団体・組織と法 ―日独シンポジウム― 松本 博之 ・西谷 敏 ・守矢 健一編
目 次
はしがき
基調講演
多元主義国家の理論と実際…トーマス・ヴュルテンベルガー〔西谷 敏訳〕…3
T 理論的な出発点(3)
1 多元主義国家の構造的メルクマール(5)
1 開放性(5)
2 闘う多元主義(7)
2 多元主義的な公共の福祉の具体化(9)
U 歴 史(10)
1 縁故関係に基礎をおく政治秩序の終焉(11)
2 多元主義の基本権的保障(12)
3 多元主義国家に対する留保(12)
V ドイツ連邦共和国における国家組織と政治的現実の構造要素
としての多元主義(13)
1 民主主義理解の新たな方向性(14)
a 代表民主制から多元的民主主義へ(14)
b 多元主義的なコンセンサス民主主義か,試行錯誤の
民主主義か?(16)
2 法形成と法執行の過程における多元主義(16)
1 法制定の領域(17)
a 法制定と政治に対する諸団体の働きかけのモデル(17)
b 保障国家(Gewahrleistungsstaat)における諸団体の強化(20)
2 行政の領域(21)
a 多元主義的組織(21)
b 多元主義的関与への行政の開放(22)
3 裁判の領域(22)
W おわりに(23)
クラス・アクションと人権…ロルフ・シュテュルナー〔松本博之訳〕…27
T はじめに(27)
U アメリカ合衆国の法文化と人権訴訟(27)
1 近代へのアメリカ合衆国の人権訴訟の道のり(28)
2 現代的な展開の基本的特徴(29)
1 特徴的な事案グループ(29)
2 クラス・アクションの典型的問題領域の外での勝訴障害(30)
3 クラス・アクションの特別の困難(32)
3 アメリカ合衆国の総決算(33)
V 大陸ヨーロッパの基本的了解(34)
1 完全免責か(34)
2 狭い請求権基礎か(35)
3 人権訴訟についての普遍的なヨーロッパ裁判籍は存在しない(36)
4 集団的権利行使が創設される可能性は少ない(36)
5 反対モデルとしての法律上の基金処理(37)
W アメリカ流の思想所産の継受か,それとも固有の新たな解決か(38)
1 「競争社会」の道具による人権の実現か(38)
2 ずっと進んだモデルによる実効性(39)
ギールケのラーバント批判(1883)をめぐって…守矢健一…41
T ラーバントとギールケの論争の歴史的背景について(41)
U ラーバントの国法学についての復習(45)
V ギールケのラーバント批判はどこからはじまるのか?(47)
W 自然法の回帰またはラーバントのメランコリー(50)
X ギールケの相対主義とその限界(54)
Y ドイツ理論の歪められた像としての日本の国法学(57)
第T部 商法・経済法
法的に複数である経済的単一体
…ウベ・ブラウロック〔高橋英治訳〕…63
―経済監督法におけるドイツのコンツェルンの地位―
T 序 論(63)
U コンツェルンの法的把握(64)
V カルテル法を焦点としたコンツェルン(65)
1 競争制限禁止法の対象(65)
2 コンツェルンは競争制限禁止法の意味での企業であるか(65)
1 株式法における規制の意義(65)
2 競争制限禁止法36条2項の言明力(66)
3 法的独立性の必要性(68)
3 行為方式(68)
1 第三者たる企業に対する行為(68)
2 コンツェルン形成と既存のコンツェルンの内部における取り決め(69)
a 垂直コンツェルン,株式法18条1項(70)
b 水平コンツェルン(71)
4 まとめ(73)
W 銀行監督におけるコンツェルン(74)
1 銀行監督の目的(74)
2 KWG1条にいうコンツェルン?(75)
3 コンツェルン構造が予見可能な規範(76)
1 KWG2条1項7号,4項5号による「コンツェルン特権」(77)
2 KWG10a条による連結義務(77)
3 KWG13,13a,19条による大口債権の上限および信用享受者
の地位(78)
a 信用享受者の地位(78)
b 信用供与者の地位(79)
4 KWG33条1項3号および2b条による重要な持分権者による
コントロール(79)
