
テーマ1 法の支配と法的思考…高橋文彦
テーマ2 人格概念の法思想史的淵源とその変容…桜井徹
テーマ3 法と道徳…横濱竜也
テーマ4 国際法秩序の再編…郭 舜
テーマ5 正義は国境を越えうるか…井上達夫
テーマ6 市場社会と法…山田八千子
テーマ7 社会保障法制度の再構築…浅野有紀
テーマ8 景観紛争における公共性…鳥澤円
テーマ9 租税の正義…藤岡大助
テーマ10 移民政策を規律する理念は存在するか…石山文彦
テーマ11 家族の法からホームの権利へ…池田弘乃
テーマ12 教育をめぐる自由と平等…那須耕介
テーマ13 犯罪と刑罰…関良徳
テーマ14 生命倫理と法…奥田純一郎
【 目次 詳細 】
――なぜ法哲学を学ぶのか
★第T部★ 法思考と秩序の原理
テーマ1 法の支配と法的思考……………………………………………………高橋文彦……
――「法の論理」は裁判官の法的思考をどこまで拘束しうるか
はじめに
1 問題の所在:「法の支配」と「法的思考」
2 リアリズム法学による説明可能性
(1) フランクの説明図式
(2) 長良川水害訴訟におけるS×P=D
3 リアリズム法学の問題点
(1) 心理的発見の文脈と論理的正当化の文脈
(2) 外的視点と内的視点
4 法的三段論法における小前提の再検討
(1) 事実Fの不確定性
(2) 安八訴訟および墨俣訴訟における事実認定
(3) 「正しい準則の支配」としての「法の支配」
(4) 証明責任における分配的正義
5 法的三段論法における大前提の再検討
(1) 法的ルールRの不確定性
(2) 法的思考の非単調性と対話性
結 語
テーマ2 人格概念の法思想史的淵源とその変容…………………………………桜井徹……
はじめに
(1) 八幡製鉄政治献金事件
(2) 人間と人格
1 法人本質論
(1) 法人擬制説
(2) 法人否認説
(3) 法人実在説
(4) 法人本質論の意味
2 人格とは誰のことか?
――ホッブズの2つの人格概念
(1) 人格・本人・代理人
(2) 人為的人格としての国家
3 人格はどこにいるのか?
――ケルゼンにおける人格と規範
(1) 二元論の解体と人格
(2) アニミズム的思考と人格
4 何が人格を担うのか?
――ロックの人格論
(1) ロックにおける「人格の同一性」
(2) ロックの人格論の歴史的意義
5 規約主義から「契約の連鎖」へ
(1) 民法学説における規約主義的法人論
(2) 「契約の連鎖」としての団体
結 語
テーマ3 法と道徳…………………………………………………………………横濱竜也……
――遵法責務問題を手掛かりにして
はじめに
――壁の射手訴訟と遵法責務問題
1 遵法責務否定論
(1) いかなる悪法も法であるが遵法責務は存在しない
――クレイマーの法実証主義
(2) 法は道徳的に正しいからこそ服従されるべきである
――ハードの自然法論
(3) 遵法責務とは何か
――ソクラテスは何故悪法に服従したのか
2 悪法に対する責任としての遵法責務
(1) 「原理の共同体」の理想を追求する遵法責務
――ドゥオーキンの純一性論
(2) 悪法に対する責任としての遵法責務の正当化根拠
結 語
――遵法責務問題とは何であるのか
テーマ4 国際法秩序の再編…………………………………………………………郭 舜……
――地球環境問題と人権を中心として
はじめに
1 環境と人権:二つの価値
(1) 二つの価値
(2) 実定法上の位置付け
(3) 複雑な関係性
2 環境問題はどこまで人権問題か
(1) 不明確さ
(2) 人間中心主義
(3) 世代間倫理
3 環境・人権・地球的統治
結 語
テーマ5 正義は国境を越えうるか………………………………………………井上達夫……
――世界正義の法哲学的基礎
はじめに
――グローバル化の危険性と世界正義
(1) 世界経済危機と世界正義
(2) 世界法の理論から世界正義の理論へ
1 世界正義の欺瞞的操作(1)
――世界匡正正義と世界分配正義の〈間〉の二重基準
(1) 世界匡正正義と世界分配正義
(2) 侵略の浪費と救済の吝嗇
2 世界正義の欺瞞的操作(2)
――世界分配正義と世界匡正正義の〈内部〉の二重基準
(1) 世界分配正義の使い分け
(2) 世界匡正正義の使い分け
3 「正義の欺瞞」を正す正義
(1) 世界正義の欺瞞的操作が生む懐疑
(2) 正義の争いを規律する正義
4 ロールズの分配的正義グローバル化否定論
(1) 政治的リベラリズムと「諸人民の法」
(2) 世界分配正義と第八原則との距離
5 「諸人民の法」の理論的破綻と思想的頽落
(1) 実質的正当化論拠の脆弱性
(2) 不正黙認を交換する取引
結 語
――世界分配正義の指針
★第U部★ 市場・規制・分配的正義
テーマ6 市場社会と法…………………………………………………………山田八千子……
――法は市場の公正な競争のために必要か
はじめに
1 市場秩序の特徴
(1) 市場秩序は設計できるか
(2) 市場に固有の倫理はあるのか
2 市場経済と国家
(1) 国家は市場経済に必要か
(2) 国家はデフォルト・ルールに関心を有するべきか
(3) 市場社会の当事者たちは誰か
3 市場社会と司法
