国際倒産VS国際課税 ―抵触法的考察
International Bankraptcy vs. International Taxation
石黒 一憲 著
目 次
◆序章 国際倒産と国際課税──本書の基本的分析視角 1
1 はじめに 1
2 「国境でメルトダウンする人権保障?」──執行共助の刑事と税務 5
問題の設定(5)
「徴収共助」に関する問題の所在と「米国の論理?」(6)
a 概 観(6)
b 国境を越えた外国の刑事・租税判決の承認・執行?──「米国的論理」の問題性(8)
国際刑事法上の「没収共助」と憲法──「徴収共助」問題との関係において(8)
a 「双方可罰性」の要件をめぐって(8)
b 組織犯罪処罰法62条をめぐって(10)
結 語?(11)
3 “諸悪の根源”としての米国対外関係法第3リステートメント§483──「外国租税判決・刑事判決の承認・執行」?? 15
“米国流”の考え方の問題性と「欠落する“執行管轄権&基本的人権”からの視点」への序章──「§483的米国」とは?(15)
米国対外関係法第3リステートメント§483の「論理構造」・その1──「英国」の「インド課税事件」判決の不当な矮小化(22)
米国対外関係法第3リステートメント§483の「論理構造」・その2──「基本的人権の観点」等は何処へ?(26)
「国境」に落ちたコインの両側!──「執行管轄権」と「基本的人権保障(租税法律主義)」(32)
◆第1章 わが国際倒産法制の変革へのプロセスと「課税」 37
1 私の国際倒産法研究の「出発点」と“軌跡”──なぜか誰も語ろうとしない真実(?)を含めて 37
2 「平成12年法(承認援助法)」と「“米国の影”に怯える日本?」 40
はじめに(40)
法改正論議の最終段階での、“米国の影”──国連の「国際倒産モデル法」と日本の「平成12年法」(41)
3 「一橋案」と「国際課税」 48
「準拠法の論理」の混入?(48)
「コミティ」を含めた「米国からの心地よい風」に吹かれて(57)
「一橋案と租税」を論ずるための更なる前提──「BCCI事件」を出発点として(60)
国際金融法の全体像から見た“国際倒産現象”(64)
「一橋案」における「租税」の取扱い?・その1──「ルクセンブルグ対IRS事件」とも対比させつつ(76)
「一橋案」における「租税」の取扱い?・その2──「承認要件」に関する「一橋案」と「平成12年法」との対比を含めて(89)
4 「従来の米国連邦破産法」と『「コミティ」&「米国型の“裁量権限”」』 94
「“積極介入型”の米国裁判官の裁量」と「日本の選択」?(94)
米国連邦破産法304条と『「コミティ」の重層構造的性格』(101)
米国連邦破産法304条制定前・制定後の「コミティ」の実際の機能、そして「米国型裁量の実像」(104)
「国家法の域外適用」と「コミティ」(111)
a 「牴触法の理論枠組み」についての若干の確認(111)
b 米国対外関係法第3リステートメント§403における「裁量とコミティ」(121)
◆第2章 スイスの選択と「ミニ破産」 127
1 これまでの論述のまとめと今後の展開──「手書きの一枚紙」からの出発 127
2 スイス国際私法典における国際倒産規定について──草案段階からの展開と「ミニ破産」 134
3 スイスにおける外国破産宣告承認と「自国租税債権の処遇」──連邦と州(カントン)の権限配分との関係において 141
4 「スイスのミニ破産」と「私」──Hotchpot Ruleとの関係を含めて 145
5 「従来の米国」と「スイス」の国際倒産法制との比較──スイスの行き方は「承認」ではなく「共助」だと、果たして言えるのか? 154
◆第3章 「2000年EU規則」とドイツの対応 163
1 はじめに 163
2 「2000年EU規則」とそこに至るまでの道程・その1──「英国」という“悲しい言葉遣い”についての再確認を含めて 164
3 「2000年EU規則」とそこに至るまでの道程・その2──「租税債権の取扱い」に重点を置いて 170
4 「EU金融機関倒産指令」と証券・マネーの「ペーパーレス化問題」 172
