要件事実論概説
―契約法
並木 茂 著
目 次
序
第一部 要件事実論の概要
T 要件事実論の前提となる法理 9
一 民事実体法と民事手続法 9
二 民事実体法の構造 11
三 行為規範の機能と構造 13
・ 行為規範の機能(13)
・ 行為規範の構造(14)
四 実質的意義の民法と形式的意義の民法(民法典) 16
・ 形式的意義の民法(民法典)の条項が規定している規範の内容(16)
・ 行為規範の規定(18)
五 私法上の権利または法律関係 19
・ 権利の体系として構成されている民法(19)
・ 私権の存在とその行使(20)
・ 法律行為の拘束力の根拠(22)
六 民事訴訟における審判の対象 29
・ 民事訴訟における審判の対象についての考え(29)
・ 訴えと請求の関係(32)
・ 訴えの類型の由来(34)
七 民事訴訟の基本的な構造 35
・ 民事訴訟の基本的な流れ(35)
・ 二当事者が対立する構造(35)
・ 弁論主義(35)
・ 民訴法の定める自由心証主義(41)
八 証明責任の意義 47
・ 証明の意義(47)
・ 二種類の証明責任(49)
1 行為責任としての証明責任(49)
2 結果責任としての証明責任(51)
U 要件事実論の構築 52
一 権利関係の変動と民事訴訟における審判の対象との関係 52
二 行為規範の定める法律要件と法律効果の民事訴訟の判決手続への適合 54
・ 権利関係の訴訟手続による保障の実現(54)
・ 行為規範の定める法律要件および法律効果の修正(55)
・ 主張責任の分配と証明責任の分配の所属法領域(61)
三 主張責任の分配と証明責任の分配の理論的体系化 66
・ わが民事実体法における主張責任の分配および証明責任の分配の法的根拠(66)
・ 民事実体法における主張責任の分配、証明責任の分配、行為責任としての主張責任および行為責任としての証明責任に関する法理論(73)
四 主張責任の分配および証明責任の分配により見出された要件事実および分配効果 78
・ 要件事実および分配効果の意義(78)
・ 権利発生事由および権利発生効果ならびに権利消滅事由および権利消滅効果(81)
・ 権利変更事由および権利変更効果を認めることの可否(83)
・ 権利行使事由および権利行使効果ならびに権利行使阻止事由および権利行使阻止効果(84)
・ 権利発生障害事由および権利発生障害効果ならびに権利消滅障害事由および権利消滅障害効果(87)
・ 権利根拠事由および権利根拠効果ならびに権利滅却事由および権利滅却効果(89)
・ 免責事由の理解(91)
・ 要件事実および分配効果を分類(91)
五 要件事実および分配効果の訴訟上の機能 92
第二部 民法財産法上の権利関係と要件事実
T 契約法上の要件事実概説 97
一 契約上の権利関係の発生と消滅の民事訴訟における判断基準 97
二 契約の成立と効力 100
三 契約の成立とその成立要件 101
・ 契約の成立とその成立要件との関係(101)
・ 契約の成立要件についての主張責任の分配と証明責任の分配(106)
1 隔地者間の申込みによる契約の成立要件(106)
2 隔地者間の契約の申込みに承諾期間の定めがある場合で承諾の意思表示がその期間内に到達しなかったとき(108)
・ 契約の成立を争う者が主張および証明を負担すべき要件事実(108)
・ 契約の成立を主張する者が主張および証明を負担すべき要件事実(108)
3 承諾適格消滅後の承諾が新たな申込みとみなされた場合(109)
4 申込みに変更を加えた承諾をした場合(110)
5 申込みを撤回した場合(113)
・ 申込者が申込みの拘束力を排除する意思表示をしている場合において、申込みを撤回したときの要件事実(113)
・ 承諾の意思表示の発信後に申込みの撤回の意思表示が到達したときの要件事実(114)
・ 承諾の意思表示の発信後に申込みの撤回の意思表示が到達した場合において、通常であれば承諾の意思表示の発信前に到達すべきときの要件事実(114)
・ 申込者が承諾の意思表示受領後における申込みの撤回の自由を保留した場合において、申込みを撤回したときの要件事実(116)
・ 主要な契約類型における契約の成立についての主張責任の分配ないし証明責任の分配(116)
