現代民法学習法入門 加賀山 茂 著  
ISBN978-4-7972-24931

目  次

はしがき

★は難易度を示す(★が多いほど難しい)

第1部 民法の学習方法

第1章 学習対象としての民法の特色を知る★☆☆☆☆ 2
 
第1節 民法の魅力と重要性★☆☆☆☆ 2
1 民法の特色と面白さを知る(2)
A・ 自由・平等・博愛は,民法によって具体化される(3)  B・ 国境を越えて通用する民法の原理(4)
2 消費者契約法による民法任意規定の復権と民法を知ることの重要性(4)
3 民法を教えることのボヤキから希望へ(6)

 第2節 民法の中で重要な条文ベスト20は何か?★☆☆☆☆ 7
1 選定基準としての裁判における適用頻度(7)
2 民法適用頻度ベスト20を知ることの効用(9)
3 民法の構造と編別の適用頻度(10)
 第3節 刑法との対比による民法の特色★★☆☆☆ 14
1 被害者救済のため,類型化を脱して一般法を発展させた民法(14)
2 犯罪の処罰と人権擁護とを調和させるため,罪刑法定主義を通じて犯罪の類型化を維持する刑法(15)
3 民法の法律要件と刑法の構成要件との異同(16)
A・ 成立要件(16)  B・ 成立障害・減免要件(16)  C・ 消滅要件(17)
4 まとめ:法律要件と構成要件との差は法目的の違いから生じている(18)
第2章 学習目標を設定する★★☆☆☆ 20
 
第1節 目標となる法律家像を知る★☆☆☆☆ 20
1 民法をマスターするにはどうすればよいか―目標の設定と適切な方法の選択(20)
2 無味乾燥とも思える法律学を学ぶ前に,法律家の伝記を読んで理想の法曹イメージを思い描こう(21)
 第2節 法の女神テミスから法の精神を学ぶ★★☆☆☆ 23
1 法の女神テミスから法のイメージを作り出そう(24)
2 理想の裁判官像としてのテミス像(24)
3 高く掲げた「天秤」の意味(25)
4 下げた「剣」の意味(26)
5 不思議な「目隠し」の意味(26)
 第3節 k目標は高く―これまでの試験に出たことのない問題を解ける
ようになろう★★★☆☆ 28
1 やさしい問題と難しい問題との区別(28)
A・ やさしい問題(28)  B・ 難しい問題(29)
2 難しい問題をどのようにして解くか(民法学習の最終目標)(31)
第3章 法律家の思考方法(IRAC)を知る★★★☆☆ 33
 
第1節 k法律家の思考パターン(IRAC)を理解し,何かにつけて
l応用しよう★★★☆☆ 33
1 法律家の思考パターンとしてのIRACとは何か(33)
A・ IRACの静態的な理解(34)  B・ IRACの動態的な理解(34)
C・ IRACと法的分析能力・議論の能力との関係(35)
2 あらゆる面でのIRACの実践―試験合格への王道(36)
 第2節 法律家の思考方法と科学的な思考方法との関係★★★☆☆ 37
1 科学的なものの考え方(37)
2 法的なものの考え方(38)
3 大陸法的思考と英米法的思考とを併用し,融合させる(39)
4 法曹教育のあり方(40)
 第3節 基本と応用,理論と実務との架橋★★★☆☆ 41
1 基本と応用との違いを理解した上で,応用に接しながら基本をマスターしよう(41)
2 実務家の思考方法と学者の思考方法との違い(42)
A・ 法律実務家の思考方法(43)  B・ 学者の思考方法(43)
3 理論と実務との架橋に向けて(44)
A・ 実践に至る教育とはどのようなものか―ネコはどのようにしてネズミを捕ることができるようになるのか(44)  B・ 学者は理論を通じて実務との架橋を図る教育をなしうるか(46)
第4章 民法の構造を知る★★★★☆ 48
 
