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過失相殺の原理と社会 ― 日仏比較の視点から,理論の再構築に向けて

学術選書217

過失相殺の原理と社会 ― 日仏比較の視点から,理論の再構築に向けて

台湾で過失相殺制度と出会い、日本のドグマチックな解釈論とフランス法に着目。その法理の生成、学説と社会との関係を比較考察する。

著者 張 韻琪
ジャンル 法律  > 民法
シリーズ 法律・政治  > 学術選書
出版年月日 2022/07/30
ISBN 9784797282177
判型・ページ数 A5変・512ページ
定価 本体12,000円+税
在庫 在庫あり
 

目次

『過失相殺の原理と社会 ― 日仏比較の視点から,理論の再構築に向けて』

  張 韻琪(国立中正大学助教授) 著


【目 次】

・序文(大村敦志)

◆序 章

 序
 第1節 日本の過失相殺論
  第1款 ドイツ学説の受容とそれに基づく解釈論の展開
  第2款 交通事故への関心と過失相殺理論の構築
  第3款 制限論の出現と議論の膠着化
 第2節 日本民法学の問題点
  第1款 日本における過失相殺論の現状
  第2款 日本における過失相殺論の問題点
 第3節 課題,検討対象と方法
  第1款 本論文の課題
  第2款 本論文の検討対象
  第3款 本論文の方法
 第4節 本論文の射程
  第1款 債権者の過失について
  第2款 危険の引受けについて
  第3款 損害軽減原則(principe de minimiser le dommage)について

◆第1章 ローマ法からアレー論文(1926年)まで

 序説 ローマ法
  第1款 はじめに
 第1節 19世紀前半
  第1款 判  例
  第2款 学  説
  第3款 分析と小括
 第2節 19世紀後半
  第1款 判  例
  第2款 注釈書―「被害者の過失による減免責」の二つの源流
 第3節 19世紀末期~20世紀初頭の発展
 第4節 1920年代の理論発展―概念の内容の具体化,解釈論の論点の設定

◆第2章 1930年代からの理論発展―「推定責任における被害者の過失」への着目

 前置き 1930年代以降のフランス社会―「事故の大衆化の年代」
 第1節 責任推定制度の確立と被害者の過失
  第1款 無生物責任における減免責
  第2款 その他の物の所為/他人の所為における減免責
  第3款 被害者が無生物責任を負う場合と,加害者と被害者の双方が無生物責任を負う場合における減免責
 第2節 「自己に対する責任」(responsabilité envers soi-même)―「被害者による損害負担」に関する理論化の試み
 第3節 被害者による危険の引受と被害者の過失―概念の位置付けと概念不要論の誕生
  第1款 危険の引受の位置付け
  第2款 危険の引受を独立の概念として捉える学説
  第3款 危険の引受という概念を必要としない学説
  第4款 危険の引受に関する議論の発展から読み取った示唆
 第4節 責任制限事由と責任拡張事由
  第1款 被害者の責任の制限事由
  第2款 被害者の責任の拡張事由(加害者の責任の制限事由)―好意同乗
 総  括

◆第3章 1960年代から1990年代の発展―交通事故立法及び特別法による法理の分断化

 第1節 新交通事故法までの判例の発展
  第1款 1963年12月17日破毀院第2民事部判決(ラマンド事件)―被害者の過失なき所為(Fait de victime)による減責
  第2款 第2民事部と,刑事部・第1民事部・第3民事部に見られた不統一
  第3款 デマール判決による転換
 第2節 1980年代までの学説の発展
  第1款 過失相殺の根拠論―「連帯説」と「民事罰説」の対立
  第2款 過失相殺論の発展―「被害者の過失なき行為による減責」に関する,肯定論と否定論の対立
  第3款 衡平を理由とする減免責?
 第3節 交通事故法の立法
  第1款 新交通事故法の立法前の議論
  第2款 1985年7月5日新交通事故法
 第4節 新交通事故法以降―脱・交通事故の時代
  第1款 1985年交通事故法の解釈と批判
  第2款 新交通事故法以降―交通事故以外の無生物責任(1384条1項)に関する1987年判決の「一般法への回帰」
  第3款 過失相殺論の発展―過失相殺抑制の懐疑論
  第4款 「過失相殺」の延長線に位置付けられた論点
 第5節 交通事故以外の事故における,子どもの過失相殺

