雇用終了の法理

学術選書 50

雇用終了の法理

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労働契約終了法の全体像を提示する

著者 小宮 文人
ジャンル 法律  > 労働法/社会保障法
シリーズ 法律・政治  > 学術選書
出版年月日 2010/09/28
ISBN 9784797258509
判型・ページ数 A5変・304ページ
定価 9,680円(税込)
在庫 在庫あり

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「本書は、解雇にとどまらず、その他の労働契約終了原因を明らかにして、それらの個々の終了原因の相互関係を考えながら、雇用終了に関するわが国の判例を整理・分析し、労働契約終了法の全体像を論じようとするものである。」(はしがきより)。変動期を迎えているわが国の雇用関係において、有期労働契約の満了、契約の自動終了、退職強要の問題など、解雇法理の周辺を取り巻く諸問題を詳細に論じる。

目  次
序章 解雇規制法理から雇用終了法理へ1
 第1節 はじめに1
 第2節 解雇権濫用法理をめぐる動き3
 第3節 解雇自由の原則6
 第4節 わが国の解雇規制の法的根拠と雇用終了法理の確立の必要性8
1 解雇規制の法的根拠(8)
2 経済学説の解雇規制に対する見解(11)
   解雇規制反対論(12)
   解雇規制賛成論(13)
3 賛否論から見る雇用終了法理の問題点(16)
   経済効率論の意義(16)
   アメリカの実証研究(17)
   実証研究の意義(18)
   雇用終了法理のあり方(20)
第1章 解雇権の一般的規制法理としての解雇権濫用法理27
 第1節 はじめに27
 第2節 解雇権濫用法理の特徴28
 第3節 解雇権濫用の立証責任29
1 最高裁判例の解釈(29)
2 新たな学説の動向(31)
3 就業規則の解雇事由規定(34)
 第4節 解雇理由の告知36
1 最判山口観光事件以前(36)
2 懲戒解雇の場合(38)
3 普通解雇の場合(40)
4 労基法の規定(40)
5 若干の考察と結論(41)
 第5節 整理解雇42
1 はじめに(42)
2 「整理解雇」の定義(44)
3 整理解雇の濫用性判断(46)
  1 判例上の整理解雇の濫用性判断枠組みと立証責任(46)
  2 「要件」・「要素」の実際的な違い(48)
4 要件・要素ごとの検討(52)
  1 人員削減の必要性(52)
  2 整理解雇回避の努力(54)
  3 人選の合理性(56)
  4 組合,労働者との協議・説明(58)
5 企業解散解雇(60)
  1 真実解散(60)
  2 真実解散と法人格否認(63)
  3 真実解散と事業譲渡(65)
  4 偽装解散と法人格否認の法理(68)
  5 立法措置の必要性(71)
 第6節 職務能力・適格性欠如解雇72
1 はじめに(72)
2 職務能力・適格性欠如解雇の要件・要素(73)
  1 セガ事件の事実の概要と判旨(74)
  2 セガ事件決定の意義と判例分析(77)
 第7節 濫用的解雇の救済方法86
1 解雇無効・地位確認判決(86)
2 未払賃金の支払命令(89)
3 就労請求(90)
4 中間収入の控除(93)
  1 民法536条2項に基づく処理(94)
  2 労基法26条との関係(96)
5 金銭賠償・補償金(97)
  1 判例の概観(97)
  2 損害賠償による救済の必要性(98)
  3 損害賠償の法的根拠(103)
  4 損害賠償の内容(104)
  5 金銭解決の立法化問題(112)
  6 参考――諸外国の解雇補償金(117)
第2章 労働契約の自動終了125
 第1節 有期労働契約の終了規制125
1 はじめに(125)
2 自動終了機能――雇止めの問題(129)
  1 有期労働契約の自動終了機能(129)
  2 有期労働契約の雇止めに関する判例の分類(133)
  3 東芝柳町最判の趣旨と問題点(138)
  4 日立メディコ最判の趣旨と問題点(141)
  5 雇止めの相当事由と濫用性の具体的判断(148)
  6 判例法理の適用実態の評価(153)
  7 立法的提案(155)
  8 参考――諸外国の更新規制制度の概要(158)
3 雇用保護機能・人身拘束機能――期間中の解雇と辞職(162)
  1 有期労働契約に関する法律規定(162)
  2 拘束機能と期間中の辞職(163)
  3 雇用保障機能と期間中の解雇(165)
 第2節 自動退職取扱規制169
1 はじめに(169)
2 定年制度(169)
3 傷病休職期間の満了(175)
  1 傷病と解雇(175)
  2 休職制度の意味(177)
  3 猶予期間の限界(178)
  4 休職事由消滅と復職(180)
  5 休職事由消滅の立証責任(180)
  6 使用者の解雇又は退職取扱い回避の努力(182)
  7 健康診断(185)
  8 休職期間満了時の雇用終了の通知(186)
第3章 退職強要の規制法理188
 第1節 はじめに188
 第2節 解雇,合意解約,辞職の区別188
1 合意解約の申込み・承諾と辞職(188)
2 解雇と合意解約(192)
 第3節 解雇の承認193
 第4節 意思表示の瑕疵195
 第5節 退職強要198
1 退職強要に対する慰謝料請求(198)
2 退職追込み(200)
  1 学説・判例の動向(201)
  2 若干の検討(204)
 第6節 退職追込みと英米のみなし解雇207
1 はじめに(207)
2 退職追込み行為に対する規制の必要性(207)
3 アメリカとイギリスのみなし解雇(209)
  1 アメリカの場合(209)
  2 イギリスの場合(216)
4 わが国における退職追込み行為規制(218)
  1 英米法を参考にして(218)
  2 擬制解雇及び準解雇の法理(220)
  3 職場環境整備義務(224)
  4 退職追込みの立法的解決(225)
第4章 懲戒解雇の法規制228
 第1節 懲戒解雇の意義228
 第2節 懲戒処分の法的根拠229
 第3節 懲戒解雇の適法性と退職金不支給・減額231
1 懲戒解雇の適法性(231)
2 退職金不支給・減額(232)
 第4節 懲戒解雇事由と普通解雇事由235
1 懲戒解雇事由と普通解雇事由の限定(235)
2 懲戒解雇事由の存在を理由とする普通解雇(236)
3 懲戒解雇の普通解雇への転換(238)
 第5節 即時解雇との関係239
 第6節 懲戒解雇手続240
1 労働協約の人事(解雇)協議・同意条項違反(240)
2 労働協約の懲戒委員会の議を経ない懲戒解雇(241)
3 就業規則の懲戒解雇手続違反(242)
4 懲戒解雇手続規定のない場合(243)
5 若干の考察(244)
 第7節 内部告発の問題246
1 はじめに(246)
2 規範的根拠と一般法理(248)
3 内部告発の具体的判断基準(251)
  1 告発対象事実と公益(252)
  2 公益目的(253)
  3 真実性または真実と信じることの相当性(254)
  4 内部通報の必要性(255)
  5 告発先(257)
  6 匿名の告発(259)
  7 機密資料の取得・開示(259)
  8 立証責任(262)
4 公益通報者保護法の功罪(262)
5 若干の付言(265)
 結語 雇用終了法理の展望267
  判例索引
  事項索引

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