消費者法研究 第9号
◆第一線の執筆陣が集った、今後の消費者法・消費者政策の在り方を探る重要論稿群。本号も最新のテーマを、広い視野から精緻に検討◆
第9号は、〈特集〉は「民法と消費者法」。2020年の私法学会でのシンポジウムをベースにし、更なる充実をはかった6論説(後藤、原田、山城、大澤、三枝、石川)を収録。ほかに、〈論説〉2本(福島、五十嵐)に加え、今号から新たに、「相談員の目」として、相談員による事例に基づいた2報告(藤井、高村)も掲載。消費者法の確かな基礎と展開を追究し、広く消費者法に関わる問題を考える専門研究誌。
【執筆者一覧】
河上正二(かわかみ・しょうじ):東京大学名誉教授,東北大学名誉教授,青山学院大学客員教授
後藤巻則(ごとう・まきのり):早稲田大学大学院法務研究科教授
原田昌和(はらだ・まさかず):立教大学法学部教授(民法学)
山城一真(やましろ・かずま):早稲田大学法学部教授
大澤彩(おおさわ・あや):法政大学法学部教授
三枝健治(さいぐさ・けんじ):早稲田大学法学部教授
石川博康(いしかわ・ひろやす):東京大学社会科学研究所教授(民法学)
福島成洋(ふくしま・しげひろ):消費者庁消費者制度課課長補佐
【相談員の目】
藤井檀(ふじい・まゆみ): 消費生活アドバイザー・消費生活相談員(国家資格者)
高村淳子(たかむら・じゅんこ): 東京都消費生活総合センター相談課消費生活専門課長
河上正二(東北大学・東京大学名誉教授) 責任編集
【目 次】
・緒 言〔河上正二〕
〈特集〉民法と消費者法
◆1 人と消費者――消費者の個別化・集団化の進展と民法――〔後藤巻則〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 第三の法制改革期における民法・消費者法の進展
Ⅲ 債権法改正と合意主義
Ⅳ 消費者の個別化の進展と民法
Ⅴ 消費者の集団化の進展と民法
Ⅵ 合意主義と対抗価値
Ⅶ 人と消費者
◆2 契約締結過程の規律と消費者法――誤認型不当勧誘を中心に――〔原田昌和〕
はじめに
Ⅰ 不当勧誘への規制に関する規律の現状
Ⅱ 不当勧誘への規制に関する規律の課題――民法
Ⅲ 不当勧誘への規制に関する規律の課題――消費者契約法
Ⅳ まとめにかえて――規範創造における円環的な公私協働
◆3 契約当事者の判断能力と消費者法――「能力型」の契約規制をめぐる諸問題――〔山城一真〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 取引適格を制限する規制法理
Ⅲ 判断能力を考慮する規制法理
Ⅳ おわりに
◆4 「定型取引」概念誕生による約款・不当条項規制の変容と今後(序論)〔大澤 彩〕
Ⅰ 問題意識
Ⅱ 「定型約款」概念について
Ⅲ 「約款」の類型化の必要性
Ⅳ 今後の課題
◆5 契約不適合責任の現代化――取引の情報化を受けて――〔三枝健治〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 新たなEU指令の経緯
Ⅲ 両指令の概要その1――適用範囲
Ⅳ 両指令の概要その2――適合性の判断
Ⅴ 両指令の概要その3――救済
Ⅵ 両指令の概要その4――救済の期間・通知義務等
Ⅶ 契約不適合責任の現代化についての若干の考察
◆6 各種契約の方式要件の変容と消費者法における書面の意義〔石川博康〕
Ⅰ はじめに
Ⅱ 契約における方式の目的と機能
Ⅲ 消費者法領域における方式強化の動向
Ⅳ 各種の契約における方式要件の諸相
Ⅴ 「情報提供の方式としての書面」と消費者法
Ⅵ おわりに
〈論 説〉
◆1 消費者契約法4条2項(不利益事実の不告知)について〔福島成洋〕
Ⅰ 本稿の関心事項
Ⅱ 名古屋高判平成30年(2018年)5月30日の概要
Ⅲ 若干の検討
Ⅳ おわりに
◆2 営業の自由規制に関する判例学説と預託販売商法規制の憲法適合性の判断枠組み〔五十嵐 宙〕
はじめに
Ⅰ 営業の自由とは
Ⅱ 営業の自由規制と判例
Ⅲ 規制目的の重要性の再検討
Ⅳ 職業の自由の違憲審査基準
Ⅴ 預託販売の規制に対する合憲性判断
おわりに
〈相談員の目〉
◆1 表示の一般法における責任規定の整備について――消費生活相談の現場からの考察〔藤井 檀〕
1 はじめに/2 実際の表示例/3 表示者の責任について/4 表示者の立場では/5 おわりに
◆2 東京都消費者被害救済委員会における審議事例について〔高村淳子〕
1 東京都消費者被害救済委員会の概要/2 令和2年度における報告案件/3 終わりに
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