ブリッジブック社会保障法
各章の冒頭で学習テーマを示し、分かりやすく語りかけ口調を用い、かつ、2色刷の本文で、図表やコラムも充実した新感覚の入門テキスト。初学者が、将来にわたって有用な、柔軟で応用できる思考力を育むという人気シリーズに『社会保障法』が登場!
『ブリッジブック社会保障法』
菊池馨実(早稲田大学法学学術院教授) 編
<執筆者一覧:担当章>
菊池馨実:プロローグ・Chapter1・エピローグ
稲森公嘉(京都大学大学院法学研究科教授):Chapter2・3・4・13
高畠淳子(京都産業大学法学部教授):Chapter5・6・8・10
中益陽子(亜細亜大学法学部准教授):Chaoter7・9・11・12
【目 次】
◆プロローグ
・ 国民生活と社会保障
・ 社会保障を取り巻く環境
・ 本書の構成
◆ Chapter 1 「社会保障法」という法の世界
1 社会保障の成立と展開
・ 1 社会保障の成立
(1) 社会保障の前史/(2) 社会保障概念の登場
・ 2 日本での社会保障の展開
(1) 戦前までの動向/(2) 戦後の展開
2 社会保障の目的と範囲
・ 1 社会保障の目的
・ 2 社会保障の範囲
▼コラム 1 東日本大震災と社会保障
3 社会保障法という法の世界
・ 1 社会保障法とは何か
・ 2 社会保障法の性格・特徴
4 社会保障法を構成する制度
(1) 社会保険/
▼コラム 2 社会保険と税
(2) 公的扶助/(3) 社会福祉/(4) 社会手当
▼コラム 3 社会保障制度改革
◆ Chapter 2 年 金
1 公的年金制度とは
・ 1 なぜ公的年金制度が必要なのか
・ 2 年金制度にはどんなものがあるか
・ 3 年金制度の歴史と体系
▼コラム 4 企業年金
2 公的年金の保険関係
・ 1 被保険者
(1) 国民年金の被保険者/
▼コラム 5 第3号被保険者の記録不整合問題
(2) 厚生年金の被保険者
・ 2 保 険 者
▼コラム 6 主婦と年金
3 公的年金の給付
・ 1 老齢年金
(1) 老齢基礎年金/(2) 老齢厚生年金/
▼コラム 7 標準報酬
(3) マクロ経済スライド
・ 2 障害年金
(1) 支給要件/(2) 20歳前障害者の障害基礎年金/(3) 支給額・支給期間
▼コラム 8 学生無年金障害者訴訟と特別障害給付金
・ 3 遺族年金
(1) 遺族基礎年金/(2) 遺族厚生年金
・ 4 受給手続
・ 5 併給調整
4 公的年金の財政
・ 1 国民年金
(1) 基礎年金の財政/(2) 国民年金保険料
・ 2 厚生年金保険
▼コラム 9 国民年金保険料の未納率
5 公的年金制度の課題と将来
◆ Chapter 3 医療保険
1 「医療保障」とは?
・ 1「医療保障」の意味
・ 2 医療保障制度の体系
2 医療保険の保険関係
・ 1 対 象 者
(1) 健康保険の被保険者/(2) 健康保険の被扶養者/(3) 国民健康保険の被保険者/
(4) 後期高齢者医療制度の被保険者
・ 2 保 険 者
3 医療保険の保険事故と保険給付
・ 1 医療保健の保険事故
・ 2 保険給付の種類
・ 3 傷病に関する給付
(1) 療養の給付/(2) 入院時食事療養費・入院時生活療養費/(3) 訪問看護療養費/
(4) 保険外併用療養費/(5) 療養費/(6) 特別療養費/(7) 高額療養費・高額介護合算療養費/
(8) 移送費/(9) 被扶養者に関する給付/(10) 傷害手当金
・ 4 出産に関する給付
(1) 出産育児一時金/(2) 出産手当金
・ 5 死亡に関する給付
4 医療保険の財政
・ 1 概 要
・ 2 健康保険の財政
・ 3 国民健康保険の財政
・ 4 前期高齢者医療の財政調整
・ 5 後期高齢者医療の財政
▼コラム 10 高齢者医療
5 医療提供体制
・ 1 医療機関の開設と保険医療機関の指定
▼コラム 11 病床規制
・ 2 診療報酬
・ 3 薬価制度
▼コラム 12 交通事故と医療保険
6 医療保障制度の課題
▼コラム 13 長期医療への対応
◆ Chapter 4 介護保障
1 介護保険の歩み
・ 1 介護保険ができる前
(1) 老人福祉/(2) 老人保健(老人医療)
・ 2 介護保険制度の展開
(1) 介護保険法の制定/(2) 2005年改正/(3) 2008年改正/(4) 2011年改正
▼コラム 14 老人福祉法はなくなったのか?