第1節 個別規定の中に埋もれている一般条項を発見する(実習1)★★☆☆☆ 48
1 民法770条に規定された離婚原因の分析(48)
2 民法770条1項1号から4号までの具体的な離婚原因の問題点(50)
3 民法770条の具体的な離婚原因に関する改正案の提示(52)
 第2節 バラバラに規定されている条文の中から共通する一般要件を
l発見する(実習2)★★★☆☆ 53
1 バラバラに規定されている契約解除の要件(53)
2 発見された契約解除の一般要件と従来の考え方との対比(58)
3 解除の一般要件としての「契約目的の不達成」の発展可能性(61)
A・ 継続的契約関係の解除の要件としての「信頼関係の破壊」との関係(61)
B・ 裁判上の離婚の要件としての「婚姻を継続し難い重大な事由」または「婚姻関係の破綻」との関係(63)
 第3節 条文の隙間を埋める原理としての条文には明示されていない
「権利外観法理」を発見する(実習3)★★★★☆ 64
1 前提となる基本概念(65)
A・ 善意と悪意,無過失と有過失(65)  B・ 権利外観法理の定義(66)
C・ 権利外観法理が問題となる意思表示の類型(67)
2 民法93条の条文の裏に隠れた権利外観法理の要件としての「善意かつ無過失」(68)
3 民法94条の条文から消された「無過失」要件を復活させる判例の動き(73)
A・ 民法94条1項の意味(73)  B・ 民法94条2項の意味(74)
4 民法95条ただし書の「重過失」という要件に隠された民法93条への橋渡し(76)
5 表見代理に関する民法109条,110条,112条の条文の隙間を埋める「権利外観法理」の発見(78)
6 民法総則,債権総則に共通に見られる権利外観法理の発見(82)
A・ 無効を第三者に対抗できるか否かに関する統一的な判断基準(82)
B・ 権利外観法理に基づく判断基準の設定(84)  C・ 善意と善意・無過失という判断基準の混在の理由と今後の展望(86)
第5章 民法を学習する際のノウハウ★★☆☆☆ 90
 第1節 k自分の頭の働きを知り,記憶のメカニズムに沿った学習法
lを身につける★★☆☆☆ 90
1 人間の記憶のメカニズムとそれに適合した学習方法(91)
A・ 専門的な知識を確実に身につけるためには,何をすればよいのか(91)
B・ 専門的な知識を脳に蓄積することを妨げる原因の解明(91)
C・ 専門的な知識を脳に蓄積することを妨げる原因の克服(93)
D・ 長期記憶の創造(94)
2 個別問題を解くための学習方法(95)
A・ 講義を聴くための予備知識としての条文の理解(95)  B・ 応用問題を解けるようになるための知識の精緻化と長期記憶の再編成(95)  C・ 条文の隙間を埋めるための信義則等の法理の活用(96)
3 法教育の教育目標としての紛争解決能力と試験問題を解くこととの共通性の理解(97)
4 分類に役立つ性質決定の意味(98)
 第2節 比較によって理解を深める。そのために,比較表を活用す
     る★★★☆☆ 98
1 比較表の利用に関する一般的な考え方(98)
A・ 形式的な比較表(99)  B・ 有用な比較表を作成するための3つの戦略(99)  C・ 共通点を抽出するための戦略の選択と有用な論理計算(100)  D・ 意味のある比較表の作成(101)
2 比較表を使って知識を整理し,かつ,発展させる(101)
A・ 項目に対応する空白命題の補充(101)  B・ 項目の追加による比較表の発展と新たな命題の創造(102)  C・ 比較表によって創造された命題の表現(103)
 第3節 民法解釈の方法の類型を理解し,うまく利用する★★☆☆☆ 105
1 解釈方法の類型(105)
A・ 文理解釈(106)  B・ 拡大解釈(拡張解釈)(106)  C・ 縮小解釈(106)  D・ 反対解釈(107)  E・ 類推解釈(107)  F・ 例文解釈(108)
2 類推解釈と一般原則との関係(110)
 第4節 わからないことはチェックして次に進むとともに,機会を
見つけてどんどん質問する★★☆☆☆ 112
1 六法,辞書,教科書等の道具を揃えておこう(112)
2 わからなくなった場合に最初にすべきこと(114)
3 質問をしよう,できれば良い質問を(116)
A・ 質問の意味(116)  B・ 良い質問とは何か(116)  C・ 自分で考えるということの意味(118)
 第5節 グループ学習の薦め★☆☆☆☆ 120


第2部 民法の学習に関連する問題についての批判的考察

第1章 民法現代語化の効用と問題点――民法典現代語化研究会
     案からの逸脱を中心に――★★★★☆ 128

 第1節 民法現代語化の肯定的評価と問題点の指摘 128
 第2節 民法現代語化に名を借りた逸脱行為に対する批判 131
1 現代語化に便乗した不毛・有害な条番号の変更(131)
A・ 条番号の変更の理由(132)  B・ 条番号の変更による混乱の発生(134)  C・ 条番号の変更による目的の達成度と変更による混乱との利益衡量(135)  D・ 枝番号と欠番とは歴史の尊重であり,「永久欠番」もあってよい(141)
2 用語の言い換え・統一に名を借りた不適切・中途半端な内容変更(142)
A・ 囲繞地を「包囲地」とせず,「その土地を囲んでいる土地」としたのはなぜか(143)  B・ 目的と目的物との混同は解消されたか(144)  C・ 「取消し」と「撤回」との混同は解消されたか(146)  D・ 「取消し」と「撤回」との区別基準の欠陥が原因で生じた立法の過誤(153)  E・ 「取消し」と「撤回」の再定義に基づく再改正の必要性(155)
3 内容変更における善意・無過失の立証責任に関する不整合(157)
A・ 表見代理における善意・無過失の立証責任(157)  B・ 表見弁済受領者(債権の準占有者および受取証書持参人)に対する弁済における善意・無過失の立証責任(161)
 第3節 民法現代語化から内容改正への展望 164
1 現代語化を逸脱した変更のやり直しの必要性(164)
2 内容改正のための議論の場(電子掲示板)の構築(165)
3 立法における「透明・公正」の原則の確保(166)
第2章 判例の読み方――判例は変更されず,ただ追加あるのみ――★★★★★ 169
 
