国際社会における法の支配を目指して
学術選書220

国際法形成における多様な行為体(国際機構、多国籍企業、NGOs等)の役割と、法源論を追究する。
著者 |
松井 芳郎
著 |
---|---|
ジャンル |
法律
> 国際法/国際関係/国際私法 |
シリーズ | 法律・政治 > 学術選書 |
出版年月日 | 2021/12/28 |
ISBN | 9784797282467 |
判型・ページ数 | A5変・352ページ |
定価 | 本体8,800円+税 |
在庫 | 在庫あり |
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目次
『国際社会における法の支配を目指して(学術選書220)』
松井芳郎(名古屋大学名誉教授) 著
【目 次】
・はしがき
◆序章 「国際社会における法の支配」が意味するもの
はじめに
1 「法の支配」の国際社会への適用
2 国際社会における「法の支配」の遍在
(1) 「人権,民主主義,法の支配」の台頭
(2) 安保理における議論
(3) 総会における議論
3 「法の支配」批判の視点
(1) 「移行期正義」と「法の支配」
(2) 「国際社会における法の支配」
4 「国際社会における法の支配」のイデオロギーを乗り越えるために
◇第Ⅰ部 国際法の法源◇
◆第1章 誰がどのように国際法を創るのか?
はじめに
1 国際法規範の形成と展開のプロセス
(1) 規範形成の出発点
(2) 行為規範の形成
(3) 行為規範の法規範への転化
(4) 規範の変化
2 国際法規範形成における国の役割
(1) ICJ規程第38条1
(2) 条 約
(3) 慣習国際法
(4) 法の一般原則
(5) 裁判上の判決
(6) 国の一方的行為
3 国際法規範形成における非国家行為体の役割
(1) 国連機関
(2) 国際会議の役割
(3) 市民社会,NGOsおよび個人
4 国際法はなぜ拘束するのか?
(1) 「誠実の原則」
(2) 国際法の社会的基盤
(3) マルクス主義からの示唆
◆第2章 国内裁判所と国際法の発展―原爆判決からICJ核意見へ―
はじめに
1 原爆判決と核兵器の使用禁止
(1) 明文の禁止がない兵器の法的地位
(2) 無差別爆撃の禁止と軍事目標主義
(3) 不必要な苦痛を与える兵器の禁止
(4) 国連総会決議と核兵器の使用禁止
2 ベトナム戦争とニュルンベルグ諸原則
(1) ニュルンベルグ抗弁
(2) ニュルンベルグ抗弁の限界
(3) 「ニュルンベルグのより広い論理」
3 国内裁判所と国際法の発展
(1) 国際法原則に関するコンセンサスの存在
(2) 国内裁判所と世論の相互作用
4 国際人道法の発展と核兵器の使用
(1) 戦争法から国際人道法へ
(2) 区別原則/軍事目標主義の徹底
(3) 不必要な苦痛を与える兵器の禁止の再確認
(4) 慣習国際法の法典化としての第Ⅰ追加議定書
(5) 戦争犯罪としての核兵器の使用
5 核兵器使用の合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見
(1) 意見の組み立て
(2) 国際人道法の二原則からの評価:意見主文(2)E前段
(3) 自衛権論:意見主文(2)E後段
(4) 核軍縮交渉を誠実に行いかつ完了させる義務:意見主文(2)F
(5) 「ロチュース原則」と核抑止論
6 原爆判決からICJの勧告的意見へ:結びに代えて
◆第3章 国際法における正統性を求めて―手続的正統性を中心に―
はじめに
1 なぜ国際法における正統性を問うのか?
2 国際法における正統性とは何か?
(1) 正統性の意味
(2) 手続的正統性と実質的正統性
(3) 正統性の指標
3 国際法における各「法源」の正統性の諸相
(1) ICJ規程第38条1が定める「法源」
(2) 条約(規程第38条1(a))
(3) 慣習国際法(規程第38条1(b))
(4) 法の一般原則(規程第38条1(c))
(5) 裁判所の決定(規程第38条1(d))
4 結びに代えて:国際法規範形成における「熟議」の必要性
(1) 「入力の正統性」
(2) 「処理過程の正統性」
(3) 国際法の正統性を基礎づけるもの
◆第4章 法典化―現代における意義と課題―
1 法典化とは何か
2 法典化に携わる機関
3 法典化の若干の経験
(1) 海洋法
(2) 条約法―とくに多数国間条約への留保をめぐって―
(3) 国家責任法
4 現代における法典化の課題
◆第5章 法の適用と創造との交錯―現代世界における紛争処理のダイナミックス―
1 問題提起
2 既存の法の解釈・適用が創造的な要素を含む場合
(1) 条約の解釈・適用
(2) 慣習法の認定
3 司法判断が先例的役割を果たす場合
(1) 裁判所による先例の尊重
(2) 先例の尊重は「判例法」を形成するか?