5 「2000年EU規則」の基本構造への正しい理解──スイスの「ミニ破産」との親近性に留意しつつ 178
6 ドイツの側から見た「2000年EU規則」と「国連モデル法」──「牴触法」・「比較法」に関する若干の重要な注記とともに 190
概 観(190)
ドイツの従来の国際倒産法制との連続性──米国型の「フェアネス」と「コミティ」との関係等についての、重要な注記とともに(196)
◆第4章 「英国」の選択──「国連モデル法」のその後の採用状況と、その制定過程での「租税の取扱い」を含めて 213
1 「英国」についての再確認事項 213
2 「英国」の「2006年国際倒産規則」による「国連モデル法」の採用──「国連モデル法」のその後の採用状況を含めて 219
3 従来の「英国」の国際倒産法制の基本と「裁量」──その淵源をめぐって 224
4 『「国連モデル法13条2項」vs.「米国対外関係法第3リステートメント§483の不当な論理」』、そして「英国」の対応 236
はじめに(236)
「国連モデル法」13条のUNCITRALにおける審議過程と米国の「林檎と手錠」戦略(238)
「外国の租税」に関する「英国」の選択・その1(243)
これまでの議論の再整理と若干の展開──「裁量」・「コミティ」、「レシプロシティ」、そして「公序」?(245)
「外国の租税」に関する「英国」の選択・その2──巧妙な規律構造(カラクリ)の解明(248)
5 「2000年EU規則」と「国連モデル法」──従来の「英国」国際倒産法(牴触法)との関係において 254
「国連モデル法」(1997年)と「国連モデル法(英国)」(2006年)との差異について──「2000年EU規則」の“成立過程”の、「国連モデル法」への「直接的反映」(255)
「ジュリスディクション問題」と「従来の英国国際倒産法」──「国連モデル法」における「国際管轄規定の不存在」との関係において(259)
「従来の英国の国際倒産法」の基本構造──「2000年EU規則」及び「国連モデル法(英国)」との関係において(261)
「英国の従来(在来)の国際倒産法(牴触法)」の詳細と留意点──「2000年EU規則」の果たした役割(265)
a 企業倒産(Corporate Insolvency)(265)
[A] 「イングランド裁判所の国際管轄」(265)
[B] 「イングランドの清算命令の効力」──外国主手続側への自国資産引き渡しの可否と「裁量」(266)
[C]「外国の清算命令の効力」──「準拠法の論理」の混入(271)
b (自然人の)「破産(Bankruptcy)」(273)
[A-1] 「英国の破産」についての「国際管轄」(273)
[A-2] 「英国破産手続の効力」(274)
[B-1] 「外国破産」についての「外国裁判所の管轄」(275)
[B-2] 「外国破産手続の効力」(276)
c の小括と『「準拠法の論理」の介在についての重要な補足』──「コモン・ロー・ルール」について(278)
◆第5章 「米国連邦破産法Chapter 15」と「国連モデル法」──背景をなす諸事情と逐条的検討 281
1 「米国と国連モデル法」を論ずる諸前提 281
はじめに(281)
「平成12年法」と「国連モデル法」との間の“亀裂”の一端についての“重要な事前補足”(281)
本書のこれまでの論述の流れを振り返って(286)
従来の「連邦破産法304条」の制定過程と“想起すべき事柄”(290)
「米国連邦破産法304条の制定過程」と“ボタンの掛け違い”?(295)
はじめに(299)
2 「国連モデル法」と「Chapter 15の米国」・その1──これまでの論述との関係において 299
はじめに(299)
『「§483的米国」vs.「Chapter 15における実際の米国の選択」』──「国連モデル法」13条2項の制定過程との関係での、「米国流のダブル・スタンダード」論?(299)
a 概 観(299)
b 「§1513のA」をめぐって──「日本側の米国理解の問題性」と「課税の取扱い」(302)