(1) 司法による市場の紛争解決の意義は何か
(2) 単一型秩序は市場社会にふさわしいか
結 語
テーマ7 社会保障法制度の再構築………………………………………………浅野有紀……
――不法行為法との比較の観点から
はじめに
1 二つのケースから考察される社会保障法制度と不法行為法の関係
――三つの視点
(1) ケース7‐A@の争点から
――不法行為法と社会保障法制度の理念的相違
(2) ケース7‐A Aの争点から
――生命・身体侵害における不法行為法と社会保障の接近の可能性
(3) ケース7‐Bの争点から
――不法行為法と社会保障法制度の同一性
(4) 三つの視点と以下の論述の流れ
2 匡正的正義と分配的正義
(1) 不法行為法と社会保障法制度の区別の必要性
(2) 不法行為法と社会保障法制度の区別に対する批判
3 総合的社会保障法制度
(1) 過失責任と無過失責任の混在
(2) 不法行為法と社会保障法制度の統一化
(3) 統一化に対する批判
4 財産権と人格権
(1) 財産権から人格権へ
(2) 人格権の観点からのこれまでの議論の評価
(3) 人格権からの制度再構築
5 ロールズの正義論と社会保障法の再構築
結 語
テーマ8 景観紛争における公共性…………………………………………………鳥澤円……
――法と経済学の射程
はじめに
1 景観の公共性
(1) 不動産の公共性と財産権
(2) 公共財の理論
(3) 都市景観の特性
(4) 景観を保全・創出する方法
2 景観は誰のものか
(1) 空間への権原を分配するルールの類型
(2) 原告の請求を認容すべきという主張とその論拠
(3) 原告の請求を認容すべきでないという主張とその論拠
(4) 景観の公有化
結 語
テーマ9 租税の正義………………………………………………………………藤岡大助……
――金融所得分離課税の法哲学的検討
はじめに
1 租税法学
(1) 租税法の基本原則
(2) 金融所得分離課税の理論的位置づけ
(3) 金融所得軽課の実際的論拠
(4) 金融所得軽課論の規範的論拠
2 法哲学
(1) 租税法に対する法哲学のスタンス
(2) 資源の平等理論
(3) 「資源の平等」と資本性所得軽課論
3 現行日本法に対する規範的含意
結 語
★第V部★ 人権論の新地平
テーマ10 移民政策を規律する理念は存在するか……………………………石山文彦……
――国益,文化の継承そしてグローバルな正義
はじめに
(1) 移民規制と正義
(2) 経済格差とグローバルな正義
(3) 本章の概要
1 予備的考察
――利害関係の諸相
2 国益追求論/文化的ナショナリズムとその難点
(1) 国益追求論と移民規制
(2) 文化的ナショナリズムと移民規制
(3) 居住者追放の問題
(4) 自国民の追放
3 割当責任論とその含意
(1) 普遍主義的前提
(2) 割当責任論
(3) 国益追求/ナショナルな文化の維持継承への制約
(4) 割当責任論と移民規制
結 語
テーマ11 家族の法からホームの権利へ………………………………………池田弘乃……
――ジェンダー・親密圏・ケア
はじめに
1 家族とジェンダー
(1) 「家族」とは何か
(2) ジェンダーとセックス
(3) 性別役割分業
2 家から家族へ
(1) 近代家族
――家長個人主義
(2) 家族における法と感情
(3) 性的家族か養育家族か
3 ホームの価値
(1) 家族からホームへ
(2) ホームへの権利
(3) 新たな親密性へ
結 語
テーマ12 教育をめぐる自由と平等……………………………………………那須耕介……
――日本戦後教育史からの問い
はじめに
――旭川学テ訴訟と教育バウチャー検討委員会
(1) ケース12-A:旭川学テ訴訟とその後
(2) ケース12-B:教育バウチャー検討委員会における議論
(3) 本章の視点
1 ふたつの論争が残したもの
(1) 国民教育権論の達成・限界・遺産
(2) 教育バウチャー制度論争の争点と盲点
2 公教育をめぐるいくつかの難問
(1) 「教育」とはどういう活動なのか
(2) 教育における(機会の)平等とは何か
(3) 教育を受ける者の自由と選択,そして「不当な介入」
結 語
テーマ13 犯罪と刑罰………………………………………………………………関良徳……
――受刑者の処遇と犯罪被害者の権利
はじめに
1 問題の所在
(1) 受刑者の処遇
(2) 犯罪被害者の権利
2 規律訓練・監視・不服申立
(1) 規律訓練権力としての行刑権力
(2) 監視の不可能性
(3) 不服申立制度の充実,あるいは,受刑者の声を聴くということ
3 他者・参加・正義
(1) 犯罪被害者という「他者」
(2) 被害者参加制度の問題
(3) 他者の正義,あるいは,犯罪被害者が語るということ
結語 刑事司法の未来
――市民参加の果てに
テーマ14 生命倫理と法………………………………………………………奥田純一郎……
――臓器売買問題を中心として
はじめに
1 何が問題か?
2 移植「医療」の性格
3 そもそも,「医療」と「法」の関係は?
――移植をめぐる登場人物からの考察
結 語
判例索引(巻末)
人名索引(巻末)
事項索引(巻末)