少年院送致決定の執行
2 少年院における処遇の運用
(1)少年院処遇の多様化 (2)長期処遇と短期処遇 (3)連戻し (4)保護者に対する措置
3 少年院処遇をめぐる個別問題
(1)虞犯少年の少年院送致 (2)少年院収容受刑者 (3)14歳未満少年の収容と教育
Ⅴ 準少年保護事件
1 保護処分の取消し
(1)27条の2の趣旨の拡張 (2)取消しの要件 (3)取消手続と決定
2 収容継続申請事件
(1)収容継続の意義と対象 (2)収容継続の要件 (3)申請手続と審理手続 (4)終局決定
3 戻し収容申請事件
(1)戻し収容の意義と対象,要件 (2)申請手続と審理手続 (3)終局決定
4 施設送致申請事件
(1)施設送致の意義と手続 (2)決定等
第9章 少年の刑事事件
Ⅰ 少年の刑事事件の意義と要件
1 少年に対する刑事処分
(1)少年に対する刑事処分の意義 (2)2000年の少年法改正
2 検察官送致(逆送)
(1)刑事処分相当検送(20条1項) (2)原則逆送(20条2項) (3)決定手続と効果
Ⅱ 少年の刑事事件手続
1 起訴前と公訴提起の段階
(1)観護措置(みなし勾留)の扱い (2)起訴強制とその例外 (3)検察官による再送致
2 裁判段階
(1)少年刑事裁判の特殊性 (2)少年刑事事件の裁判員裁判 (3)家庭裁判所への再移送
Ⅲ 少年の刑事処分とその執行
1 少年の刑事処分に関する特則
(1)死刑と無期刑の緩和 (2)不定期刑の活用 (3)換刑処分の禁止 (4)人の資格に関する法令の適用
2 刑事処分の執行に関する特則
(1)刑の優先執行主義 (2)自由刑の執行 (3)仮釈放
終 章 少年法の動向
Ⅰ 少年法の改正と国際的動向
1 少年法の改正
(1)実現しなかった根本的改正の試み (2)2000年改正とその後の動向
2 少年法の国際的動向
(1)少年司法に関する国際的動向 (2)子どもの権利条約 (3)3つの国連規則
Ⅱ 少年法の将来と課題
1 少年法の将来
(1)少年法の現状とその評価 (2)刑事裁判システムとの共通性 (3)侵害原理と保護原理の関係
2 少年法の課題
(1)重大事犯への対応 (2)ダイヴァージョンの方向性
事項索引
重要語句コメント一覧 (下記の語句は本文中で*を付し,解説)
序 章 日本の刑罰/責任主義
第1章 刑法犯と一般刑法犯/神戸連続児童殺傷事件/小松川女子高生殺害事件/新聞協会の方針/堺少女等殺傷事件
第2章 罪刑法定主義/少年処遇施設の設置/プロべーション制度/保安処分制度/私立感化院/成人刑事事件の管轄
第3章 流山中央高校事件/未特例判事補の単独関与/疑わしきは被告人の利益に/起訴裁量主義/14歳未満の少年の扱い/
要保護性と非行事実との関係/保護処分の種類の制限
第4章 少年刑事事件の控訴の場合/決定と決定書
第5章 児童相談所/勾留に代わる1号観護の取消し/押収(物)/司法警察員/一般人以外の発見機関による一般通告/
再起事件/身柄事件と在宅事件/受理審査/家庭裁判所への占有の移転
第6章 観護措置中の少年の法的地位/その他の保護者通知等/外国籍少年の場合/試験観察決定等と観護措置/
審判条件/被害者調査/科学調査室と医務室/調査命令/家裁内部での事件の移送/一事不再理/強制的措置の許可
第7章 保護者の権利と義務/付添人の権限/被害者等の申出による記録の閲覧・謄写/罰金見込検送の活用/国選付添人/
弁護士付添人からの意見聴取/調査過程における試験観察の可否/補導委託の法的性質に関する解釈論/第三者没取/
争いのない事案/刑事処分を求める抗告の可否
第8章 政治犯・確信犯/一般遵守事項/長崎事件,佐世保事件/広島少年院事件
第9章 年超検送/調査官観護の扱い/弁護人の扱い/「処断すべきとき」の意義/永山事件最高裁判決/光市母子殺害事件最高裁判決
終 章 修復的司法
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