4 司法判断が一般的多数国間条約の起草に影響を与える場合
(1) 「真正の法創造」と「外見上の法創造」
(2) コルフ海峡事件判決と領海条約第15条2および第16条4
(3) ジェノサイド条約留保勧告的意見とVCLT第19条(c)
(4) ノルウェー漁業事件判決と領海条約第4条
(5) 国家責任条文に影響を与えた諸事例
5 結びに代えて
(1) 司法判断が国際法の発展に与える影響の限界と条件
(2) 司法機関の拡散と国際法の「断片化」
◇第Ⅱ部 条約の解釈◇
◆第6章 国際法解釈論批判―条約解釈をめぐる議論の諸局面―
1 問題の限定
2 条約解釈をめぐる当事国意思主義と条約文主義
(1) ローターパクトとベケットの論争
(2) 論争の要点
3 目的論主義の展開と敗北
(1) 米国における「自由な」条約解釈論の伝統
(2) ニュー・ヘブン学派の『合意の解釈と世界公序』
(3) ウィーン条約法会議における米国修正案の敗北
4 今後の課題
(1) 条約解釈の実践的性格の確認のために
(2) 解釈実践の科学性・真理性を担保するために
◆第7章 条約解釈における統合の原理―条約法条約第31条3(c)を中心に―
はじめに
1 条約法条約の解釈規則の特徴
(1) 法規則としての解釈規則
(2) 解釈学説の対立の止揚
(3) 解釈規則の諸要素の相互関係
2 時際法論の系譜
(1) パルマス島事件判決
(2) 用語の意味変化
(3) 法体系の発展
3 条約法条約第31条3(c)の起草
(1) 国際法委員会第16回会期(1964年)
(2) 国際法委員会第18回会期(1966年)および条約法に関するウィーン会議(1968年-1969年)
4 条約法条約第31条3⒞と条約の統合的解釈
(1) 垂直的統合について
(2) 水平的統合について
5 条約法条約第31条3(c)の適用
(1) 条約解釈における垂直的統合
(2) 条約解釈における水平的統合
おわりに
◇第Ⅲ部 慣習法論◇
◆第8章 慣習国際法論は社会進歩のプロジェクトに貢献できるか?―意思主義の再構成を目指して―
はじめに
1 慣習国際法論の現状
(1) 国際社会の構造変化と慣習国際法
(2) 伝統的慣習法論への批判
(3) 伝統的慣習法論の遍在
(4) 慣習国際法論の課題
2 一般的承認による普遍的妥当の主張
(1) 慣習国際法の意思主義的理解
(2) 「黙示の同意」と「推定的同意」
(3) 慣習国際法の形成における主権平等原則
(4) 意思主義の「躓きの石」?
3 慣習国際法形成における力の要素の抑制
(1) 慣習国際法の形成における力の要素
(2) 法的信念による力の要素の抑制
4 「一貫した反対国」の法理
(1) 「一貫した反対国」の法理の根拠
(2) 「一貫した反対国」の法理への批判
5 新独立国への慣習国際法の適用
6 意思主義によらない一般国際法の基礎付け
(1) 慣習国際法論によらない一般国際法の存在証明
(2) 「同意」の対象ではない慣習国際法の「基本原則」の存在の主張
(3) トムシャット「国の意思によらずまたはこれに反して生じる義務」の検討
7 慣習国際法の形成における国の意思の被規定性
(1) 国際法の拘束力の基礎
(2) 慣習国際法の社会的基盤
(3) 国際法にかかわる国の意思の被規定性
8 国際法は進歩のプロジェクトに貢献できるか?―結びに代えて―
◆第9章 動態的プロセスとしての慣習国際法―その変更をめぐって―
はじめに
1 慣習国際法のプロセス:大陸棚制度を素材として
(1) 慣習国際法のプロセスとしての理解
(2) 大陸棚制度の慣習国際法の成立
(3) 大陸棚制度の慣習国際法の変化
2 慣習国際法の変更は違反に始まるか?