2 介護保険の保険関係
・ 1 保 険 者
・ 2 被保険者
3 介護保険の給付を受けるには
・ 1 要介護(要支援)認定
・ 2 認定手続
・ 3 特定疾病
・ 4 ケアマネジメント
4 保険給付
・ 1 介護保険給付の種類
▼コラム 15 高齢者の住まい
・ 2 利用者負担
5 地域支援事業
6 介護保険サービス提供体制
・ 1 事業者・施設の指定制度
・ 2 介護報酬の請求・審査・支払
7 介護保険の財政
・ 1 財源の構成
・ 2 第1号保険料
・ 3 第2号保険料
・ 4 財政安定化基金
8 介護保険の課題
・ 1 制度の持続可能性
・ 2 被保険者の範囲
・ 3 家族介護の評価
◆ Chapter 5 労災補償
1 労災補償の成り立ち
・ 1 労災補償制度の特徴
(1) 労災保険の役割/(2) 無過失責任での補償/(3)補償責任の社会保険化
・ 2 労災保険制度の広がり
2 労災保険の保険関係
・ 1 労災保険の被労働者?
(1) 労災保険における労働者/(2) 特別加入制度
・ 2 保 険 者
3 労災保険の財政
・ 1 保険料の仕組み
・ 2 労働保険事務組合
4 どのような災害が労災保険の対象となるか
・ 1 業務上外認定の仕組み
(1) 業務上傷病とは/(2) 給付対象となるのは、業務起因性がある傷病
・ 2 事故性の傷病の場合
(1) 事故性の傷病についての業務上外認定
▼コラム 16 労災を予防するために
・ 3 職業性疾病(職業病)の場合
(1) 職業性疾病についての業務上外認定/(2) いわゆる過労死の場合/(3) 過労で自殺をした場合
・ 4 通勤災害
(1)「通勤」とは
5 労災保険の給付
・ 1 給付の種類
(1) 給付の概要/(2) 代表的な給付
・ 2 給付制限
・ 3 他の社会保障給付との調整
▼コラム 17 労災保険の多様な役割―社会復帰促進等事業
6 労災についての民事訴訟
・ 1 労災民訴の2つのパターン
(1) 不法行為責任を問う/(2) 債務不履行責任を問う
・ 2 使用者の安全配慮義務
(1) 安全配慮義務とは/(2) 安全配慮義務の具体的内容
・ 3 労災保険給付と損害賠償の調整
(1) 使用者の損害賠償責任と労災補償・労災保険給付の関係/(2) 第三者行為災害
7 労災保険制度の課題
◆ Chapter 6 雇用保険
1 雇用保険制度の成り立ち
・ 1「雇用」保険制度の誕生
・ 2 雇用保険の目的
2 雇用保険の保険関係
・ 1 被保険者
(1) 雇用保険における労働者/(2) 働いているのに雇用保険の対象外?/
(3) 非正規従業員への拡大
・ 2 保 険 者
3 雇用保険の財政
(1) 保険財政の内訳/(2) 保険料の仕組み
4 失業した場合の給付
・ 1 給付の種類
・ 2 基本手当の受給要件と手続
(1) どのような場合に受給できる?/(2)「失業」とは/(3) 求職の申込み/
(4) 受給への最後のハードル
・ 3 基本手当の内容
(1) どれぐらいの額か/(2) 受給できる期間に制限が/(3) 何日受給できる?/
(4) 基本手当を受給できない!?
▼コラム 18 若者の雇用を守るための仕組み
5 求職者支援制度の創設
・ 1 雇用保険だけでは足りない?
・ 2 どのような場合に受給できるか
(1) 職業訓練とのかかわり/(2) 対象者は?/(3) 家族に収入があるとダメ?/
(4) 受給額と受給期間
6 雇用継続中の給付
・ 1 高年齢雇用継続給付
・ 2 育児休業給付金
・ 3 介護休業給付金
▼コラム 19 育児や介護をしながら、仕事を続けるには?
