多層的立憲主義と日本国憲法
国際規律による「多層的な立憲主義」を構想する書。憲法九条の解釈論や人権条約の私人間適用など、論理構造が複雑な問題に取り組む。
著者 |
齊藤 正彰
著 |
---|---|
ジャンル |
法律
> 憲法 法律 > 国際法/国際関係/国際私法 |
出版年月日 | 2022/03/23 |
ISBN | 9784797230406 |
判型・ページ数 | A5変・468ページ |
定価 | 9,900円(税込) |
在庫 | 在庫あり |
◆国際規律による多層的立憲主義 ― グローバル化する社会の中で、いかに考えるか、広い視座から精緻な考察を行う待望の書◆
第Ⅰ部は国内では完結しない「多層的な立憲主義」による国家権力の統制を構想する。 第Ⅱ部では私人間の人権保障や条約の国内適用、出入国管理をめぐる国際規律を論じる。 第Ⅲ部は憲法9条の解釈や集団的自衛権論、武力行使との一体化論等に正面から取り組む。論理の複雑な問題群に、論証へのこだわりで立ち向かう一冊。
齊藤正彰(北海道大学大学院法学研究科教授) 著
【目 次】
・はしがき
◆第Ⅰ部◆ 立憲主義の多層的構成
◆第1章 憲法の国際法調和性と多層的立憲主義
はじめに
Ⅰ 憲法98条2項の解釈
1 日本国憲法の国際法秩序への対応
2 国際法調和性の徴憑
Ⅱ 国際法調和性の原則の展開
1 条約適合的解釈と違憲審査制における条約
2 条約機関の意見・見解の顧慮
3 部分憲法としての欧州人権条約
Ⅲ 多層的立憲主義と国際人権条約
1 憲法98条2項の版図
2 最高裁判所の責務の双方向性
3 憲法97条による加重
4 多層的立憲主義の構想
おわりに
◆第2章 多層的立憲主義と憲法学のスタンス
はじめに
Ⅰ 国際化を受けとめる法秩序像
1 最高裁判例における国際人権法の扱い
2 トランスナショナル人権法源論の展開
3 一元論と二元論
Ⅱ 憲法多元主義
1 EU法秩序と構成国法秩序の関係
2 憲法多元主義から展開しうる法秩序像
3 グローバル立憲主義・国際立憲主義へ
Ⅲ 「開かれた国家」と多層的立憲主義
1 「開かれた国家」
2 立憲主義の多層性
3 国際人権条約の実施と立憲主義の多層性
おわりに
◆第3章 〈人間の権利〉の多層的保障
はじめに
Ⅰ 人権の国際的保障の歴史
1 国際人権法の前史
2 国際人権法の成立
3 人権の課題の展開
4 冷戦終結後の諸問題
Ⅱ 人権の国際的保障の諸制度
1 人権保障のための国際的な制度
2 国際人権条約の国際的実施の制度
3 国際人権条約の国内的実施とその監視
Ⅲ 保障される人権の特徴
1 実体的権利規定の特徴
2 宗教の自由と政教関係
3 表現の自由
4 平 等
Ⅳ 人権の国際的保障と憲法秩序
1 各国憲法による条約の受け入れ構造
2 国法体系における国際人権条約の機能
おわり
◆第Ⅱ部◆ 憲法の人権保障と多層的立憲主義
◆第4章 私人間の人権保障と国際規律
はじめに
Ⅰ 憲法の「直接適用」の意味
1 憲法の直接適用⒜具体化不要
2 憲法の直接適用⒝相対化不要
3 2つの「間接適用」の整理
Ⅱ 私法関係と人権規定
1 直接効力説の本質
2 直接効力説と間接効力説の「合一化傾向」
3 憲法適用説という枠組み
4 憲法の「適用」
Ⅲ 条約の積極的義務と受け入れ構造
1 国際人権条約の国内適用論と私人間効力論
2 私人の行為と国際人権条約
3 国際人権条約の積極的義務
Ⅳ 私人間に及ぶ人権の国際規律
1 国際人権条約の私人間への受け入れ構造
2 人種差別撤廃条約の私人間適用
おわりに
◆第5章 条約の国内適用論の新趨向
はじめに
Ⅰ 憲法学説における着眼点
Ⅱ 各書の概要と検討
1 山田哲史『グローバル化と憲法』の概要と検討
2 手塚崇聡『司法権の国際化と憲法解釈』の概要と検討
3 松田浩道『国際法と憲法秩序』の概要と検討
Ⅲ 論点についての考察
1 直接適用可能性の消去可能性
2 トランスナショナル人権法源の間接適用
3 「法律に対する条約の優位」からの逃避
おわりに
◇補 論 憲法学説と条約の国内適用論
◆第6章 国際規律がもたらす人権規範の共通化
はじめに
Ⅰ 人権規範の共通化
1 「人権規範の共通化」と対話による共生
2 国際人権条約のジレンマ?