3 違反によらない慣習国際法の変更
(1) 法的信念の先行による変更
(2) 条約の締結による変更
(3) 「発展的解釈」による変更
4 国際社会による変更の受諾―結びに代えて―
・判例一覧
・人名索引
・事項索引
・参考文献一覧
松井芳郎(名古屋大学名誉教授) 著
【目 次】
・はしがき
◆序章 「国際社会における法の支配」が意味するもの
はじめに
1 「法の支配」の国際社会への適用
2 国際社会における「法の支配」の遍在
(1) 「人権,民主主義,法の支配」の台頭
(2) 安保理における議論
(3) 総会における議論
3 「法の支配」批判の視点
(1) 「移行期正義」と「法の支配」
(2) 「国際社会における法の支配」
4 「国際社会における法の支配」のイデオロギーを乗り越えるために
◇第Ⅰ部 国際法の法源◇
◆第1章 誰がどのように国際法を創るのか?
はじめに
1 国際法規範の形成と展開のプロセス
(1) 規範形成の出発点
(2) 行為規範の形成
(3) 行為規範の法規範への転化
(4) 規範の変化
2 国際法規範形成における国の役割
(1) ICJ規程第38条1
(2) 条 約
(3) 慣習国際法
(4) 法の一般原則
(5) 裁判上の判決
(6) 国の一方的行為
3 国際法規範形成における非国家行為体の役割
(1) 国連機関
(2) 国際会議の役割
(3) 市民社会,NGOsおよび個人
4 国際法はなぜ拘束するのか?
(1) 「誠実の原則」
(2) 国際法の社会的基盤
(3) マルクス主義からの示唆
◆第2章 国内裁判所と国際法の発展―原爆判決からICJ核意見へ―
はじめに
1 原爆判決と核兵器の使用禁止
(1) 明文の禁止がない兵器の法的地位
(2) 無差別爆撃の禁止と軍事目標主義
(3) 不必要な苦痛を与える兵器の禁止
(4) 国連総会決議と核兵器の使用禁止
2 ベトナム戦争とニュルンベルグ諸原則
(1) ニュルンベルグ抗弁
(2) ニュルンベルグ抗弁の限界
(3) 「ニュルンベルグのより広い論理」
3 国内裁判所と国際法の発展
(1) 国際法原則に関するコンセンサスの存在
(2) 国内裁判所と世論の相互作用
4 国際人道法の発展と核兵器の使用
(1) 戦争法から国際人道法へ
(2) 区別原則/軍事目標主義の徹底
(3) 不必要な苦痛を与える兵器の禁止の再確認
(4) 慣習国際法の法典化としての第Ⅰ追加議定書
(5) 戦争犯罪としての核兵器の使用
5 核兵器使用の合法性に関する国際司法裁判所の勧告的意見
(1) 意見の組み立て
(2) 国際人道法の二原則からの評価:意見主文(2)E前段
(3) 自衛権論:意見主文(2)E後段
(4) 核軍縮交渉を誠実に行いかつ完了させる義務:意見主文(2)F
(5) 「ロチュース原則」と核抑止論
6 原爆判決からICJの勧告的意見へ:結びに代えて
◆第3章 国際法における正統性を求めて―手続的正統性を中心に―
はじめに
1 なぜ国際法における正統性を問うのか?
2 国際法における正統性とは何か?
(1) 正統性の意味
(2) 手続的正統性と実質的正統性
(3) 正統性の指標
3 国際法における各「法源」の正統性の諸相
(1) ICJ規程第38条1が定める「法源」
(2) 条約(規程第38条1(a))
(3) 慣習国際法(規程第38条1(b))
(4) 法の一般原則(規程第38条1(c))
(5) 裁判所の決定(規程第38条1(d))
4 結びに代えて:国際法規範形成における「熟議」の必要性
(1) 「入力の正統性」
(2) 「処理過程の正統性」
(3) 国際法の正統性を基礎づけるもの
◆第4章 法典化―現代における意義と課題―
1 法典化とは何か
2 法典化に携わる機関
3 法典化の若干の経験
(1) 海洋法
(2) 条約法―とくに多数国間条約への留保をめぐって―
(3) 国家責任法
4 現代における法典化の課題
◆第5章 法の適用と創造との交錯―現代世界における紛争処理のダイナミックス―
1 問題提起
2 既存の法の解釈・適用が創造的な要素を含む場合
(1) 条約の解釈・適用
(2) 慣習法の認定
3 司法判断が先例的役割を果たす場合
(1) 裁判所による先例の尊重
(2) 先例の尊重は「判例法」を形成するか?