7 雇用システムの変化と雇用保険
・ 1 日本型雇用システムとのかかわり
(1) 雇用調整助成金の役割
・ 2 社会状況の変化への対応
(1) 非正規雇用者の増大/(2) 失業の長期化
・ 3 より堅固なセーフティネットに
(1) 残された課題/(2)「雇用」の重要性
▼コラム 20 失業から就労へと後押しする多様な支援策
◆ Chapter 7 社会福祉
1 社会福祉制度の意義と特徴
・ 1 社会福祉制度とは
・ 2 サービスの提供を目的とした制度
・ 3 社会福祉制度の展開と発展
(1) 重視されなかった所得制限―貧困者も富裕層も/(2) 介護保険との類似性
2 社会福祉制度の主体
・ 1 社会福祉サービスの対象者
(1)“非”網羅的な対象者/(2) 高齢者福祉と介護保険
・ 2 社会福祉サービスの供給主体
(1) 2種類の社会福祉事業と経営主体/(2) 社会福祉法人とは
3 社会福祉制度の行政機関
・ 1 権限は国から市町村へ
(1) 行政の役割/(2) 形骸化していた地方自治/(3) 市町村の権限の拡大
・ 2 福祉事務所
4 社会福祉制度の法律関係
・ 1 多様な法律関係
・ 2 措置方式
(1) 措置方式とは/(2) 行政による一方的な決定/(3) 措置方式の問題点
・ 3「措置から契約へ」
(1)「契約」の登場/(2) 契約方式導入後の措置方式の意義
・ 4 さまざまな契約方式
(1) 自立支援給付方式/(2) 子どものための教育・保育給付に関する契約方式/
(3) 介護保険方式
5 生活の自立のために
◆ Chapter 8 障害者福祉
1 障害者福祉法制の変遷
・ 1 これまでの流れ
(1) 種別ごとの福祉法制/(2) 新たな理念の登場
・ 2 サービス提供方法の変化
▼コラム 21 サービスは必要だが契約が結べない?
・ 3 障害の概念の変化
(1) 機能障害に着目する医学モデル/(2) 障壁との相互作用で障害が作られる/
(3) 障害概念の意義
・ 4 障害者施策の進展
(1) 2011年の障害者基本法の改正/(2) 障害者虐待防止法の制定
2 障害者総合支援法による福祉サービス
・ 1 障害者総合支援法が制定されるまで
(1) 障害者自立支援法の制定/(2) 障害者総合支援法の登場
・ 2 適用対象と財政
(1) どんな人が対象となる?/(2) だれがどのように財源を支えるのか?/
(3) サービス利用料は必要か?
・ 3 給付の種類
・ 4 サービス利用の手続
・ 5 サービス供給体制の整備
(1) サービス提供者への規制/(2) 障害福祉計画の策定
3 身体・知的障害者福祉法
・ 1 障害者総合支援法との関係
・ 2 身体障害者への福祉
(1) 身体障害者とは/(2) 身体障害者福祉法独自の施策
・ 3 知的障害者への福祉
4 精神保健福祉法
・ 1 精神障害者への福祉
・ 2 精神保健福祉法独自の制度
5 発達障害者支援法とその他の障害
・ 1 発達障害者への支援
・ 2 障害の複雑さと社会福祉法制
▼コラム 22 障害のある人への発達と教育の保障
6 障害者福祉の課題
・ 1 障害者総合福祉法のさらなる見直し?
・ 2 障害者差別解消法の制定
・ 3 障害者雇用促進法の改正
・ 4 差別の解消へ向けて
▼コラム 23 障害のある人も働くことができるように
◆ Chapter 9 子ども・家庭福祉、社会手当
1 児童福祉制度
・ 1 児童福祉の理念と対象者
(1) すべての児童・子どもに対する健全育成策/(2) 子ども・子育て支援法の登場/
(3) 高校生も「児童」・「子ども」
・ 2 乳幼児を対象とする保育・教育サービス
(1) 対象児童と主な保育関連給付
▼コラム 24 幼保一元化
(2) 市町村の責任と給付の形式
・ 3 要保護児童等に対する福祉サービス
(1) 要保護児童とは/(2) 児童虐待の防止/(3)被措置児童等に対する児童虐待の防止
・ 4 障害児に対する福祉サービス
(1) 障害児とは/(2) 身近な地域での支援を充実/(3) 利用量ではなく負担能力に応じた
費用負担へ
2 母子家庭・寡婦と父子家庭に対する福祉制度
・ 1 経済的自立支援から総合的な生活安定支援へ
・ 2 母子家庭や寡婦だけでなく父子家庭も
・ 3 サービスの内容
3 育児に関する金銭給付
・ 1 社会手当とは
・ 2 児童手当
(1) 制度の発展の遅れ/(2) 新児童手当の内容
・ 3 児童扶養手当
・ 4 特別児童扶養手当
4 子どもや家族の支援は何のためのもの?
◆ Chapter 10 公的扶助(生活保護)
1 生活保護法の成り立ち
・ 1 最後のセーフティネット
(1) 公的扶助とは/(2) 最近の受給者数と支給額/(3) 生活保護法の改正
・ 2 生活保護法の目的と特徴
(1) 国家による最低生活保障/(2) 自立の助長も目的/(3) 生活保護の特徴
▼コラム 25 生活保護は与えすぎ? 与えなさすぎ?
