目次
『自由と正義と幸福と』
森村 進(一橋大学名誉教授) 著
【目 次】
序 文
◆1 法における自由の意義
一 はじめに
1 本章の目的 2 用語法についての前置き
二 自由の二種類の意義
1 責任連関型自由と権利連関型自由 2 法における自由の尊重――特に幸福追求権について
三 自由を尊重する理由
1 手段的価値 2 内在的価値 3 境界としての権利という発想
四 責任の条件としての自由
1 責任主義 2 自由意志と責任との不即不離の関係、および自由意志の三種類 3 「自由な行為」と「自由意志」の用語法 4 自由意志問題に関する一般人の判断 5 日本の刑法学における議論 6 神経科学の研究は自由意志を否定したのか? 7 私見に対する瀧川の批判への応答 8 政治思想のリバタリアニズムと自由意志問題のリバタリアニズムとの関係 9 それでも両立可能論につきまとう三つの疑念
五 結 論
◆2 ナッジ再考
一 リバタリアン・パターナリズムに関する以前の私見
二 最近のナッジ論の展開
1 「パターナリズム」である必要なし 2 政府によるナッジと民間のナッジの相違 3 リバタリアンはナッジをどう評価すべきか
◆3 課税理論と財産権論
一 はじめに
二 課税と公用収用の統一的理解
1 エプステインの主張 2 エプステイン説の問題点
三 国家主義的財産権論
1 マーフィーとネーゲルの主張 2 自然権論と「日常的リバタリアニズム」の擁護 3 「社会正義」という概念
四 含 意
1 理想的税制 2 法人税 3 課税競争
◆4 リバタリアンな相続税を提案する
一 序
二 リバタリアンな相続制度
三 反論と批判
1 私有財産の不可欠の要素としての相続 2 生前贈与という「抜け道」 3 相続制度の効用と効率 4 文化の継承 5 平等主義的あるいは分配的考慮
四 結 語
◆5 私有財産は多すぎるか? 競売されるべきか?
はじめに
一 ヘラーのアンチコモンズ論――財産法学の新しい概念道具
1 『グリッドロック経済』 2 検討と発展
二 ポズナーとワイルの「共同所有自己申告税」制度――地上げのための福音
1 『ラディカル・エコノミー』 2 COSTの批判的検討
三 結 論
補 論 森林法違憲判決の再評価
◆6 気候正義の諸論点――気候変動への対応策を中心に
一 はじめに
二 気候変動への三つの対応
三 緩和という対応に関する倫理的問題
四 適応という対応に関する倫理的問題
五 地球技術という対応に関する倫理的問題
六 三つの対応策の優劣と衝突
七 それ以外の対応方法
八 さらなる根本的な論点
◆7 互恵性は世代間正義の問題を解決するか?
はじめに
一 互恵性と契約主義道徳
二 三種類の互恵性
三 短期的な世代間正義――年金
四 長期的な世代間正義――投資と環境
1 ロールズの貯蓄原理 2 オーバーラップする世代間の互恵性
五 遠く離れた世代間の直接の互恵性
◆8 未来世代に配慮すべきもう一つの理由
一 はじめに
1 これまでの私見 2 気候変動の正義の特色 3 「未来は別の国」 4 本章の目的
二 シェフラーの議論の紹介
1 後世に関する推測 2 シェフラーの議論へのコメント
三 シェフラーの依存テーゼの実践的含意
1 未来世代への配慮の増大 2 配慮されるべき対象
◆9 人権概念の問題点
一 序
二 コミュニタリアニズムからの人権批判
三 生態学・環境倫理学的関心からの批判
四 自然権と人権
◆10 尊厳概念への違和感
一 序
二 自己所有権と身体
三 なぜ人間は、そして人間だけが尊厳を持つのか?
◆11 不死と幸福
一 はじめに
二 不死の生が望ましくないとされる論拠とそれに対する返答
1 魅力に関する反論 2 同一性に関する反論 3 認識可能性に関する反論
三 不死の人々はどのくらい幸福か
1 幸福とは何かに関する三つの理論 2 幸福判断の時間的単位に関する四つの見方
四 いくつかの補足
1 われわれ死すべき人々の幸福も捨てたものでない 2 他の種類の不死性 3 もっと実践的な含意――長寿化の社会的影響
◆12 法は幸福を部分的にしか現実化しない、そしてそれには理由がある
一 序
二 法は個々人の幸福を保護・尊重しているか、またすべきか――いずれについてもある程度までは然り
1 財産ルールによる保護 2 賠償責任ルールによる保護 3 非財産的損害を賠償する理由はないのか?
三 法は個々人の幸福を増進・実現しているか、またすべきか――いずれについても多くの場合は否
四 法は社会全体の幸福を増進・実現しているか、またすべきか
1 法の経済分析――社会的厚生関数の最大化 2 幸福度研究――国民総幸福
五 個々人の幸福は社会にとってどれほど重要なのか
◆13 「法とは何か?」への答は文脈によって違う
一 誰がその問いを問うのか?
