ブリッジブック法システム入門― 法社会学的アプローチ

ブリッジブック法システム入門― 法社会学的アプローチ

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法の法の現実の世界での役割・影響を学ぶ

著者 宮澤 節生
武蔵 勝宏
上石 圭一
ジャンル 法律  > 法社会学
シリーズ 法律・政治  > ブリッジブックシリーズ
出版年月日 2008/10/28
ISBN 9784797223217
判型・ページ数 四六・360ページ
定価 2,860円(税込)
在庫 在庫あり

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法社会学の視点から、法の現実の有様を捉える画期的なテキスト。行政における立法過程等の現実、日本の法曹システムの現実、民事・刑事手続システムの現実、そして法が社会へ与える現実的影響等、法の[実体]から日本の法システムの全貌を語りつくした斬新な書。初学者から法曹まで、法解釈論等と異なる新しい視座から法の見方を提示する法律学、社会学、政治学など広い興味に応える待望の書。

プロローグ 本書を十分に活用し,楽しむために1

1 この本の目的はなにか1
2 この本は誰が書いたか2
法システムの「実態」(2)/法社会学者の発想(3)/
法律には解釈の余地が不可避的に存在する(3)/この本が提供する「基本的な知識」(4)
3 この本は誰のために書かれたか5
自分で考え,調べよう(5)
4 この本はどのように使うか6
考えさせる教材として(6)/調べさせる教材として(7)

★PART1 立法過程と行政過程 

UNIT 1 法律はどのようにつくられるのか10

1 法律案を作っているのは誰か11
法律案の作成はどのように行われているのだろう(11)/
立案過程の問題点は何か(14)
2 国会で法律案はどのように審議されているのだろう16
日本の国会は野党に影響力を付与しているか(16)/与野党協調か与党主導か(20)/国会審議の問題点(22)/
改革の試み(23)
3 立法過程に市民のアクセスは可能か24
決定過程へのアクセスの困難性(24)/少数派の利害と議員立法(24)/司法裁判所の役割(26)

UNIT 2 法律は行政によってどのように運用されるのか28

1 規制行政はどのように行われているのか29
許認可行政をめぐる規制官庁と被規制団体の行動(29)/規制行政の転換(31)/行政指導による行政(33)
2 給付・サービス行政はどのように行われているのか36
裁量的政策と政官業の癒着(36)/ストリートレベル官僚制の機能とジレンマ(37)/実効性ある行政裁量の統制とは(39)
3 行政の決定過程への参加と透明性の確保40
実施過程への国民の参加は可能か(40)/問われるアカウンタビリティ(42)
UNIT 3 市民にとっての地方自治とは45
1 地方自治体は何をしているところか45
2 条例はどのようにして作られるか46
一般的な条例の制定過程(46)/住民が参加して作る条例(47)
3 市民は地方自治にどのように参加できるか49
4 住民は条例をどのように利用できるか51
景観・建物規制(51)/住民投票条例(52)
5 自治体サービスの提供方法の変化53
民間的手法の導入(53)/求められる冷静な検討(56)
6 「地方自治は民主主義の学校」になっているか56
新しい試み(56)

★PART2 法律のプロフェッショナル
 
UNIT 4 法曹とはどういう職業なのか60

1 「法曹」の範囲60
2 法曹の誕生と発展61
裁判官・検察官の成立(61)/弁護士の誕生(63)
3 日本の法曹養成制度64
法曹養成制度の歴史(64)/司法制度改革と法曹養成のあり方(66)
4 法曹の団体67
弁護士会と日弁連(67)/法律家の任意加入団体(67)
5 弁護士業務の職務理念68
在野精神論(69)/プロフェッション・モデル(70)/
法サービス・モデル(71)/関係志向的弁護士役割モデル(72)
6 弁護士分布と市民の弁護士アクセス73