2 生活保護法の4つの原理
・ 1 国家による最低生活保障の原理(生活保護1条・3条)
・ 2 自立助長の原理(生活保護1条)
・ 3 無差別平等の原理(生活保護2条)
・ 4 補足性の原理(生活保護4条)
(1) 資産の活用とは/(2) 能力の活用とは/(3) 扶養義務者による扶養の優先/
▼コラム 26 扶養義務は、誰にどの程度課せられるのか?
(4) 他法他施策の優先/(5) 急迫保護
3 生活保護実施の原則
・ 1 申請保護の原則(生活保護7条)
(1) 申請は福祉事務所へ/(2) 決定は14日以内へ
・ 2 基準及び程度の原則(生活保護8条)
(1) 最低生活水準の決め方/(2) 保護基準の設定と行政裁量/(3) 行政裁量に対する
司法審査/(4) 保護基準の引き下げ
・ 3 必要即応の原則(生活保護9条)
・ 4 世帯単位の原則(生活保護10条)
4 生活保護の種類と方法
・ 1 8種類の扶助
・ 2 保護の変更・停止・廃止
・ 3 ソーシャルワークの重要性
・ 4 自立支援プログラムの導入
5 生活保護の実施機関と費用負担
・ 1 どこが実施するか
・ 2 費用は誰が負担するか
6 生活保護法の課題
・ 1 利用しやすく、自立しやすい制度に
(1) 情報収集の必要性と利用のしやすさ/(2)「不正受給」への対応/(3) 自立への支援
・ 2 総合的な貧困者対策の重要性
・ 3 改めて「最低生活」とは何か
◆ Chapter 11 紛争解決や救済の仕組み
1 社会保障制度をめぐる紛争の解決方法とは?
・ 1 安く、早く、お手軽に、が目標
・ 2 裁判による解決の難しさ
・ 3 行政処分かどうか
2 裁判以外の紛争解決策
・ 1 不服申立て
(1) 社会保障制度における不服申立てとは/(2) 不服申立てのメリット/
(3) 不服申立ての問題点
・ 2 各種の相談窓口や苦情処理機関
3 さまざまな裁判
・ 1 国や公共団体を相手とする訴訟
(1) 抗告訴訟
▼コラム 27 仮の救済制度
(2) 当事者訴訟/(3) 通常訴訟―とくに国家賠償訴訟
・ 2 私人間の訴訟
4 課題の多い紛争解決策とその研究
◆ Chapter 12 グローバル化と社会保障
1 外国人と社会保障
・ 1 国民と外国人
(1) 日本における国民と外国人/(2) 海外における日本人
・ 2 外国人と社会保障制度に対するニーズ
(1) 合法的滞在の外国人/(2) 不法滞在の外国人
・ 3 人の移動と国際的法規範の役割
(1) 国内法だけでは対応できない/(2) どの国の社会保障制度が適用されるのか/
(3) 国際的な法規範の必要性
2 日本における外国人と社会保障制度
・ 1 外国人に対する基本的姿勢の変遷
(1) 外国人を対象とすべきか/(2) 国際条約による普遍的適用の方向性
・ 2 各社会保障制度における外国人の取扱い
(1) 社会保険の場合/(2) 社会福祉の場合/(3) 社会手当の場合
▼コラム 28 子ども手当と海外支給
(4) 生活保護の場合
3 外国における日本人と社会保障制度
・ 1 在外日本人に対する保護は社会保険制度が中心
・ 2 労働関係を基盤としない社会保険と在外日本人
(1) 在外期間が短期の場合/(2) 在外期間が長期の場合
・ 3 労働関係を基礎とする社会保険と在外日本人
(1) 適用事業・事業所との使用関係が決め手/
(2) 日本の適用事業・事業所との間に使用関係等が認められる場合/
(3) 日本の適用事業・事業所との間に使用関係等が認められない場合
4 課題の多いグローバル化をめぐる問題
◆ Chapter 13 社会保障法の構造
1 社会保障法の法源
・ 1 法源にはどのようなものがあるか
▼コラム 29 行政規則による社会保障行政
・ 2 社会保障と関係の深い憲法条項
(1) 憲法25条/(2) 憲法14条/(3) 憲法13条/(4) 憲法29条/(5) 憲法89条/(6) 憲法84条
▼コラム 30 訴訟と法令改正
2 社会保障の法原理・法理念
・ 1 法原理・法理念を探求する意味はどこにあるか
・ 2 生 存 権
・ 3 自 律
・ 4 社会連帯
3 社会保障給付の法的性格
・ 1 受給権の発生と消滅、一身専属性
・ 2 受給権の保護
・ 3 時 効
・ 4 給付調整
・ 5 給付制限
4 社会保障負担の法的性格
・ 1 徴 収 権
・ 2 社会保険料