c 「§1513のB」をめぐって──「2003年版・2008年版OECDモデル租税条約」の徴収共助条項との関係を含めて(309)
『「平成12年法」関連での“暴論”』との関係──「国連モデル法」は排他的なルートなのか?(315)
a はじめに(315)
b 「国連モデル法」による外国倒産手続の「承認」は、果たして排他的なものだったのか?──米国の「Chapter 15」との関係を含めて(316)
[A] 日本の“暴論”のルーツは?──若干のシミュレーションとともに(316)
[B] 「Chapter 15の米国」における「国連モデル法」ルートの排他性?(320)
[C] 中間的取りまとめ(322)
[D] 「国連モデル法」自体において、「承認」ルートは“排他的”なものだったのか?・その1──「Chapter 15の米国」との関係において(326)
[E] 「国連モデル法」自体において、「承認」ルートは“排他的”なものだったのか?・その2──日本側における“初歩的誤解”の問題性(329)
c 小括──これまでの論述への“若干角度を変えての纏め”を兼ねて(334)
3 「国連モデル法」と「Chapter 15の米国」・その2──「Chapter 15」の概観と逐条的検討 339
「304条」と「国連モデル法」、そして「Chapter 15」の相互関係(339)
a 『「304条削除」イコール「304条の枠組の基本的な“温存”」』の「パラドキシカルな構図」(339)
[A] ポーズとしての「304条“削除”」(339)
[B] 「米国型裁量≒コミティ」&「自国債権者保護への強い要請」はどうなったのか?(341)
b §1507と§1509との関係──「Chapter 15」で一層クローズ・アップされた「コミティ」(342)
「Chapter 15」の条文構成と主要な留意点──「国連モデル法」と対比させつつの逐条的検討(346)
a 目的・定義等(§1501 & §1502)──日本側の問題ある理解を含めて(346)
b §1516までの諸規定──「EUの戦略勝ちの構図」を含めて(355)
c 「Chapter 15制定後の米国」における一部米国判例の造反?──『「裁量」(≒「コミティ付与」)権限への束縛を嫌う米国裁判所の本能的リアクション()』をめぐって(360)
d §1517以下の「承認」規定──はじめに(366)
e 「承認」前の「緊急の保全的措置」と「(米国的?)“裁量”」──「国連モデル法」と「2000年EU規則」との基本的な“規律手法”の差()を含めて(368)
f 「Chapter 15」と「BCCI事件」との接点──§1519(及び§1521)をめぐって(373)
g 外国「主手続」の「承認」の効果──§1520(377)
h 「承認」後に与えられ得る「救済」と§1521──「国連モデル法」21条への「米国型裁量」の“歯止めなき流入()”(381)
i 「自国内資産」の「外国手続」側への「引き渡し」と「自国債権者保護」──「国連モデル法」自体が設けた「セーフガード措置」(382)
j §1523(「国連モデル法」23条)と「規律手法の不安定さ」──再び「2000年EU規則」の“規律手法”との対比、そして、“信じ難い事実()”との関係において(387)
k §1525-§1527 (Cooperation with foreign courts and foreign representatives)(394)
l §1528-§1532 (Concurrent proceedings)(399)
m §1529と「国連モデル法」29条・その1──後者の基本構造に焦点を当てて(404)
n §1529と「国連モデル法」29条・その2──「内国倒産手続の優位」(406)
o §1529と「国連モデル法」29条・その3──「国連モデル法」29条の以下の規定についての補足(408)
p §1529と「国連モデル法」29条・その4──『「埴輪」から「大魔神」への大変身』と『「国際協調オンリーの発想」とは無縁()の「国連モデル法」の真の姿』(409)