UNIT 5 弁護士はどういう活動をしているのか76

1 弁護士の偏在と弁護士業務77
2 弁護士はどういう依頼者のどういう事件を取り扱っているか79
弁護士の抱える事件―その数と種類(79)/弁護士を依頼する人はどういう人か(80)
3 弁護士の事務所はどうなっているか81
多様な弁護士事務所(81)/公設法律事務所(85)
4 拡がる弁護士の職域86
組織内弁護士(86)/企業におけるその他の弁護士(88)/日本司法支援センター―法律扶助制度から司法支援センターへ(89)/司法支援センターの業務(89)/弁護士界内の社会階層分化とその影響(91)

UNIT 6 法務サービスと多種多様な法律家94

1 隣接法律専門職の種類とその業務内容94
公証人の歴史と業務(95)/司法書士と行政書士の歴史と業務(96)/弁理士の成立(99)/その他の隣接法律専門職(100)/その他の法律専門家(101)
2 日本の法律家人口は多いのか102
3 法律家間の職域争い103
4 司法制度改革と隣接法律専門職の今後104
今後の展望(105)

UNIT 7 検察官は刑事裁判のゲートキーパー108

1 検察官という職業108
検察官の種類(108)/検察官の資格(109)/検察官の給与(111)
2 検察官の職務とは112
3 検察官が起訴・不起訴を決める114
起訴権限の独占と起訴猶予(114)/増え続ける起訴猶予(116)検察官裁量のコントロール(117)
4 検察官の職場122
検察庁と法務省(122)/法務大臣と検事総長(123)/
独任官庁制と検察官一体の原則(124)/第一線検察官はストリートレベル官僚(125)

UNIT 8 裁判官はその良心に従い独立してその職権を行う128

1 三権分立と裁判官128
2 裁判官の種類と数129
3 裁判官の任命資格と任命手続131
最高裁長官と最高裁判事(131)/高裁長官(134)/判事(134)/判事補(135)/簡裁判事(136)
4 裁判官の給与137
5 裁判官の身分保障??138
6 司法権の独立140
7 最高裁事務総局141

UNIT 9 裁判官はその良心に従い独立してその職権を行う143

1 裁判官の独立の実態143
裁判官の転勤と内部評価(143)/不利益処遇の事例(144)/不利益処遇の統計分析(144)
2 裁判官制度改革の導入146
改革審の裁判官制度改革提言(146)/裁判官任命手続の改革(148)/人事評価制度の改革(149)/新たな任命手続と人事評価制度の運用状況(150)
3 裁判員制度のインパクト151

★PART3 民事紛争過程 

UNIT 10 裁判所はどのように構成されているのか156

1 裁判所の構成156
2 簡易裁判所157
3 地方裁判所159
4 家庭裁判所161
5 高等裁判所165
6 最高裁判所166

上告理由と違憲審査権(166)/大法廷と小法廷(167)/事件負担(167)/意見の表示(167)/最高裁調査官(168)/違憲審査権行使の実績(169)/裁判所による政策形成(170)

UNIT 11 自主的解決と裁判外紛争処理176

1 紛争の自主的解決176
紛争とは何か(176)/裁判だけではない紛争の解決方法(178)/自主的紛争解決(180)/どのような場合に専門家が利用されるのか(183)/法へのアクセスの充実(186)
2 裁判外紛争処理(ADR)188
ADRとは何か(188)/ADRの諸類型(189)/ADRの方式ⅰ―合意型(190)/ADRの方式ⅱ―裁定型(193)/ADRのメリット(194)/ADRのデメリット(195)/
ADRの目的論と多様性(196)/ADRの社会的背景(197)

UNIT 12 民事訴訟の構造と動態201

1 民事訴訟の構造はどうなっているのか201
民事訴訟手続の流れ(201)/訴訟の終局(204)/簡裁に特徴的な制度(205)
2 民事訴訟はなぜ利用されないのか207
訴訟選択/不選択の要因(207)/訴訟の機能不全と対策(208)/訴訟救助と法律扶助(210)/訴訟に要する期間(211)
3 民事訴訟制度をめぐる新たな動き212
知財高裁の設置(212)/簡裁の改革(214)/消費者団体訴訟制度(214)/専門家の活用(215)
4 使いやすい訴訟制度のための課題216