(1) 社会保険料を拠出することの意義/(2) 事業主の保険料負担
・ 3 公 費
◆ エピローグ
・ 社会保障の将来
・ 社会保障の持続可能性
・ 制度改革にあたっての視点
・ 法学的視点の重要性
・ 今後の学習のために
(1) ステップ1―法学部でのより詳しい勉強のために/
(2) ステップ2―より知識を深めたい人のために
索 引
菊池馨実(早稲田大学法学学術院教授) 編
<執筆者一覧:担当章>
菊池馨実:プロローグ・Chapter1・エピローグ
稲森公嘉(京都大学大学院法学研究科教授):Chapter2・3・4・13
高畠淳子(京都産業大学法学部教授):Chapter5・6・8・10
中益陽子(亜細亜大学法学部准教授):Chaoter7・9・11・12
【目 次】
◆プロローグ
・ 国民生活と社会保障
・ 社会保障を取り巻く環境
・ 本書の構成
◆ Chapter 1 「社会保障法」という法の世界
1 社会保障の成立と展開
・ 1 社会保障の成立
(1) 社会保障の前史/(2) 社会保障概念の登場
・ 2 日本での社会保障の展開
(1) 戦前までの動向/(2) 戦後の展開
2 社会保障の目的と範囲
・ 1 社会保障の目的
・ 2 社会保障の範囲
▼コラム 1 東日本大震災と社会保障
3 社会保障法という法の世界
・ 1 社会保障法とは何か
・ 2 社会保障法の性格・特徴
4 社会保障法を構成する制度
(1) 社会保険/
▼コラム 2 社会保険と税
(2) 公的扶助/(3) 社会福祉/(4) 社会手当
▼コラム 3 社会保障制度改革
◆ Chapter 2 年 金
1 公的年金制度とは
・ 1 なぜ公的年金制度が必要なのか
・ 2 年金制度にはどんなものがあるか
・ 3 年金制度の歴史と体系
▼コラム 4 企業年金
2 公的年金の保険関係
・ 1 被保険者
(1) 国民年金の被保険者/
▼コラム 5 第3号被保険者の記録不整合問題
(2) 厚生年金の被保険者
・ 2 保 険 者
▼コラム 6 主婦と年金
3 公的年金の給付
・ 1 老齢年金
(1) 老齢基礎年金/(2) 老齢厚生年金/
▼コラム 7 標準報酬
(3) マクロ経済スライド
・ 2 障害年金
(1) 支給要件/(2) 20歳前障害者の障害基礎年金/(3) 支給額・支給期間
▼コラム 8 学生無年金障害者訴訟と特別障害給付金
・ 3 遺族年金
(1) 遺族基礎年金/(2) 遺族厚生年金
・ 4 受給手続
・ 5 併給調整
4 公的年金の財政
・ 1 国民年金
(1) 基礎年金の財政/(2) 国民年金保険料
・ 2 厚生年金保険
▼コラム 9 国民年金保険料の未納率
5 公的年金制度の課題と将来
◆ Chapter 3 医療保険
1 「医療保障」とは?
・ 1「医療保障」の意味
・ 2 医療保障制度の体系
2 医療保険の保険関係
・ 1 対 象 者
(1) 健康保険の被保険者/(2) 健康保険の被扶養者/(3) 国民健康保険の被保険者/
(4) 後期高齢者医療制度の被保険者
・ 2 保 険 者
3 医療保険の保険事故と保険給付
・ 1 医療保健の保険事故
・ 2 保険給付の種類
・ 3 傷病に関する給付
(1) 療養の給付/(2) 入院時食事療養費・入院時生活療養費/(3) 訪問看護療養費/
(4) 保険外併用療養費/(5) 療養費/(6) 特別療養費/(7) 高額療養費・高額介護合算療養費/
(8) 移送費/(9) 被扶養者に関する給付/(10) 傷害手当金
・ 4 出産に関する給付
(1) 出産育児一時金/(2) 出産手当金
・ 5 死亡に関する給付
4 医療保険の財政
・ 1 概 要
・ 2 健康保険の財政
・ 3 国民健康保険の財政
・ 4 前期高齢者医療の財政調整
・ 5 後期高齢者医療の財政
▼コラム 10 高齢者医療
5 医療提供体制
・ 1 医療機関の開設と保険医療機関の指定
▼コラム 11 病床規制
・ 2 診療報酬
・ 3 薬価制度
▼コラム 12 交通事故と医療保険
6 医療保障制度の課題
▼コラム 13 長期医療への対応
◆ Chapter 4 介護保障
1 介護保険の歩み
・ 1 介護保険ができる前
(1) 老人福祉/(2) 老人保健(老人医療)
・ 2 介護保険制度の展開
(1) 介護保険法の制定/(2) 2005年改正/(3) 2008年改正/(4) 2011年改正
▼コラム 14 老人福祉法はなくなったのか?
