憲法制度の形成

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憲法上の制度はいかに成立し、運用されるのか。この問題意識の下に、歴史に照らしながらなされた著者の分析を体系的に集成する。

著者 大石 眞
ジャンル 法律  > 憲法
出版年月日 2021/10/31
ISBN 9784797230338
判型・ページ数 A5変・384ページ
定価 8,580円(税込)
在庫 品切れ・重版未定

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歴史に照らしながらなされた著者の分析を体系的に集成

憲法上の制度はいかに成立し、運用されるのか。この問題意識の下に、歴史に照らしながらなされた著者の分析を体系的に集成する。約40年前の論考を大幅に修正した「公布再考」や、平和安全法制の立法事実と憲法解釈変更に関する検討を加えた「憲法解釈と正確な事実の認識」をはじめ、入念にアップデート。全体の有機的な理解に役立つ相互参照も充実。

  

 

『憲法制度の形成』

  大石 眞(京都大学名誉教授) 著


【目 次】

・はしがき

◆Ⅰ部 憲法総論◆

◆ 1 憲法の法源
一 「憲法の法源」の意味
 1 憲法法源の範囲/2 「国法の諸形式」論との関係
二 憲 法 典
 1 構成と内容/2 効力と効果
三 憲 法 判 例
 1 意義と効力/2 下級審判断と傍論的判示
四 憲法附属法
 1 憲法附属法の意義と機能/2 独立機関の自律的準則
五 その他の法源
 1 条 約/2 条 理

◆ 2 憲法判例への視点

一 「判例」の意味――その多義性
 1 講学上の「判例」概念/2 制度上の「判例」概念
二 最高裁の判例と個別意見表示制
 1 下級審裁判例と最高裁判例/2 最高裁判例の区別/3 個別意見表示制
三 判例の法源性と拘束力
 1 「法源性」の意味/2 判例と「拘束力」の関係/3 判例変更とその方法
四 判例の社会的影響
 1 立法・行政との関係/2 判例と学説との関係

◆ 3 憲法解釈と正確な事実の認識

一 裁判における「事実」の問題
 1 法規の適用と事実の認定/2 判決事実と立法事実/3 立法事実と憲法訴訟
二 国有境内地処分法の合憲性問題
 1 社寺境内地処分問題をめぐる論議/2 国有境内地処分法の合憲性
三 裁判における事実認識・歴史認識
 1 判決事実としての歴史的事実/2 事実認識・歴史認識の問題
四 政策選択・立法における「事実」の問題
 1 平和安全法制をめぐる「立法事実」/2 憲法第九条の解釈と背景・前提

◆ 4 比較憲法史からみた憲法改正論議

はじめに――憲法の今日を語り、日本の明日を考える
一 比較憲法史の視点
 1 体制評価規準としての比較憲法史/2 課題発見原理としての比較憲法史
二 明治憲法と現行憲法
 1 両憲法の位置づけと評価/2 現行憲法の「新憲法」性の実質
三 戦間期の憲法モデル
 1 国民主権の実質化/2 政治権力の合理化/3 権利宣言の社会化/4 日本の憲法との関係
四 憲法改正論議と憲法秩序
 1 「憲法」イメージの問題/2 憲法秩序という視点
おわりに――憲法イメージを転換し、広い視野と展望をもった議論を

◆ 5 現実的な憲法改正論議の条件

はじめに
一 憲法審査会と憲法改正原案提出権
二 政策課題としての憲法改正問題
三 憲法改正論の心得――おわりに代えて

◆ 6 憲法改正と憲法構想

はじめに
一 緊急事態条項をめぐる憲法論議
二 憲法改正と憲法構想――解釈論的改正案か制度論的改正案か
三 憲法改正と憲法改革――憲法典の改正か通常法の改正か
四 規律スタイルの問題――簡短概括型か詳細規律型か
五 規定内容の問題――理念宣言型か実効規範型か
六 憲法改正論のかたち――部分的改正案か包括的改正案か
おわりに