UNIT 13 国や自治体を訴えることはできるか219

1 行政訴訟制度の仕組み219
行政訴訟の意義(219)/民事訴訟との相異(221)/行政訴訟の種類(221)/国家賠償訴訟(222)
2 現代型訴訟としての行政訴訟223
行政訴訟の必然性(224)/行政訴訟の機能(224)
3 行政訴訟の機能不全とその背景227
現代型訴訟としての行政訴訟の機能不全(227)/行政訴訟制度全体の機能不全(229)/ドイツとの比較(229)/
取消訴訟の訴訟制度上の問題点(231)
4 行政事件訴訟法改正のインパクト:司法改革と行政訴訟232
原告適格の拡大(233)/義務付け訴訟および差止訴訟の新設(235)/その他の主な改正点(236)/残る問題点(236)/行政指導(236)/司法行政:法務省と裁判所の人事交流(238)
5 行政訴訟はより原告に使いやすい制度になるか?240
法改正の問題点(240)/組織的統制の作用(241)

★PART4 犯罪・非行の処理過程 

UNIT 14 犯罪・非行はどのように処理されるのか246

1 成人犯罪はどのように処理されるのか246
刑事手続の流れ(246)/警察による捜査(247)/検察官による捜査と訴追(248)/裁判所による審理(249)/
刑の執行(252)/再 審(253)
2 統計で見る刑事手続253
捜査段階(253)/訴追段階(254)/裁判段階(254)/刑の執行(255)
3 刑事手続の3つの特徴256
ディヴァージョン(256)/人質司法と精密司法(256)/厳罰化(257)
4 少年非行はどのように処理されるのか257
少年法の基本思想(257)/少年法の対象者(260)/少年事件の捜査(261)/家裁の調査と観護措置(262)/家裁の審判(263)/保護処分(264)/被害者の権利(265)/検察官送致(266)/統計で見る少年手続(267)

UNIT 15 刑事手続はどのように変わろうとしているか269

1 刑事手続改革のふたつの波269
2 刑事手続へのあるべき視点270
刑事手続を見るふたつの視点(270)/刑事手続へのあるべき視点(271)/罪刑法定主義(271)/責任主義(272)/危険運転致死罪の問題点(273)
3 改革審『意見書』に基づく改革の動向274
改革審『意見書』の欠落と代用監獄の存続(274)/国選弁護の拡大と法テラス常勤弁護士(275)/裁判員裁判と手続改革(277)/裁判員裁判と取調べの可視化(278)
4 犯罪被害者運動の影響280
犯罪動向と厳罰化論議(280)/全国犯罪被害者の会(281)/裁判所による厳罰化(282)/刑事裁判への被害者参加制度(283)/被害者参加制度の問題点(284)

 PART5 法の変動と社会の変動 

UNIT 16 法使用と政策形成290

1 訴訟を通じた政策形成290
政策形成の場を司法に求めることはできるか(290)/政策志向の現代型訴訟とその困難さ(291)/政治過程という視点の有用性(294)
2 「権利」の政治学的見方294
権利の政治学(294)/政策形成効果の限界(295)
3 法使用の効果296
法使用の間接効果Ⅰ―象徴的機能(296)/法使用の間接効果Ⅱ―権利意識の変容(298)/法使用の実質効果(299)/新しい視点の必要性(303)
4 訴訟による権利の形成再検討304
勝訴の実質的効果(306)/法使用のプロセス全体における弁護士活動の重要性(307)/拡大する司法の役割(309)

UNIT 17 法による社会変動312

1 法は社会を変動させるか?312
法による社会統制(312)/法による社会統制の限界(313)
2 明治期の西洋法継受と社会構造の変動314
入会権と所有権(314)
3 戦後改革と家族法318
戦後改革による法変動(318)/高度成長と家族法(319)/矛盾と逆機能(320)/離婚法の国際比較(321)/相続法と農家相続(325)
4 労働市場の変容と男女雇用機会均等法326
労働力人口の推移(326)/1985年均等法(328)/非正規雇用の増加と均等法(329)/均等法の改正(331)/むすびに(332)

事項索引(巻末)

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