市民と憲法訴訟 遠藤 比呂通 著

ISBN:978-4-7972-2484-9


 目  次

 はじめに――市民と憲法訴訟(i)
 
 第1部 憲法訴訟と事実の認定 

 第1章 立法事実
      ――刑事訴訟においていかに憲法判断を行うか 3
1 憲法訴訟はいかにして誕生したか(3)
2 憲法訴訟において裁判官は何をすべきか(7)
3 時國立法事実論の精華(猿払事件旭川地裁判決,判例時報514号〔1968年〕20頁)(16)
 第2章 要件事実
      ――行政訴訟においていかに憲法判断を行うか 25
1 2006年1月の2つの裁判(25)
2 行政裁判官の思考形式(26)
3 強制排除において考慮さるべき憲法事実(29)
 第3章 司法事実
      ――死刑についてのサーグッド・マーシャルの最終意見 37
1 被害者の権利と被告人の権利(37)
2 ペイン対テネシー州事件判決(40)
3 マーシャル裁判官の反対意見(42)
4 被告人を個人として判断すること(45)
 第4章 歴  史
      ――歴史認識を欠いた箕面忠魂碑訴訟最高裁判決 49
1 司法審査論の諸相(49)
2 憲法解釈における「歴史」(52)
3 政教分離思想の「歴史」(59)
4 政教分離制度の「歴史」(64)
5 戦後史の中の最高裁(69)
6 むすび(73)
付論:政教分離の原則とは(75)


 第2部 周縁化された市民の憲法訴訟 

 第5章 沖縄反戦地主
      ――内閣総理大臣を原告とする職務執行命令訴訟最高裁判決 81
1 はじめに(81)
2 砂川から読谷へ(85)
3 護憲から積極的平和論へ――戦後憲法学の軌跡(95)
4 個人から市民へ(99)
5 祖国のために死ぬこと(105)
 第6章 ホームレス状態にある人々
      ――今宮中学南側歩道強制排除大阪高裁判決 107
1 人権・その神話性――権利を持つ権利の喪失(107)
2 「釜やん」の物語――釜ヶ崎いこいの家法律相談の事例から(109)
3 法主体としてのホームレス――非対称の依存を見据えて(112)
4 強制立退き1――何が起こったか(113)
5 強制立退き2――釜やんは,法主体として扱われたか(116)
6 強制立退き3――居住権からの評価(117)
7 法制度とその担い手――では,弁護士はどうなのか(119)
付論:ホームレス問題への一視角(122)
(1) 西宮事件(122)
(2) ホームへの帰還――物語から学ぶ(123)
(3) セルフメイドマン――ホームレスの裏側にあるもの(125)
(4) ひとりひとりと向き合うこと――強制排除への非難(129)
(5) 日雇い労働者からホームレスへ――構造的要因(133)
(6) ニューカマーへの我々の責任(136)
(7) 質問への答え(136)
 第7章 ハンセン病療養所に隔離された人々
      ――らい予防法熊本地裁違憲判決 139
1 「らいの父」光田の使命感(139)
2 「らい予防法」と専門家の責任(139)
3 「らい予防法」の廃止と熊本地裁判決(141)
4 患者・回復者が被った人権侵害(142)
5 「らい予防法」の制定過程(145)
6 ハンセン病経験者とともに(146)
 第8章 在日高齢者
      ――在日高齢者年金差別事件大阪高裁判決 149
1 本件事案の概要(149)
2 大阪高裁判決の憲法および国家賠償法解釈(151)
3 本件事案において裁判規範として用いられるべき基準(153)
4 原告らの国籍喪失の経緯の立法事実としての重要性(157)


  第3部 刑事訴訟における市民の権利の位相 

 第9章 刑事手続における沈黙の自由
      ――市民の政治的義務には自白の義務は含まれない 167
1 功利主義対切り札としての人権(167)
2 リベラリズム対コミュニタリアニズム(172)
3 市民の政治的義務(178)
 第10章 取調受忍義務論の意義と限界
      ――憲法38条を自由の規定として読む 185
1 自己負罪拒否特権(185)
2 被疑者に対する自白追及(190)
3 取調受忍義務の存否(197)
4 任意性の概念(201)
5 沈黙の自由(204)
 第11章 死刑と適正手続
      ――人は死刑を受け入れる義務を持つか 209
1 はじめに(209)
2 学説の流れ(210)
3 本章の問題関心(212)
4 自然状態における政治的義務(213)
5 市民社会におけるデュー・プロセス(217)
6 人は死刑を受け入れる義務を持つか――むすびにかえて(219)
 第12章 市民参加と刑事陪審
      ――陪審選定手続におけるカラー・ライン 223
1 事実の概要(223)
2 判 旨(224)
3 研 究(228)

 むすび――憲法訴訟の当事者としての市民 233


 あとがきにかえて――同業者諸氏へ 245


[資料]大阪地方裁判所第2民事部平成18年1月25日決定(靭公園テント家屋除却命令執行停止却下決定)(241)

 参考文献(266)