はじめに 169
 第1節 判例の読み方について 171
1 判決を読むときに留意すべき点(171)
2 判決を読むときの具体的な方法の提案(174)
 第2節 k具体例としての最高裁判決(最三判平12・6・27民集54巻
l5号1737頁) 175
1 具体的な判例の選択の意図(175)
2 最高裁判決の背景にある判例・通説の対立状況(176)
3 参照条文(178)
4 判例用語の解説(180)
A・ 主 文(180)  B・ 理 由(181)
 第3節 バックホー盗難事件に関する判例の紹介 181
1 最高裁判決(最三判平12・6・27民集54巻5号1737頁)(182)
2 第一審判決(要旨)(186)
3 第二審判決(要旨)(187)
 第4節 条文と判例の法理を考慮した事実関係の読み方 187
1 事実関係(187)
A・ 事実の整理(187)  B・ 登場人物の整理(189)  C・ 目的物の解説(189)
2 争 点(189)
A・ 第1の争点―占有者の使用収益権(190)  B・ 第2の争点―盗品を返還後の代価弁償請求の適否(195)  C・ 第3の争点―隠された争点としての盗品の所有権の帰属(199)
 第5節 関連判例との比較による本判例の位置づけ 201
1 参考判例(大判昭4・12・11民集8巻923頁)(202)
A・ 判決要旨(202)  B・ 判 決(202)  C・ 事実の概要(205)
2 新旧2つの判決の比較検討(206)
3 判例の法理の抽出と判決要旨のまとめ方(207)
4 筆者の判決メモ(207)
 第6節 判例の読み方から立法論へ 210
1 民法192条以下の条文構造とその問題点(210)
2 民法192条,193条,194条という条文の順序は合理的か(212)
3 民法192条以下の条文の意味を変更する提案(214)
4 最高裁平成12年判決を踏まえた民法194条の改正案(215)
おわりに 216
第3章 要件事実論・要件事実教育批判――法創造教育の観点
から――★★★★★ 219
 はじめに―要件事実論の目標と「不親切」― 219

 第1節 要件事実論の目標:民法の「立体化」とは何か? 220
 第2節 改革審・意見書の考え方 222
1 法科大学院の目的(222)
2 法科大学院の教育理念(222)
3 法科大学院の教育内容および教育方法(223)
4 本稿の目的(223)
 第3節 民事訴訟法上の請求,否認,抗弁と実体法との関係 224
1 請求,否認,抗弁の関係(224)
2 否認と障害事実(抗弁)とは,ともに請求原因事実の否定であり,実体法上の差は存在しない(225)
A・ 障害事実は,請求原因事実の否定であって別個の事項ではない(要件事実教育の根本的な誤り・その1)(225)  B・ 障害事実になるかどうかは立証責任の分配の後に決まるに過ぎない(要件事実教育の根本的な誤り・その2)(226)
3 抗弁と再抗弁との差も同様であり,再抗弁は,実体法上は,請求原因の一部に過ぎないのではないか(227)
 第4節 再抗弁という概念はどこから来たのか 227
1 再抗弁とは何か(227)
2 貸金返還請求訴訟における原告の時効中断の主張は再抗弁か?(229)
3 時効中断の主張が再抗弁であるという誤りの生じた原因(要件事実教育の根本的な誤り・その3)(230)
4 再抗弁,再々抗弁という概念の破綻(要件事実教育の根本的な誤り・その4)(234)
 第5節 権利障害規定は,訴訟上の概念か?実体法上の概念か? 235
1 権利障害規定とは何か(235)
2 権利概観法理における「善意かつ無過失」の要件の立証責任の分配と立法者の混乱(237)
 第6節 要件事実教育の弊害 241
1 要件事実教育とは何か(241)
2 民法93条を例にとった要件事実教育批判(242)
A・ 民法93条の実体法上の考え方(242)  B・ 民法93条の規範説による理解(242)  C・ 善意かつ無過失の立証責任は,事前には決定できないし,決めるべきではない(243)  D・ 要件事実教育の原点・兼子説(誤謬の根源)(244)
3 錯誤の議論に関する要件事実教育者からの執拗な攻撃に対する反論(247)
A・ 要件事実教育者からの実体法学者への攻撃(247)  B・ 実体法の観点からの反論(247)  C・ 民法95条の実体法上の論理の発展(248)
 第7節 結 論 249
 おわりに 251
1 パロディ(251)
2 今後の課題(252)