1 契約類型の意義 (116)
2 贈与契約上の権利の変動(118)
・ 贈与契約の成立およびその成立要件(118)
・ 書面によらない贈与の撤回(122)
・ 履行の終了(125)
・ 負担付き贈与契約の成立およびその成立要件(126)
3 売買契約上の権利の変動(127)
・ 売買契約の成立およびその成立要件(127)
@ 売買契約の成立の要件事実(128) A 売買代金の支払期限の要件事実(133)
・ 売買一方の予約(134)
・ 手付け(138)
@ 民法五五七条一項による手付け契約の成立と売買契約の解除(138) A 履行の着手の要件事実(142)
・ 売主の権利の瑕疵に対する担保責任(142)
@ 他人の権利を売買した場合(143)
A 買主の契約解除(143) B 買主の損害賠償請求(147)
A 権利の一部が他人に属する場合(152)
A 買主の代金減額請求(152) B 善意の買主の契約解除(155) C 善意の買主の損害賠償請求(159)
B 数量の不足または物の一部滅失の場合(162)
数量の不足の場合(162) A 善意の買主の代金減額請求(162) B 善意の買主の契約解除(165) C 善意の買主の損害賠償請求(166)
物の一部滅失の場合(167) A 善意の買主の代金減額請求(167) B 善意の買主の契約解除(167) C 善意の買主の損害賠償請求(168)
・ 売主の物の瑕疵に対する担保責任(瑕疵担保責任)(168)
A 善意の買主の契約解除(171) B 善意の買主の損害賠償請求(175)
・ 買戻しについて(176)
4 消費貸借契約上の権利の変動(178)
・ 消費貸借契約の成立(178)
・ 利 息(184)
・ 準消費貸借契約の成立について(186)
5 使用貸借契約上の権利の変動(190)
6 賃貸借契約上の権利の変動(195)
・ 賃貸人の賃借人に対する賃料請求(196)
・ 賃借権の譲渡・転貸(200)
@ 賃借権の譲渡・転貸不自由の原則と賃貸人の承諾(200) A 適法な転貸借における賃貸人の転借人に対する賃料請求(202) B 賃貸人の承諾のない賃借権の譲渡・転貸(207)
・ 賃貸人の賃貸物の返還請求(220)
@ 賃貸人の賃借人に対する賃貸物返還請求権の発生(220) A 賃料の延滞による賃貸借契約の解除(222) B 賃借人の賃料の延滞により(原)賃貸借契約を解除した場合における適法な転借人に対する賃貸人の目的物返還請求(228) C 土地を駐車目的で期間を定めて賃貸し、期間満了後の使用収益を継続している場合における賃貸地の返還請求(230) D 借地契約の期間の満了による賃貸地の返還請求(234) E 借地権の存続期間が満了し借地契約が更新されない場合における借地権者の借地権設定者に対する建物買取請求(238)
・ 敷金の返還(240)
7 請負契約上の権利の変動(243)
・ 建物建築請負契約における完成した建物の所有権の帰属(243)
・ 請負人の注文者に対する報酬請求(246)
・ 請負人の担保責任(251)
@ 注文者の修補請求(251) A 注文者の損害賠償請求(257) B 注文者の請負契約の解除(260)
8 委任契約上の権利の変動(261)
・ 委任契約および準委任契約の意義(261)
・ 準委任契約の要件事実(263)
9 寄託契約上の権利の変動(267)
四 契約の無効についての主張責任の分配ないし証明責任の分配 268
・ 無効事由の要件事実性(268)
・ 契約の一般的無効の事由(271)
1 契約の当事者に意思能力がないこと(271)
2 契約の内容が確定できないこと(271)
3 契約の内容が可能なものでない(不能である)こと(273)
4 契約の内容が強行規定(法規)に反していること(274)
5 契約の内容が公序良俗に反していること(276)
6 契約を構成する意思表示の意思と表示の不一致(278)
・ 真意と表示が一致しない意思表示の効力を考える規準(278)
・ 心裡留保(279)
・ 虚偽表示(280)
@ 通謀虚偽表示(280) A 無権利者の虚偽の登記を信頼して不動産を買い受けた者の保護(285)
・ 錯 誤(288)
