『英国M&A法制における株主保護 ―史的展開の考察を中心に』学術選書66
冨永千里(大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授) 著
【目 次】
はしがき
序 論
第1節 わが国のM&A 法制の状況
第2節 問題の所在
第3節 研究の目的及び考察の範囲・方法・順序
◇第1部 英国における現行M&A 法制の概要
概 説
第1章 英国会社法におけるM&A 規定の概略
第1節 第26部「会社の整理及び再建」
第2節 第27部「公募会社の合併及び会社分割」
第3節 第28部「買収等」
1.緒論/2.パネルの位置付けと権限/3.シティ・コードの概要/4.コードの規則概要/
5.少数株主の締出し及び少数株主からの株式売却
第4節 M&A に関連する第26-28部以外の規定
1.緒 論/2.株式の発行、割当及び新株引受権にかかる規制/
3.会社のM&A に関する取締役の私的利害への対応/
4.公募会社が株式所有状況に関する情報を請求する権限
第2章 M&A に関連する金融サービス機構の規制
第1節 M&A 取引に関する規制
第2節 新株発行にかかる規制
第3節 議決権所有状況の開示
◇第2部 英国におけるM&A に関する規定の沿革
概 説
第1章 1929年総括会社法まで
第1節 1870年ジョイント・ストック・カンパニー・アレンジメント法と1929年法153条
第2節 1929年法154条
第3節 1929年法155条
第4節 M&A に関連する1929年法の規定
第5節 1929年法以前のM&A に関する規定
1.緒 論/2.1862年会社法161条によるM&A/3.基本定款に基づくM&A
第2章 1929年総括会社法がかかるM&A 法制を採るに至った背景
第1節 ジョイント・ストック・カンパニーの誕生とその法的性格
第2節 泡沫会社法制定とジョイント・ストック・カンパニーへの影響
第3節 ジョイント・ストック・カンパニーの法人格及び株主有限責任の獲得に向けた道のり
第4節 ジョイント・ストック・カンパニーの契約理論的性質が基本定款に与えた影響
第5節 判例法における契約理論的性質の影響
第6節 ウルトラ・ヴァイルス理論が英国のM&A に与えた影響
1.緒 論/2.株式及び全事業の取得における影響/
3.全事業の売却における影響
第7節 ジョイント・ストック・カンパニーの契約理論的性質が付属定款に与えた影響
第8節 1929年法にM&A に関する規定が制定された理由とその意義
第3章 1929年総括会社法以降のM&A 法制の展開
第1節 1948年総括会社法における改正
第2節 1950年代のTOB 隆盛の背景
第3節 1950年代のTOB ―その評価と問題点
第4節 1958年詐欺防止(投資)法によるTOB への規制
第5節 1960年認可証券取引事業者(業務)規則の制定
第6節 ジェンキンスレポートの勧告
第7節 取締役及び主要株主の株式保有状況にかかる開示制度の発展
第4章 M&A にかかる自主規制の発展
第1節 シティ・ノートの誕生と改正
第2節 証券取引所の要請
第3節 シティ・コードとパネルの誕生
第4節 シティ・コードの概要
第5節 制裁措置の導入と1969年のコード改正
第6節 市場での株式取得と実質株主にかかる問題
第7節 強制公開買付制度の導入と進展
第8節 パネルの裁定と司法審査
第5章 EC 指令と英国M&A 法制への影響
第1節 英国M&A 法制に影響を与えたEC 指令の概略
第2節 EC 会社法第一指令と会社法改正
第3節 EC 会社法第二指令の影響
第4節 EC 会社法第三指令及び第六指令に基づく会社法のM&A 規定の改正
第5節 大規模株式の取得・処分の開示に関する指令と会社法の株式所有状況の開示規定
第6章 証券規制の展開と自主規制機関への影響
第1節 CSI 設立とSARs の制定
第2節 有価証券上場規則の改正と証券取引所の地位の変遷
第3節 金融サービス法の成立
第4節 金融サービス法の規制体系
第5節 金融サービス法による証券発行規制の一元化と1985年会社法の改正
第6節 200年金融サービス市場法の制定と規制体系の転換
第7章 21世紀に採択されたEC 指令と英国会社法への影響
第1節 公開買付けに関する指令の採択
第2節 公開買付けに関する指令に対する英国の対応
第3節 公開買付けに関する指令の履行に伴う英国会社法改正と買収規制への影響
第4節 越境合併に関する指令の採択と英国会社法改正
第8章 英国の会社支配権の移転にかかる株主保護の系譜とその意義
第1節 1929年法にM&A 規定が設けられる以前のM&A と株主保護
第2節 1929年法におけるM&A 規定の意義と限界
第3節 企業買収にかかる自主規制の発展と株主保護における意義
第4節 1980年代以降の英国会社法における株主保護への取組み
◇第3部 わが国のM&A 法制の沿革
概 説
第1章 商法におけるM&A 法制の系譜と展開
第1節 銀行合併法制定以前の銀行合併の概況
第2節 銀行合併法
第3節 一般商事会社の合併に関する法律制定の建議と商事會社合併竝組織變更法案の上程
第4節 商法における合併規定の系譜―銀行合併法、商事會社合併竝組織變更法案及びイタリア商法の影響
第5節 わが国における合併法理の検討と合併制度創設の過程から見た合併の法的性質
第6節 商法における営業譲渡概念の萌
第7節 持分及び株式の譲渡と新株発行にかかる規制
第8節 会社による他社株式の所有
第9節 明治32年商法におけるM&A 法制整備の意義
第10節 1938年の商法改正によるM&A 規定の拡充
第2章 第二次世界大戦後のM&A 法制の展開
第1節 商法における株式買取請求権の導入とその進展
第2節 取締役会への権限委譲と新株発行等にかかる規定の展開
第3節 証券取引法における公開買付届出制度の導入
第4節 1990年及び1994年の公開買付制度の改正
第5節 株券等の大量保有状況の開示にかかる制度の導入
第6節 203年以降の公開買付制度及び大量保有報告制度の進展
第3章 日 本のM&A 法制及び支配権の移転にかかる株主保護措置の特徴と背景
第1節 M&A 法制の構成
第2節 株主を保護する時点及び手法
第3節 株式等の発行を通じた会社支配権の移転
◇第4部 英国M&A 法制における株主保護のあり方と日本法への示唆
概 説
第1章 英国M&A 法制における株主保護措置の意義
第1節 英国M&A 法制における株主保護措置の特徴
第2節 支配権の移転にかかる株主保護措置の目的と効果
第3節 英国M&A 法制の理念
第4節 支配株主による不適切な富の移転に対する株主保護措置の効果
第5節 英国のM&A 取引から見たM&A 法制に対する評価
第2章 英国M&A 法制からの示唆
第1節 わが国のM&A 法制のあり方と規制理念に関する示唆
第2節 日本のM&A 法制の個別的課題に対する示唆
1.緒 論/2.M&A 法制の構成/3.M&A 法制における株主保護のあり方/
4.支配権の移転における株主の位置付け及び権限の明確化/
5.株主が主体的に支配権移転の可否を判断し得る環境の整備
結 語