q §1529と「国連モデル法」29条・その5──『「硬直的なヒエラルキー」としてそこで「回避」されたもの』と『根源的な制度選択上の岐路』(411)
r §1530-§1532の規定──「国連モデル法」30-32条(417)
◆第6章 「平成12年法(承認援助法)」と日本の選択? 423
1 「国連モデル法」と日本の「平成12年法(承認援助法)」との関係? 423
「国連モデル法」と「平成12年法」との“基本的なズレ”をめぐって(423)
a はじめに──これからの論述への基本方針(423)
b 「内外並行倒産」の場合・その1──「国連モデル法」29条の基本(再論)(426)
c 「内外並行倒産」の場合・その2──「平成12年法」における「外国手続」の「主従」の定義と“信じ難い事態”(427)
d 「内外並行倒産」の場合・その3──「平成12年法」57-60条と「国連モデル法」28条以下との個別的整合性?(433)
e 「内外並行倒産」の場合・その4──「国連モデル法」29条の「内国倒産手続の優位」を、「平成12年法」が何処まで“採用”したと言えるのか?(436)
[A]「国内手続先行型」の場合と「規定相互の矛盾」(436)
[B]「承認決定(ないしその申立て)先行型」の場合──極端に拙い規定振り(439)
f 「内外並行倒産」の場合の「国連モデル法」と「平成12年法」とのズレ・その1──本章1eの「小括」と更なる展開(441)
g 「内外並行倒産」の場合の「国連モデル法」と「平成12年法」とのズレ・その2──“裸の裁量”と『「平成12年法」の “基本的な規律手法”の問題性』(447)
h 「平成12年法」における「援助の処分」と“裸の裁量”──『「国連モデル法」自体が設けた「セーフガード措置」との“捩れた関係”、そして「資産の国外持ち出し」に関する重大な制度上の抜け穴(449)
i 「内外並行倒産」の場合の「国連モデル法」と「平成12年法」とのズレ・その3──前記gの問題関心に立ち戻りつつ示される「強迫観念モデル」とは?(455)
j 「内外並行倒産」の場合の「国連モデル法」と「平成12年法」とのズレ・その4──これまでの論述の再整理と若干の展開(459)
k 「内外並行倒産」の場合の「国連モデル法」と「平成12年法」とのズレ・その5──「租税」をそこにインプットするとどうなるか?(465)
『「平成12年法」適用事例の“極端な乏しさ”』と『水面下に潜る裁判所の判断プロセス』──『「決定」・「命令」の「公告等」の仕方』に端を発する『「平成12年法」の“致命的な構造”?』(468)
a 論述の前提──「平成12年法」適用事例の“極端な乏しさ”(468)
b 「平成12年法」における「公告等」のなされ方と「裁判所の判断プロセス」の“不開示”(ないし“不存在”)(472)
2 「平成12年法」と「課税」 477
問題の所在──その事前の“開示”(477)
「平成12年法」の立法過程での「租税」の取扱い?──予想される「外国管財人側」のクレイムとの関係において(479)
「平成12年法」と「課税(滞納処分)」?──日本の倒産諸法の“条文構成”との関係(482)
a 「民事再生法」と「平成12年法」──「前者の“条文構成”の後者への混入()」という基本構図について(482)
b 『「平成12年法」と「課税(滞納処分)」との関係』を考える上での前提・その1──「民事再生法」と「課税」(484)
c 『「平成12年法」と「課税(滞納処分)」との関係』を考える上での前提・その2──(「改正会社更生法」&)「新破産法」と「課税」(485)
『「外国側」から見た「平成12年法」』と『「租税」に関する同法の“迷路”』──「滞納処分は安全(無傷)だ」と本当に言い切れるのか?(489)
a 「租税(課税)」に関する「「平成12年法」の“迷路”──「新破産法」等との対比において(489)
b 「平成12年法」25条の「中止」及び「取消し」と「課税処分」──「外国側」から見た「行政庁に係属しているものの手続き」とは?(493)
「小括」──「国税サイド」での反省点・今後の注意点を含めて(495)
◆終章──米国の思惑、EUの戦略、そして日本の無策 503
事項索引