2 介護保険の保険関係
・ 1 保 険 者
・ 2 被保険者
3 介護保険の給付を受けるには
・ 1 要介護(要支援)認定
・ 2 認定手続
・ 3 特定疾病
・ 4 ケアマネジメント
4 保険給付
・ 1 介護保険給付の種類
▼コラム 15 高齢者の住まい
・ 2 利用者負担
5 地域支援事業
6 介護保険サービス提供体制
・ 1 事業者・施設の指定制度
・ 2 介護報酬の請求・審査・支払
7 介護保険の財政
・ 1 財源の構成
・ 2 第1号保険料
・ 3 第2号保険料
・ 4 財政安定化基金
8 介護保険の課題
・ 1 制度の持続可能性
・ 2 被保険者の範囲
・ 3 家族介護の評価
◆ Chapter 5 労災補償
1 労災補償の成り立ち
・ 1 労災補償制度の特徴
(1) 労災保険の役割/(2) 無過失責任での補償/(3)補償責任の社会保険化
・ 2 労災保険制度の広がり
2 労災保険の保険関係
・ 1 労災保険の被労働者?
(1) 労災保険における労働者/(2) 特別加入制度
・ 2 保 険 者
3 労災保険の財政
・ 1 保険料の仕組み
・ 2 労働保険事務組合
4 どのような災害が労災保険の対象となるか
・ 1 業務上外認定の仕組み
(1) 業務上傷病とは/(2) 給付対象となるのは、業務起因性がある傷病
・ 2 事故性の傷病の場合
(1) 事故性の傷病についての業務上外認定
▼コラム 16 労災を予防するために
・ 3 職業性疾病(職業病)の場合
(1) 職業性疾病についての業務上外認定/(2) いわゆる過労死の場合/(3) 過労で自殺をした場合
・ 4 通勤災害
(1)「通勤」とは
5 労災保険の給付
・ 1 給付の種類
(1) 給付の概要/(2) 代表的な給付
・ 2 給付制限
・ 3 他の社会保障給付との調整
▼コラム 17 労災保険の多様な役割―社会復帰促進等事業
6 労災についての民事訴訟
・ 1 労災民訴の2つのパターン
(1) 不法行為責任を問う/(2) 債務不履行責任を問う
・ 2 使用者の安全配慮義務
(1) 安全配慮義務とは/(2) 安全配慮義務の具体的内容
・ 3 労災保険給付と損害賠償の調整
(1) 使用者の損害賠償責任と労災補償・労災保険給付の関係/(2) 第三者行為災害
7 労災保険制度の課題
◆ Chapter 6 雇用保険
1 雇用保険制度の成り立ち
・ 1「雇用」保険制度の誕生
・ 2 雇用保険の目的
2 雇用保険の保険関係
・ 1 被保険者
(1) 雇用保険における労働者/(2) 働いているのに雇用保険の対象外?/
(3) 非正規従業員への拡大
・ 2 保 険 者
3 雇用保険の財政
(1) 保険財政の内訳/(2) 保険料の仕組み
4 失業した場合の給付
・ 1 給付の種類
・ 2 基本手当の受給要件と手続
(1) どのような場合に受給できる?/(2)「失業」とは/(3) 求職の申込み/
(4) 受給への最後のハードル
・ 3 基本手当の内容
(1) どれぐらいの額か/(2) 受給できる期間に制限が/(3) 何日受給できる?/
(4) 基本手当を受給できない!?
▼コラム 18 若者の雇用を守るための仕組み
5 求職者支援制度の創設
・ 1 雇用保険だけでは足りない?
・ 2 どのような場合に受給できるか
(1) 職業訓練とのかかわり/(2) 対象者は?/(3) 家族に収入があるとダメ?/
(4) 受給額と受給期間
6 雇用継続中の給付
・ 1 高年齢雇用継続給付
・ 2 育児休業給付金
・ 3 介護休業給付金
▼コラム 19 育児や介護をしながら、仕事を続けるには?