5 企業結合における結びつき,KWG33条3項1号,2b条1項
a1号(80)
X 結 語(81)
日本におけるコーポレート・ガバナンス…高橋英治…83
―ドイツにおける将来の改革の先取りか?―
T はじめに(83)
U 日本における一元型の機関導入(84)
1 戦前におけるコーポレート・ガバナンス(84)
2 戦後日本企業のコーポレート・ガバナンス(86)
3 委員会設置会社の導入(87)
4 ドイツ法と一元型コーポレート・ガバナンス(89)
V 日本における株主代表訴訟の導入(91)
1 株主代表訴訟制度の導入(91)
2 第一期・代表訴訟の萌芽(1950年−1993年)(92)
3 第二期・代表訴訟の爆発的増加と濫用防止(1993年−1999年)(94)
4 第三期・立法による改革(2000年― )(97)
5 ドイツ法と株主代表訴訟(100)
W 日本とドイツは相互に何を学ぶことができるか(103)
ドイツにおける株式法の改正:基本方針および基本的傾向
…ハンノ メルクト〔小柿徳武/守矢健一訳〕…105
T 導入:株式法が恒常的に改正されるというイメージ(105)
U 現代化と規制高度化の間の株式法改革(109)
V 利益多元的特質から利益単一性的特質への株式法の転換:しのび
よるアメリカ化(112)
W 会社法と資本市場法の間の株主保護(122)
X 取消訴訟におけるアクセントの,共同経営権的な把握から財産
権的把握への移動(128)
Y 結 語(129)
第U部 民事訴訟法
民事訴訟の集団化…ディーター・ライポルド〔高田昌宏/松本博之訳〕…133
―ドイツ法およびヨーロッパ法による団体訴訟の近時の展開について―
T 序(133)
U ヨーロッパの次元(135)
1 ヨーロッパ消費者保護法における集団的権利保護の凱旋行進(135)
2 不作為訴訟指令による国境を越えた有効性の確保(136)
3 団体訴訟のための国際裁判管轄(137)
V ドイツの国内法化と不作為訴訟法におけるさらなる展開(139)
1 法律の成立(139)
2 団体訴訟の客観的射程(140)
3 提訴権能のある組織(140)
4 手続法上の特殊性(141)
5 著作権法の領域における団体訴訟の新しい適用分野(143)
W 競争法における団体訴訟の更なる発展,とくに利益剥奪訴訟(144)
1 競争法上の団体不作為訴訟(144)
2 ドイツ法にとって全く新しいこと:利益剥奪訴訟(145)
X もっと集団的なもの:反差別団体と反差別機関(148)
1 差別禁止法草案とヨーロッパにおける背景(148)
2 反差別団体による権利保護の支援(150)
3 国家官庁による援助:連邦の反差別機関(151)
Y 全体的考察(151)
わが国における団体訴訟制度の導入について…<94-01>田昌宏…153
―消費者訴訟を中心にして―
T はじめに(153)
U わが国における集団的権利保護をめぐる理論の展開と立法(154)
1 従来の法状態と理論の展開(154)
2 立法論議の進展(159)
V ドイツにおける団体訴訟制度の現状(161)
1 ドイツ法における団体訴訟制度の展開(161)
2 団体訴訟制度の目的(162)
3 団体訴訟の法的性質(163)
4 手続的問題(164)
5 利益剥奪請求訴訟と団体訴訟(165)
W わが国の消費者団体訴訟立法の方向(166)
1 「国生審最終報告書」における消費者団体訴訟制度モデル(166)
1 消費者団体訴訟の必要性(167)
2 消費者団体訴訟の法的構成(167)
3 適格消費者団体の要件(168)
4 訴訟手続(168)
2 「日弁連意見書」における消費者団体訴訟制度モデル(169)
3 団体訴訟の導入に際しての問題点(170)
X わが国の消費者団体訴訟制度の導入とそのあり方(171)
1 消費者団体訴訟制度の必要性(171)
2 消費者団体の提訴権の構成(172)
3 消費者団体の適格要件(174)
4 消費者団体訴訟の訴訟手続(176)
5 消費者団体による損害賠償請求(178)
Y おわりに(180)
第V部 社会保障法