◆第4章 1990年代以降の発展―不法行為責任の現代化と過失相殺の再定位

 第1節 被害者の損害軽減/損害回避行為
  第1款 損害軽減行為の位置付け
  第2款 損害軽減の判例史と学説史
  第3款 フランス法の特徴および示唆
 第2節 契約責任の過失相殺と不法行為責任の過失相殺の区分と交錯―安全保護義務を中心として
  第1款 二つの判決
  第2款 契約責任と不法行為責任に関する過失相殺論
  第3款 過失相殺制度の史観―過失相殺はいったい損害賠償法においてどのような歴史的役割を有するか
 第3節 危険の引受における被害者保護の拡大
  第1款 「危険の引受」概念
  第2款 危険の引受の適用―スポーツ事故への制限とスポーツ事故における制限
  第3款 小 結―スポーツ法における危険の引受概念の衰退の意味
 第4節 刑事事件付帯私訴における過失相殺の可能性
  第1款 1972年以降の人身損害にかかわる犯罪における過失相殺
  第2款 1972年以降の財産侵害にかかわる犯罪における過失相殺
  第3款 分  析
 第5節 債務法改正と減免責
  第1款 不法行為関連の主な立法提案
  第2款 被害者の過失や所為に基づく減免責―過失相殺の明文化,法益・責任発生原因に基づいて設計された減免責ルール
  第3款 損害軽減の不作為による減責―損害軽減義務を民法典に加える動き
  第4款 同意にかかわる免責―危険の引受の不在
  第5款 契約責任と不法行為責任の交錯と債権法改正

◆結 章

 第1節 各章のまとめ
  第1款 19世紀~1926年(第1章のまとめ)
  第2款 1926年~1950年代(第2章のまとめ)
  第3款 1960年代~1980年代(第3章のまとめ)
  第4款 1990年代以降(第4章のまとめ)
 第2節 日本法との比較
 第3節 課題への応答
 第4節 予想される批判と残された課題

・あとがき

・事項索引

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内容説明

責任やリスク分配の合理性とは―過失相殺の特色をより深く理解する上で重要な手がかりとなる貴重な書
  
台湾で過失相殺制度と出会い、日本のドグマチックな解釈論とフランス法に着目。その法理の生成、学説と社会との関係をチャレンジングに比較考察する。民法典に規定がないフランス法の紆余曲折を経て形成されてきた過失相殺の研究から、日本の(さらに台湾やドイツの)過失相殺の特色をより深く理解する上で重要な手がかりを提供。

   

  

本書の紹介(裏表紙より 大村敦志)

 責任を認めた上で過失相殺を行い、賠償額を減額する。過失相殺は日本の不法行為法では当然なされるべき操作であり、たとえば交通事故の際の過失相殺について違和感が抱かれることは稀である。もっとも消費者被害などを中心に、過失相殺に対する疑念も呈されつつある。

 事件類型にかかわらず過失相殺を行うというのが普遍的な考え方かと言えば、決してそうではない。本書の扱うフランス法では、交通事故の被害者である歩行者につき過失相殺が行われることはない。フランス法の歴史を遡ると、そもそも、過失相殺は被害者の権利を削減するためではなく、被害者の権利をより厚く保護するために導入された法理であったことがわかる。

 民法典に規定がないフランス法においては、過失相殺の法理は、その時々の社会の変化を反映しながら、紆余曲折を経て形成されてきた。こうしたフランスの経験は、日本の(さらに台湾やドイツの)過失相殺の特色をより深く理解する上で重要な手がかりを提供している。

 著者の張韻琪氏は、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程を修了、現在は中正大学(台湾)で民法を担当。本書は同氏の博士論文であるが、ほかに、同じ主題につき日本の学説史を対象とする修士論文「過失相殺の原理と構造に関する学説史的考察」がある。

 

 

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