7 雇用システムの変化と雇用保険
・ 1 日本型雇用システムとのかかわり
(1) 雇用調整助成金の役割
・ 2 社会状況の変化への対応
(1) 非正規雇用者の増大/(2) 失業の長期化
・ 3 より堅固なセーフティネットに
(1) 残された課題/(2)「雇用」の重要性
▼コラム 20 失業から就労へと後押しする多様な支援策
◆ Chapter 7 社会福祉
1 社会福祉制度の意義と特徴
・ 1 社会福祉制度とは
・ 2 サービスの提供を目的とした制度
・ 3 社会福祉制度の展開と発展
(1) 重視されなかった所得制限―貧困者も富裕層も/(2) 介護保険との類似性
2 社会福祉制度の主体
・ 1 社会福祉サービスの対象者
(1)“非”網羅的な対象者/(2) 高齢者福祉と介護保険
・ 2 社会福祉サービスの供給主体
(1) 2種類の社会福祉事業と経営主体/(2) 社会福祉法人とは
3 社会福祉制度の行政機関
・ 1 権限は国から市町村へ
(1) 行政の役割/(2) 形骸化していた地方自治/(3) 市町村の権限の拡大
・ 2 福祉事務所
4 社会福祉制度の法律関係
・ 1 多様な法律関係
・ 2 措置方式
(1) 措置方式とは/(2) 行政による一方的な決定/(3) 措置方式の問題点
・ 3「措置から契約へ」
(1)「契約」の登場/(2) 契約方式導入後の措置方式の意義
・ 4 さまざまな契約方式
(1) 自立支援給付方式/(2) 子どものための教育・保育給付に関する契約方式/
(3) 介護保険方式
5 生活の自立のために
◆ Chapter 8 障害者福祉
1 障害者福祉法制の変遷
・ 1 これまでの流れ
(1) 種別ごとの福祉法制/(2) 新たな理念の登場
・ 2 サービス提供方法の変化
▼コラム 21 サービスは必要だが契約が結べない?
・ 3 障害の概念の変化
(1) 機能障害に着目する医学モデル/(2) 障壁との相互作用で障害が作られる/
(3) 障害概念の意義
・ 4 障害者施策の進展
(1) 2011年の障害者基本法の改正/(2) 障害者虐待防止法の制定
2 障害者総合支援法による福祉サービス
・ 1 障害者総合支援法が制定されるまで
(1) 障害者自立支援法の制定/(2) 障害者総合支援法の登場
・ 2 適用対象と財政
(1) どんな人が対象となる?/(2) だれがどのように財源を支えるのか?/
(3) サービス利用料は必要か?
・ 3 給付の種類
・ 4 サービス利用の手続
・ 5 サービス供給体制の整備
(1) サービス提供者への規制/(2) 障害福祉計画の策定
3 身体・知的障害者福祉法
・ 1 障害者総合支援法との関係
・ 2 身体障害者への福祉
(1) 身体障害者とは/(2) 身体障害者福祉法独自の施策
・ 3 知的障害者への福祉
4 精神保健福祉法
・ 1 精神障害者への福祉
・ 2 精神保健福祉法独自の制度
5 発達障害者支援法とその他の障害
・ 1 発達障害者への支援
・ 2 障害の複雑さと社会福祉法制
▼コラム 22 障害のある人への発達と教育の保障
6 障害者福祉の課題
・ 1 障害者総合福祉法のさらなる見直し?
・ 2 障害者差別解消法の制定
・ 3 障害者雇用促進法の改正
・ 4 差別の解消へ向けて
▼コラム 23 障害のある人も働くことができるように
◆ Chapter 9 子ども・家庭福祉、社会手当
1 児童福祉制度
・ 1 児童福祉の理念と対象者
(1) すべての児童・子どもに対する健全育成策/(2) 子ども・子育て支援法の登場/
(3) 高校生も「児童」・「子ども」
・ 2 乳幼児を対象とする保育・教育サービス
(1) 対象児童と主な保育関連給付
▼コラム 24 幼保一元化
(2) 市町村の責任と給付の形式
・ 3 要保護児童等に対する福祉サービス
(1) 要保護児童とは/(2) 児童虐待の防止/(3)被措置児童等に対する児童虐待の防止
・ 4 障害児に対する福祉サービス
(1) 障害児とは/(2) 身近な地域での支援を充実/(3) 利用量ではなく負担能力に応じた
費用負担へ
2 母子家庭・寡婦と父子家庭に対する福祉制度
・ 1 経済的自立支援から総合的な生活安定支援へ
・ 2 母子家庭や寡婦だけでなく父子家庭も
・ 3 サービスの内容
3 育児に関する金銭給付
・ 1 社会手当とは
・ 2 児童手当
(1) 制度の発展の遅れ/(2) 新児童手当の内容
・ 3 児童扶養手当
・ 4 特別児童扶養手当
4 子どもや家族の支援は何のためのもの?
◆ Chapter 10 公的扶助(生活保護)
1 生活保護法の成り立ち
・ 1 最後のセーフティネット
(1) 公的扶助とは/(2) 最近の受給者数と支給額/(3) 生活保護法の改正
・ 2 生活保護法の目的と特徴
(1) 国家による最低生活保障/(2) 自立の助長も目的/(3) 生活保護の特徴
▼コラム 25 生活保護は与えすぎ? 与えなさすぎ?
2 生活保護法の4つの原理
・ 1 国家による最低生活保障の原理(生活保護1条・3条)
・ 2 自立助長の原理(生活保護1条)
・ 3 無差別平等の原理(生活保護2条)
・ 4 補足性の原理(生活保護4条)
(1) 資産の活用とは/(2) 能力の活用とは/(3) 扶養義務者による扶養の優先/
▼コラム 26 扶養義務は、誰にどの程度課せられるのか?