ドイツ労働・社会法秩序における団体の機能…ウルズラ・ケーブル〔西谷 敏訳〕…185
はじめに(185)
T 労働と社会保障の領域における団体多元主義(186)
1 団結Koalitionen(「ソーシャル・パートナー」)(186)
1 団結の発展について(186)
2 団結の概念について(188)
3 団結の危機(190)
2 労働法秩序におけるその他の経営者団体,職業的団体,自営業団体(193)
3 社会保障法秩序におけるその他の団体(194)
U 私的経済における団体権力(196)
1 労働協約自治を通じての団体による支配体制(Verbandsregime)(197)
1 広汎な協約規整領域(197)
2 労働協約の拘束力(199)
3 協約自治の個別自治への開放の狭さ(200)
2 事業所組織に対する団体の影響(202)
1 従業員代表委員会と労働組合の原則的分離(202)
2 事業所自治に対する協約自治の優位(203)
3 企業の共同決定に関する団体の影響(205)
V 社会保障領域の自治における団体権力(208)
1 社会保険法における規範設定(208)
1 機能的な自治の基本構造(208)
2 自治の裁量範囲(概観)(211)
3 疾病保険における法規範設定制度の例(217)
4 自治の民主主義的正統性の問題(222)
5 展 望(228)
2 社会扶助法における規範設定(230)
W 裁判および法執行への団体の参加(230)
1 労働裁判所および社会裁判所における非職業的裁判官としての
団体構成員(230)
2 訴訟代理人としての団体構成員(235)
3 労働裁判所と社会裁判所における団体の訴訟資格(236)
X 社会国家的任務の共同目的団体への委任(237)
おわりに(240)
社会保障制度における「団体」の位置づけについて…木下秀雄…241
―医療保障制度における「医師団体」の役割を例に,日独比較の視点から―
T はじめに(241)
U 日本の医療保障の概観(241)
1 医療保障制度構造(241)
2 日本の医療保障の現状(243)
V 日本における医療保障制度と「医師団体」の制度的位置づけ(245)
1 日本の保険医療供給体制(246)
2 診療基準ないし報酬基準の決定方式と「医師団体」(248)
3 診療報酬の支払方式と「医師団体」(249)
4 被保険者自己負担の徴収方式と「医師団体」(250)
5 医師団体の法的性格(251)
W 若干の検討(252)
1 福祉国家レジュームの比較の視点から(252)
2 日本における社会保障制度の展開の中での「団体」の役割への期待(253)
3 ドイツにおける今後の展開について(254)
X まとめにかえて(255)
第W部 刑 事 法
企業の犯罪に対する刑事責任…ヴァルター・ペロン〔高田昭正訳〕…261
―個人的責任か集合的責任か―
T 〈個人刑法〉と〈団体刑法〉の対立(261)
U 企業に関係した犯罪に対する〈個人刑法〉上の責任の基礎(263)
V 故意の犯罪(267)
1 責任の垂直的な分配(267)
2 責任の水平的な分配(271)
W 過失の犯罪(273)
X 結びに代えて(275)
Y 補遺―独立の〈団体刑法〉の問題点について(276)
日本における法人の刑法上の責任…浅田和茂…279
T はじめに(279)
U 法人の犯罪能力(279)
1 判 例(279)
2 学 説(280)
V 両罰規定(282)
1 立 法(282)
2 判 例(282)
3 学 説(283)
W 監督責任・行為責任(284)
1 法人の監督責任(284)
2 法人の行為責任(285)
X 罰金額連動の切り離し(286)
1 立 法(286)
2 学 説(287)
3 私 見(288)
Y おわりに(289)
第X部 公法・政治学
国家の秩序枠組みのなかでの社会の自己統御…フリードリヒ・ショッホ〔中原茂樹訳〕…293
T 導入:ドイツ行政法における変革状況(293)
1 前提:国家(規制)法の制御の喪失(293)
2 結果:国家セクターと社会セクターとの間の構造変化(294)
U 社会の自己統御の拡大の原因および展開(295)