4 司法判断が一般的多数国間条約の起草に影響を与える場合
(1) 「真正の法創造」と「外見上の法創造」
(2) コルフ海峡事件判決と領海条約第15条2および第16条4
(3) ジェノサイド条約留保勧告的意見とVCLT第19条(c)
(4) ノルウェー漁業事件判決と領海条約第4条
(5) 国家責任条文に影響を与えた諸事例
5 結びに代えて
(1) 司法判断が国際法の発展に与える影響の限界と条件
(2) 司法機関の拡散と国際法の「断片化」
◇第Ⅱ部 条約の解釈◇
◆第6章 国際法解釈論批判―条約解釈をめぐる議論の諸局面―
1 問題の限定
2 条約解釈をめぐる当事国意思主義と条約文主義
(1) ローターパクトとベケットの論争
(2) 論争の要点
3 目的論主義の展開と敗北
(1) 米国における「自由な」条約解釈論の伝統
(2) ニュー・ヘブン学派の『合意の解釈と世界公序』
(3) ウィーン条約法会議における米国修正案の敗北
4 今後の課題
(1) 条約解釈の実践的性格の確認のために
(2) 解釈実践の科学性・真理性を担保するために
◆第7章 条約解釈における統合の原理―条約法条約第31条3(c)を中心に―
はじめに
1 条約法条約の解釈規則の特徴
(1) 法規則としての解釈規則
(2) 解釈学説の対立の止揚
(3) 解釈規則の諸要素の相互関係
2 時際法論の系譜
(1) パルマス島事件判決
(2) 用語の意味変化
(3) 法体系の発展
3 条約法条約第31条3(c)の起草
(1) 国際法委員会第16回会期(1964年)
(2) 国際法委員会第18回会期(1966年)および条約法に関するウィーン会議(1968年-1969年)
4 条約法条約第31条3⒞と条約の統合的解釈
(1) 垂直的統合について
(2) 水平的統合について
5 条約法条約第31条3(c)の適用
(1) 条約解釈における垂直的統合
(2) 条約解釈における水平的統合
おわりに
◇第Ⅲ部 慣習法論◇
◆第8章 慣習国際法論は社会進歩のプロジェクトに貢献できるか?―意思主義の再構成を目指して―
はじめに
1 慣習国際法論の現状
(1) 国際社会の構造変化と慣習国際法
(2) 伝統的慣習法論への批判
(3) 伝統的慣習法論の遍在
(4) 慣習国際法論の課題
2 一般的承認による普遍的妥当の主張
(1) 慣習国際法の意思主義的理解
(2) 「黙示の同意」と「推定的同意」
(3) 慣習国際法の形成における主権平等原則
(4) 意思主義の「躓きの石」?
3 慣習国際法形成における力の要素の抑制
(1) 慣習国際法の形成における力の要素
(2) 法的信念による力の要素の抑制
4 「一貫した反対国」の法理
(1) 「一貫した反対国」の法理の根拠
(2) 「一貫した反対国」の法理への批判
5 新独立国への慣習国際法の適用
6 意思主義によらない一般国際法の基礎付け
(1) 慣習国際法論によらない一般国際法の存在証明
(2) 「同意」の対象ではない慣習国際法の「基本原則」の存在の主張
(3) トムシャット「国の意思によらずまたはこれに反して生じる義務」の検討
7 慣習国際法の形成における国の意思の被規定性
(1) 国際法の拘束力の基礎
(2) 慣習国際法の社会的基盤
(3) 国際法にかかわる国の意思の被規定性
8 国際法は進歩のプロジェクトに貢献できるか?―結びに代えて―
◆第9章 動態的プロセスとしての慣習国際法―その変更をめぐって―
はじめに
1 慣習国際法のプロセス:大陸棚制度を素材として
(1) 慣習国際法のプロセスとしての理解
(2) 大陸棚制度の慣習国際法の成立
(3) 大陸棚制度の慣習国際法の変化
2 慣習国際法の変更は違反に始まるか?
3 違反によらない慣習国際法の変更
(1) 法的信念の先行による変更
(2) 条約の締結による変更
(3) 「発展的解釈」による変更
4 国際社会による変更の受諾―結びに代えて―
・判例一覧
・人名索引
・事項索引
・参考文献一覧