民事交通裁判例研究の一斑

学術選書92

民事交通裁判例研究の一斑

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責任の肯否を巡る法的構成・損害額の算定・決定、保険の機能等、半世紀にわたる責任論・損害論等に係る民事交通裁判例を整理・考察。

著者 藤村 和夫
ジャンル 法律  > 民法
シリーズ 法律・政治  > 学術選書
出版年月日 2022/06/30
ISBN 9784797258929
判型・ページ数 A5変・264ページ
定価 7,480円(税込)
在庫 在庫あり

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責任、損害、保険、何処が・何が問題か裁判例の流れを追い、議論の過程を辿り、評価
 
責任の肯否を巡る法的構成・損害額の算定・決定、保険の機能等、半世紀にわたる責任論・損害論等に係る民事交通裁判例を整理。裁判例の流れを追い、議論の過程を辿り、評価する。

  

『民事交通裁判判例研究の一斑』

  藤村和夫(日本大学大学院講師、弁護士) 著


【目 次】

・序─判例研究の作法
 1 判例研究の意義と類型
 2 民事交通裁判例の研究

◆◇Ⅰ 責任論◇◆

◆一 運行供用者責任
 1 泥棒運転による事故につき車両所有者(被窃取者)は運行供用者責任を負うか─肯定
(大阪地判昭和61・3・27交通民集19巻2号426頁)
 2 従業員旅行中にレンタカーを利用して起きた事故につき,その利用を了解した旅行主宰者は運行供用者責任を負うか─肯定
(横浜地判平成5・9・20交通民集26巻5号1151頁)

◆二 他人性
 3 泥棒運転による事故で車内にいて被害者となった泥棒仲間(共同運行供用者)は「他人」か─否定
(最二判昭和57・4・2交通民集15巻2号295頁,判時1042号93頁,判タ470号118頁)
 4 玉掛作業を手伝っていて被害者となった他車両運転者は「他人」か─肯定(運転補助者の意義)
(最二判平成11・7・16判時1687号81頁)
 5 父の所有する車を借りた友人が運転中の事故で車内にいて被害者となった子は「他人」か─肯定
(最三判平成6・11・22交通民集27巻6号1541頁,判時1515号76頁,判タ867号169頁)

◆三 国家賠償法1条の責任
 6 白バイに追跡されて逃走中のオートバイが鉄柱に激突して運転していた高校生が死亡した事故につき白バイの責任を問えるか─否定
(東京地判昭和59・6・26判時1136号87頁,判タ533号168頁,判例地方自治13号132頁)
 7 パトカーに追跡された逃走車両(加害車)が惹起した事故によって第三者に生じさせた損害につきパトカーの責任を問えるか─否定
(神戸地判昭和60・9・25交通民集18巻5号1244頁)

◆◇Ⅱ 損害論◇◆

◆一 介護費
 8 将来の介護費
 1級1号の後遺障害被害者につき,専門職介護と家族介護を併用する際の算定基礎日額の認定(2万3000円)
(さいたま地判平成21・2・25交通民集42巻1号218頁)

◆二 休業損害
 9 主夫の休業損害
 寝たきりの妻の介護を行っていた夫(71歳)につき,賃金センサス年齢別女子平均賃金の80パーセントを基礎収入として家事労働分の休業損害を認容
(東京地判平成14・7・22交通民集35巻4号1013頁)

◆三 逸失利益

〈1〉 外国人の逸失利益
 10  永住者であるネパール人被害者の死亡逸失利益算定
(東京地判平成20・11・27交通民集41巻6号1502頁)

〈2〉 定期金賠償
 11  付加給(超過勤務手当,休日給手当,特殊勤務手当)相当の逸失利益についての定期金賠償─肯定
(仙台地判昭和58・2・16交通民集16巻6号1771頁)
 12  後遺障害逸失利益と定期金賠償
(最一判令和2・7・9民集74巻4号1204頁)

〈3〉 中間利息控除
 13  控除割合① 年5%は不合理ではない
(東京地判平成12・4・20判時1708号56頁)
 14  控除割合② 年5%は不相当ではない
(東京高判平成13・6・13交通民集34巻3号562頁)
 15  控除の態様─準植物人間状態の被害者について症状固定日を論ずる意味はない
(神戸地判平成8・12・24交通民集29巻6号1845頁)

〈4〉 好意・無償同乗減額
 16  好意・無償同乗減額─肯定,不真正連帯債務における混同の絶対的効力─否定
(東京高判昭和59・10・16交通民集17巻5号1193頁)

〈5〉 素因減額
 17  首長判決─素因の斟酌否定
(最三判平成8・10・29民集50巻9号2474頁)

〈6〉 余命認定
 18  植物状態患者の余命認定─認容
(最一判平成6・11・24交通民集27巻6号1553頁)

〈7〉 RSDの発症
 19  RSDの認定─総合的評価
(東京地判平成19・11・7交通民集40巻6号1479頁)

〈8〉 被害者側の過失
 20  身分上・生活関係上の一体性有無判断の時期─事故時か口頭弁論終結時か
(大阪地判平成22・6・14交通民集43巻3号770頁)

◆四 仏壇購入・墓碑建立の費用
 21  葬儀費とは別に認められる─必要かつ相当と認められる額
(最二判昭和44・2・28民集23巻2号525頁)

◆◇Ⅲ その他◇◆

◆一 政府保障事業
 22  保障金請求権の法的性格─公法上の請求権,その保障金額決定の拘束力─消極,遅延損害金発生の有無─積極
(最一判平成17・6・2民集59巻5号901頁)

◆二 人身傷害保険と素因減額
 23  人身傷害保険金を素因減額分に優先的に充当することの可否─消極
(神戸地判平成26・12・22交通民集47巻6号1593頁)

◆三 保 険
 24  被害者(損害賠償請求権者)による保険金代位請求─認容
(最三判昭和57・9・28民集36巻8号1652頁)

◆四 使用者責任における求償
 25  民法715条3項に基づく求償の範囲─信義則上相当と認められる限度
(大阪地判平成23・12・1交通民集44巻6号1509頁)

◆五 免 責
 26  免責証書への署名・押印による免責─肯定
(東京地判平成7・5・16交通民集28巻3号774頁)

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・判例索引

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