◆Ⅱ部 権利保障◆

◆ 1 信教の自由と「政教分離」原則再考――東日本大震災の経験を通して

はじめに
一 東日本大震災の憲法問題
 1 さまざまな混乱と軋轢/2 憲法と信教の自由・政教分離原則
二 教会・国家関係と「政教分離」像
 1 多様な教会・国家関係とその制度上の標識/2 政教関係の類型に関する留意点
三 フランスの政教分離あるいはライシテの原則
 1 総 説/2 一九〇五年政教分離法の概要/3 政教分離原則の変容/4 施設付司祭というしくみ/5 病院におけるライシテ
四 信教の自由と通俗的な「政教分離」観からの転換
 1 信教の自由の理解について/2 政教分離原則の意味するもの/3 政教分離論と信教の自由
おわりに

◆ 2 地方公務員と「政教分離」原則

一 国家・教会関係の基本類型
 1 政教関係と宗教的自由/2 政教関係類型の内実
二 明治憲法下の教会・国家関係――原意と変容
 1 明治憲法下における政教関係/2 いわゆる神道指令と国家神道
三 現行憲法下の政教分離――内容と運用
 1 現行憲法における関連規定と主要事件/2 宗教の公認と国の「宗教的活動」の禁止/3 公金支出・財産供用の禁止/4 政教分離原則の例外/5 地方税法等における宗教法人「優遇税制」問題

◆ 3 憲法と宗教法

はじめに
一 宗教法と教会法
 1 宗教法の二義性/2 「教会法」のニュアンス
二 法・国家と宗教との関係
 1 法と規範/2 国家と教会
三 世俗的な国法としての宗教法
 1 宗教法の観念と範囲/2 憲法典と憲法判例/3 宗教法人法その他
四 自律的法規としての教会法
 1 教会法の内容/2 仏教宗派の教会法/3 キリスト教の場合/4 教会法と世俗法・国法との関係
おわりに

◆ 4 宗教法と国家法――国家・教会関係の一側面

はじめに
一 国家と教会の関係
 1 国内における関係――国家法における国家・教会関係/2 対外関係における意味――カトリック教会の特殊性
二 宗教法と国家法の関係
 1 両者の関係概観/2 宗教法による国家法の受容/3 宗教法における市民法との調整/4 国家法における宗教法の考慮
三 宗教法と国家法の牴触・衝突
 1 国法上の裁判参与義務と宗教団体による公職受諾の禁止/2 国法上の市民的自由と宗教団体の規律権・統制権
おわりに

◆ 5 憲法的刑事手続

一 人身の自由と刑事手続
 1 刑事手続と憲法学/2 人身の自由と犯罪捜査権/3 刑事裁判と罪刑法定制度
二 憲法的刑事手続
 1 憲法と刑事手続/2 適正刑事手続/3 証人審問権の保障/4 自己帰罪拒否特権/5 二重処罰の禁止
三 捜査手続の憲法問題
 1 令状逮捕の原則/2 接見交通権と接見指定権/3 捜索令状主義


◆Ⅲ部 統治機構◆

◆ 1 天皇退位のための皇室典範特例法の制定

はじめに
一 異例の報告書
二 異例の立案経過
三 異例の審議手続
四 幾つかの論点について
 1 「日本国民の総意」の実体化への違和感/2 皇位継承と「国会の議決した皇室典範」
おわりに

◆ 2 天皇の「公務」と退位をめぐる諸問題

はじめに
一 天皇の地位と公務
 1 現行憲法における天皇の地位と役割/2 天皇の公務のあり方
二 天皇の公務負担軽減問題について
 1 公務負担軽減の方法/2 摂政設置の問題/3 国事行為の委任
三 終身在位制と退位の問題
 1 退位の是非について/2 退位の可否の問題/3 退位の制度化のあり方/4 退位後の処遇について
おわりに