3 多層的立憲主義の構想
Ⅱ 共通規範と国際規律
1 人権規範をめぐる国際的要請
2 共通規範と実施機関
3 「闘う最高裁」
おわりに
◆第7章 出入国管理と最高裁のスタンス――マクリーン判決への再見当
はじめに
Ⅰ 出入国管理と憲法22条――判例の確立
1 「入国の自由」判決
2 「出国の自由」判決
3 憲法22条と海外渡航の自由
Ⅱ マクリーン判決による継承と展開
1 マクリーン判決の読解
2 マクリーン判決への再見当
3 マクリーン判例引用の意味
おわりに
◆第Ⅲ部 憲法の平和主義と多層的立憲主義
◆第8章 憲法9条の解釈と学説の現況
はじめに
Ⅰ 横糸を再紡する意味
1 9条解釈の縦糸と横糸
2 9条の法規範性
3 憲法変遷論と解釈の枠
Ⅱ 学説整理の意味と無意味
1 学説の形成と論理
2 自衛戦力合憲説の無理
3 遂行不能説における目的・手段の構成と「峻別不能」論
Ⅲ 自衛権を論じる意味
1 自衛権論の視座
2 「放棄」と「行使不能」の距離
3 「武力なき自衛権」論の無意味
Ⅳ 自衛のための実力の保持・行使
1 禁止説
2 許容説
3 要請説
おわりに
◆第9章 憲法9条を論じるスタンス――刺し違え解釈とロマニストの視角
はじめに
Ⅰ 憲法9条についての「刺し違え解釈」
1 政府見解の解釈としての「刺し違え解釈」論
2 「一体的理解」論の原点
3 「対等的把握」論と芦田修正
4 「一体的理解」論の意味
5 「刺し違え」の余地
Ⅱ 憲法9条についてのロマニストの問題提起
1 占有原理
2 自衛権構成の代替
おわりに
◆第10章 集団的自衛権と憲法解釈
はじめに
Ⅰ 憲法9条と集団的自衛権を論じる前提
1 日米安保条約による共同対処
2 基地提供
3 後方支援
Ⅱ 日米安保条約体制と憲法解釈
1 憲法解釈における「集団的自衛権」の限定
2 政府解釈の問題設定
3 憲法解釈における「個別的自衛権」の伸張
Ⅲ 2014年閣議決定と憲法解釈
1 閣議決定のスタンス
2 個別的自衛権・集団的自衛権競合説
3 自衛権の二元的理解
Ⅳ 「必要最小限度」の質的把握と量的把握
1 質的把握と量的把握
2 量的把握と立憲主義
3 憲法13条と平和的生存権
おわりに
◆第11章 武力行使との一体化論と憲法解釈
はじめに
Ⅰ 政府見解の概要
1 萌 芽
2 展 開
3 移 行
Ⅱ 国際法学からの批判
1 国際法学上の概念との相違
2 国家責任法との異同
3 国連PKOのROE
Ⅲ 交錯する武力行使の禁則
1 国際規律との差分
2 海外出動の規律
3 加法と乗法
おわりに
◆第12章 解釈基準としての平和的生存権
はじめに
Ⅰ 「平和的生存権」論をめぐる自縄と自縛
1 「平和的生存権」論に対する批判の自縄
2 「平和的生存権」論の自縛
Ⅱ 深瀬説の構造
1 個別的人権の総体としての平和的生存権
2 平和的生存権の二層構造
3 個別人権規定の解釈
Ⅲ 「穏和な平和主義」論の発問
1 「穏和な平和主義」論と「平和的生存権」論
2 「穏和な平和主義」論と立憲主義
おわりに
・あとがき
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