(4) 他法他施策の優先/(5) 急迫保護
3 生活保護実施の原則
・ 1 申請保護の原則(生活保護7条)
(1) 申請は福祉事務所へ/(2) 決定は14日以内へ
・ 2 基準及び程度の原則(生活保護8条)
(1) 最低生活水準の決め方/(2) 保護基準の設定と行政裁量/(3) 行政裁量に対する
司法審査/(4) 保護基準の引き下げ
・ 3 必要即応の原則(生活保護9条)
・ 4 世帯単位の原則(生活保護10条)
4 生活保護の種類と方法
・ 1 8種類の扶助
・ 2 保護の変更・停止・廃止
・ 3 ソーシャルワークの重要性
・ 4 自立支援プログラムの導入
5 生活保護の実施機関と費用負担
・ 1 どこが実施するか
・ 2 費用は誰が負担するか
6 生活保護法の課題
・ 1 利用しやすく、自立しやすい制度に
(1) 情報収集の必要性と利用のしやすさ/(2)「不正受給」への対応/(3) 自立への支援
・ 2 総合的な貧困者対策の重要性
・ 3 改めて「最低生活」とは何か
◆ Chapter 11 紛争解決や救済の仕組み
1 社会保障制度をめぐる紛争の解決方法とは?
・ 1 安く、早く、お手軽に、が目標
・ 2 裁判による解決の難しさ
・ 3 行政処分かどうか
2 裁判以外の紛争解決策
・ 1 不服申立て
(1) 社会保障制度における不服申立てとは/(2) 不服申立てのメリット/
(3) 不服申立ての問題点
・ 2 各種の相談窓口や苦情処理機関
3 さまざまな裁判
・ 1 国や公共団体を相手とする訴訟
(1) 抗告訴訟
▼コラム 27 仮の救済制度
(2) 当事者訴訟/(3) 通常訴訟―とくに国家賠償訴訟
・ 2 私人間の訴訟
4 課題の多い紛争解決策とその研究
◆ Chapter 12 グローバル化と社会保障
1 外国人と社会保障
・ 1 国民と外国人
(1) 日本における国民と外国人/(2) 海外における日本人
・ 2 外国人と社会保障制度に対するニーズ
(1) 合法的滞在の外国人/(2) 不法滞在の外国人
・ 3 人の移動と国際的法規範の役割
(1) 国内法だけでは対応できない/(2) どの国の社会保障制度が適用されるのか/
(3) 国際的な法規範の必要性
2 日本における外国人と社会保障制度
・ 1 外国人に対する基本的姿勢の変遷
(1) 外国人を対象とすべきか/(2) 国際条約による普遍的適用の方向性
・ 2 各社会保障制度における外国人の取扱い
(1) 社会保険の場合/(2) 社会福祉の場合/(3) 社会手当の場合
▼コラム 28 子ども手当と海外支給
(4) 生活保護の場合
3 外国における日本人と社会保障制度
・ 1 在外日本人に対する保護は社会保険制度が中心
・ 2 労働関係を基盤としない社会保険と在外日本人
(1) 在外期間が短期の場合/(2) 在外期間が長期の場合
・ 3 労働関係を基礎とする社会保険と在外日本人
(1) 適用事業・事業所との使用関係が決め手/
(2) 日本の適用事業・事業所との間に使用関係等が認められる場合/
(3) 日本の適用事業・事業所との間に使用関係等が認められない場合
4 課題の多いグローバル化をめぐる問題
◆ Chapter 13 社会保障法の構造
1 社会保障法の法源
・ 1 法源にはどのようなものがあるか
▼コラム 29 行政規則による社会保障行政
・ 2 社会保障と関係の深い憲法条項
(1) 憲法25条/(2) 憲法14条/(3) 憲法13条/(4) 憲法29条/(5) 憲法89条/(6) 憲法84条
▼コラム 30 訴訟と法令改正
2 社会保障の法原理・法理念
・ 1 法原理・法理念を探求する意味はどこにあるか
・ 2 生 存 権
・ 3 自 律
・ 4 社会連帯
3 社会保障給付の法的性格
・ 1 受給権の発生と消滅、一身専属性
・ 2 受給権の保護
・ 3 時 効
・ 4 給付調整
・ 5 給付制限
4 社会保障負担の法的性格
・ 1 徴 収 権
・ 2 社会保険料
(1) 社会保険料を拠出することの意義/(2) 事業主の保険料負担
・ 3 公 費
◆ エピローグ
・ 社会保障の将来
・ 社会保障の持続可能性
・ 制度改革にあたっての視点
・ 法学的視点の重要性
・ 今後の学習のために
(1) ステップ1―法学部でのより詳しい勉強のために/
(2) ステップ2―より知識を深めたい人のために
索 引
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