1 一般的な展開(295)
2 保証行政法の発生(296)
<11-40>1 任務遂行における国家の後退(296)
<11-40>2 国家活動の変化の原因(297)
3 新しい秩序モデルの要素としての,国家の統御と社会の自己統御(298)
V 社会の自己統御の諸分野(299)
1 経済公法(299)
2 環境法(301)
3 情報法(304)
W 行政法ドグマーティクに対する要請(306)
1 法秩序への挑戦(307)
1 憲法上の手がかり(307)
2 システムの継続性とシステムの変革との対立(307)
2 国家の責任の更なる発展(308)
X 展望:法律学の課題としてのシステム構築(309)
国家以外の団体または民間団体による行政任務の遂行…中原茂樹…313
T はじめに(313)
U 独立行政法人(314)
V PFIおよび指定管理者制度(318)
W 結 び(320)
日本国憲法における人権享有主体としての個人と団体…佐々木雅寿…321
T はじめに(321)
U 人権主体としての個人(323)
1 人権主体としての人間と個人―一般的・抽象的人間と個性的・
具体的個人(323)
2 強い個人と弱い個人(324)
1 強い個人と弱い個人の対立(324)
2 発展的人間像(325)
3 ありのままの個人(325)
V 人権主体としての団体(326)
1 従来の法人の人権論とその問題点(326)
2 団体の人権享有の根拠(327)
1 学 説(327)
a 従来の通説的見解(327)
b 否定説(328)
c 結社の自由説(329)
2 判 例(329)
3 検 討(330)
3 団体の人権が個人の人権よりも制約されうる根拠(331)
1 従来の学説(331)
2 判 例(332)
3 検 討(332)
W 個人の人権と団体の人権の調整(333)
1 はじめに(333)
2 団体とその構成員との人権調整(333)
1 従来の学説(333)
2 判 例(334)
a 労働組合と組合員の関係(334)
b 強制加入団体(335)
3 検 討(337)
a 団体の目的に直結する人権と構成員の人権の調整(337)
b 団体の目的に付随する人権と構成員の人権の調整(338)
c 団体の目的に関連しない人権(340)
3 団体と団体外の個人との人権調整(340)
1 団体の目的に直結する人権と団体外の個人の人権の調整(340)
2 団体の目的に付随する人権と団体外の個人の人権の調整(341)
3 団体の目的に関連しない人権(341)
X 憲法が予定する個人と団体の関係(341)
Y おわりに(343)
国際的レベルでの団体の役割…ライナー・ヴァール〔松本博之訳〕…345
T 問題:内部と外部,国内問題と国際問題(345)
U 国家の向こう側でのアクター(348)
1 社会的な領域の国際化(349)
<11-40>1 基礎現象としての脱国境化(Entgrenzung)(349)
2 国際的な領域における私的な協会と利益団体(Vereinigungen und
Interessenverb<0228>ande)の現実分析(349)
3 政治的・公的領域における特有のアクター:非政府組織(NGO)(351)
V NGOの意味と法的地位(352)
1 NGOの定義と限界づけ(352)
2 NGOの諸目的と諸目標(353)
3 国際政治の実務におけるNGOの役割(354)
4 NGOは国際法主体か(356)
W NGOは民主主義的機能を有するか(360)
団体,統治,正統性…野田昌吾…365
―団体の政治的役割とその変容―
T はじめに(365)
U 近代以前の“団体による統治”(368)
V 近代国民国家と団体(371)
W “団体による統治”の終焉か,新しい“共同統治”か?(375)
X “民主的統治”実現のための3つの問題領域――むすびにかえて(381)
1 国家統治の再定義の妥当性(381)
2 国家を超えた制御問題への対応(382)
3 社会の再構築(385)
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