◆ 3 国会の構成と組織をめぐる問題

はじめに
一 国会を構成するもの
 1 両院制(二院制)を考える/2 日本国憲法下の両院制/3 両院制と両議院組織法/4 比例代表制の問題
二 両議院組織法――選挙制度のあり方
 1 国政選挙の重要性/2 選挙事項法定主義/3 選挙制度の基本原理/4 議員定数不均衡問題と最高裁判所/5 最高裁の判断枠組みと人口比例配分の検討
三 国会議員の地位を考える
 1 「国民代表」の意味/2 「代表」をめぐる諸問題/3 議員の職務
おわりに

◆ 4 委員会制度の理念と現実

一 委員会制度の特質
 1 委員会中心主義/2 委員会制度の要素
二 委員会の構成と権限
 1 委員会の種別の機能/2 委員の選任方法
三 委員会の組織・運営準則
 1 委員長・理事の選任方法/2 委員会の議事通則
四 委員会審査の形態と審査報告
 1 委員会審査の形態/2 委員会報告書

◆ 5 立法権と国会運営

はじめに
一 立法府・国会への視点
 1 議会の二大権能――立法(法律制定)と政府統制/2 統治機構の類型との関係――大統領制・議院内閣制・半大統領制/3 三点セットの視点――議会の組織・構成、権限・機能と手続・運営
二 法律制定手続とその問題点
 1 法律案の提出をめぐって/2 委員会中心主義/3 本会議の議事通則/4 両院間回付手続と両院協議会
三 議院運営のあり方について
 1 国会運営と議院運営とのあいだ/2 会派(政党)を単位とする議院運営/3 会期制度と会期不継続の原則/4 いわゆる安定多数の考え方
おわりに

◆ 6 公布再考

はしがき
一 法令施行のあり方(1)――形式的公布制度
 1 形式的公布制度の特徴/2 フランスにおける制度化/3 ヨーロッパ・モデルへ
二 法令施行のあり方(2)――英米流施行観
 1 イギリスの法令施行観/2 アメリカ合衆国の場合/3 法令施行観の対比
三 日本の公布法制の展開と課題
 1 明治初期における展開/2 官報発行と周知期限/3 現行憲法と公布法制/4 現行法制の課題

◆ 7 立法学と憲法論の架橋――大島稔彦著『立法学――理論と実務』に寄せて

はじめに
一 参議院と私のかかわり
二 本書の構成と体系
三 本書の特色と憲法論
 1 立法学としての特色/2 憲法解釈問題/3 「民主制」論の位相/4 立法における憲法適合性/5 その他
四 ささやかな注文――おわりに代えて

◆ 8 首相公選論と議院内閣制の間――国民の国政参加の途をどう広げるか

はじめに
一 国民の国政参加の途を広げること
 1 首相公選論の中身/2 議院内閣制の修正案/3 さまざまな国政参加の途
二 これまでの憲法運用の問題点
 1 頻繁な国政選挙による安定政権の不存在/2 いわゆる権力の二重構造の問題/3 憲法第六八条但書きの運用問題
三 基本的視点と幾つかの提案
 1 政府・首相と国民との関係を明確にすること/2 政府と国会(とくに野党)との関係を合理化すること/3 安定した多数派と安定した立法期を確保すること/4 政府と与党(会派)との関係を一元化すること
おわりに

◆ 9 制憲過程と英訳文――裁判官独立条項をめぐって

はじめに
一 思いがけぬ躓き
 1 憲法英訳文/2 裁判官独立条項
二 裁判官独立条項の成立過程
 1 マッカーサー草案の手交まで/2 日本側の立案作業/3 徹宵交渉後の経緯/4 現行憲法へ
おわりに

◆ 10  地方自治制度への憲法的視点

はじめに
一 地方自治の本旨と補完性原理
 1 補完性原理の位置づけ/2 二層制の構造と事務配分原則
二 民主的な代表機関の相互関係
 1 議会組織・議員選挙法の問題/2 住民と議会の関係/3 議会と首長との関係
三 二元代表制における議会の意義と機能
おわりに

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