五 契約の取消しについての主張責任の分配ないし証明責任の分配 291
・ 契約の取消しの意義(291)
・ 制限行為能力者の契約の取消しとその相手方の保護(294)
1 制限行為能力者の契約の取消し(294)
・ 未成年者のした契約の取消し(295)
・ 成年被後見人のした契約の取消し(297)
2 制限行為能力者の不当利得返還義務の範囲(299)
3 制限行為能力者の相手方の保護(301)
・ 制限行為能力者の相手方の催告の要件事実(301)
・ 制限行為能力者の詐術の要件事実(304)
・ 詐欺または強迫による契約の取消し(305)
1 詐欺または強迫による意思表示(305)
2 詐欺による契約の取消し(305)
・ 詐欺による契約の相対的な取消し(305)
・ 詐欺による契約取消権発生の法律要件および要件事実(306)
・ 第三者の詐欺の要件事実(308)
・ 詐欺の第三者に対する効果(309)
3 強迫による契約の取消し(310)
・ 制限行為能力者のまたは詐欺もしくは強迫による契約取消権の消滅(311)
1 追認権者の追認および法定追認(311)
・ 追認権者の追認の要件事実(311)
・ 法定追認の要件事実(313)
2 期間の経過による取消権の消滅(315)
・ 五年の期間の経過による取消権消滅の要件事実(315)
・ 二〇年の期間の経過による取消権消滅の要件事実(316)
六 条件・期限について主張責任の分配ないし証明責任の分配 317
・ 条件について主張責任の分配ないし証明責任の分配(317)
1 停止条件付き契約の成立と停止条件の成就(318)
2 解除条件付き契約の成立と解除条件の成就(341)
・ 期限について主張責任の分配ないし証明責任の分配(346)
1 停止期限付き契約の成立および停止期限の到来ならびに終期付き契約の成立および終期の到来(349)
2 履行期付き契約(350)
・ 履行期付き契約の成立、その履行期の到来およびその契約上の請求権の行使の要件事実(350)
・ 履行期の延長(期限の猶予)の合意の要件事実(356)
・ 期限の利益およびその放棄または喪失の要件事実(356)
@ 期限の利益(356) A 期限の利益の放棄(358) B 期限の利益の喪失(360)
七 代理についての主張責任の分配ないし証明責任の分配 361
・ 代理の要件事実性の有無(361)
・ 代理人と相手方との間の契約の成立についての主張責任の分配(363)
・ 代理人と相手方との間の契約の成立(363)
・ 代理人と相手方との間の契約の成立要件(365)
・ 本人の追認権についての主張責任の分配―追認拒絶権(368)
・ 相手方の取消権と催告権についての主張責任の分配(370)
・ 相手方の取消権(370)
・ 相手方の催告権(371)
・ 無権代理人の責任についての主張責任の分配(373)
・ 無権代理人が代理行為をした場合の効果(373)
・ 無権代理人の相手方に対する責任(374)
・ 表見代理についての主張責任の分配(379)
1 代理権授与の表示による表見代理(379)
2 代理権の踰越による表見代理(越権代理)(385)
3 本人から授与を表示された代理権を踰越した表見代理(389)
八 第三者のためにする契約についての主張責任の分配ないし証明責任の分配 391
九 双務契約上の効果についての主張責任の分配ないし証明責任の分配 394
・ 同時履行の抗弁権(394)
・ 危険負担(398)
・ 特定物に関する物権の設定または移転を双務契約の目的とした場合(399)
・ 特定物に関する物権の設定または移転を停止条件付き双務契約の目的とした場合(401)
・ ・および・を除く場合(404)
・ 契約の解除(407)
・ 解除権の発生(408)
@ 約定解除権と法定解除権(408) A 履行遅滞による解除権の発生(409) B 履行不能による解除権の発生(413) C 不完全履行による解除権の発生(415)
・ 解除権の行使と効果(415)
・ 解除権の消滅(418)
@ 解除権の消滅の不可分性(418) A 催告による解除権の消滅(419) B 解除権者の行為等による解除権の消滅(420)
あとがき(423)
事項索引(巻末)