二 「法とは何か?」が問われる文脈
三 文脈と法概念との関係
◆随想五篇
一 一か月の楽園――ベラッジオ・センターに滞在して
二 「私はリバタリアンだったのだ」――ロバート・ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』
三 スペンサーについての三つの解釈
四 幸福の星のもとに生まれた本――『幸福とは何か――思考実験で学ぶ倫理学入門』の刊行に寄せて
五 法と笑い
・索引(人名・事項)
森村 進(一橋大学名誉教授) 著
【目 次】
序 文
◆1 法における自由の意義
一 はじめに
1 本章の目的 2 用語法についての前置き
二 自由の二種類の意義
1 責任連関型自由と権利連関型自由 2 法における自由の尊重――特に幸福追求権について
三 自由を尊重する理由
1 手段的価値 2 内在的価値 3 境界としての権利という発想
四 責任の条件としての自由
1 責任主義 2 自由意志と責任との不即不離の関係、および自由意志の三種類 3 「自由な行為」と「自由意志」の用語法 4 自由意志問題に関する一般人の判断 5 日本の刑法学における議論 6 神経科学の研究は自由意志を否定したのか? 7 私見に対する瀧川の批判への応答 8 政治思想のリバタリアニズムと自由意志問題のリバタリアニズムとの関係 9 それでも両立可能論につきまとう三つの疑念
五 結 論
◆2 ナッジ再考
一 リバタリアン・パターナリズムに関する以前の私見
二 最近のナッジ論の展開
1 「パターナリズム」である必要なし 2 政府によるナッジと民間のナッジの相違 3 リバタリアンはナッジをどう評価すべきか
◆3 課税理論と財産権論
一 はじめに
二 課税と公用収用の統一的理解
1 エプステインの主張 2 エプステイン説の問題点
三 国家主義的財産権論
1 マーフィーとネーゲルの主張 2 自然権論と「日常的リバタリアニズム」の擁護 3 「社会正義」という概念
四 含 意
1 理想的税制 2 法人税 3 課税競争
◆4 リバタリアンな相続税を提案する
一 序
二 リバタリアンな相続制度
三 反論と批判
1 私有財産の不可欠の要素としての相続 2 生前贈与という「抜け道」 3 相続制度の効用と効率 4 文化の継承 5 平等主義的あるいは分配的考慮
四 結 語
◆5 私有財産は多すぎるか? 競売されるべきか?
はじめに
一 ヘラーのアンチコモンズ論――財産法学の新しい概念道具
1 『グリッドロック経済』 2 検討と発展
二 ポズナーとワイルの「共同所有自己申告税」制度――地上げのための福音
1 『ラディカル・エコノミー』 2 COSTの批判的検討
三 結 論
補 論 森林法違憲判決の再評価
◆6 気候正義の諸論点――気候変動への対応策を中心に
一 はじめに
二 気候変動への三つの対応
三 緩和という対応に関する倫理的問題
四 適応という対応に関する倫理的問題
五 地球技術という対応に関する倫理的問題
六 三つの対応策の優劣と衝突
七 それ以外の対応方法
八 さらなる根本的な論点
◆7 互恵性は世代間正義の問題を解決するか?
はじめに
一 互恵性と契約主義道徳
二 三種類の互恵性
三 短期的な世代間正義――年金
四 長期的な世代間正義――投資と環境
1 ロールズの貯蓄原理 2 オーバーラップする世代間の互恵性
五 遠く離れた世代間の直接の互恵性
◆8 未来世代に配慮すべきもう一つの理由
一 はじめに
1 これまでの私見 2 気候変動の正義の特色 3 「未来は別の国」 4 本章の目的
二 シェフラーの議論の紹介
1 後世に関する推測 2 シェフラーの議論へのコメント
三 シェフラーの依存テーゼの実践的含意
1 未来世代への配慮の増大 2 配慮されるべき対象
◆9 人権概念の問題点
一 序
二 コミュニタリアニズムからの人権批判
三 生態学・環境倫理学的関心からの批判
四 自然権と人権
◆10 尊厳概念への違和感
一 序
二 自己所有権と身体
三 なぜ人間は、そして人間だけが尊厳を持つのか?
◆11 不死と幸福
一 はじめに
二 不死の生が望ましくないとされる論拠とそれに対する返答
1 魅力に関する反論 2 同一性に関する反論 3 認識可能性に関する反論
三 不死の人々はどのくらい幸福か
1 幸福とは何かに関する三つの理論 2 幸福判断の時間的単位に関する四つの見方
四 いくつかの補足
1 われわれ死すべき人々の幸福も捨てたものでない 2 他の種類の不死性 3 もっと実践的な含意――長寿化の社会的影響
◆12 法は幸福を部分的にしか現実化しない、そしてそれには理由がある
一 序
二 法は個々人の幸福を保護・尊重しているか、またすべきか――いずれについてもある程度までは然り
1 財産ルールによる保護 2 賠償責任ルールによる保護 3 非財産的損害を賠償する理由はないのか?
三 法は個々人の幸福を増進・実現しているか、またすべきか――いずれについても多くの場合は否
四 法は社会全体の幸福を増進・実現しているか、またすべきか
1 法の経済分析――社会的厚生関数の最大化 2 幸福度研究――国民総幸福
五 個々人の幸福は社会にとってどれほど重要なのか
◆13 「法とは何か?」への答は文脈によって違う
一 誰がその問いを問うのか?
二 「法とは何か?」が問われる文脈
三 文脈と法概念との関係
◆随想五篇
一 一か月の楽園――ベラッジオ・センターに滞在して
二 「私はリバタリアンだったのだ」――ロバート・ノージック『アナーキー・国家・ユートピア』
三 スペンサーについての三つの解釈
四 幸福の星のもとに生まれた本――『幸福とは何か――思考実験で学ぶ倫理学入門』の刊行に寄せて
五 法と笑い
・索引(人名・事項)