「官」の憲法と「民」の憲法−国民投票と市民主権− 江橋 崇 著
目 次
序 文
市民主権からの憲法改正国民投票
1 一九四五年後半、天皇主権のもとでの国民投票制度の提唱
(1) 日本政府内部での憲法改正の検討(3)
(2) アメリカ本国での日本の憲法問題の検討(5)
(3) アチソン政治顧問事務所による日本側の憲法改正の奨励(7)
(4) 憲法改正問題の迷走の始まり(8)
(5) 国民投票制への期待の薄さ(10)
(6) 近衛、佐々木の憲法改正案における国民投票制の採用(11)
(7) 幣原内閣憲法問題調査委員会(松本委員会)による国民投票制度の排斥(12)
(8) 松本委員会内での国民投票制度の「極めて有力」な主張の不在(14)
(9) 一九四五年当時の憲法学界における国民投票制の理解(15)
(10)直接民主主義論に立った憲法研究会の改正案(18)
2 GHQ内部での憲法改正草案の作成 … 19
(1) GHQによる改正草案作成の経緯(19)
(2) 憲法改正手続条項の検討の弱さ(22)
(3) 小委員会の「議会の専権による改正」という提案の背景(24)
(4) 民政局法規課長ラウエル陸軍中佐の働き(28)
(5) ラウエルと憲法研究会との密接な関係(30)
(6) 小委員会報告書の作成(35)
(7) 草案の最終段階における大修正(37)
(8) 土壇場での修正を求めたのはホイットニー民政局長(40)
(9) ホイットニーが参考にしたフィリピン憲法(46)
(10)極東委員会のかかわり(48)
3 GHQ草案の受諾と日本国憲法改正案の作成 … 50
(1) GHQ草案に対する松本委員会関係の憲法学者の意見(50)
(2) 宮沢俊義の変節(52)
(3) 幻の、宮沢訳GHQ草案(60)
(4) GHQ草案をリークした者(64)
(5) GHQ草案をなぞった憲法懇談会の改正案(67)
(6) 国民投票制に無理解な各政党の改正案(68)
(7) 時機に遅れた東大の「憲法研究委員会」(70)
(8) 日本国政府によるGHQ草案の受容と変容(74)
(9) 内外人平等処遇規定の削除と在日朝鮮人の排除(76)
4 憲法改正案の審議 … 78
(1) 枢密院における憲法改正案の審議(78)
(2) 帝国議会衆議院における審議(80)
(3) 帝国議会貴族院における審議(82)
(4) 金森徳次郎の国民投票の理解(84)
(5) 憲法学者による憲法改正手続条項の受容(86)
(6) 注目されるのは鈴木安蔵と中村哲(89)
(7) 佐々木惣一の『憲法改正断想』(91)
(8) 鵜飼信成による国民投票の批判的検討(95)
(9) この時期の憲法学者への批判(97)
5 今、憲法改正国民投票制の樹立経過を議論する意味 … 99
(1) 憲法史、憲法学説史としての問題点(99)
(2) 明らかにするべき官僚、憲法学者のGHQへの癒着(102)
(3) 在日朝鮮人排除の経過の無視(106)
(4) 憲法第九六条に関する憲法学者の議論(110)
(5) 田畑忍の憲法改悪反対論(112)
(6) 一九九〇年代以降の学説の展開(113)
(7) 憲法制定過程の検討が今日の国民投票法の議論に投げかけている問題(114)
(8) 真の憲法改正国民投票制度の提案(121)
中村哲の憲法学と生涯 … 141
1 国法学研究の開始 … 141
2 台湾時代の中村の仕事 … 145
(1) 台湾における天皇機関説問題(145)
(2) 著書『植民地統治法の基本問題』の出版(152)
(3) 自己抑制的な中村の言動(155)
(4) 応召と海南島での戦傷(157)
(5) 東大教授矢部貞治と「最高国防会議」案(160)
(6) 去就に迷った中村(162)
(7) 妻子についての中村の沈黙(165)
(8) 妻子の死去について論じた二人の発言(170)
(9) 中村と沖縄戦(175)
(10) 中村憲法論における戦争責任論の不在(180)
3 戦後社会の激動と中村の活躍 … 183
(1) 「国体護持」論から国民主権論への豹変(183)
(2) 憲法改正問題の急展開(187)
(3) 左翼憲法学者、中村哲の誕生(191)
(4) 中村と大宅壮一(192)
(5) 矢部貞治との決別(196)
4 新憲法の使徒への批判 … 197
(1) 右往左往する憲法学説(197)
(2) 東大法学部スタッフと「憲法普及会」の関係(203)
(3) 「男女平等」の理解と東大憲法学の体質(209)
(4) 時流におもねる憲法学への批判(212)
5 日本国憲法の生誕、中村の視点と功績 … 216
(1) 国民主権の明確化(216)
(2) 官僚支配の批判、官僚法学の批判(218)
(3) 議会政治の観察(222)
6 後期中村憲法学の論点 … 224
(1) 国法学研究の再開と『国法学の史的研究』(224)
(2) 早すぎた官僚指導国家日本の批判(226)
(3) 日本国憲法の解釈と法政大学法学部の講義(228)
(4) 『法学志林』の復刊(231)
(5) 中村の護憲論(233)
(6) 憲法学への関心の衰退(234)
7 政治思想史研究への回帰 … 236
(1) 国家起源論、古代君主制論研究の解禁(236)
(2) 政治思想史研究者としての退出(237)
(3) 本然の姿に戻る(239)
人名索引